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第一章 高校一年生(三学期)
ごほうび(美久里)
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「そういえば美久里のテストの結果、まだ私聞いてないんですけど……黙ってるってことはダメだったんですか?」
そう。今日はテストの結果が返ってきた日。
テストを受ける前に、美久里と萌花はある約束をしていた。
それは、『美久里のテストの点数が平均点を超えたらご褒美』というもの。
「あー……一応平均超えた教科はあったんだけど、トータルで平均未満だったから……」
「そうなんですか」
約束では『平均点を超えたらご褒美』とだけ決めていたから、ご褒美がもらえないこともない気がする……のだが。
「やっぱり最低でも、合計で平均超えはしないとダメかと思って……」
「うーん、私としては別にいいと思いますけど……前もって話し合っておくべきでしたね」
「うん、そうだね……」
テスト前は『ご褒美』という響きに興奮しすぎて、それどころではなかった。
テストの時は集中できず、全体で見るといつもよりも点数が落ちてしまった気がする。
「ちなみに萌花は何を『ご褒美』にする予定だったの?」
「うーん……そうですね。読まなくなった本とかあげようかと思ってたんですけど……他に思いつかなかったので」
「なるほど……そういうのか……!」
真面目な萌花らしい答えだった。
萌花のことだから参考書とか難しい本だったりするのだろうが、美久里はそれでも嬉しいと思った。
友だちから何かをもらうということが重要なのだ。
「……なんか美久里ガッカリしてないですか?」
「いや、全然そんなことないよ……? 萌花からのご褒美もらえなくて残念だったなーって思って」
「そうですか……それなら私のできる範囲でしてもらいたいことがあるならそれでもいいですよ」
そう言われ、美久里は真剣に悩む。
してもらいたいことと言っても、そばにいてくれるだけでいいと思っているから。
萌花に要求することは何もないのだ。
「萌花は優しいから全部要求飲んでくれそうでちょっと頼みづらいなぁ……」
「いや、優しいのは美久里の方ですよ。何かないですか?」
「そうだなぁ……あ、それならずっと一緒にいてほしい!」
「……ふぇっ!?」
美久里がなんの屈託もなく言うと、萌花がひどく驚いたような顔をする。
まるでプロポーズでも受けているみたいだ。
「どうしたの……?」
「え、や、だって……それは……なんていうか……」
「……あ、もしかして……私と一緒にいるのは嫌、とか……?」
「そ、そんなわけないじゃないですか!」
萌花が本気で叫ぶと、美久里はぱぁっと目を輝かせた。
そして萌花の手を優しく取り、ずいっと顔を近づけて言う。
「それじゃ、ずっと一緒にいようね」
「……は、はい……」
萌花は恥ずかしそうに頬を赤く染め、美久里は満面の笑みを浮かべていた。
そう。今日はテストの結果が返ってきた日。
テストを受ける前に、美久里と萌花はある約束をしていた。
それは、『美久里のテストの点数が平均点を超えたらご褒美』というもの。
「あー……一応平均超えた教科はあったんだけど、トータルで平均未満だったから……」
「そうなんですか」
約束では『平均点を超えたらご褒美』とだけ決めていたから、ご褒美がもらえないこともない気がする……のだが。
「やっぱり最低でも、合計で平均超えはしないとダメかと思って……」
「うーん、私としては別にいいと思いますけど……前もって話し合っておくべきでしたね」
「うん、そうだね……」
テスト前は『ご褒美』という響きに興奮しすぎて、それどころではなかった。
テストの時は集中できず、全体で見るといつもよりも点数が落ちてしまった気がする。
「ちなみに萌花は何を『ご褒美』にする予定だったの?」
「うーん……そうですね。読まなくなった本とかあげようかと思ってたんですけど……他に思いつかなかったので」
「なるほど……そういうのか……!」
真面目な萌花らしい答えだった。
萌花のことだから参考書とか難しい本だったりするのだろうが、美久里はそれでも嬉しいと思った。
友だちから何かをもらうということが重要なのだ。
「……なんか美久里ガッカリしてないですか?」
「いや、全然そんなことないよ……? 萌花からのご褒美もらえなくて残念だったなーって思って」
「そうですか……それなら私のできる範囲でしてもらいたいことがあるならそれでもいいですよ」
そう言われ、美久里は真剣に悩む。
してもらいたいことと言っても、そばにいてくれるだけでいいと思っているから。
萌花に要求することは何もないのだ。
「萌花は優しいから全部要求飲んでくれそうでちょっと頼みづらいなぁ……」
「いや、優しいのは美久里の方ですよ。何かないですか?」
「そうだなぁ……あ、それならずっと一緒にいてほしい!」
「……ふぇっ!?」
美久里がなんの屈託もなく言うと、萌花がひどく驚いたような顔をする。
まるでプロポーズでも受けているみたいだ。
「どうしたの……?」
「え、や、だって……それは……なんていうか……」
「……あ、もしかして……私と一緒にいるのは嫌、とか……?」
「そ、そんなわけないじゃないですか!」
萌花が本気で叫ぶと、美久里はぱぁっと目を輝かせた。
そして萌花の手を優しく取り、ずいっと顔を近づけて言う。
「それじゃ、ずっと一緒にいようね」
「……は、はい……」
萌花は恥ずかしそうに頬を赤く染め、美久里は満面の笑みを浮かべていた。
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