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第一章 高校一年生(三学期)
けんかのりゆう(紫乃)
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紫乃が少し遅れて教室についたら、美久里と朔良の話し声が聞こえてきた。
しかし、その会話は何やら不穏そうだった。
「朔良、私のこと嫌いになった……?」
「いや、そういう訳じゃねーよ……好きだっての……」
「ぐすっ、別に気を遣わなくていいよ……」
「気遣ってるわけじゃねーよ。本心なのわかんねーかな」
美久里の目から涙が流れている。
対する朔良は、どう対応していいかわからなさそうにぽりぽりと頭をかいている。
面倒くさそうな匂いがプンプンしている。
「とりあえず、そんなへこむなよ。ほら元気だせって。いつもみたいに笑え、な?」
「もうできない……もう笑えないよ~……!」
……本当に面倒くさそうだ。
紫乃は何があったか聞こうとしたが、朔良がすぐに美久里の機嫌を取ろうと話し出す。
「嫌ってねーって、本当に」
「嘘だ……」
その様子を見て、紫乃は泣き止ませる手段を思いついた。
朔良を呼び、耳打ちする。
朔良はすごく驚いたような顔をしていたが、背に腹はかえられないと思ったようで、「仕方ねーか」と呟いた。
「嘘じゃねーよ、嘘じゃねーから」
「うぅ……」
「もう、顔上げろよ」
机に突っ伏していた美久里が、朔良の声で顔を上げる。
「ほら! これで信じるだろ!」
顔を上げた瞬間に朔良は顔を近づけ、美久里の頬にキスをした。
その様子を見て、紫乃は「うんうん」とうなづいている。
朔良は本当にこれでよかったのかと首をひねるが、案外効果てきめんだったようだ。
「ほえ……?」
泣いてボロボロだった顔が、一瞬でぼーっとした表情に上書きされる。
美久里は何が起きたのかわからないという様子で固まりつつ、手で頬を撫でて……その感触で飛び上がった。
「ぴゃへっ!? さ、朔良っ!? な、ななな何をっ!?」
「おー、すげー顔。写真撮りたいくらい」
「からかっただけなの!?」
「いやー、そんなことないと思うよ~? 朔良ちゃんは本気で美久里ちゃんのこと好きだと思う~」
紫乃の言葉に、美久里は顔の温度を上昇させた。
美久里も朔良も、お互いのことが好きすぎるらしい。
「言っとくが! あたしは魔央ちゃんのクリアファイル渡すつもりはねーぞ!」
「ふぇっ!? やっぱり朔良って私のこと……」
「え、喧嘩の理由ってそれ~……?」
驚くほどしょうもない理由に、紫乃は呆れた。
しかし、その会話は何やら不穏そうだった。
「朔良、私のこと嫌いになった……?」
「いや、そういう訳じゃねーよ……好きだっての……」
「ぐすっ、別に気を遣わなくていいよ……」
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美久里の目から涙が流れている。
対する朔良は、どう対応していいかわからなさそうにぽりぽりと頭をかいている。
面倒くさそうな匂いがプンプンしている。
「とりあえず、そんなへこむなよ。ほら元気だせって。いつもみたいに笑え、な?」
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……本当に面倒くさそうだ。
紫乃は何があったか聞こうとしたが、朔良がすぐに美久里の機嫌を取ろうと話し出す。
「嫌ってねーって、本当に」
「嘘だ……」
その様子を見て、紫乃は泣き止ませる手段を思いついた。
朔良を呼び、耳打ちする。
朔良はすごく驚いたような顔をしていたが、背に腹はかえられないと思ったようで、「仕方ねーか」と呟いた。
「嘘じゃねーよ、嘘じゃねーから」
「うぅ……」
「もう、顔上げろよ」
机に突っ伏していた美久里が、朔良の声で顔を上げる。
「ほら! これで信じるだろ!」
顔を上げた瞬間に朔良は顔を近づけ、美久里の頬にキスをした。
その様子を見て、紫乃は「うんうん」とうなづいている。
朔良は本当にこれでよかったのかと首をひねるが、案外効果てきめんだったようだ。
「ほえ……?」
泣いてボロボロだった顔が、一瞬でぼーっとした表情に上書きされる。
美久里は何が起きたのかわからないという様子で固まりつつ、手で頬を撫でて……その感触で飛び上がった。
「ぴゃへっ!? さ、朔良っ!? な、ななな何をっ!?」
「おー、すげー顔。写真撮りたいくらい」
「からかっただけなの!?」
「いやー、そんなことないと思うよ~? 朔良ちゃんは本気で美久里ちゃんのこと好きだと思う~」
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「言っとくが! あたしは魔央ちゃんのクリアファイル渡すつもりはねーぞ!」
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