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第二章 高校二年生(一学期)
いいもの(萌花)
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みんなとクラスがバラバラになってから初めての部活動の日。
時計の針はいつの間にか午後5時半を指していた。
残っている生徒は下校するように促す校内放送が流れる。
最終下校時刻は午後6時だ。
なぜなら、バスの最終便が6時10分だから。
「……そろそろっすかね。今からみんなにいいもの見せてあげるっす。こっち来てくださいっす」
葉奈はそう言い、みんなを窓側に招き寄せた。
「あそこを見てほしいっす」
全員が辿り着くと小声でそう告げ、手で指し示す。
「ん? あれは、寺田先生じゃない?」
「あ、ほんとだ。なんかきょろきょろしてるな」
「言ったら悪いけど、全然知らない人が見たら不審者に見えちゃうかも~」
美久里は目を見開き、朔良と紫乃は食い入るように眺める。
その場所から少し左にある正門のところに、寺田先生が立っているのが見えた。
それからほどなくして車が一台止まり、中から綺麗な女の人が降りて来た。
寺田先生は、一年生の時の担任の先生である。
眼鏡をかけて少しぽっちゃりしている、独身の女の先生だ。
「うわ、すごい高級車だな。あれ、ひょっとして寺ちゃんの友だちか? いや、でも友だちがわざわざ車で学校まで来るか?」
「ふっふっふ。実はあの人、寺ちゃんの姪っ子さんらしいんすよ。姪っ子さんは叔母さん想いでいつも寺ちゃんを気にかけているとかなんとか……」
葉奈はにこにこしながら答えた。
“寺ちゃん”というのは、言わずもがな寺田先生のことである。
寺田先生はたくさんの生徒に気に入られており、ファンも多いのだとか。
確かに親しみやすい雰囲気ではあるが、萌花はどうしても先生をあだ名で呼ぶことができないでいる。
それはともかく。
「でも姪っ子さん、成人してるっぽいですけど……お仕事とかされてないんですかね?」
「ふっふっふ。それもお答えするっすよ。なんと姪っ子さんは次期社長候補らしいんすよ。お金持ちらしいっすし」
「恵まれすぎだろ、美人で金持ちとか……てか、そんな情報どこで手に入れたんだ?」
「それは、うちの観察眼ってやつっす」
「もうそれが本当なら探偵とかにでもなっちゃえよ」
朔良は冗談混じりに苦笑するが、葉奈は「それもいいっすね」と笑う。
冗談か本気かわかりずらい。
「……いいな……」
そういう冗談を言い合えるような仲に、少しだけ羨ましさを感じた。
いつか自分もその中に入れる日は来るのだろうかと、萌花は少しだけ……本当に少しだけ、チクリと胸が痛んだ。
時計の針はいつの間にか午後5時半を指していた。
残っている生徒は下校するように促す校内放送が流れる。
最終下校時刻は午後6時だ。
なぜなら、バスの最終便が6時10分だから。
「……そろそろっすかね。今からみんなにいいもの見せてあげるっす。こっち来てくださいっす」
葉奈はそう言い、みんなを窓側に招き寄せた。
「あそこを見てほしいっす」
全員が辿り着くと小声でそう告げ、手で指し示す。
「ん? あれは、寺田先生じゃない?」
「あ、ほんとだ。なんかきょろきょろしてるな」
「言ったら悪いけど、全然知らない人が見たら不審者に見えちゃうかも~」
美久里は目を見開き、朔良と紫乃は食い入るように眺める。
その場所から少し左にある正門のところに、寺田先生が立っているのが見えた。
それからほどなくして車が一台止まり、中から綺麗な女の人が降りて来た。
寺田先生は、一年生の時の担任の先生である。
眼鏡をかけて少しぽっちゃりしている、独身の女の先生だ。
「うわ、すごい高級車だな。あれ、ひょっとして寺ちゃんの友だちか? いや、でも友だちがわざわざ車で学校まで来るか?」
「ふっふっふ。実はあの人、寺ちゃんの姪っ子さんらしいんすよ。姪っ子さんは叔母さん想いでいつも寺ちゃんを気にかけているとかなんとか……」
葉奈はにこにこしながら答えた。
“寺ちゃん”というのは、言わずもがな寺田先生のことである。
寺田先生はたくさんの生徒に気に入られており、ファンも多いのだとか。
確かに親しみやすい雰囲気ではあるが、萌花はどうしても先生をあだ名で呼ぶことができないでいる。
それはともかく。
「でも姪っ子さん、成人してるっぽいですけど……お仕事とかされてないんですかね?」
「ふっふっふ。それもお答えするっすよ。なんと姪っ子さんは次期社長候補らしいんすよ。お金持ちらしいっすし」
「恵まれすぎだろ、美人で金持ちとか……てか、そんな情報どこで手に入れたんだ?」
「それは、うちの観察眼ってやつっす」
「もうそれが本当なら探偵とかにでもなっちゃえよ」
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冗談か本気かわかりずらい。
「……いいな……」
そういう冗談を言い合えるような仲に、少しだけ羨ましさを感じた。
いつか自分もその中に入れる日は来るのだろうかと、萌花は少しだけ……本当に少しだけ、チクリと胸が痛んだ。
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