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第二章 高校二年生(一学期)
てすと5(朔良)
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二人は自動ドアを抜けて、ゲームセンターの店内へ足を踏み入れる。
「あれ? ゲームセンターってもっと暗い雰囲気だった気がするけど……けっこうオシャレだね」
「あたしもそれは思った。最近のはこんな感じなんじゃねーか?」
美久里と朔良は店内をきょろきょろ見渡す。
そこはゲームセンターと聞いて想像するような、薄暗い室内というわけではない。
どちらかと言うと、子供向けのゲームが多いように見えた。
「ここはファミリーや女の子向けみたいだな。あたしらみたいなゲーム初心者が遊びやすそうな場所ってことだ」
「ねぇ、朔良。私、あそこのクレーンゲームやりたい!」
朔良の言っていることには取り合わず、美久里はやや興奮気味に言った。
「ったく、美久里はぬいぐるみが取りたいんだな?」
「うん、そう! あれ欲しい!」
子供みたいにはしゃぐ美久里に、朔良は保護者のような気分でそのゲーム機のところへと進んだ。
クレーンゲームは、実に大小様々な物が置かれている。
大きなぬいぐるみに小さなストラップ、お菓子の詰め合わせにアニメキャラのフィギュア……
ファミリー向けみたいだが、クレーンゲームはしっかりと色々なジャンルが詰め込まれているみたいだ。
「あっ、あの狐のぬいぐるみかわいい! めちゃくちゃ欲しい!」
お気に入りのものを見つけると、美久里はケースに手の平を張り付けて叫ぶ。
「美久里……あれは隅の方にあるし、他のぬいぐるみの間に少し埋もれてるぞ。難易度は相当高いと思うが……」
「大丈夫だよ!」
朔良の心配する声をよそに、美久里は自信満々に答えた。
コイン投入口に百円硬貨を入れ、押しボタンに両手を添える。
「美久里、頑張れよ!」
「よーし、絶対とるよ!」
美久里は慎重にボタンを操作してクレーンを操り、目的のぬいぐるみの真上まで持っていくことができた。
続いてクレーンを下げて、アームを広げる操作だ。
「あ、失敗しちゃった。もう一度……!」
ぬいぐるみはアームの左側に触れたものの、つかみ上げることはできなかった。
再度クレーンを下げようとしたところ、制限時間がいっぱいとなってしまった。
「もう一回っ!」
美久里はもう一度お金を入れて、再チャレンジする。
しかし、今回も失敗に終わる。
「今度こそ絶対とるよ!」
この作業をさらに三度繰り返した。
けれども一度もクレーンでつかみ上げることすらできず……
「わぁーん、朔良ぁぁぁ。あれとってぇぇぇぇ!」
とうとう泣き出してしまった。
目当てのものを指差しながら、朔良に抱きつく。
泣きつかれても、正直困る。
朔良もゲームはあまり得意ではないのだ。
「んー、あー、まかせろ! 機械に食われた美久里のお小遣い500円のカタキ、あたしが討ったらぁ!」
「うわぁっ、ありがとう。朔良、いつも頼りにしてごめんね」
「いいっていいって」
朔良は美久里の頭をそっと撫でる。
こうしてみるとなんだか犬みたいで、朔良は思わずわしゃわしゃしたくなる気持ちをぐっと抑えた。
「朔良ってほんと優しいよね」
「そうか? あたしはそう思ったことねーけど……」
そういう会話を終えたあと、朔良は頑張って一発で獲物を仕留めた。
朔良がその獲物を美久里に渡したあとで、感極まってまた泣いてしまうまでがワンセットだった。
「あれ? ゲームセンターってもっと暗い雰囲気だった気がするけど……けっこうオシャレだね」
「あたしもそれは思った。最近のはこんな感じなんじゃねーか?」
美久里と朔良は店内をきょろきょろ見渡す。
そこはゲームセンターと聞いて想像するような、薄暗い室内というわけではない。
どちらかと言うと、子供向けのゲームが多いように見えた。
「ここはファミリーや女の子向けみたいだな。あたしらみたいなゲーム初心者が遊びやすそうな場所ってことだ」
「ねぇ、朔良。私、あそこのクレーンゲームやりたい!」
朔良の言っていることには取り合わず、美久里はやや興奮気味に言った。
「ったく、美久里はぬいぐるみが取りたいんだな?」
「うん、そう! あれ欲しい!」
子供みたいにはしゃぐ美久里に、朔良は保護者のような気分でそのゲーム機のところへと進んだ。
クレーンゲームは、実に大小様々な物が置かれている。
大きなぬいぐるみに小さなストラップ、お菓子の詰め合わせにアニメキャラのフィギュア……
ファミリー向けみたいだが、クレーンゲームはしっかりと色々なジャンルが詰め込まれているみたいだ。
「あっ、あの狐のぬいぐるみかわいい! めちゃくちゃ欲しい!」
お気に入りのものを見つけると、美久里はケースに手の平を張り付けて叫ぶ。
「美久里……あれは隅の方にあるし、他のぬいぐるみの間に少し埋もれてるぞ。難易度は相当高いと思うが……」
「大丈夫だよ!」
朔良の心配する声をよそに、美久里は自信満々に答えた。
コイン投入口に百円硬貨を入れ、押しボタンに両手を添える。
「美久里、頑張れよ!」
「よーし、絶対とるよ!」
美久里は慎重にボタンを操作してクレーンを操り、目的のぬいぐるみの真上まで持っていくことができた。
続いてクレーンを下げて、アームを広げる操作だ。
「あ、失敗しちゃった。もう一度……!」
ぬいぐるみはアームの左側に触れたものの、つかみ上げることはできなかった。
再度クレーンを下げようとしたところ、制限時間がいっぱいとなってしまった。
「もう一回っ!」
美久里はもう一度お金を入れて、再チャレンジする。
しかし、今回も失敗に終わる。
「今度こそ絶対とるよ!」
この作業をさらに三度繰り返した。
けれども一度もクレーンでつかみ上げることすらできず……
「わぁーん、朔良ぁぁぁ。あれとってぇぇぇぇ!」
とうとう泣き出してしまった。
目当てのものを指差しながら、朔良に抱きつく。
泣きつかれても、正直困る。
朔良もゲームはあまり得意ではないのだ。
「んー、あー、まかせろ! 機械に食われた美久里のお小遣い500円のカタキ、あたしが討ったらぁ!」
「うわぁっ、ありがとう。朔良、いつも頼りにしてごめんね」
「いいっていいって」
朔良は美久里の頭をそっと撫でる。
こうしてみるとなんだか犬みたいで、朔良は思わずわしゃわしゃしたくなる気持ちをぐっと抑えた。
「朔良ってほんと優しいよね」
「そうか? あたしはそう思ったことねーけど……」
そういう会話を終えたあと、朔良は頑張って一発で獲物を仕留めた。
朔良がその獲物を美久里に渡したあとで、感極まってまた泣いてしまうまでがワンセットだった。
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