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第二章 高校二年生(一学期)
げきからめにゅー(朔良)
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学校から数分歩いたところにあるそのファミレスは、紫乃と葉奈の行きつけらしい。
今回は葉奈と二人だけでテーブル席に着く。
他のみんなは忙しいのか、それぞれ用事があったようだ。
葉奈はそんなこと気にせず、メニュー表を手に取った。
「朔良、ここには超激辛メニューの“特盛りハバネロ地獄ラーメン”があるんすよ。汁まで全部食べれたらタダになるとか」
「へー」
朔良は、そのメニュー表に記載された写真をじっと眺める。
なかなかに真っ赤で、地獄の縮図のようだった。
……嫌な予感しかしない。
「マグマみたいっすよね。見るからにめっちゃ辛そうっす。――朔良、挑戦してみたくないっすか?」
「……は? なに言ってんだ。あたしが辛いものだめなの、お前ならよく知ってんだろ」
まあ、予想通りというかなんと言うか。
葉奈はそのメニューを見せて、朔良の反応を楽しみたかったようだ。
さすがに嫌がってるのに頼みはしないだろうけど、やはり嫌な予感しかしない。
イタズラが大好きな葉奈のことだ。きっとなにか企んでいるに違いない。
「ちぇっ、まあそうっすよね~。朔良ノリよくないっすからね~」
「……どんなこと言われても絶対食べないからな」
「ふむぅ……じゃ、うちが食べるっす!」
「…………はぁ!?」
なにを言うかと思えば、激辛料理に自分が挑戦する?
それはただの自殺行為だ。
葉奈がこんなにもバカだとは思いもしなかった。
「お待たせしましたー。特盛りハバネロ地獄ラーメンでございます。ごゆっくりどうぞ」
葉奈の注文したメニューは、最後に運ばれてきた。
ウェイトレスは涼しい表情で、そのメニューをテーブルに置いていく。
「うっわ!」
朔良はそれを見た瞬間、目を疑った。
「ま、まさかここまでとは……写真のより量多んじゃねーか?」
「で、でも、時間制限ないからこんなの余裕っすよ」
「いや、いくら辛いもの平気なお前でもこれはちょっと厳しいだろ……」
なぜか自信満々な葉奈。
なにか秘策でもあるのだろうか。
「もし失敗してもたった1000円だし安心っす」
……やはりバカなのかもしれない。
そんなことなら、普通のメニューを頼めばいいのに。
なぜ自らイバラの道を歩もうとするのか。
「そっ、それじゃ……い、いただきますっす!」
こうなったら、もう後戻りはできない。
おそるおそる箸で麺をつかみ取り、口の中へと運んだ。
「……あれ? 思ったより辛くないっすね。それにめっちゃ美味いっす! これならいけるかも――」
葉奈は二口三口と、どんどんつかみ取って口に入れていく。
ところが、七口目を食べた直後のこと。
「も、もう無理っす! 耐えられないっす!」
葉奈は勢いよく立ち上がり、一目散にセルフサービスのドリンクコーナーへと向かった。
オレンジジュースをコップ満タンまで入れて、ゴクゴクゴクゴクと勢いよく飲み干す。
しかし、辛さはあとになってじわりと効いてきたのだ。
「まっ……まだからぁぁぁいっすぅぅぅ!」
そしてもう一杯おかわりした。
「な、なんとか落ち着いたっす……」
葉奈は涙を流しながら席へ戻ってきた。
もうこんなことでは、食べ切るのは0%に近いのではないだろうか。
白旗を上げてもいい頃だろう。
「そんなに辛かったのか?」
心配だったので、一応そう尋ねてみる。
だけど、葉奈の答えはもうわかりきっていた。
その涙目が、すべてを物語っているから。
「無理、無理、無理、無理! 全部は絶対無理ーっす!」
「……だろうな……」
葉奈は結局、その激辛料理を食べ切ることはできなかったようだ。
今回は葉奈と二人だけでテーブル席に着く。
他のみんなは忙しいのか、それぞれ用事があったようだ。
葉奈はそんなこと気にせず、メニュー表を手に取った。
「朔良、ここには超激辛メニューの“特盛りハバネロ地獄ラーメン”があるんすよ。汁まで全部食べれたらタダになるとか」
「へー」
朔良は、そのメニュー表に記載された写真をじっと眺める。
なかなかに真っ赤で、地獄の縮図のようだった。
……嫌な予感しかしない。
「マグマみたいっすよね。見るからにめっちゃ辛そうっす。――朔良、挑戦してみたくないっすか?」
「……は? なに言ってんだ。あたしが辛いものだめなの、お前ならよく知ってんだろ」
まあ、予想通りというかなんと言うか。
葉奈はそのメニューを見せて、朔良の反応を楽しみたかったようだ。
さすがに嫌がってるのに頼みはしないだろうけど、やはり嫌な予感しかしない。
イタズラが大好きな葉奈のことだ。きっとなにか企んでいるに違いない。
「ちぇっ、まあそうっすよね~。朔良ノリよくないっすからね~」
「……どんなこと言われても絶対食べないからな」
「ふむぅ……じゃ、うちが食べるっす!」
「…………はぁ!?」
なにを言うかと思えば、激辛料理に自分が挑戦する?
それはただの自殺行為だ。
葉奈がこんなにもバカだとは思いもしなかった。
「お待たせしましたー。特盛りハバネロ地獄ラーメンでございます。ごゆっくりどうぞ」
葉奈の注文したメニューは、最後に運ばれてきた。
ウェイトレスは涼しい表情で、そのメニューをテーブルに置いていく。
「うっわ!」
朔良はそれを見た瞬間、目を疑った。
「ま、まさかここまでとは……写真のより量多んじゃねーか?」
「で、でも、時間制限ないからこんなの余裕っすよ」
「いや、いくら辛いもの平気なお前でもこれはちょっと厳しいだろ……」
なぜか自信満々な葉奈。
なにか秘策でもあるのだろうか。
「もし失敗してもたった1000円だし安心っす」
……やはりバカなのかもしれない。
そんなことなら、普通のメニューを頼めばいいのに。
なぜ自らイバラの道を歩もうとするのか。
「そっ、それじゃ……い、いただきますっす!」
こうなったら、もう後戻りはできない。
おそるおそる箸で麺をつかみ取り、口の中へと運んだ。
「……あれ? 思ったより辛くないっすね。それにめっちゃ美味いっす! これならいけるかも――」
葉奈は二口三口と、どんどんつかみ取って口に入れていく。
ところが、七口目を食べた直後のこと。
「も、もう無理っす! 耐えられないっす!」
葉奈は勢いよく立ち上がり、一目散にセルフサービスのドリンクコーナーへと向かった。
オレンジジュースをコップ満タンまで入れて、ゴクゴクゴクゴクと勢いよく飲み干す。
しかし、辛さはあとになってじわりと効いてきたのだ。
「まっ……まだからぁぁぁいっすぅぅぅ!」
そしてもう一杯おかわりした。
「な、なんとか落ち着いたっす……」
葉奈は涙を流しながら席へ戻ってきた。
もうこんなことでは、食べ切るのは0%に近いのではないだろうか。
白旗を上げてもいい頃だろう。
「そんなに辛かったのか?」
心配だったので、一応そう尋ねてみる。
だけど、葉奈の答えはもうわかりきっていた。
その涙目が、すべてを物語っているから。
「無理、無理、無理、無理! 全部は絶対無理ーっす!」
「……だろうな……」
葉奈は結局、その激辛料理を食べ切ることはできなかったようだ。
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