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第二章 高校二年生(一学期)
がっしゅく4(美久里)
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部屋に戻ってくると、すでに布団が敷かれていた。
この旅館のサービスだ。どこも似たようなものだろうけど。
「さーて、合宿の醍醐味といえば、夜の時間っすよね……ってわけで、今からうちがこわーい話をしてあげるっすよぉ」
葉奈は両手をうらめしやポーズにして、ゆっくりとした口調で告げた。
「わっ、私、なにも聞きたくないよぉぉぉ!」
美久里は耳を塞ぎ、カタカタ震え出す。
まだなにも話し始めていないのに、もう怖くなってしまったようだ。
「そんなこと言われるとますますしたくなっちゃうっすね~」
「もう、やめなよ~。美久里ちゃんが可哀想だよ~」
「そ、そうですよ。そそそそんな悪趣味なことしない方がいいですっててて」
紫乃は美久里の頭を撫で、萌花は声を震わせて抗議する。
「あはは、すまねぇっす」
「まったく思ってないよね。まあ、ボクはそういう葉奈さん好きだけど」
葉奈の軽い謝罪に、柚はにっこりと微笑んだ。
王子様っぽさのある柚だが、今の美久里には少し魔王っぽく見えてしまった。
「わ、私、もう寝るね! おやすみなさい!」
美久里はばっと布団を被って勢いよくもぐり込む。
布団越しでもわかるほど震えている。
「あーあ、美久里ちゃん怖がらせちゃった~」
「え、うちが悪いんすか?」
「どう見てもそうですよ……」
葉奈はなにもわかっていないらしい。
そんな葉奈の肩をぽんぽんと軽くたたく柚。
「どんまい、葉奈さん」
「うぅ……まさか柚になぐさめられるなんて……」
そう嘆き、葉奈も布団に包まる。
めそめそとか細いすすり泣きが聞こえてくるから、多分拗ねているのだろう。
なんて面倒くさいかまってちゃんなのか。
「さてと、葉奈ちゃんと美久里ちゃんが寝たことだし、なにしようか~」
紫乃はそう言いながら、テレビのリモコンを取ってスイッチを入れた。
その画面には、今絶賛放送中の恋愛ドラマが映っている。
でも、タイミングが悪かった。
そのドラマで、キスシーンが始まってしまったのだ――!
「うわぁ……別のやつ別のやつ~……」
「あはは……まあ、たまにそういうことありますよね……」
「紫乃さん、気にしなくても大丈夫だからね」
「二人とも……ありがとう……」
萌花と柚にフォローされた紫乃は、少し涙目になっている。
これで友情を感じたようだ。
……もっと別のところで友情を感じてほしいものだが、別にいいか。
「ねぇ、美久里さん、起きてるなら一緒に話そうよ」
「ふぇっ……!?」
まさか気づかれていたとは。
葉奈より柚の方が観察眼がするどいのではないだろうか。
「おー、あんなに震えてたのに~。立ち直り早いね~。もしかして葉奈ちゃんが寝たからかな?」
「うっ……そんなことは……まあ、あるけど……」
「素直すぎるね。というか、葉奈さんほんとにもう寝たの? 寝るの早くない?」
視線を葉奈の布団に移すと、ひそかに寝息が聞こえてきた。
本当に寝ているらしい。脅威のスピードである。
美久里は寝つきが悪いから、葉奈のことが羨ましくて仕方ない。
「まあ、葉奈ちゃんはそういうとこあるから~。葉奈ちゃんのことは気にせず四人でお話しよ~」
紫乃はなんでもないように言う。
もしかして、慣れているのだろうか。
紫乃と葉奈は仲がいいと思っていたが、まさかそこまでとは思わなかった。
「紫乃さんは葉奈さんのことよくわかってるんだね。すごいや」
「そんなことないよ~。これくらい普通だって~」
「いやいや、そんなことないですよ。何回かお泊まりとかしてないと説明できませんよね?」
柚は感心したように言い、萌花は驚きで目を見開いている。
「えへへー……まあ、葉奈ちゃんと一番仲良いのは僕だっていう自覚はあるかな~」
「おぉ、紫乃ちゃんが惚気けた……!」
紫乃はそういうことを言わないと思っていたから、美久里は思わず声を出してしまった。
なんだか、からかったみたいになっている。
そんなつもりじゃなかったのに。
「もー、この話はおしまい~!」
結局、紫乃と葉奈がどれくらい仲良いのかは教えてもらえなかった。
この旅館のサービスだ。どこも似たようなものだろうけど。
「さーて、合宿の醍醐味といえば、夜の時間っすよね……ってわけで、今からうちがこわーい話をしてあげるっすよぉ」
葉奈は両手をうらめしやポーズにして、ゆっくりとした口調で告げた。
「わっ、私、なにも聞きたくないよぉぉぉ!」
美久里は耳を塞ぎ、カタカタ震え出す。
まだなにも話し始めていないのに、もう怖くなってしまったようだ。
「そんなこと言われるとますますしたくなっちゃうっすね~」
「もう、やめなよ~。美久里ちゃんが可哀想だよ~」
「そ、そうですよ。そそそそんな悪趣味なことしない方がいいですっててて」
紫乃は美久里の頭を撫で、萌花は声を震わせて抗議する。
「あはは、すまねぇっす」
「まったく思ってないよね。まあ、ボクはそういう葉奈さん好きだけど」
葉奈の軽い謝罪に、柚はにっこりと微笑んだ。
王子様っぽさのある柚だが、今の美久里には少し魔王っぽく見えてしまった。
「わ、私、もう寝るね! おやすみなさい!」
美久里はばっと布団を被って勢いよくもぐり込む。
布団越しでもわかるほど震えている。
「あーあ、美久里ちゃん怖がらせちゃった~」
「え、うちが悪いんすか?」
「どう見てもそうですよ……」
葉奈はなにもわかっていないらしい。
そんな葉奈の肩をぽんぽんと軽くたたく柚。
「どんまい、葉奈さん」
「うぅ……まさか柚になぐさめられるなんて……」
そう嘆き、葉奈も布団に包まる。
めそめそとか細いすすり泣きが聞こえてくるから、多分拗ねているのだろう。
なんて面倒くさいかまってちゃんなのか。
「さてと、葉奈ちゃんと美久里ちゃんが寝たことだし、なにしようか~」
紫乃はそう言いながら、テレビのリモコンを取ってスイッチを入れた。
その画面には、今絶賛放送中の恋愛ドラマが映っている。
でも、タイミングが悪かった。
そのドラマで、キスシーンが始まってしまったのだ――!
「うわぁ……別のやつ別のやつ~……」
「あはは……まあ、たまにそういうことありますよね……」
「紫乃さん、気にしなくても大丈夫だからね」
「二人とも……ありがとう……」
萌花と柚にフォローされた紫乃は、少し涙目になっている。
これで友情を感じたようだ。
……もっと別のところで友情を感じてほしいものだが、別にいいか。
「ねぇ、美久里さん、起きてるなら一緒に話そうよ」
「ふぇっ……!?」
まさか気づかれていたとは。
葉奈より柚の方が観察眼がするどいのではないだろうか。
「おー、あんなに震えてたのに~。立ち直り早いね~。もしかして葉奈ちゃんが寝たからかな?」
「うっ……そんなことは……まあ、あるけど……」
「素直すぎるね。というか、葉奈さんほんとにもう寝たの? 寝るの早くない?」
視線を葉奈の布団に移すと、ひそかに寝息が聞こえてきた。
本当に寝ているらしい。脅威のスピードである。
美久里は寝つきが悪いから、葉奈のことが羨ましくて仕方ない。
「まあ、葉奈ちゃんはそういうとこあるから~。葉奈ちゃんのことは気にせず四人でお話しよ~」
紫乃はなんでもないように言う。
もしかして、慣れているのだろうか。
紫乃と葉奈は仲がいいと思っていたが、まさかそこまでとは思わなかった。
「紫乃さんは葉奈さんのことよくわかってるんだね。すごいや」
「そんなことないよ~。これくらい普通だって~」
「いやいや、そんなことないですよ。何回かお泊まりとかしてないと説明できませんよね?」
柚は感心したように言い、萌花は驚きで目を見開いている。
「えへへー……まあ、葉奈ちゃんと一番仲良いのは僕だっていう自覚はあるかな~」
「おぉ、紫乃ちゃんが惚気けた……!」
紫乃はそういうことを言わないと思っていたから、美久里は思わず声を出してしまった。
なんだか、からかったみたいになっている。
そんなつもりじゃなかったのに。
「もー、この話はおしまい~!」
結局、紫乃と葉奈がどれくらい仲良いのかは教えてもらえなかった。
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