個性派JK☆勢揃いっ!【完結済み】

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第二章 高校二年生(二学期)

ごろごろ(柚)

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 休日はみんなどんな風に過ごしているのだろう。
 やっぱり友だちと遊びに行ったり、一人でも行きたい場所をまわったりするのだろうか。
 でも、柚はというと……

「すやぁ……」

 お昼を過ぎても気持ちよさそうに寝ている。
 これが柚の普通の休日。

「むにゃぁ……」

 それだけだと面白くないので、無理やり身体を起こす。
 だけど、ずっと寝ていたせいか身体がだるくて頭が働かない。
 思ったように身体を動かせない。

「なぜだ……なぜボクの身体が動かない……っ! 悪の組織がもう攻撃を仕掛けてきたというのか!?」

 柚は今日も絶好調だった。

「いや、これくらいのことなんてボクは余裕で乗り越えてみせる!」

 よくわからない気合いだが、それが柚の原動力になっているようだ。
 先ほどよりも動きがよくなっている。

「ふっふっふ、悪の組織の攻撃もものともしないボクは最強だぁっ!」
「――ふっ、それはどうっすかね」
「な、なんだって……!?」

 突然聞こえた不気味な声。
 この部屋には柚しかいないはずなのに、どうして近くから声が聞こえるのか。
 柚は驚き、身構える。

「ふっはっは。柚ちゃんもうちの忍びスキルには勝てないってことっすね」

 葉奈はベッドの中から顔を出した。
 いつからそこにいたのだろう。
 言いたいことは山ほどあるが、とりあえずはこれをするしかあるまい。

「よし、ケーサツに電話するか」
「ちょっとやめてくださいっす! 声のトーンがガチすぎて冗談に聞こえないっす!」

 机に置いてあったスマホを手に取ると、葉奈が大袈裟なほど慌てる。

「嘘だよ。でも、どうしてここに?」
「いやー、柚の部屋に忍び込んで夜這いしたかったんすよぉ」

 きゅるるんという擬音が聞こえそうな感じで、葉奈が可愛いポーズを取る。
 でも、葉奈がそんなポーズを取ってもなんの効果もない。
 むしろ違和感がすごい。

「……本当は?」

 柚はそれが本当の理由ではないと察し、呆れ気味に問う。
 問われた葉奈はバツが悪そうに頭をかく。

「あははー。実は玄関から普通に入ってきたっす。柚さんの友だちっすって言って」
「そういうことなら最初から言えばいいのに」
「柚が最後までノってくれると思ってたんすよぉ!」

 葉奈は小さな子どものようにダンダンと力強く床を鳴らす。
 葉奈がこうなるのは珍しいのではないだろうか。

「もう柚なんて知らないっすー! やっと遊び相手見つけたと思ったのにー!」
「ごめんごめん。でも葉奈さんって結構可愛い人だったんだね」
「当然っす! うちは可愛い系目指してるんすからぁ!」
「え、そうだったの……?」

 そういう意味で可愛いと言ったわけではない。
 まあ、葉奈はわかっていて言っているのだとは思うが。
 そんな時、はっと気づく。
 そういえば、一番大事なことを訊いていないではないか。

「それで、なにしに来たの?」

 葉奈はようやく落ち着き、やっと訊いてくれたかと言わんばかりに答える。

「今日休みだから二人で家でゴロゴロ引きこもりタイムを楽しもうと思って来たんすよぉ」
「それ、二人でやる意味あるかな……?」

 そういうのは基本一人でやるものでは……
 柚は遠回しに言うも、葉奈が普通の感性を持っているとは考えにくい。
 普通に入ってきたとはいえ、人のベッドに忍び込むような人だから。

「柚ひどいっす……うちのこと無下にするなんて……」
「別に無下にはしてないけど……」

 二人でやるものなら、ゴロゴロの他にいいのが色々あるだろう。
 わざわざ訪ねてきたのにやりたいのがそれなんて、なんか釈然としないというか言葉を疑うというか。

「本気でやりたいと思ってるのかい……?」

 問題はそこだ。
 葉奈のことだから、散々振り回して「冗談っす」と言いかねない。
 いや、八割そう言うに決まっている。

「うーん、そうっすねぇ……確かにゴロゴロは一人でするもんだと思うっすけど……柚と一緒ならそういうことも楽しめそうだと思ったんすよね」

 葉奈ははにかみながらそう言う。
 ずるい。ずるすぎる。ずるずるだ。
 照れくさそうに、嬉しそうにそう言われたら、了承するしかないだろう。

「そ、そっか……そういうことなら、まあ、仕方ないね……」

 つられて笑顔になったことに、葉奈は気づいているだろうか。
 そうして柚と葉奈は、心ゆくまでゴロゴロを楽しんだ。
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