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第三章 これが真実だ!
不良道まっしぐら?
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○月○日
さっちゃん先輩、私を連れ出してどうするつもりだったんだろう。
でも、私の手を優しく引っ張ってくれて、嬉しかったな……
今日は楽しかったけど、はしゃぎすぎてちょっと疲れちゃった。これを書くのも一苦労なぐらい体調悪いし。
もう今日は寝よう。今日はさっちゃん先輩のおかげでいい夢を見れそうだ。
いつかさっちゃん先輩と「おはよう」や「おやすみ」を言い合えるようになりたいな……
――稲津華緒、『さっちゃん先輩観察日記』より。
☆ ☆ ☆
道をまっすぐに進む。
不良になるという道を、まっすぐに。
沙友理一人ではこんな景色を見ることはできなかっただろう。
隣にいてくれている人がいなかったら、多分無理だったに違いない。
「今更だけど、こんなことして大丈夫なのですか……?」
「今更すぎますね……」
沙友理が不安になって呟いた言葉に、華緒がツッコむ。
呆れた声をしていたが、顔は柔らかくほころんでいる。
「私はさっちゃん先輩と一緒にいたいので、私のことが心配なら大丈夫ですよ。これまで真面目に授業受けてきたので一日くらいサボってもどうってことないです」
「えっへん」と胸を張りながら答える華緒。
その様子を見て、沙友理は思わず「ふふっ」と吹き出す。
不思議と沙友理の不安は解消されていた。
「ありがとうなのです」
「いえいえ。それで、これからどうしましょうか?」
そう言えば、こうして学校をサボったはいいものの、具体的に何をするかは全くのノープランだった。
二人はしばらく悩む。
だけどせっかくサボったのなら、何か有意義なことをしたいと思っている。
言ってしまえば、楽しいことがしたいのだ。
しかし、二人は学生で制服姿。
平日の昼間に学生が入っても変じゃない場所なんて限られている。
その中で楽しいことなんて思いつくはずがなかった。
そんな時、沙友理は一つだけ思いついた。
「公園とか……どうなのですかね?」
「公園? 公園に行くんですか?」
「はい、そこでならゆっくりなお話できそうだなと思ったのですよ」
自分の提案に自信がなさそうに、沙友理はチラチラと華緒の表情を窺う。
それが華緒の目にどう映ったのか、華緒はふっと表情を柔らかくする。
「私はそれで充分ですよ。さっちゃん先輩と公園でまったり……悪くないです」
嘘でもなんでもなく、本心からの言葉だろうというのは沙友理にもわかった。
触れた手から、直接感情が流れ込んでくるようだった。
そうなれば、沙友理の感情も華緒に伝わっているのだろう。
二人はまさに一心同体という感じだった。
沙友理の感覚で、だが。
「じゃあ近くの公園まで出発なのです!」
「おー!」
二人はずっと手を繋いだまま、目的地に向かって出発した。
まるで手を離したら死んでしまうとでも言うように。
そうして、二人は公園のベンチに座る。
平日の昼間ということもあってか、いつもより人気がない。
これは沙友理たちにとっては好都合だ。
人目を気にする必要がないから。
「公園ってなんか知らないけどすごく落ち着くのですよね~」
「わかります。子供の頃はあんなにはしゃいでいたのに、今はベンチでゆっくりしてる方が性にあってるなんて不思議です」
「いっちゃんも遊具とかで遊んでいたのですか?」
「ええ、まあそれなりに」
「全然想像つかないのです」
そんなふうに他愛もない話をしながら暇をつぶす。
老後とかにこうして二人ベンチに腰掛けて駄弁るのも悪くなさそうだと、沙友理は思った。
本当に、華緒といるとなんだって楽しい。
……痛いことをされるのは嫌だが。
それを抜きにして、華緒との何気ない日常を手放したくない。
たとえ、なにがあったとしても。
「はぁ……はぁ……」
「って、大丈夫なのですか!?」
沙友理が考え込んでいる間に、華緒の様子が一変した。
苦しそうに息を吐いている。
胸とお腹の辺りを押さえてうずくまる。
なにが起きたのだろう。
目の前の光景に思考が追いつかない。
さっきまであんなに楽しく笑いあっていたのに。
「と、とりあえず救急車……っ!」
沙友理は慌ててスカートのポケットからスマホを取り出すが、華緒に止められる。
「な、なにを……」
「い、いつもの……こと……なので……大丈夫、ですから……」
「大丈夫なようには見えないのですけど……」
呼吸が浅く、口からヒューヒューという音が聞こえる。
大丈夫な状態でないのは明白だ。
華緒はそれでも頑なに首を横に振る。
「平気、です……すぐに治まる……ので……」
「な、なら、お家に連れてくのです。しっかり掴まってるのですよ」
このままここにいれば、通りがかった人に不審に思われかねない。
それなら、病人を今運んでいると見せた方がいい。
家に行けば華緒の症状を治す薬があるかもしれないし。
「どうにもならないようだったらすぐに病院に叩き込むのですからね。その時は救急車に乗ってもらうのです……!」
「……ありがと……ございます……さっちゃん先輩」
沙友理は具合の悪そうな華緒に肩を貸し、公園を後にした。
ここから歯車のようなものが狂っていくことになるが、今の二人にそれを知るよしはなかった。
さっちゃん先輩、私を連れ出してどうするつもりだったんだろう。
でも、私の手を優しく引っ張ってくれて、嬉しかったな……
今日は楽しかったけど、はしゃぎすぎてちょっと疲れちゃった。これを書くのも一苦労なぐらい体調悪いし。
もう今日は寝よう。今日はさっちゃん先輩のおかげでいい夢を見れそうだ。
いつかさっちゃん先輩と「おはよう」や「おやすみ」を言い合えるようになりたいな……
――稲津華緒、『さっちゃん先輩観察日記』より。
☆ ☆ ☆
道をまっすぐに進む。
不良になるという道を、まっすぐに。
沙友理一人ではこんな景色を見ることはできなかっただろう。
隣にいてくれている人がいなかったら、多分無理だったに違いない。
「今更だけど、こんなことして大丈夫なのですか……?」
「今更すぎますね……」
沙友理が不安になって呟いた言葉に、華緒がツッコむ。
呆れた声をしていたが、顔は柔らかくほころんでいる。
「私はさっちゃん先輩と一緒にいたいので、私のことが心配なら大丈夫ですよ。これまで真面目に授業受けてきたので一日くらいサボってもどうってことないです」
「えっへん」と胸を張りながら答える華緒。
その様子を見て、沙友理は思わず「ふふっ」と吹き出す。
不思議と沙友理の不安は解消されていた。
「ありがとうなのです」
「いえいえ。それで、これからどうしましょうか?」
そう言えば、こうして学校をサボったはいいものの、具体的に何をするかは全くのノープランだった。
二人はしばらく悩む。
だけどせっかくサボったのなら、何か有意義なことをしたいと思っている。
言ってしまえば、楽しいことがしたいのだ。
しかし、二人は学生で制服姿。
平日の昼間に学生が入っても変じゃない場所なんて限られている。
その中で楽しいことなんて思いつくはずがなかった。
そんな時、沙友理は一つだけ思いついた。
「公園とか……どうなのですかね?」
「公園? 公園に行くんですか?」
「はい、そこでならゆっくりなお話できそうだなと思ったのですよ」
自分の提案に自信がなさそうに、沙友理はチラチラと華緒の表情を窺う。
それが華緒の目にどう映ったのか、華緒はふっと表情を柔らかくする。
「私はそれで充分ですよ。さっちゃん先輩と公園でまったり……悪くないです」
嘘でもなんでもなく、本心からの言葉だろうというのは沙友理にもわかった。
触れた手から、直接感情が流れ込んでくるようだった。
そうなれば、沙友理の感情も華緒に伝わっているのだろう。
二人はまさに一心同体という感じだった。
沙友理の感覚で、だが。
「じゃあ近くの公園まで出発なのです!」
「おー!」
二人はずっと手を繋いだまま、目的地に向かって出発した。
まるで手を離したら死んでしまうとでも言うように。
そうして、二人は公園のベンチに座る。
平日の昼間ということもあってか、いつもより人気がない。
これは沙友理たちにとっては好都合だ。
人目を気にする必要がないから。
「公園ってなんか知らないけどすごく落ち着くのですよね~」
「わかります。子供の頃はあんなにはしゃいでいたのに、今はベンチでゆっくりしてる方が性にあってるなんて不思議です」
「いっちゃんも遊具とかで遊んでいたのですか?」
「ええ、まあそれなりに」
「全然想像つかないのです」
そんなふうに他愛もない話をしながら暇をつぶす。
老後とかにこうして二人ベンチに腰掛けて駄弁るのも悪くなさそうだと、沙友理は思った。
本当に、華緒といるとなんだって楽しい。
……痛いことをされるのは嫌だが。
それを抜きにして、華緒との何気ない日常を手放したくない。
たとえ、なにがあったとしても。
「はぁ……はぁ……」
「って、大丈夫なのですか!?」
沙友理が考え込んでいる間に、華緒の様子が一変した。
苦しそうに息を吐いている。
胸とお腹の辺りを押さえてうずくまる。
なにが起きたのだろう。
目の前の光景に思考が追いつかない。
さっきまであんなに楽しく笑いあっていたのに。
「と、とりあえず救急車……っ!」
沙友理は慌ててスカートのポケットからスマホを取り出すが、華緒に止められる。
「な、なにを……」
「い、いつもの……こと……なので……大丈夫、ですから……」
「大丈夫なようには見えないのですけど……」
呼吸が浅く、口からヒューヒューという音が聞こえる。
大丈夫な状態でないのは明白だ。
華緒はそれでも頑なに首を横に振る。
「平気、です……すぐに治まる……ので……」
「な、なら、お家に連れてくのです。しっかり掴まってるのですよ」
このままここにいれば、通りがかった人に不審に思われかねない。
それなら、病人を今運んでいると見せた方がいい。
家に行けば華緒の症状を治す薬があるかもしれないし。
「どうにもならないようだったらすぐに病院に叩き込むのですからね。その時は救急車に乗ってもらうのです……!」
「……ありがと……ございます……さっちゃん先輩」
沙友理は具合の悪そうな華緒に肩を貸し、公園を後にした。
ここから歯車のようなものが狂っていくことになるが、今の二人にそれを知るよしはなかった。
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