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最終章 ストーキングは愛の証!
運命の人との出会い?
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○月○日
私はずっとあの子を目で追っていた。
あの子の家も、交友関係も、好きなものも嫌いなものも結構把握している。
だからこそ、女の子に興味が無いことも、わかっていた……女の子は恋愛対象にない。
でも、止められるわけがない。大好きなんだもん!
好きだからこそ、ずっと見ていたいと思うのは自然のことだ。
……だけど、わからないこともあった。
私が見ていたのは、氷山の一角に過ぎない。
そんなことを、今日は思い知らされた。
――稲津華緒、『○○ちゃん観察日記』より。
☆ ☆ ☆
はじめはほんの出来心だった。
華緒にそんな趣味はなかった。
ただ、少しの好奇心と大きな好意が自分をそうさせたのだと思う。
華緒には好きな人がいた。
沙友理とは違う人。
これはまだ、沙友理に出会う前の話だ。
華緒はとある人をスト――尾行していた。
その人は、華緒と同じ中学・同じクラスの女の子。
同性に想いを伝えられるわけもなく、華緒はひそかにその人を目で追っていく。
それが犯罪だとわかっていても、止められるわけがなかった。
しかし、こんなことはいつまでも続けられるものではない。
その人が気づいてしまえば一巻の終わり。
もう後をつけることなどできなくなるし、その人に嫌われる可能性も学校でその噂が広まってしまう可能性もある。
それは嫌だ。
だけど、他にどうすればいいのかなんて華緒にはわからない。
「……え、あの、華緒ちゃんだよね……?」
「ふぇっ!?」
華緒は今物陰にいる。
でも、その人は確かに華緒の名前を呼んだ。
聞き間違いかと思ったが、その人の目はこちらを見ている。
居場所も特定されているようだ。
超能力者かと疑うほど、その人の目は正確にこちらを捉えていた。
このまま隠れているのは無理そうだ。
「あ、その……えっと……なんでわかったの?」
「なんでって……そりゃ、こんな近くで物音立てられたらね……だれでも気づくと思うよ?」
「な、なるほど……」
次からは気をつけないといけない。
次があるかわからないけど。
今の状況はどう考えても詰んでいた。
「……で? なんであたしの後をつけてたの? なんか用? 声かけたくてもかけられなかったとか?」
その人はどんどん質問攻めをする。
自分が同性に好意を寄せられ、その上ストーキングされているなんて思ってもいないようだ。
それは当然だろう。
自分だってされる側は想像できない。
「え、えっと……その……」
「あ、もしかして、あたしに惚れたから後をつけてきたとか?」
「えっ!!」
冗談で言ったであろう言葉に、華緒は過剰に反応してしまった。
これでは、「はいそうです」と言っているようなものだ。
実際、その人も驚いた様子で目を丸くしている。口元が引きつっていて、明らかに動揺している。
引いているのかもしれない。
いや、確実に引いている!
「あ、その……」
「へ、へぇ、華緒ちゃんってそういう……へぇー……」
――終わった。
これは完全に嫌われてしまっただろう。
「ふーん、そっかぁ……じゃあ……学校中に言いふらしちゃおうか」
「……へっ!?」
引いていたような表情とは打って変わって、その人は愉しそうに嗤う。
華緒は背筋が凍った。
この人は真性のドSだ、とそのときになってわかった。
いくら華緒でもここまでしない。
いや、それはもうこの際置いておこう。
好意ももう完全に冷めきってしまったが、それは些細な問題だ。
本当の問題は、彼女は放っておけば学校中に言いふらしかねないというもの。
「どうしようかなー。こんなことバラされたら学校にいられなくなっちゃうよねー」
チラチラとこちらに視線を送ってくる。
なにか取引でもしたいのだろうか。
「……私にできることがあればするから、それだけは……」
「あ、そう? なら――“土下座”してもらおうかな?」
「――っ!?」
この人は一体なにを言っているのだろう。
華緒は耳を疑った。
聞き間違いだと信じたい。
だけど、そんな期待は淡く砕け散る。
「聞こえなかった? ――ど・げ・ざ」
パンパンと手を叩いて急かしてくる。
なぜそこまで土下座を要求してくるのだろう。
華緒が渋っていると、その人は明らかにイラついた。
「しないの? しないなら言いふらしちゃうからね!」
「そ、それはだめ……っ!」
「じゃあさっさとやってよ」
「うっ……」
自分がなんでこんな人を好きでいたのか、華緒自身も疑問を感じてきた頃。
前方からものすごい勢いで迫り来る“なにか”が見えた。
それが近づいてくるにつれて、パカラッパカラッという軽快だけどどこか重量感のある音が鮮明に響く。
「な、なに……?」
その人も気づいたようで、おそるおそる後ろを振り返る。
――が、その時にはすでに手遅れだった。
「あわわぁ……!」
「うわぁ!?」
「ヒヒーン!」
その“なにか”は馬だった。
馬は大きく前足を上げて、その人に威嚇するような体勢を取る。
馬が前足を上げるのは驚いているかららしいが、その時の華緒にはわからなかった。
その上に乗っていたのは、小さな女の子。
まさに、白馬の王子様ならぬ白馬のお姫様。
それが、華緒と沙友理の、お互いが覚えている限り最初の出会いだった。
私はずっとあの子を目で追っていた。
あの子の家も、交友関係も、好きなものも嫌いなものも結構把握している。
だからこそ、女の子に興味が無いことも、わかっていた……女の子は恋愛対象にない。
でも、止められるわけがない。大好きなんだもん!
好きだからこそ、ずっと見ていたいと思うのは自然のことだ。
……だけど、わからないこともあった。
私が見ていたのは、氷山の一角に過ぎない。
そんなことを、今日は思い知らされた。
――稲津華緒、『○○ちゃん観察日記』より。
☆ ☆ ☆
はじめはほんの出来心だった。
華緒にそんな趣味はなかった。
ただ、少しの好奇心と大きな好意が自分をそうさせたのだと思う。
華緒には好きな人がいた。
沙友理とは違う人。
これはまだ、沙友理に出会う前の話だ。
華緒はとある人をスト――尾行していた。
その人は、華緒と同じ中学・同じクラスの女の子。
同性に想いを伝えられるわけもなく、華緒はひそかにその人を目で追っていく。
それが犯罪だとわかっていても、止められるわけがなかった。
しかし、こんなことはいつまでも続けられるものではない。
その人が気づいてしまえば一巻の終わり。
もう後をつけることなどできなくなるし、その人に嫌われる可能性も学校でその噂が広まってしまう可能性もある。
それは嫌だ。
だけど、他にどうすればいいのかなんて華緒にはわからない。
「……え、あの、華緒ちゃんだよね……?」
「ふぇっ!?」
華緒は今物陰にいる。
でも、その人は確かに華緒の名前を呼んだ。
聞き間違いかと思ったが、その人の目はこちらを見ている。
居場所も特定されているようだ。
超能力者かと疑うほど、その人の目は正確にこちらを捉えていた。
このまま隠れているのは無理そうだ。
「あ、その……えっと……なんでわかったの?」
「なんでって……そりゃ、こんな近くで物音立てられたらね……だれでも気づくと思うよ?」
「な、なるほど……」
次からは気をつけないといけない。
次があるかわからないけど。
今の状況はどう考えても詰んでいた。
「……で? なんであたしの後をつけてたの? なんか用? 声かけたくてもかけられなかったとか?」
その人はどんどん質問攻めをする。
自分が同性に好意を寄せられ、その上ストーキングされているなんて思ってもいないようだ。
それは当然だろう。
自分だってされる側は想像できない。
「え、えっと……その……」
「あ、もしかして、あたしに惚れたから後をつけてきたとか?」
「えっ!!」
冗談で言ったであろう言葉に、華緒は過剰に反応してしまった。
これでは、「はいそうです」と言っているようなものだ。
実際、その人も驚いた様子で目を丸くしている。口元が引きつっていて、明らかに動揺している。
引いているのかもしれない。
いや、確実に引いている!
「あ、その……」
「へ、へぇ、華緒ちゃんってそういう……へぇー……」
――終わった。
これは完全に嫌われてしまっただろう。
「ふーん、そっかぁ……じゃあ……学校中に言いふらしちゃおうか」
「……へっ!?」
引いていたような表情とは打って変わって、その人は愉しそうに嗤う。
華緒は背筋が凍った。
この人は真性のドSだ、とそのときになってわかった。
いくら華緒でもここまでしない。
いや、それはもうこの際置いておこう。
好意ももう完全に冷めきってしまったが、それは些細な問題だ。
本当の問題は、彼女は放っておけば学校中に言いふらしかねないというもの。
「どうしようかなー。こんなことバラされたら学校にいられなくなっちゃうよねー」
チラチラとこちらに視線を送ってくる。
なにか取引でもしたいのだろうか。
「……私にできることがあればするから、それだけは……」
「あ、そう? なら――“土下座”してもらおうかな?」
「――っ!?」
この人は一体なにを言っているのだろう。
華緒は耳を疑った。
聞き間違いだと信じたい。
だけど、そんな期待は淡く砕け散る。
「聞こえなかった? ――ど・げ・ざ」
パンパンと手を叩いて急かしてくる。
なぜそこまで土下座を要求してくるのだろう。
華緒が渋っていると、その人は明らかにイラついた。
「しないの? しないなら言いふらしちゃうからね!」
「そ、それはだめ……っ!」
「じゃあさっさとやってよ」
「うっ……」
自分がなんでこんな人を好きでいたのか、華緒自身も疑問を感じてきた頃。
前方からものすごい勢いで迫り来る“なにか”が見えた。
それが近づいてくるにつれて、パカラッパカラッという軽快だけどどこか重量感のある音が鮮明に響く。
「な、なに……?」
その人も気づいたようで、おそるおそる後ろを振り返る。
――が、その時にはすでに手遅れだった。
「あわわぁ……!」
「うわぁ!?」
「ヒヒーン!」
その“なにか”は馬だった。
馬は大きく前足を上げて、その人に威嚇するような体勢を取る。
馬が前足を上げるのは驚いているかららしいが、その時の華緒にはわからなかった。
その上に乗っていたのは、小さな女の子。
まさに、白馬の王子様ならぬ白馬のお姫様。
それが、華緒と沙友理の、お互いが覚えている限り最初の出会いだった。
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