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最終章 ストーキングは愛の証!
運命の人との出会い?(パート2)
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「あわわ、ごめんなさいなのです。急にこの子が暴れだしてしまって……」
馬に乗っている子がひたすらに謝る。
今の馬の状態は安定しているようだ。
それにしても、あの状態で落ちなかったことが驚きだ。
馬を乗りこなしているのかいないのか、よくわからない。
……いや、なんか暴走してたっぽいから乗りこなしていないのか。
「……え、あ、え……?」
華緒の好きだった人は、腰が抜けた様子でへたり込んでいる。
先程あんなことがあったから当然だろう。
まだ状況を理解できていないようだ。
かく言う華緒もまったく理解できていないが。
「ちょっとさっき聞こえてきたのですけど、土下座とかなんとか……?」
「え? あ、えーっと……」
馬に乗っている子が華緒の方を向いたので、華緒は焦りながら答えようとする。
だけど、どう答えたらいいものか……
下手に答えたら、華緒の人に言えない部分も明らかになってしまう。
よく知らない人に自分のことをひけらかすわけにはいかない。
「ふむ……」
すると、馬に乗っている子はなにかを察したようで、馬から降りる。
そうなると、ますますその子が小さく見える。
華緒と頭一つ分くらいは違う。いや、もしかしたら二つかもしれない。
それくらい小さかった。
こんな小さな子が馬を操っているなんて信じられない。
だからこそ、上手く操れなかったのだろうけど。
「土下座ならわたしがするのですよ」
「……え?」
「……は?」
華緒とまだ道にへたり込んでいる人は、ほぼ同時に声を上げた。
なぜ関係ない子が土下座をすると言いだしたのか。
その意味がまったくわからない。
「わざとではないのですが……わたしだって、さっきはあなたを危ない目に遭わせてしまったのですよ。一歩間違えたら大怪我させてたかもしれないのです。だから謝るついでに土下座させてほしいのです」
「え、は、そんなこと急に言われても……そもそも、あたしは華緒ちゃんに土下座してほしかっただけで……」
「じゃあ、わたしがその華緒ちゃんの代わりもするのです」
「はぁ? 意味わかんないんだけど――ってかちかっ!」
小さい子がずいっと顔を近づける。
はたから見ている分には平気だが、額と額がくっつきそうな距離というのは当事者からしたらかなりきついものがあるだろう。
そこまで近づかれると、逃げたくなるものだ。
「う……わ、わかったよ。土下座はどっちにもさせないよ……」
「あ、ありがとう……もう尾行しないから……ごめんね……」
「え、や、あたしもやりすぎたよ……ってか、華緒ちゃんってこんな大きな馬操る子と知り合いだったんだね」
「……え?」
「じゃ……」
その人はそう言うと、カバンを持って逃げるように去っていった。
……別に、この小さい子と華緒は知り合いでもなんでもないのに。
勝手に勘違いして許してくれた。
これはラッキーと捉えていい……のだろうか。
「ふぅ……大丈夫なのですか?」
「え、あ、私ですか?」
「当然なのですよ」
「他にだれかいるのですか」と、無邪気に笑う。
人々を虜にできるような笑顔だ。
華緒は反射的に「この人を撮りたい!」と思った。
それにしても、大丈夫かと訊くということは、初めから助けようとしてくれていたのだろうか。
そんな風には見えないけれど。
「あ、よ、よかった……やっと、見つけました……」
華緒が口を開こうとした時、また馬の足音が聞こえてきた。
今度は真っ黒な馬だ。
その上に、華緒と同じくらいの髪の長さの女の子が乗っている。
女の子の髪も黒で、馬も黒。黒と黒でバランスが取れているように思う。
そうやって華緒がなにか変なことを考えていると、小さい子が黒い馬に駆け寄る。
「沙織ちゃん! ごめんなさいなのです。馬に乗りたいってわがまま言って、その上敷地内を飛び出してしまって……」
「い、いえ……わ、私もちゃんと見てなかったので……先輩は初心者なのに……あの子もちょっと、扱いずらい子だし……」
小さい子は、大人に怒られるのをおそれている子どものような顔をした。
つくづく子どもっぽい。
だが、黒髪の子はその子を「先輩」と呼んだ。
小さい子の方が年上なのか……そうは見えないが。
「というか、そろそろ戻らないと……先生に怒られるかもしれないので……」
「あ、そうなのですね。戻らないと」
そう言って、再び白い馬に乗ろうとする。
……正確には乗ろうとしていたが乗れなくて、仕方なく馬を引こうとしていた。
「あ、あの……!」
もうこんなチャンスは二度とないと思って、華緒は勇気を振り絞った。
「なにか用なのですか?」
「え、えっと……お名前を……! お聞きしたくて……!」
華緒が言葉に詰まりながらもなんとか伝えると、その小さい子はふふっと笑う。
普通にしていてもほわほわした雰囲気なのに、笑うとそれが倍増してもはや天使にしか見えない。
「わたしは篠宮沙友理なのです。あなたは?」
「わっ、私は、稲津華緒っていいます!」
お互い名乗るだけの自己紹介を終えて、小さい子――沙友理は黒髪の子とともに去っていった。
華緒はなんだか妙な高揚感を覚えて、鼻歌を歌いながら帰る。
そして、今日から新たな日記をつけることにした。
その日記の名前は、のちに『さっちゃん先輩観察日記』となる。
☆ ☆ ☆
○月○日
運命って本当にあるんだ!
私が○○ちゃんを追いかけてたのも、その子に嫌なことされたのも、全部この時のためだったんだ!
運命の人……沙友理さんに出会うために。
さっそく今度から沙友理さんを尾行してみよう。
どんな人でどんな性格で裏はないのか、今度はちゃんと把握しておかないとね。
――稲津華緒、『篠宮沙友理さん観察日記』より。
馬に乗っている子がひたすらに謝る。
今の馬の状態は安定しているようだ。
それにしても、あの状態で落ちなかったことが驚きだ。
馬を乗りこなしているのかいないのか、よくわからない。
……いや、なんか暴走してたっぽいから乗りこなしていないのか。
「……え、あ、え……?」
華緒の好きだった人は、腰が抜けた様子でへたり込んでいる。
先程あんなことがあったから当然だろう。
まだ状況を理解できていないようだ。
かく言う華緒もまったく理解できていないが。
「ちょっとさっき聞こえてきたのですけど、土下座とかなんとか……?」
「え? あ、えーっと……」
馬に乗っている子が華緒の方を向いたので、華緒は焦りながら答えようとする。
だけど、どう答えたらいいものか……
下手に答えたら、華緒の人に言えない部分も明らかになってしまう。
よく知らない人に自分のことをひけらかすわけにはいかない。
「ふむ……」
すると、馬に乗っている子はなにかを察したようで、馬から降りる。
そうなると、ますますその子が小さく見える。
華緒と頭一つ分くらいは違う。いや、もしかしたら二つかもしれない。
それくらい小さかった。
こんな小さな子が馬を操っているなんて信じられない。
だからこそ、上手く操れなかったのだろうけど。
「土下座ならわたしがするのですよ」
「……え?」
「……は?」
華緒とまだ道にへたり込んでいる人は、ほぼ同時に声を上げた。
なぜ関係ない子が土下座をすると言いだしたのか。
その意味がまったくわからない。
「わざとではないのですが……わたしだって、さっきはあなたを危ない目に遭わせてしまったのですよ。一歩間違えたら大怪我させてたかもしれないのです。だから謝るついでに土下座させてほしいのです」
「え、は、そんなこと急に言われても……そもそも、あたしは華緒ちゃんに土下座してほしかっただけで……」
「じゃあ、わたしがその華緒ちゃんの代わりもするのです」
「はぁ? 意味わかんないんだけど――ってかちかっ!」
小さい子がずいっと顔を近づける。
はたから見ている分には平気だが、額と額がくっつきそうな距離というのは当事者からしたらかなりきついものがあるだろう。
そこまで近づかれると、逃げたくなるものだ。
「う……わ、わかったよ。土下座はどっちにもさせないよ……」
「あ、ありがとう……もう尾行しないから……ごめんね……」
「え、や、あたしもやりすぎたよ……ってか、華緒ちゃんってこんな大きな馬操る子と知り合いだったんだね」
「……え?」
「じゃ……」
その人はそう言うと、カバンを持って逃げるように去っていった。
……別に、この小さい子と華緒は知り合いでもなんでもないのに。
勝手に勘違いして許してくれた。
これはラッキーと捉えていい……のだろうか。
「ふぅ……大丈夫なのですか?」
「え、あ、私ですか?」
「当然なのですよ」
「他にだれかいるのですか」と、無邪気に笑う。
人々を虜にできるような笑顔だ。
華緒は反射的に「この人を撮りたい!」と思った。
それにしても、大丈夫かと訊くということは、初めから助けようとしてくれていたのだろうか。
そんな風には見えないけれど。
「あ、よ、よかった……やっと、見つけました……」
華緒が口を開こうとした時、また馬の足音が聞こえてきた。
今度は真っ黒な馬だ。
その上に、華緒と同じくらいの髪の長さの女の子が乗っている。
女の子の髪も黒で、馬も黒。黒と黒でバランスが取れているように思う。
そうやって華緒がなにか変なことを考えていると、小さい子が黒い馬に駆け寄る。
「沙織ちゃん! ごめんなさいなのです。馬に乗りたいってわがまま言って、その上敷地内を飛び出してしまって……」
「い、いえ……わ、私もちゃんと見てなかったので……先輩は初心者なのに……あの子もちょっと、扱いずらい子だし……」
小さい子は、大人に怒られるのをおそれている子どものような顔をした。
つくづく子どもっぽい。
だが、黒髪の子はその子を「先輩」と呼んだ。
小さい子の方が年上なのか……そうは見えないが。
「というか、そろそろ戻らないと……先生に怒られるかもしれないので……」
「あ、そうなのですね。戻らないと」
そう言って、再び白い馬に乗ろうとする。
……正確には乗ろうとしていたが乗れなくて、仕方なく馬を引こうとしていた。
「あ、あの……!」
もうこんなチャンスは二度とないと思って、華緒は勇気を振り絞った。
「なにか用なのですか?」
「え、えっと……お名前を……! お聞きしたくて……!」
華緒が言葉に詰まりながらもなんとか伝えると、その小さい子はふふっと笑う。
普通にしていてもほわほわした雰囲気なのに、笑うとそれが倍増してもはや天使にしか見えない。
「わたしは篠宮沙友理なのです。あなたは?」
「わっ、私は、稲津華緒っていいます!」
お互い名乗るだけの自己紹介を終えて、小さい子――沙友理は黒髪の子とともに去っていった。
華緒はなんだか妙な高揚感を覚えて、鼻歌を歌いながら帰る。
そして、今日から新たな日記をつけることにした。
その日記の名前は、のちに『さっちゃん先輩観察日記』となる。
☆ ☆ ☆
○月○日
運命って本当にあるんだ!
私が○○ちゃんを追いかけてたのも、その子に嫌なことされたのも、全部この時のためだったんだ!
運命の人……沙友理さんに出会うために。
さっそく今度から沙友理さんを尾行してみよう。
どんな人でどんな性格で裏はないのか、今度はちゃんと把握しておかないとね。
――稲津華緒、『篠宮沙友理さん観察日記』より。
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