2 / 47
こちらの世界
これは始まり?
しおりを挟む
そうして、自分の部屋にめいを案内した私だったが、入ってからとてもやばいことに気がついた。
……部屋、掃除してないや。
「あ、えっと……ちょっと散らかってるけど……気にしないでね……」
「もちろんです! こんなことで幻滅したりなんかしませんよ」
気にしないでと言っておきながら、いやこれはどう考えても気になるだろと思った。
だって足の踏み場もないもん。こんなの気にするでしょ普通。
私はもう自分で何を言ってるのかわからなくなってきた。
とりあえず落ち着こう。
「えっと、ありがとう。なかなかにあれな部屋だけど引かないんだね……」
「当然です! こういうのわかってましたから!」
「それってどういう……」
薄々勘づいてはいたが、もしやめいはストー……いや、なんでもない。
まあとにかく、めいが気にしないのならよかった。
「あー……えーっと、それで? 私は何をすれば……」
「お姉ちゃんは何もしなくて大丈夫ですよ? わたしが全部やりますので!」
「え、全部って……何を……?」
「むぅ……ムードがないですね~。まあいいです。お姉ちゃんの究極に可愛い姿が見られるならそれで」
「……はい?」
究極に可愛い? どういう意味だろう?
そんな私の思考を真っ白に塗りたくるように、めいは突然私をベッドに押し倒した。
どういう状況なのか、何もわからない。
「……あ、あの……めいさん?」
困惑のあまり、丁寧な口調になってしまった。
それ自体は別になんともないのだが、なんというか……少し怖い。
めいのその真剣そうな表情が、私の心を支配しそうで。
めいは私の声かけに答えず、じっと私の顔を見つめている。
見つめられるのに慣れていないせいか、私はすぐに顔を逸らした。
こういうのは少し苦手だ。
人と目を合わせるのは……なんというか、ムズムズする。
「お姉ちゃん……」
「め、め……んっ!?」
私は、めいの名前を最後まで口にできなかった。
「ちょ、な、なにして……」
「いいから。大人しくしててください」
言われるがまま、私は大人しくしていた。
というより、何をされているのかわからなくて硬直していたと言った方がいいか。
体を触られているのだがいやらしい感じはなく、ツボを押されている感覚もあった。
私はマッサージでも受けているのか? という謎の状況である。
「めいさんや」
「なんですか?」
「……これは一体なんの為にやってるの?」
私がそう聞くと、めいは少し頬を赤らめた。
そして私から目を逸らしながら答える。
「……言っちゃいますけど……その……お姉ちゃんにいっぱい癒されてほしくて……」
「私に……?」
「はい! お姉ちゃんを喜ばせるのは妹の役割ですからね!」
その姉妹像歪んでないか?
なんて言う勇気はなく、私はただ「そっか」とだけ返した。
「お姉ちゃん……どうですか? 気持ちいいですか?」
「うん、気持ちいいよ。ありがとう」
「えへへ……よかったです!」
めいのマッサージは、とても気持ちが良かった。
力加減も丁度良くて、凝り固まった体がほぐれていく感覚がある。
めいが私を見つめる視線はまるで愛しいものを愛でるかのように感じられたが、それも気にならないほど心地いい時間だった。
「ふぅ、これで終わりです。どうでしたか?」
「うん、体が軽くなった気がするよ。ありがとうね」
そう私が言うと、めいは嬉しそうに笑った。
そして、また真剣な表情に戻る。
「……あのお姉ちゃん」
「どうしたの?」
「さっきわたし、妹の役割って言ってましたけど……その……」
めいが何かを言いかけると同時に、突然部屋のドアが勢いよく開いた。
「ういー! お夕飯でき……た……?」
部屋にズカズカ入ってきたのは私の妹であるうみだった。
うみは私の姿を見て固まっていた。
それもそうだろう。だって私は今ベッドに横になってて、その上にめいが跨っているのだから。
「えーっと? 上にいるのはさっきの人だよね? どういう状況?」
「え、えーっと……」
私はなんて説明しようか迷った。
めいが勝手に私の妹だと言って、マッサージをしてくれた。
そう答えれば簡単なのだが、うみは納得しないだろう。
というか、私も納得してない。
私の妹は今扉のそばで困惑しているうみだけだ。
「あ、うみさん。やっぱりお姉ちゃんにそっくりで可愛いですね。うみさんもいるならちょうどよかったです」
めいが私に覆いかぶさるような体勢をやめて、ベッドから降りる。
そしてそのまま扉へ歩いていった。
「今日泊まってもいいですか?」
「「は?」」
私とうみの声が見事に重なる。
「いや、あの……それはちょっと……」
「いいですよね? ね?」
いや、圧がすごい。
私は思わず頷いていた。
うみはというと、まだ状況がよくわかってないようだ。
まあそりゃそうだろう。私もまだよくわかってないから。
そんな私たちを気にもせず、めいは笑顔でこう言った。
「じゃあ決定ですね! お世話になります!」
それから、私たちはとりあえず晩御飯を食べることにした。
メニューはわかめのお味噌汁とまぐろのお刺身。
もちろんこれを用意したのはうみだ。
「うみちゃんは料理のセンスいいですね。見た目がすごく映えてて」
「そ、そうですか? えへへぇ、それほどでもぉ」
めいがそう言うと、うみは嬉しそうに体をくねくねさせた。
……なんかちょろいな。
「で? なんでめいさんは泊まることになるわけ?」
私はお刺身を口に運びながらそう言った。
うみは褒められて舞い上がっているのか、料理にがっついている。
そんな様子を確認してから、めいは一度咳払いをして話始めた。
「まずですね……少しお話させてもらってもいいですか?」
めいの表情が真剣になるのを見て、私は食事の手を止めた。
どうやらただ癒しを与えるために来ただけじゃないらしい。
というかそもそもなんでマッサージしようと思ったんだろう? その疑問もついでに解消してくれるとありがたいのだが……まあ今は黙っておこう。
「私はお姉ちゃんが好きです!」
「……はい?」
突然の宣言に、私は思わずポカンと口を開けてしまった。
そんな私を気にもせず、めいは続ける。
「だからなんでもしたいんです! ご飯もお風呂も……なんなら夜のお世話も」
「ちょっと一回黙ろうか!?」
私に好意を示すのはいいが、そういうのは話さなくていい。
望んでないし、隣にうみもいるし。
「あのですね! 私はお姉ちゃんのことが大好きなんです!」
「わかったって……わかったけど泊まる理由聞いてない気がするんだけど」
めいは私の妹だと言い張っているし、それについても聞きたいことはあったのだが、今はそれどころではなさそうなので後回しにした。
「確かにそうでしたね。えっと、私が泊まる理由っていうのは……」
めいは一呼吸置いてからこう言った。
「……私はお姉ちゃんが心配なんです」
「心配……?」
「はい。だから今日は一緒に……隣で寝てもいいですか?」
また直球なことを言ってくるなこの子。
しかも心配ってなんだろう。赤の他人に心配されるほどしっかりしてないように見えるのだろうか。
色々ツッコミどころはあったのだが、うるうると瞳をにじませてこちらを見てくると……
「……いいよ」
としか言えないのだった。
……部屋、掃除してないや。
「あ、えっと……ちょっと散らかってるけど……気にしないでね……」
「もちろんです! こんなことで幻滅したりなんかしませんよ」
気にしないでと言っておきながら、いやこれはどう考えても気になるだろと思った。
だって足の踏み場もないもん。こんなの気にするでしょ普通。
私はもう自分で何を言ってるのかわからなくなってきた。
とりあえず落ち着こう。
「えっと、ありがとう。なかなかにあれな部屋だけど引かないんだね……」
「当然です! こういうのわかってましたから!」
「それってどういう……」
薄々勘づいてはいたが、もしやめいはストー……いや、なんでもない。
まあとにかく、めいが気にしないのならよかった。
「あー……えーっと、それで? 私は何をすれば……」
「お姉ちゃんは何もしなくて大丈夫ですよ? わたしが全部やりますので!」
「え、全部って……何を……?」
「むぅ……ムードがないですね~。まあいいです。お姉ちゃんの究極に可愛い姿が見られるならそれで」
「……はい?」
究極に可愛い? どういう意味だろう?
そんな私の思考を真っ白に塗りたくるように、めいは突然私をベッドに押し倒した。
どういう状況なのか、何もわからない。
「……あ、あの……めいさん?」
困惑のあまり、丁寧な口調になってしまった。
それ自体は別になんともないのだが、なんというか……少し怖い。
めいのその真剣そうな表情が、私の心を支配しそうで。
めいは私の声かけに答えず、じっと私の顔を見つめている。
見つめられるのに慣れていないせいか、私はすぐに顔を逸らした。
こういうのは少し苦手だ。
人と目を合わせるのは……なんというか、ムズムズする。
「お姉ちゃん……」
「め、め……んっ!?」
私は、めいの名前を最後まで口にできなかった。
「ちょ、な、なにして……」
「いいから。大人しくしててください」
言われるがまま、私は大人しくしていた。
というより、何をされているのかわからなくて硬直していたと言った方がいいか。
体を触られているのだがいやらしい感じはなく、ツボを押されている感覚もあった。
私はマッサージでも受けているのか? という謎の状況である。
「めいさんや」
「なんですか?」
「……これは一体なんの為にやってるの?」
私がそう聞くと、めいは少し頬を赤らめた。
そして私から目を逸らしながら答える。
「……言っちゃいますけど……その……お姉ちゃんにいっぱい癒されてほしくて……」
「私に……?」
「はい! お姉ちゃんを喜ばせるのは妹の役割ですからね!」
その姉妹像歪んでないか?
なんて言う勇気はなく、私はただ「そっか」とだけ返した。
「お姉ちゃん……どうですか? 気持ちいいですか?」
「うん、気持ちいいよ。ありがとう」
「えへへ……よかったです!」
めいのマッサージは、とても気持ちが良かった。
力加減も丁度良くて、凝り固まった体がほぐれていく感覚がある。
めいが私を見つめる視線はまるで愛しいものを愛でるかのように感じられたが、それも気にならないほど心地いい時間だった。
「ふぅ、これで終わりです。どうでしたか?」
「うん、体が軽くなった気がするよ。ありがとうね」
そう私が言うと、めいは嬉しそうに笑った。
そして、また真剣な表情に戻る。
「……あのお姉ちゃん」
「どうしたの?」
「さっきわたし、妹の役割って言ってましたけど……その……」
めいが何かを言いかけると同時に、突然部屋のドアが勢いよく開いた。
「ういー! お夕飯でき……た……?」
部屋にズカズカ入ってきたのは私の妹であるうみだった。
うみは私の姿を見て固まっていた。
それもそうだろう。だって私は今ベッドに横になってて、その上にめいが跨っているのだから。
「えーっと? 上にいるのはさっきの人だよね? どういう状況?」
「え、えーっと……」
私はなんて説明しようか迷った。
めいが勝手に私の妹だと言って、マッサージをしてくれた。
そう答えれば簡単なのだが、うみは納得しないだろう。
というか、私も納得してない。
私の妹は今扉のそばで困惑しているうみだけだ。
「あ、うみさん。やっぱりお姉ちゃんにそっくりで可愛いですね。うみさんもいるならちょうどよかったです」
めいが私に覆いかぶさるような体勢をやめて、ベッドから降りる。
そしてそのまま扉へ歩いていった。
「今日泊まってもいいですか?」
「「は?」」
私とうみの声が見事に重なる。
「いや、あの……それはちょっと……」
「いいですよね? ね?」
いや、圧がすごい。
私は思わず頷いていた。
うみはというと、まだ状況がよくわかってないようだ。
まあそりゃそうだろう。私もまだよくわかってないから。
そんな私たちを気にもせず、めいは笑顔でこう言った。
「じゃあ決定ですね! お世話になります!」
それから、私たちはとりあえず晩御飯を食べることにした。
メニューはわかめのお味噌汁とまぐろのお刺身。
もちろんこれを用意したのはうみだ。
「うみちゃんは料理のセンスいいですね。見た目がすごく映えてて」
「そ、そうですか? えへへぇ、それほどでもぉ」
めいがそう言うと、うみは嬉しそうに体をくねくねさせた。
……なんかちょろいな。
「で? なんでめいさんは泊まることになるわけ?」
私はお刺身を口に運びながらそう言った。
うみは褒められて舞い上がっているのか、料理にがっついている。
そんな様子を確認してから、めいは一度咳払いをして話始めた。
「まずですね……少しお話させてもらってもいいですか?」
めいの表情が真剣になるのを見て、私は食事の手を止めた。
どうやらただ癒しを与えるために来ただけじゃないらしい。
というかそもそもなんでマッサージしようと思ったんだろう? その疑問もついでに解消してくれるとありがたいのだが……まあ今は黙っておこう。
「私はお姉ちゃんが好きです!」
「……はい?」
突然の宣言に、私は思わずポカンと口を開けてしまった。
そんな私を気にもせず、めいは続ける。
「だからなんでもしたいんです! ご飯もお風呂も……なんなら夜のお世話も」
「ちょっと一回黙ろうか!?」
私に好意を示すのはいいが、そういうのは話さなくていい。
望んでないし、隣にうみもいるし。
「あのですね! 私はお姉ちゃんのことが大好きなんです!」
「わかったって……わかったけど泊まる理由聞いてない気がするんだけど」
めいは私の妹だと言い張っているし、それについても聞きたいことはあったのだが、今はそれどころではなさそうなので後回しにした。
「確かにそうでしたね。えっと、私が泊まる理由っていうのは……」
めいは一呼吸置いてからこう言った。
「……私はお姉ちゃんが心配なんです」
「心配……?」
「はい。だから今日は一緒に……隣で寝てもいいですか?」
また直球なことを言ってくるなこの子。
しかも心配ってなんだろう。赤の他人に心配されるほどしっかりしてないように見えるのだろうか。
色々ツッコミどころはあったのだが、うるうると瞳をにじませてこちらを見てくると……
「……いいよ」
としか言えないのだった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ハーレムが大好きです!〜全ルート攻略開始〜
M・A・J・O
大衆娯楽
【大衆娯楽小説ランキング、最高第7位達成!】
黒髪赤目の、女の子に囲まれたい願望を持つ朱美。
そんな彼女には、美少女の妹、美少女の幼なじみ、美少女の先輩、美少女のクラスメイトがいた。
そんな美少女な彼女たちは、朱美のことが好きらしく――?
「私は“百合ハーレム”が好きなのぉぉぉぉぉぉ!!」
誰か一人に絞りこめなかった朱美は、彼女たちから逃げ出した。
……
ここから朱美の全ルート攻略が始まる!
・表紙絵はTwitterのフォロワー様より。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる