25 / 47
こちらの世界
真相は闇の中
しおりを挟む
早くうみとめいを探さなくては……!
お母さんの記憶から消されてしまったうみはもちろん、おそらく事件の発端となっているであろうめいも。
いつもなら頼んでもいないのにそばにいるくせに、こういう時に限っていないなんて。
「……っ! うみー! めいー! どこにいるのー!?」
家の近所を探し回るも、どこにもいない。
通行人に話を聞きたいが、今テンパっているのと元からのコミュ障で上手く話せる自信がないためスルーだ。
「いつも、どうでもいい時はそばにいるくせに……こういう時だけ……っ」
見慣れた景色でさえ、違和感の塊のように見えてしまう。いよいよ末期かもしれない。
うみは一体どこにいるのか。
いっそのことなんでもないように、いつものように家にいて「じゃーん、嘘でしたー。びっくりした?」とでも言ってもらいたいものだ。
でも、お母さんのあの感じはマジでガチのやつだ。
ふざけている感じではなかった。
第一、ふざけていたとしたら血相を変えて飛び出す私を必死で止めただろうし。
というか、いつも口うるさくどこか行く時は連絡しろとか勝手にどっか行くなとか怒るくせに、今日はいいのだろうか。
いろいろと細かな違和感が拭いきれない。
とりあえずそんなことは置いといて二人を探さなきゃ!
「あ……あら。久しぶりね、うい」
「えっ……その声……」
ためらいがちに声をかけてきたのは、私の〝元カノ〟だった。
……なんで声をかけてきたんだろう。
もう関わりたくないと言っていたのに。
「〝める〟……なんで……」
「なんでってなによ。それにしても随分と慌ててるみたいね。なにかあった?」
「そ、それは……」
言おうかどうか迷った。
正直、こうして普通に会話しているだけでも気まずさで逃げ出したくなっている。
こんな状態で悩み事を話せるわけが……
……というか……なんでめるがここにいるんだろう。
めるはここから電車二本乗り継いでたどり着けるところに住んでいるはずなのに。
どうもうみやめいだけでなく、ツッコミどころが山ほどあるみたいだ。
……ちょうどいい。
話を聞いてもらいつつ、疑問にも答えてもらおう。
「えっと、実は――」
私はこれまで起きてきたこと、そして今起こっていることを拙いながらも話した。
ちゃんと全部伝わっているか不安だが、めるならちゃんと受け取ってくれるだろう。
「なるほどね。妹さんか……私もういのお母さんみたいに『うみ』って子は知らないし、聞いたこともないわ」
「そっか……この様子だと私以外みんなの記憶から消えてそうな感じってことか……」
「ごめんなさいね。でも、めいって子はよく知ってるわ。ずっと……あなたにアピールしてたから」
「……え?」
詳しく話を聞いていると、どうやらめいは私の知っているめいそのもののようだ。
だとすると、気になるのはうみだが、その前に――
「あ、あの……ひとつ訊いてもいいかな……」
「ん? なにかしら?」
「……めるは、私とはもう関わりたくないって言ってたよね……どうして……」
「ん、え、ちょっ待って?」
私が言おうとしていたことを止められ、いつの間にか俯いていた顔を上げる。
そんな私の目に飛び込んできたのは、これ以上ないほど困惑した様子のめるだった。
そして、めるが恐る恐るといった様子で、私の言葉を訂正する。
「もう関わりたくないみたいなことを言ったのは――あなたの方よ?」
「……へ?」
「私が振ったんじゃなくて、あなたの方から振ったのよ? だから私、あなたに声をかけるべきか迷ったのだけど……なんか、切羽詰まってるみたいだったから……つい……」
なぜか申し訳なさそうな顔になるめる。
いや、そんなことより、どうなっているんだ!?
もうわけがわからない。
頭が混乱して、ぐちゃぐちゃして、なにも考えられない。
いや、でも、あの苦しみは確かに私が味わったものだ。
手足の感覚がなくなって、心臓が止まりそうなのかバクバクしているのかわからなくて、いっそ死んでしまいたいと思ったあの感情は、確かに私のものだった――!
「ど、どういうこと……?」
「そ、そんなの私に訊かれてもわからないわよ……! どうしても諦めきれなくてあなたの家の近くに引っ越してきたけど……ずっと声をかけられなくて……つらくて……」
引っ越した?
そんな情報は入ってきていない。いや、入ってきていなくても、ずっと住んでいたらいずれわかることだ。
だとすると、本来なら近くに引っ越してきていないはずだ。
やっぱり、うみだけじゃなくてその他もろもろもおかしくなっている。
今目の前にいるこの女の子は、確かに『める』という名前で、私と付き合っていて、私と別れた。
だけど、どっちが振ったか、それに伴う引っ越しに関しては疑問がある。
ここまで来ると、私が元からおかしくなっていたようにしか思えない。
でも、そんなのを認めたくない。
だってうみは、確かに私の妹なのだから……!
「……色々とありがとう。迷惑かけてごめん」
「え? いや、頼ってもらえる分には嬉しいから、迷惑なんてことはないけれども……」
「それと、最後にもうひとつだけ……いいかな?」
「なにかしら?」
これは、聞いておかないといけない。
私がおかしいかおかしくないかは、これに関わっているといっても過言はないのだから。
「私って……ネコだった?」
「ふぇっ!? え、えーっと……た、タチ……だったわよ……?」
「……そっか……」
急激にネコのような顔になっためる。
うん、よかった。私がおかしくなったわけではない。私にタチなんてできるわけがないから。心底安心した。
それの確認ができて、とりあえずは一段落した。
……となると、おかしくなったのはお母さんとめるという可能性もあるが、この二人は同じようなことを口にしていた。
うみを全く知らなくて、めいのことは詳しく知っている。
でも、私の記憶がなんらかの方法で改ざんされたわけでもない。
そうなると真相は――
「なるほどわからん」
――いまだ闇の中。
出した結論は、もう帰って寝ようというものだった。
お母さんの記憶から消されてしまったうみはもちろん、おそらく事件の発端となっているであろうめいも。
いつもなら頼んでもいないのにそばにいるくせに、こういう時に限っていないなんて。
「……っ! うみー! めいー! どこにいるのー!?」
家の近所を探し回るも、どこにもいない。
通行人に話を聞きたいが、今テンパっているのと元からのコミュ障で上手く話せる自信がないためスルーだ。
「いつも、どうでもいい時はそばにいるくせに……こういう時だけ……っ」
見慣れた景色でさえ、違和感の塊のように見えてしまう。いよいよ末期かもしれない。
うみは一体どこにいるのか。
いっそのことなんでもないように、いつものように家にいて「じゃーん、嘘でしたー。びっくりした?」とでも言ってもらいたいものだ。
でも、お母さんのあの感じはマジでガチのやつだ。
ふざけている感じではなかった。
第一、ふざけていたとしたら血相を変えて飛び出す私を必死で止めただろうし。
というか、いつも口うるさくどこか行く時は連絡しろとか勝手にどっか行くなとか怒るくせに、今日はいいのだろうか。
いろいろと細かな違和感が拭いきれない。
とりあえずそんなことは置いといて二人を探さなきゃ!
「あ……あら。久しぶりね、うい」
「えっ……その声……」
ためらいがちに声をかけてきたのは、私の〝元カノ〟だった。
……なんで声をかけてきたんだろう。
もう関わりたくないと言っていたのに。
「〝める〟……なんで……」
「なんでってなによ。それにしても随分と慌ててるみたいね。なにかあった?」
「そ、それは……」
言おうかどうか迷った。
正直、こうして普通に会話しているだけでも気まずさで逃げ出したくなっている。
こんな状態で悩み事を話せるわけが……
……というか……なんでめるがここにいるんだろう。
めるはここから電車二本乗り継いでたどり着けるところに住んでいるはずなのに。
どうもうみやめいだけでなく、ツッコミどころが山ほどあるみたいだ。
……ちょうどいい。
話を聞いてもらいつつ、疑問にも答えてもらおう。
「えっと、実は――」
私はこれまで起きてきたこと、そして今起こっていることを拙いながらも話した。
ちゃんと全部伝わっているか不安だが、めるならちゃんと受け取ってくれるだろう。
「なるほどね。妹さんか……私もういのお母さんみたいに『うみ』って子は知らないし、聞いたこともないわ」
「そっか……この様子だと私以外みんなの記憶から消えてそうな感じってことか……」
「ごめんなさいね。でも、めいって子はよく知ってるわ。ずっと……あなたにアピールしてたから」
「……え?」
詳しく話を聞いていると、どうやらめいは私の知っているめいそのもののようだ。
だとすると、気になるのはうみだが、その前に――
「あ、あの……ひとつ訊いてもいいかな……」
「ん? なにかしら?」
「……めるは、私とはもう関わりたくないって言ってたよね……どうして……」
「ん、え、ちょっ待って?」
私が言おうとしていたことを止められ、いつの間にか俯いていた顔を上げる。
そんな私の目に飛び込んできたのは、これ以上ないほど困惑した様子のめるだった。
そして、めるが恐る恐るといった様子で、私の言葉を訂正する。
「もう関わりたくないみたいなことを言ったのは――あなたの方よ?」
「……へ?」
「私が振ったんじゃなくて、あなたの方から振ったのよ? だから私、あなたに声をかけるべきか迷ったのだけど……なんか、切羽詰まってるみたいだったから……つい……」
なぜか申し訳なさそうな顔になるめる。
いや、そんなことより、どうなっているんだ!?
もうわけがわからない。
頭が混乱して、ぐちゃぐちゃして、なにも考えられない。
いや、でも、あの苦しみは確かに私が味わったものだ。
手足の感覚がなくなって、心臓が止まりそうなのかバクバクしているのかわからなくて、いっそ死んでしまいたいと思ったあの感情は、確かに私のものだった――!
「ど、どういうこと……?」
「そ、そんなの私に訊かれてもわからないわよ……! どうしても諦めきれなくてあなたの家の近くに引っ越してきたけど……ずっと声をかけられなくて……つらくて……」
引っ越した?
そんな情報は入ってきていない。いや、入ってきていなくても、ずっと住んでいたらいずれわかることだ。
だとすると、本来なら近くに引っ越してきていないはずだ。
やっぱり、うみだけじゃなくてその他もろもろもおかしくなっている。
今目の前にいるこの女の子は、確かに『める』という名前で、私と付き合っていて、私と別れた。
だけど、どっちが振ったか、それに伴う引っ越しに関しては疑問がある。
ここまで来ると、私が元からおかしくなっていたようにしか思えない。
でも、そんなのを認めたくない。
だってうみは、確かに私の妹なのだから……!
「……色々とありがとう。迷惑かけてごめん」
「え? いや、頼ってもらえる分には嬉しいから、迷惑なんてことはないけれども……」
「それと、最後にもうひとつだけ……いいかな?」
「なにかしら?」
これは、聞いておかないといけない。
私がおかしいかおかしくないかは、これに関わっているといっても過言はないのだから。
「私って……ネコだった?」
「ふぇっ!? え、えーっと……た、タチ……だったわよ……?」
「……そっか……」
急激にネコのような顔になっためる。
うん、よかった。私がおかしくなったわけではない。私にタチなんてできるわけがないから。心底安心した。
それの確認ができて、とりあえずは一段落した。
……となると、おかしくなったのはお母さんとめるという可能性もあるが、この二人は同じようなことを口にしていた。
うみを全く知らなくて、めいのことは詳しく知っている。
でも、私の記憶がなんらかの方法で改ざんされたわけでもない。
そうなると真相は――
「なるほどわからん」
――いまだ闇の中。
出した結論は、もう帰って寝ようというものだった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ハーレムが大好きです!〜全ルート攻略開始〜
M・A・J・O
大衆娯楽
【大衆娯楽小説ランキング、最高第7位達成!】
黒髪赤目の、女の子に囲まれたい願望を持つ朱美。
そんな彼女には、美少女の妹、美少女の幼なじみ、美少女の先輩、美少女のクラスメイトがいた。
そんな美少女な彼女たちは、朱美のことが好きらしく――?
「私は“百合ハーレム”が好きなのぉぉぉぉぉぉ!!」
誰か一人に絞りこめなかった朱美は、彼女たちから逃げ出した。
……
ここから朱美の全ルート攻略が始まる!
・表紙絵はTwitterのフォロワー様より。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる