姉妹百合なんて興味ない!……はず?

M・A・J・O

文字の大きさ
26 / 47
こちらの世界

セクハラしてない!

しおりを挟む
 清々しいほどの朝。
 珍しくぐっすり眠れたのか、私の目はバッチリ冴えている。
 まあ、当然、うみもめいもいないわけで――

「おう、うい。起きたか。ったく、昨日は大変だったんだぞー?」

 ……目の前に、ご立腹な様子のうみが立っていた。
 これは……幻覚かなにかか?
 声も聴こえるし寝そべったまま脚を触ってみるが、ちゃんと感触がある。

「ちょっ、どこ触ってんの! 変態! スケベ!」
「え……ただふくらはぎ触っただけなんだけど……どこにもスケベな要素はないというか……」

 というか、うみはこれくらいのことで騒ぐようなやつではなかったはずだ。
 感覚のある不思議な夢を見ているのだろうか。
 うみにここまで蔑まれるのは……なんというか、少し新鮮でそそられるものがあったから、この機会にぜひ触っておこう。
 ……私はなにを考えているんだ。
 それこそ変態でスケベじゃないか。やめておこう。

「えーっと……とりあえず色々聞きたいことがあるんだけど……質問してもいい?」
「……なに? またあたしの胸触りたいって? 悪いけどそれはお断りだよ」
「質問って言ったよね!? あとなにそれ! 誰がうみみたいなぺったんこの胸触りたがるの!?」
「ぺったんこなのはういも同じでしょうが!」

 いけないいけない。つい貧乳同士の醜い争いを繰り広げてしまった。
 まったく、うみが変なこと言うから。
 私がうみの胸を触りたがったことなんて一度もないのに。
 本当にどうしたんだろう。

「……で、話戻していい?」
「今日のういなんかまともじゃん。昨日のはなんだったの?」
「あーもー! 話が進まない!」

 私はうみに聞きたいことが山ほどある。
 それなのに話を遮るなんて、質問されたくないように感じてしまう。
 私に対するうみの態度もいつもと違う気もするし、昨日からわからないことだらけで頭がパンクしそうだ。

「あのさ、うみってうみだよね。私の妹だよね?」
「え、なに急に当たり前のこと訊いてきて……やっぱまともじゃなかったわ」
「毒舌はいいから!」

 でも、『当たり前』ということは、私の認識は合っているらしい。
 うみに気づかれないように、ほっと安堵する。
 うみはやっぱり私の妹だった。

「ん、そういえばめいは? めいにも色々訊きたいことが……」
「めいさんなら少し前に出かけたよ? 用事があるとかなんとか」

 私は直感的に、めいが逃げたのだと思った。
 なぜかはわからないけど、この事件にはめいが絡んでいる気がした。
 めいは未だに謎が多いからそう思ったのかもしれない。
 めいはずっと、大事なことを隠してきているような……

「でも……すぐ帰ってくるよね……」

 むやみに探し回っても無駄に体力を消耗するだけだと学んだ私は、今日も探し回る元気や余裕はなかった。
 とりあえず、うみに訊けることは訊いておきたい。

「それよりさ、昨日はほんと大変だったんだよー。ういが別人みたいになっちゃって」
「……それ、どういうこと……?」
「うーん……なんていうか、エロ方面でやばかった」
「ぶふぉっ!」

 お茶を飲んだわけじゃないのに、危うくなにかの液体を吹き出しそうだった。
 うみからその単語が出てきたのももちろん、めいとの関係性とか色々バレてしまったのだろうかと驚かずにはいられなかった。

 もしかして、さっき脚を触った時の反応がちょっと乙女チックだったのは……そういうことなのかもしれない。
 いや、エロ方面でやばいなんて私とは到底縁のないものだ。
 ……それもそれでやばいのか?

「今日はいつも通りみたいだし……記憶もないみたいだし……少しだけ説明すると、起きてからあたしのこと見たら突然『可愛い子猫ちゃんだね。私のネコちゃんになってみないかい?』とか言ってきたり」
「は?」
「あー、あとは色んなとこ触られてセクハラされて、しまいには『ちょっとおしいな』とか……失礼でしょ」
「なにそれ」

 呆れるしかなかった。
 全然私のキャラではない。
 うみも私と同じで悪い夢を見ていたのではないだろうか。
 もういったいなにがどうなっているやら。

「あとはね……あ、そうそう、めいさんのこと見たらすごく気まずそうにしてたよ」
「え?」
「いつも仲良さそうにしてるからちょっと気になってさ~」

 それは私も気になる。
 というか、この感じだとまるで――私だけ別の世界に飛ばされたみたいじゃないか。
 それで別人か別人格が私の代わりにこの世界にやってきた……みたいな。

 そんな突拍子もないことを考えてしまうほど、この事件は不可解だらけだ。
 私の仮説が当たっているんじゃないかと思うほどに。
 当たっていたとしてそれがなんだという話だが。
 私は元の世界に戻ってきているみたいだし、たった一日だから別の世界の未練もない。
 なんの問題もない。
 ……本当に、当たっていたらの話だが。

「とにかく、めいの帰りを待つしかないかな……」
「めいさんね……あたしも不思議な人だなーとは思ってたから、なにか知ってるかもね」

 珍しくうみも同意してくれて、二人で仲良くめいの帰りを待った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ハーレムが大好きです!〜全ルート攻略開始〜

M・A・J・O
大衆娯楽
【大衆娯楽小説ランキング、最高第7位達成!】 黒髪赤目の、女の子に囲まれたい願望を持つ朱美。 そんな彼女には、美少女の妹、美少女の幼なじみ、美少女の先輩、美少女のクラスメイトがいた。 そんな美少女な彼女たちは、朱美のことが好きらしく――? 「私は“百合ハーレム”が好きなのぉぉぉぉぉぉ!!」 誰か一人に絞りこめなかった朱美は、彼女たちから逃げ出した。 …… ここから朱美の全ルート攻略が始まる! ・表紙絵はTwitterのフォロワー様より。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...