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えっちな姉妹百合はお出かけする
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あんな夢を見てしまったせいで、気まずくなってしまった。
いや、私が一方的に見て一方的に気まずさを感じているだけなんだけど。
どうしたものか。めいも私に気を遣っているのか、口を開こうとしないし。
「おーっす。邪魔するよ~」
「うみ!? ノックくらいしてくれない!?」
「なんでそんなびっくりしてんの?」
「私がアレな漫画読んでたりしたらどうするのさ!」
「え、そういうの読んでたの?」
私が慌てふためいて変なことを口走ると、途端にうみのテンションが急降下した。
これはガチで引いている。
なんとか気を逸らして今のやり取りを忘れてもらいたい。
だけど、この状態でどうすればいいのだろうか。
「うむむむ……」
「あ、そうだ。ここ来たのはね、二人をお出かけに誘おうと思ってさ」
私が必死に考えて唸っているのに無視された。
いやまあ、話が変わったのはいいことだけど!?
そんなあからさまにないものとして扱われるのはお姉ちゃん悲しい!
「え、わたしもですか……?」
「ですです。めいさんと仲良くしたいと思っているので。どうです?」
「ま、まあ、そういうことなら……」
私を抜きにしたまま話が進んでいく。
慣れてはいるが、もう少しましな扱い方をしてもらいたいものだ。
姉に対する態度が二人ともなっていない。
これはあとでお説教しなければ。
「よーし、じゃあ行こー!」
「え、私の意見は……?」
「え、問答無用で連れてくけど」
「基本的人権を尊重してくれません!?」
私に拒否権というものはないのだろうか。
姉としてはおろか、人間としても認めてくれていないのだろうか。
悲しすぎる。
「レッツラゴー!」
「おー!」
叫ぶ二人の妹を横目に、私は出かける準備を静かに始めた。
☆ ☆ ☆
「えー、日替わり定食って唐揚げだったんだー! あーあ……ちゃんと見てから頼めばよかったなー!」
ちょうどお昼時でがやがやと賑わうファミレスに、うみの大きな声が響く。
うみは対面に座るめいが食べている唐揚げを凝視しながら、自分の焼きそばを口に入れる。
唐揚げを食べたいのか焼きそばを食べたいのか、よくわからない。
私は呆れながらピザカッターでピザを切っていく。
でも、うみはそこまで唐揚げが好きだっただろうか?
嫌いではなかったと思うが、他人の食べているものを羨むほどではなかったような……
「一口でいいから唐揚げ食べたいなー……」
うみは物欲しそうにめいの唐揚げを見つめる。
そんなに唐揚げ好きだったっけ。
めいはそのキラキラとした視線に圧されたのか、箸が止まる。
「え、えっと……じゃあ、唐揚げいりますか?」
「わーい! ありがとうございまーすっ!」
「もう……うみのことまで甘やかさなくていいのに……」
めいの優しさに呆れつつ、私は見守りに徹することにした。
「えへへ、可愛い子はついつい甘やかしたくなるんですよね」
「へー……うみが可愛いのはよくわからないけど、その気持ちはよくわかるわ……」
うんうんと適当に相槌を打ちながら、適当に流す。
それを察しのいいめいが気づかないはずがなく……
「お姉ちゃん、あんま興味ないです……?」
べ、べべべ別に興味ないなんてことはないけど?
興味なかったら相槌すら打たないだろうし?
だからねぇ? そんなこと聞かなくても、ねぇ?
「じゃあ、あーん」
「え? なんでそうなるの!?」
前後の言葉が繋がっていない気がする。
じゃあってなんだろう。
じゃあ仕方なく、ってことなのだろうか。
こういうのは仕方ないからするようなものではないと思う。
本当に、めいは私のことを本気で想っているのか――
「あたしがするー!」
「は? ……うむぐっ! がはっ、げほごほっ!」
うみに焼きそばを突っ込まれ、むせてしまう。
咳で、口に突っ込まれた短い麺がテーブルに落ちてしまったのだった。
「わー、ういきたなーい。零したらだめなんだよー?」
「げほっ。お前が突然口に突っ込んできたからでしょーが。もっと丁寧にしてくれなきゃ」
「あっはっは。ういおもしろーい」
「くっ……ムカつく……っ!」
そんな私たち独特のやり取りをしていると、めいがなにやらじっと顔を見ている気がした。
でも、その後すぐにめいはそっぽを向いて口いっぱいにご飯を詰め込んで頬が膨れる。
どことなく、その前から頬が膨らんでいただ気もするが。
「あ、めいさんもこいついじっていいですよ」
「ついにこいつ呼ばわりしやがったな……」
うみのこの舐めた態度は一体なんなんだ。
姉を姉とも思っていない。
「い、いえ、わたしはお姉ちゃんを甘やかす担当なので……」
「めいもめいで何言ってるの?」
ところで、今更だけどなぜうみはお出かけに誘ってきたんだろう。
しかもこの三人で。
なにかを察しているのか、それとも単にお出かけしたかっただけなのか。
「ふー、おなかいっぱい……もう動けない~……」
「出かけるのってファミレスだけなの?」
「うーん……まあ、お昼ご飯食べたかっただけしねぇ」
「……だったら一人で食べればよかったんじゃ?」
うみの適当な返事に呆れつつ、それとなく真意を探る。
でも、華麗にスルーされるのがいつもの流れ――
「だって、みんなで食べた方が美味しいでしょ?」
……なるほど。そっか。そうだ。
うみの言っている通り、とても単純なことだったんだ。
それなら、もう迷いはない。
めいとの付き合いも上手くやっていけるだろう。
ニヤリと不気味に笑っているように見えるうみの顔を見ながら、私も精一杯笑った。
いや、私が一方的に見て一方的に気まずさを感じているだけなんだけど。
どうしたものか。めいも私に気を遣っているのか、口を開こうとしないし。
「おーっす。邪魔するよ~」
「うみ!? ノックくらいしてくれない!?」
「なんでそんなびっくりしてんの?」
「私がアレな漫画読んでたりしたらどうするのさ!」
「え、そういうの読んでたの?」
私が慌てふためいて変なことを口走ると、途端にうみのテンションが急降下した。
これはガチで引いている。
なんとか気を逸らして今のやり取りを忘れてもらいたい。
だけど、この状態でどうすればいいのだろうか。
「うむむむ……」
「あ、そうだ。ここ来たのはね、二人をお出かけに誘おうと思ってさ」
私が必死に考えて唸っているのに無視された。
いやまあ、話が変わったのはいいことだけど!?
そんなあからさまにないものとして扱われるのはお姉ちゃん悲しい!
「え、わたしもですか……?」
「ですです。めいさんと仲良くしたいと思っているので。どうです?」
「ま、まあ、そういうことなら……」
私を抜きにしたまま話が進んでいく。
慣れてはいるが、もう少しましな扱い方をしてもらいたいものだ。
姉に対する態度が二人ともなっていない。
これはあとでお説教しなければ。
「よーし、じゃあ行こー!」
「え、私の意見は……?」
「え、問答無用で連れてくけど」
「基本的人権を尊重してくれません!?」
私に拒否権というものはないのだろうか。
姉としてはおろか、人間としても認めてくれていないのだろうか。
悲しすぎる。
「レッツラゴー!」
「おー!」
叫ぶ二人の妹を横目に、私は出かける準備を静かに始めた。
☆ ☆ ☆
「えー、日替わり定食って唐揚げだったんだー! あーあ……ちゃんと見てから頼めばよかったなー!」
ちょうどお昼時でがやがやと賑わうファミレスに、うみの大きな声が響く。
うみは対面に座るめいが食べている唐揚げを凝視しながら、自分の焼きそばを口に入れる。
唐揚げを食べたいのか焼きそばを食べたいのか、よくわからない。
私は呆れながらピザカッターでピザを切っていく。
でも、うみはそこまで唐揚げが好きだっただろうか?
嫌いではなかったと思うが、他人の食べているものを羨むほどではなかったような……
「一口でいいから唐揚げ食べたいなー……」
うみは物欲しそうにめいの唐揚げを見つめる。
そんなに唐揚げ好きだったっけ。
めいはそのキラキラとした視線に圧されたのか、箸が止まる。
「え、えっと……じゃあ、唐揚げいりますか?」
「わーい! ありがとうございまーすっ!」
「もう……うみのことまで甘やかさなくていいのに……」
めいの優しさに呆れつつ、私は見守りに徹することにした。
「えへへ、可愛い子はついつい甘やかしたくなるんですよね」
「へー……うみが可愛いのはよくわからないけど、その気持ちはよくわかるわ……」
うんうんと適当に相槌を打ちながら、適当に流す。
それを察しのいいめいが気づかないはずがなく……
「お姉ちゃん、あんま興味ないです……?」
べ、べべべ別に興味ないなんてことはないけど?
興味なかったら相槌すら打たないだろうし?
だからねぇ? そんなこと聞かなくても、ねぇ?
「じゃあ、あーん」
「え? なんでそうなるの!?」
前後の言葉が繋がっていない気がする。
じゃあってなんだろう。
じゃあ仕方なく、ってことなのだろうか。
こういうのは仕方ないからするようなものではないと思う。
本当に、めいは私のことを本気で想っているのか――
「あたしがするー!」
「は? ……うむぐっ! がはっ、げほごほっ!」
うみに焼きそばを突っ込まれ、むせてしまう。
咳で、口に突っ込まれた短い麺がテーブルに落ちてしまったのだった。
「わー、ういきたなーい。零したらだめなんだよー?」
「げほっ。お前が突然口に突っ込んできたからでしょーが。もっと丁寧にしてくれなきゃ」
「あっはっは。ういおもしろーい」
「くっ……ムカつく……っ!」
そんな私たち独特のやり取りをしていると、めいがなにやらじっと顔を見ている気がした。
でも、その後すぐにめいはそっぽを向いて口いっぱいにご飯を詰め込んで頬が膨れる。
どことなく、その前から頬が膨らんでいただ気もするが。
「あ、めいさんもこいついじっていいですよ」
「ついにこいつ呼ばわりしやがったな……」
うみのこの舐めた態度は一体なんなんだ。
姉を姉とも思っていない。
「い、いえ、わたしはお姉ちゃんを甘やかす担当なので……」
「めいもめいで何言ってるの?」
ところで、今更だけどなぜうみはお出かけに誘ってきたんだろう。
しかもこの三人で。
なにかを察しているのか、それとも単にお出かけしたかっただけなのか。
「ふー、おなかいっぱい……もう動けない~……」
「出かけるのってファミレスだけなの?」
「うーん……まあ、お昼ご飯食べたかっただけしねぇ」
「……だったら一人で食べればよかったんじゃ?」
うみの適当な返事に呆れつつ、それとなく真意を探る。
でも、華麗にスルーされるのがいつもの流れ――
「だって、みんなで食べた方が美味しいでしょ?」
……なるほど。そっか。そうだ。
うみの言っている通り、とても単純なことだったんだ。
それなら、もう迷いはない。
めいとの付き合いも上手くやっていけるだろう。
ニヤリと不気味に笑っているように見えるうみの顔を見ながら、私も精一杯笑った。
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