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えっちな姉妹百合は仲良し度がアップする
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あれから時間は流れて、もう夕方になっていた。
うみは一緒にご飯を食べるだけでは足りなかったのか、三人で一緒に本屋に寄ったりゲーセンで遊んだりした。
めいもうみも楽しそうにしていたから、それはそれでよかったのだろう。
ほんのりと夕日に照らされたオレンジ色の道を歩いていると、うみが私の方をじっと見つめる。
「な、なに?」
「ううん、すっごく楽しかったなーって思って」
うみの笑顔は夕日よりまぶしく見えて、思わず顔を逸らしてしまいそうになった。
でもそんなことをしたら「照れてるー!」とかからかわれそうだから、すんでのところで留まってまっすぐ見返した。
「おー、今日は素直だねぇ」
「からかうなよー」
「あはは」
そうしたことで、見事立場逆転できたのだった。
とまあ、こんな感じでイチャイチャ――じゃなくてわちゃわちゃ楽しんでいたけど、どうももう一人の妹の様子がおかしい。
原因と理由は……わかるようなわからないような。
それを私が言ってしまうと自惚れだと言われかねないので、なにも言わないことにする。
口は災いの元で、言わぬが花だから。
……なにか違う気もするが、細かいことは気にしない。
めいからなにか言われることはなかったけど、その代わり今日の夜がやばいことになりそうだなという予感はした。
予感がするだけで終わればいいけど……そうはならないだろう。
私は冷や汗をかきながら覚悟を決めた。
「ただいまぁー!」
「ただいまー……」
あれからめいは終始口数少なく、帰り道で一度も口をきかなかった。
いつもは頼んでもいなくても場を賑やかにするのに。
「うーん、お母さんはまだ帰ってないっぽいねぇ」
うみはおおげさなほどキョロキョロしながら辺りを見回す。
お母さんがいないことは、返事がない時点でみんな気づいているだろうに。
というか、うみのテンションもおかしい気がする。
いつもよりテンションが高いというか、からげんきというか。
「……お姉ちゃん……」
うみのことを見ていると、めいが私の腕に大きな胸を押し付けながら呼びかけてきた。
ふ、ふかふか……じゃなくて!
腕の感触に集中しつつ、私はめいの顔を見た。
声色もそうだったが、寂しそうに私の顔を覗き込んでくる。
「あの……いえ、なんでもないです……」
明らかになんでもなくなさそうだ。
私はめいの手をぎゅっと握って、耳元でささやく。
「話があるの。先に部屋で待ってて」
めいは驚いたように目を丸くしていたが、すぐに微笑んで「わかりました」と去っていく。
さあ、ここからが本番だ。
これから、姉妹兼恋人になるために必要な試練が始まる……!
☆ ☆ ☆
「……それで、話ってなんですか?」
「あー、やっぱいきなりそうなるよねぇ……」
私は頭をボリボリかき、どうしたものかと悩む。
話す覚悟はできているが、どういう順序で話すかの準備はまったくしていない。
覚悟ができているなら早くしろよという感じなのだが、ここにきて勇気が出ない。
私はどれだけ臆病なのだろう。
めいにとってプラスであろうことを報告するだけなのに、どうしてこうも言葉が出てこないのか。
のどが詰まって息苦しい。肺に酸素が行き渡っていないようだ。
胸が苦しくて、このまま心臓発作にでもなってしまいそうだった。
この先に訪れる景色は明るいのかはわからない。もしかしたら……失望、されてしまうかもしれない。
でも、それでも、私はめいともっと仲良くなりたい。
もう赤の他人ではいられなくて。
もっと近い存在になりたくて。
私は、めいの――“特別”でいたい。
そのために必要な話なのだ。
「めい、あのね、私――んっ!?」
やつとの思いで私が口を開いた時、めいがその口を塞いできた。
え、なんで……?
「んぅっ……ぅぁ……ちゅぅ……んんぁっ」
私が驚いて固まっている間も、めいの舌は私の口内を掻き回してぐちょぐちょ唾液が入り交じる。
今絶対こういう雰囲気じゃなかったよね!?
めいさんはなにをしていらっしゃるのですかね!?
「……ぷふぁ……っ」
「はぁっ……はぁっ……な、なんで舌入れてきたの……?」
さいわい、すぐにやめてくれたからよかったものの、あのまま続けられてたら理性が吹っ飛んでいた。
今は吹っ飛んじゃいけないのに。
だから本当によかったけど。
「……入れたかったからです」
「うわぁ……鮮やかなほどだね……悪びれていない……」
「悪いと思っていないのでっ」
そうツーンとそっぽを向く。
拗ねているサインなのだろうが、なんで拗ねているのかわからない。
拗ねるような話をするつもりではないのに。
「お姉ちゃんがなにを話すつもりなのかはわかっています。元カノさんのことですよね」
「え、うん。そうだけ……え?」
うんうんと当然のように頷いてしまったが、こやつは今なんと……?
「その人のことがずっと忘れられなくて、今も時々思い出しちゃって、こっそり想ってたの知ってるんですから」
「え、え、え、ちょ、ちょっと待っ」
「でも、ようやく吹っ切れてわたしにそのことを話そうとしてくれたんですよね。嬉しいです」
私はまだなにも言っていないのに、言いたいことを先回りされてしまう。
しかも全部合ってるから反論ができない。
本当にこいつはエスパーかなにかなのではないだろうか。
そうじゃないと説明がつかない。
「ありがとうございます、お姉ちゃん」
「うーん……色々言いたいことはあるけど……どういたしまして」
感謝されたのなら、この言葉を真っ先に出すのが礼儀というものだろう。多分。
とりあえず色々と疑問はたくさんあるのだが、一番言いたいのは……
「……でも、なんでわかってたならキスする必要あったの? しかもめっちゃディープな……」
「え、そんなことで悩んでるお姉ちゃんが可愛かったからですよ?」
こてんと首を傾げて、「それがなにか?」という表情をする。
くそっ、顔がいいからあざとかわいく思えてしまう。
「てことで、わだかまりもなくなったことですし、この前の続きをしましょう」
「……へ?」
「へ? じゃないですよ! わたしあれからずっとムラムラしてるんですから!」
「そんな大声でムラムラとか言わないでくれない!?」
というか、続きと言われても奥まで指突っ込まれてるから終わりだと思っていたのだが……
どうやらめいにとってはまだまだこれからが本番だったらしい。
か、勘弁してくれ……今日はもう疲れてるし、どうせやるなら明日に……
そう言う前に、めいはもう私をベッドに押し倒していた。
なんという早業……!
「覚悟してくださいね。今すごく興奮しているので」
この小悪魔から逃げ出せる日は、果たして来るのか来ないのか……
うみは一緒にご飯を食べるだけでは足りなかったのか、三人で一緒に本屋に寄ったりゲーセンで遊んだりした。
めいもうみも楽しそうにしていたから、それはそれでよかったのだろう。
ほんのりと夕日に照らされたオレンジ色の道を歩いていると、うみが私の方をじっと見つめる。
「な、なに?」
「ううん、すっごく楽しかったなーって思って」
うみの笑顔は夕日よりまぶしく見えて、思わず顔を逸らしてしまいそうになった。
でもそんなことをしたら「照れてるー!」とかからかわれそうだから、すんでのところで留まってまっすぐ見返した。
「おー、今日は素直だねぇ」
「からかうなよー」
「あはは」
そうしたことで、見事立場逆転できたのだった。
とまあ、こんな感じでイチャイチャ――じゃなくてわちゃわちゃ楽しんでいたけど、どうももう一人の妹の様子がおかしい。
原因と理由は……わかるようなわからないような。
それを私が言ってしまうと自惚れだと言われかねないので、なにも言わないことにする。
口は災いの元で、言わぬが花だから。
……なにか違う気もするが、細かいことは気にしない。
めいからなにか言われることはなかったけど、その代わり今日の夜がやばいことになりそうだなという予感はした。
予感がするだけで終わればいいけど……そうはならないだろう。
私は冷や汗をかきながら覚悟を決めた。
「ただいまぁー!」
「ただいまー……」
あれからめいは終始口数少なく、帰り道で一度も口をきかなかった。
いつもは頼んでもいなくても場を賑やかにするのに。
「うーん、お母さんはまだ帰ってないっぽいねぇ」
うみはおおげさなほどキョロキョロしながら辺りを見回す。
お母さんがいないことは、返事がない時点でみんな気づいているだろうに。
というか、うみのテンションもおかしい気がする。
いつもよりテンションが高いというか、からげんきというか。
「……お姉ちゃん……」
うみのことを見ていると、めいが私の腕に大きな胸を押し付けながら呼びかけてきた。
ふ、ふかふか……じゃなくて!
腕の感触に集中しつつ、私はめいの顔を見た。
声色もそうだったが、寂しそうに私の顔を覗き込んでくる。
「あの……いえ、なんでもないです……」
明らかになんでもなくなさそうだ。
私はめいの手をぎゅっと握って、耳元でささやく。
「話があるの。先に部屋で待ってて」
めいは驚いたように目を丸くしていたが、すぐに微笑んで「わかりました」と去っていく。
さあ、ここからが本番だ。
これから、姉妹兼恋人になるために必要な試練が始まる……!
☆ ☆ ☆
「……それで、話ってなんですか?」
「あー、やっぱいきなりそうなるよねぇ……」
私は頭をボリボリかき、どうしたものかと悩む。
話す覚悟はできているが、どういう順序で話すかの準備はまったくしていない。
覚悟ができているなら早くしろよという感じなのだが、ここにきて勇気が出ない。
私はどれだけ臆病なのだろう。
めいにとってプラスであろうことを報告するだけなのに、どうしてこうも言葉が出てこないのか。
のどが詰まって息苦しい。肺に酸素が行き渡っていないようだ。
胸が苦しくて、このまま心臓発作にでもなってしまいそうだった。
この先に訪れる景色は明るいのかはわからない。もしかしたら……失望、されてしまうかもしれない。
でも、それでも、私はめいともっと仲良くなりたい。
もう赤の他人ではいられなくて。
もっと近い存在になりたくて。
私は、めいの――“特別”でいたい。
そのために必要な話なのだ。
「めい、あのね、私――んっ!?」
やつとの思いで私が口を開いた時、めいがその口を塞いできた。
え、なんで……?
「んぅっ……ぅぁ……ちゅぅ……んんぁっ」
私が驚いて固まっている間も、めいの舌は私の口内を掻き回してぐちょぐちょ唾液が入り交じる。
今絶対こういう雰囲気じゃなかったよね!?
めいさんはなにをしていらっしゃるのですかね!?
「……ぷふぁ……っ」
「はぁっ……はぁっ……な、なんで舌入れてきたの……?」
さいわい、すぐにやめてくれたからよかったものの、あのまま続けられてたら理性が吹っ飛んでいた。
今は吹っ飛んじゃいけないのに。
だから本当によかったけど。
「……入れたかったからです」
「うわぁ……鮮やかなほどだね……悪びれていない……」
「悪いと思っていないのでっ」
そうツーンとそっぽを向く。
拗ねているサインなのだろうが、なんで拗ねているのかわからない。
拗ねるような話をするつもりではないのに。
「お姉ちゃんがなにを話すつもりなのかはわかっています。元カノさんのことですよね」
「え、うん。そうだけ……え?」
うんうんと当然のように頷いてしまったが、こやつは今なんと……?
「その人のことがずっと忘れられなくて、今も時々思い出しちゃって、こっそり想ってたの知ってるんですから」
「え、え、え、ちょ、ちょっと待っ」
「でも、ようやく吹っ切れてわたしにそのことを話そうとしてくれたんですよね。嬉しいです」
私はまだなにも言っていないのに、言いたいことを先回りされてしまう。
しかも全部合ってるから反論ができない。
本当にこいつはエスパーかなにかなのではないだろうか。
そうじゃないと説明がつかない。
「ありがとうございます、お姉ちゃん」
「うーん……色々言いたいことはあるけど……どういたしまして」
感謝されたのなら、この言葉を真っ先に出すのが礼儀というものだろう。多分。
とりあえず色々と疑問はたくさんあるのだが、一番言いたいのは……
「……でも、なんでわかってたならキスする必要あったの? しかもめっちゃディープな……」
「え、そんなことで悩んでるお姉ちゃんが可愛かったからですよ?」
こてんと首を傾げて、「それがなにか?」という表情をする。
くそっ、顔がいいからあざとかわいく思えてしまう。
「てことで、わだかまりもなくなったことですし、この前の続きをしましょう」
「……へ?」
「へ? じゃないですよ! わたしあれからずっとムラムラしてるんですから!」
「そんな大声でムラムラとか言わないでくれない!?」
というか、続きと言われても奥まで指突っ込まれてるから終わりだと思っていたのだが……
どうやらめいにとってはまだまだこれからが本番だったらしい。
か、勘弁してくれ……今日はもう疲れてるし、どうせやるなら明日に……
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