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第一章 吸血少女は傷つけたい
渚の親に会いたい
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夏樹ちゃんの家に行った際に渚の家に寄ることを忘れていたため、あたしは再度海谷市を訪れていた。
渚は寮ぐらしで家にはいないだろうけど、また渚の家族に会いたくなったのだ。
「えーと、渚の家は確か……」
昔の記憶と勘を頼りになんとか渚の実家にたどり着くことができた。
あたしが引っ越した時とあまり変わらない見た目に、思わず笑みがこぼれる。
あたしの人生はここからはじまった。
渚がいなければ、あたしの人生ははじまっていなかったかもしれない。
そんなことを考えながらインターホンを押してみたけれど、反応はない。
「あれ? いないのかな?」
もう一度押してみるも、やはり返事はなかった。
仕方ない。今日は帰るか。
そう思って元きた道を歩き出そうとした瞬間だった。
「……げ、黒衣先輩」
背後から小さな声が聞こえてきた。
振り返るとそこには、この前体育館裏でやり合った渚の妹が立っている。
どうやら、あたしのことをよく思っていないらしい。
あたしの顔を見るなり嫌そうな顔をしている。
向こうから喧嘩ふっかけてきたのにあたしが怒ったらビビり散らかして顔が真っ青になってたもんね。
そんな情けないところ見せたら、そりゃ眉をひそめるよなぁ。
「……なにしに来たんですか。お姉ちゃんならいませんよ」
「それは知ってるけど……あなたも確か渚と同じで桜花寮にいるんじゃなかった?」
「わ、私は……その……お母さんに会いたくなって……」
「それでわざわざ戻ってきたの? あー、そっか。まだ子どもだもんね」
「うっ、うるさい!」
顔を真っ赤にして怒っている。
どうやら図星を突かれたみたいだ。
そうやってすぐムキになるところが子どもっぽいと思うのだけど、この子にはそれがわかっていないみたいだった。
「まあいいや。じゃあね」
「あっ! …………ふん、もう来なくていいですよ」
渚の妹はなにか言いたげだったけど、あたしはそのままその場を去った。
あの子のことは苦手だけど、なんだかんだで可愛い後輩であることに変わりはない。
生意気で少し鼻につくところはあるけど。
「さて、これからどうしようかな」
特に用事があったわけじゃないんだけど、せっかく来たのだからどこかへ行ってみたいなと思った。
渚の親には会いたかったけど、あの妹が邪魔で中にお邪魔する気になれない。
だから仕方なく、その辺を歩いてみることにした。
駅前まで行くと、クリスマスが近づいているということもあってかたくさんの人で賑わっていた。
人混みはあまり好きではないけれど、たまにはこういうのもいいかもと思ってしまう自分がいる。
でも、やっぱりひとりだとつまらない。
誰か一緒に遊んでくれる人がいればよかったんだけど……
「渚は今頃寮でのんびりしてるんだろうなぁ」
そう思うと自然とため息が出た。
桜花寮は二人部屋だから、渚の同室相手の子が渚を狙ってないといいんだけど。
渚と同室相手の子が渚を狙っているというとんでもない情報は今のところ耳に入ってないけれど、油断はできない。
渚はみんなの〝王子様〟だから。
かっこよくて優しくて困っている人を放っておけないお人好し。
相手を甘やかすことが上手で、常にだれかの手助けをしているところを見かける。
みんなの王子様ということで「抜けがけは禁止!」という暗黙の了解みたいなものがあるから、積極的にアプローチをする子は見たことがない。
彼女と付き合っているあたしからしたら願ってもないことだけど、それでも抜けがけする子はいると思う。
だって、好きな気持ちはだれにも止められないから。
あたしも渚のことが好きで好きでしょうがないからわかる。
「――ねぇ、今一人? 暇なら俺と遊ばない?」
そんなことを考えていると、後ろからヘラヘラした顔の男が話しかけてきた。
どう見てもナンパだな……あたしは心の中で深いため息をついた。
渚は寮ぐらしで家にはいないだろうけど、また渚の家族に会いたくなったのだ。
「えーと、渚の家は確か……」
昔の記憶と勘を頼りになんとか渚の実家にたどり着くことができた。
あたしが引っ越した時とあまり変わらない見た目に、思わず笑みがこぼれる。
あたしの人生はここからはじまった。
渚がいなければ、あたしの人生ははじまっていなかったかもしれない。
そんなことを考えながらインターホンを押してみたけれど、反応はない。
「あれ? いないのかな?」
もう一度押してみるも、やはり返事はなかった。
仕方ない。今日は帰るか。
そう思って元きた道を歩き出そうとした瞬間だった。
「……げ、黒衣先輩」
背後から小さな声が聞こえてきた。
振り返るとそこには、この前体育館裏でやり合った渚の妹が立っている。
どうやら、あたしのことをよく思っていないらしい。
あたしの顔を見るなり嫌そうな顔をしている。
向こうから喧嘩ふっかけてきたのにあたしが怒ったらビビり散らかして顔が真っ青になってたもんね。
そんな情けないところ見せたら、そりゃ眉をひそめるよなぁ。
「……なにしに来たんですか。お姉ちゃんならいませんよ」
「それは知ってるけど……あなたも確か渚と同じで桜花寮にいるんじゃなかった?」
「わ、私は……その……お母さんに会いたくなって……」
「それでわざわざ戻ってきたの? あー、そっか。まだ子どもだもんね」
「うっ、うるさい!」
顔を真っ赤にして怒っている。
どうやら図星を突かれたみたいだ。
そうやってすぐムキになるところが子どもっぽいと思うのだけど、この子にはそれがわかっていないみたいだった。
「まあいいや。じゃあね」
「あっ! …………ふん、もう来なくていいですよ」
渚の妹はなにか言いたげだったけど、あたしはそのままその場を去った。
あの子のことは苦手だけど、なんだかんだで可愛い後輩であることに変わりはない。
生意気で少し鼻につくところはあるけど。
「さて、これからどうしようかな」
特に用事があったわけじゃないんだけど、せっかく来たのだからどこかへ行ってみたいなと思った。
渚の親には会いたかったけど、あの妹が邪魔で中にお邪魔する気になれない。
だから仕方なく、その辺を歩いてみることにした。
駅前まで行くと、クリスマスが近づいているということもあってかたくさんの人で賑わっていた。
人混みはあまり好きではないけれど、たまにはこういうのもいいかもと思ってしまう自分がいる。
でも、やっぱりひとりだとつまらない。
誰か一緒に遊んでくれる人がいればよかったんだけど……
「渚は今頃寮でのんびりしてるんだろうなぁ」
そう思うと自然とため息が出た。
桜花寮は二人部屋だから、渚の同室相手の子が渚を狙ってないといいんだけど。
渚と同室相手の子が渚を狙っているというとんでもない情報は今のところ耳に入ってないけれど、油断はできない。
渚はみんなの〝王子様〟だから。
かっこよくて優しくて困っている人を放っておけないお人好し。
相手を甘やかすことが上手で、常にだれかの手助けをしているところを見かける。
みんなの王子様ということで「抜けがけは禁止!」という暗黙の了解みたいなものがあるから、積極的にアプローチをする子は見たことがない。
彼女と付き合っているあたしからしたら願ってもないことだけど、それでも抜けがけする子はいると思う。
だって、好きな気持ちはだれにも止められないから。
あたしも渚のことが好きで好きでしょうがないからわかる。
「――ねぇ、今一人? 暇なら俺と遊ばない?」
そんなことを考えていると、後ろからヘラヘラした顔の男が話しかけてきた。
どう見てもナンパだな……あたしは心の中で深いため息をついた。
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