真っ赤な吸血少女は好きな人を傷つけたくてたまらない【完結済み】

M・A・J・O

文字の大きさ
19 / 62
第一章 吸血少女は傷つけたい

撃退したい

しおりを挟む
「君、髪真っ赤なんて珍しーね。なに? なんかのアニメの影響?」
「いえ、赤が好きなのでこうしてるだけですけど……」
「ふーん? 変わってるねぇ」

 ナンパ男は会話している最中もあたしの身体を舐め回すように見てくる。
 処したいけど、ここは人が多いしあまり目立った行動はできない。

 ある程度整った顔をしているのに、なんだか気味が悪かった。
 あわよくば持ち帰りたいとか考えているのだろうか。
 そんなピンクな思考がダダ漏れているような、変態的な顔つきをしている。

 なぜあたしには変態が言い寄ってくるのだろうか。
 お母さんのこともあって変態には耐性があるけど、あたしには渚がいるからナンパしないでほしい。

「ってかさ、もうすぐクリスマスじゃん? 俺彼女いないから寂しくてさぁ」
「はぁ……」
「だから君が彼女になってくれたら嬉しいんだけどなぁ」
「あー、その、あたしもう恋人いるので。そういうのは他の方に声かけた方が」
「えー!? そうなの!? 俺結構君のことタイプなんだけど!」

 そう言って馴れ馴れしく肩に手を乗せてきた。
 今すぐにでも振り払いたかったけど、あたしはぐっと堪える。
 弱気になったわけでも、怖いと思ったわけでも、ましてやこいつちょっといいかもなんて思ったわけでもない。
 こいつは勝手に放っておいても自滅する。

 あたしは相変わらず冷めた目と冷静な頭脳でそのナンパ男を見る。
 なぜか自分の勝利を確信しているような笑みに、正直呆れた。
 なんでそこまで自信が持てるんだろう。

「あ、あの、あたし……」
「ん?」
「――レズなんです!」
「は?」

 泣き出したり周りの人に助けを求めてもよかったのだが、下手に相手を刺激するとよくない。
 こういうやつは報復したがるところがあるから。

「だからあなたのこと恋愛対象として見れないんです。本当にごめんなさい」
「え……ま、まじか……そ、そっか、それなら仕方ない……よね?」

 ナンパ男は本気で引いているらしく、いそいそとあたしから離れていった。
 実際、同性愛者というだけで引く人は一定数いる。
 それについてはよく思わないところが少しあるけど、こうしてナンパ男を撃退できているのだからよしとしようか……

 あたしが他人に同性愛者だとバレたところで痛くも痒くもない。
 昔から渚という女の子が好きだったのだ。
 あたしにとっては女の子と恋をすることこそが普通なのだ。
 例え世の中がそれを認めなくとも、渚だけがいてくれればいい。

 渚以外に特別な感情を抱くことはないだろう。
 そしてそれはこれから先ずっと変わらない。
渚以外の人間に心を開くこともきっとないだろう。
 渚さえいればそれでいい。
 それがあたしの生きる意味であり、すべてだと思っている。
 だから、この気持ちだけは誰にも否定させない。
 誰にも侵させたくない。

「……渚」

 渚のことを想うだけで胸が温かくなって幸せな気分になる。
 渚に会いたくてしょうがない。
 はやく渚の声を聞いて安心したい。
 渚の顔を見て癒されたい。
 渚を抱き締めたい。
 渚を感じたい。
 渚に触れたい。

「あ……そういえばもうすぐクリスマスだっけ」

 若干ヤンデレな思考に陥ったところで、ふとさっきのナンパ男が言っていたことを思い出した。

「プレゼント買わなくちゃ」

 渚へのクリスマスプレゼントはなにをあげようかな。
 去年は少し安めのネックレスをあげたけど、あれじゃいつも同じだし、もっと別のものにした方がいいかもしれない。
 渚はなんでも似合うから困ってしまう。
 あと学生だからお金がなくて困る。
 高校生の財布事情というのはかなり厳しいものだ。

「どうしよう……」
    
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

疎遠になった幼馴染の距離感が最近になってとても近い気がする 〜彩る季節を選べたら〜

若椿 柳阿(わかつばき りゅうあ)
ライト文芸
「一緒の高校に行こうね」 恋人である幼馴染と交わした約束。 だが、それを裏切って適当な高校に入学した主人公、高原翔也は科学部に所属し、なんとも言えない高校生活を送る。 孤独を誇示するような科学部部長女の子、屋上で隠し事をする生徒会長、兄に対して頑なに敬語で接する妹、主人公をあきらめない幼馴染。そんな人たちに囲まれた生活の中で、いろいろな後ろめたさに向き合い、行動することに理由を見出すお話。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...