真っ赤な吸血少女は好きな人を傷つけたくてたまらない【完結済み】

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第二章 吸血少女は愛されたい

水族館デートは楽しい

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「ふぇぇ……もうだめだぁ……」

 身も心も凍るような寒さの中、あたしは渚とくっついてデートしていた。
 ……なのだが、あたしの頭の中は将来のことでいっぱいになっている。
 まだ進路について本格的に悩まなくてもいいとはいえ、やっぱりどこか焦ってしまう。
 最近のあたしは渚のことを考えるより進路のことを考えていることが多い気がする。

「どうしたの、花恋ちゃん? 私とのデート楽しくないかな?」
「えっ!? あ、いや、そういうことじゃなくて……将来の夢について悩んでて……」

 渚にそう聞かれて慌てて弁解すると、彼女は優しく微笑んだ。
 その表情を見て少しだけ気持ちが楽になる。
 そしてしばらく無言で歩くと、彼女の方から口を開いた。
 彼女はいつもあたしの話を聞いてくれる。
 どんな話でも真剣に聞いてくれるから、信頼できる。

 そんな彼女に進路のことを相談してみたらどうなるだろう。
 きっと真剣な顔つきになって、色々とアドバイスしてくれるに違いない。

「ねぇ、花恋ちゃん」
「う、うん」
「もしかして、私が自分の道進んでほしいって言ったから? それで焦ってるの?」
「…………」

 ズバリ図星を突かれて黙り込むと、渚はクスリと笑った。
 それから立ち止まってあたしの方を見つめると、そっと手を繋いだ。

「私はね、花恋ちゃんには幸せになってもらいたい。だから、やりたいことが見つかるまでゆっくり考えればいいと思うよ」
「渚……」
「私はいつでも花恋ちゃんの味方だよ。だって大事な恋人なんだから」

 ぎゅっと握られた手はあたたかくて、彼女の言葉はとても心に響いた。
 あたしは恵まれてるなと思う。
 こんな素敵な彼女がいて、応援してくれて、心配してくれて。
 これから先もずっと渚と一緒にいることが出来たらいいなと思っている。
 いや、絶対渚を離さない。

「ほらほら、せっかく水族館に来たんだから楽しまないと」
「……そうだね!」

 あたしは元気よく返事をして、彼女と肩を寄せ合いながら水槽を眺めた。
 水の中で優雅に泳ぐ魚たちを見て癒される。
 こうして見るとやっぱり魚って可愛いかも。

「あ、見て見て。あれペンギンじゃない?」
「ほんとだ。可愛らしいね」

 ガラスの向こう側で一生懸命歩いている姿を見ると、思わず頬が緩む。
 ああいう生き物をたまに見るのも、メンタルにはいいかもしれない。

「花恋ちゃん、イルカショーもあるみたいだよ」
「おー、行こうか! イルカショー見るの久しぶりだな~」

 渚の手を引いて、あたしたちはイルカショーが行われる会場に向かった。
 そこで待っていたのは飼育員さんによる解説付きのイルカショーだった。
 プールでは5匹のイルカたちが自由に泳ぎ回っている。
 イルカたちの息のあったパフォーマンスを見るのは久々だったから感動した。

 渚がイルカに夢中になっている間に、あたしはこっそりスマホで渚の横顔を撮影していたのだけど。
 その写真をこっそり見たとき、あたしは思った。
 ――この人と結婚したい、と。

 それからあたしは渚と一緒にいろんなところを回った。
 深海魚コーナーも行ったし、ビデオで魚の生態について解説しているところも行ったし、サメがいるエリアにも行ってみた。

 そしてあっという間に時間は過ぎていき、夕方になった頃、あたしたちは帰路についた。
 今日一日、あたしは本当に幸せな気分になれた。
 それはきっと渚がいてくれたからだ。
 いつも一緒にいてくれて感謝しかない。

「今日はありがとう、渚」
「ううん、こちらこそ誘ってくれてありがとね。すごく楽しかった」

 そう言ってくれるだけで嬉しい。
 今度またどこかへ遊びに行く約束をして、あたしたちはそれぞれの家に帰った。
 家に帰り着いてからすぐにベッドに飛び込んだ。
 今日の出来事を思い出しながらニヤニヤしてしまう。

「うふふ、渚の横顔いいなぁ……」

 イルカのショー以外でも、隙があればこっそり撮影しまくっていた。
 ほとんどストーカーの隠し撮りのようなものだけど、あたしはその写真で充分幸せになれた。
 その時、あたしはふと気づく。

「そうだ……〝お嫁さん〟も立派な職業なのでは!?」
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