真っ赤な吸血少女は好きな人を傷つけたくてたまらない【完結済み】

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第二章 吸血少女は愛されたい

優しさに包まれたい

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「――って、ことがあったんですけど、どう思います?」
「え、えーっと……」

 昨日の一件で優等生の仮面が剥がれたあたしは、馬術部の活動に混ぜてもらっていた。
 今日はちょうど休日で、ちょうど馬術部の週一の活動らしい。
 高宮さんは活動がない平日の放課後とかもちょくちょく牧場に来ているようだが。

「うーん……私は嫩先輩にそういうことしたいと思ったことないけど……でも、それが黒衣さんたちの関係なんですもんね。私は昨日の場面見てないですけど、いいんじゃないかなって思います」
「ですよね!? でも、昨日集まってた人たちはみんな引いたような顔して顔真っ青にしてたんですよ!」
「あー……それは、血を見ちゃったからじゃないかと……」

 血を見るだけで騒ぐだなんて、あの人たちも大変だなぁ……
 ちなみに、今日一緒に活動しているのは高宮さんだけではない。
 いや、高宮さんというより、高宮先輩と呼んだ方がいいか。
 この前あたしの一個上の先輩だってわかったし。

 他にも何人かいて、その中には他の先輩方もいるけど、なぜか全員高宮先輩をちやほやしている。
 高宮先輩はこの馬術部ではすごい人らしいのだ。
 なんでも、乗馬が上手くて一目置かれているらしい。

 乗馬は素人だからよくわからないけど、そんな素人目線からでも乗っている姿を見ると上手そうと感じることはあるし、馬のほうもそれに応えてくれる感じだ。
 なんというか、人馬一体ってことことなんだなぁと感心する。

「……そういえば、昨日はどうしてそんなことに? 黒衣さんはしっかりしてそうだから、人目とか気にしそうなのに……」
「あー……その時はその……渚を安心させることに夢中で……」

 あれは完全に暴走だったと思う。
 今になって恥ずかしくなってきた。
 もうちょっとやりようがあっただろうに。
 でも、そのおかげで渚と仲直りできたわけだし、一概に悪いと言えない。

「まあ、仲が良いのはいいことですよね。たとえ他の人からどう見られたとしても、自分たちが幸せならそれでいいんだと思います」
「……えぇ、そうですね。仲が悪いよりは全然マシです」

 高宮さんは優しい笑顔を浮かべながら言った。
 高宮さんの優しさに救われているような気がする。

 高宮さんの言葉を聞いて、あたしは自分の考えを改めることにした。
 確かに周りから見たら奇異な光景かもしれないけれど、それでもお互い幸せならば問題はない。
 むしろ、お互いに好き合っているのなら周りの目を気にする必要などないだろう。

 うん、あたしも周りなんか気にせず堂々と渚のこと傷つければいいんだ。
 ……いや、それはちょっと違うか?
 渚の苦しむ顔、あたしだけで独占したいしなぁ。
 やっぱり周りには隠さないといけないかな。
 それじゃあさっきの考えは撤回ということで。

「どうかしましたか?」
「あ、いえ! なんでもないです!」

 いけないいけない、つい考え事に集中してしまった。
 今は馬術部の活動中なのに。
 しかもあたしはただ混ぜてもらっているだけで、正式な部員じゃないのに。

「あら、沙織ちゃん。ふふ、今日もいい天気ね」
「嫩先輩! ……って、何時だと思ってるんですか? 思いっきり遅刻ですけど」

 高宮先輩が見つめる先には、『嫩先輩』というお姉さん感溢れる先輩が立っていた。
 しかし、彼女の服装は少し乱れていて、いかにも寝起きといった様子だ。
 高宮先輩の先輩ということは三年生だろうし、受験か就活で忙しいのだろうか。

 ……ん? というか、三年生ってまだ部活に顔を出さなきゃいけないの?
 もう年が明けたから、『嫩先輩』とやらは四月から高校生じゃなくなるのに。

「ふふ、沙織ちゃんに会えるんだって思ったら寝られなくなっちゃって」
「も、もうっ、嫩先輩ったら……」

 にっこり微笑む嫩先輩と顔を真っ赤にする高宮先輩を見て、そういうことかと察したのだった。
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