社会復帰日記

社会復帰中

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19.05.29

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 会社宛に復帰施設に関する報告を行う日取りが来週の月曜日に決まった。もう殆ど資料を完成させてしまっている私としては、残りの自由時間とグループワークは無駄にしか思えないが、その日程に決まってしまったのだから仕方がない。担当カウンセラーと資料の読みあわせを行い、準備をしている。会社側の人間はやり取りをしていた担当者と労務関係が2名で合計3名。係長がいないことは幸いだった。資料を作っていて思いの外楽しかったのが奇妙だった。久しぶりのExcelやPowerPointは指先と頭に適度な負荷をかけるには、丁度良かった。微かに覚えていたショートカットキーを駆使する。 周りで同じように資料を作っている人達よりは、自分ができる人のように振る舞う。こういうところが駄目だったはずなのに性根は変わっていないが、そんなことは資料には当然書かない。

 昨日からの続き。私のプランよりも早く、私の様子を見て担当者が復帰の提案をしてきた。私はその電話を受けて、なんとなく苛立った。今にして思えば、片付けをしようとしていたところに親からその指示を受けてやる気が失せるみたいな、とても子どもめいた反発心だった気がする。

 それに加えて、係長が電話口に出たのも嫌気が加速した理由だった。

「よー、元気か?どうだ?」

 医務室の担当者には元気な様子を見せることが出来ていたが、この努めて明るく振る舞おうとする能天気な声を聞いて、一気に力が失われていくのを感じた。私は本当にこの人が嫌いなのだなと再確認した。

「お前がいなくなってから、体制を見直したんだよ。どんな業務も2人でやって、負担が掛かりすぎないようにしたから。いつ戻ってきても大丈夫なようになってるから」

 書き出してみたら、優しい言葉だった。けれど、その時の私には押し付けがましく空しく響いた。根本的に人として合っていないのだと思っていた。係長の言葉は逆効果だった。私は形式的な感謝を述べた。係長が医務室担当者から聞いていた様子と自身が話して受けた印象との間にどれ程の差があっただろうか。先に言ってしまえば、この会話を最後に私は係長と今に至るまで直接声を交わしてはいない。

 再び医務室担当に代わる。こんな風に用意をしているから、いつでも復帰して大丈夫ですよみたいなことを言っていた。それは善意だった。係長も部署のメンバーも、私のケースを踏まえてちゃんと体制を整えてくれたのだと思う。だが、私は翌週の診察時に医師に休職期間の延長を要請した。

 細かい話は明日以降に続ける。
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