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インバイト・イル・リージョン
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「それは助かる。正にアサシンクラス向けって感じだ。敵の弱点部位が特定出来れば不意打ちのダメージ効率も良くなるし、相手のスキルを知れれば戦略も変わってくる。初見の攻撃っていうのが何よりも怖いからな・・・」
流石はアサシンギルドの者が作ったアイテム。耐久力に難がありながらも、高威力の攻撃を与えるには接近しなければならないアサシンにとって、痒いところに手が届く性能になっている。
「俺の自信作だからな」
自身の才能と器用さを自負している様子の白獅だったが、その後表情は普段通りの無愛想なものに変わり、話に区切りをつけた彼は慎の今後について、彼の考えを提示した。
「さて慎・・・。お前や俺達は、こっちの世界でもモンスターに襲われる。ログインやログアウト時の瞬間とは無防備なものになってしまう。だからお前には特別な理由がないのであれば、このアサシンギルドを拠点にして貰いたい。そうすればお前のログアウト時にモンスターから襲われるリスクを軽減できる。どうだ?」
そう言うと彼は返事を急くように、尋ねてくると慎にとっても好都合であったため、二つ返事でこれを承諾する。
彼の言う通り、バグの影響を受けているのが自分達だけではないというのであれば、慎が自宅に帰らずWoFの世界に入り浸っていても、家族や身の回りの人間の情報も都合の良いように書き替えられる筈だ。数年前から起きているこの現象を慎が今まで知らなかったのは、そういうことなのだろう。それを確かめるついでにもなると踏んでのことだった。
「あぁ、分かった。ログインとログアウトは、アサシンギルドで行うようにするよ。ありがとう、助かる」
彼の返事を聞き、頷く白獅に対し慎は次の目的地についての話題に触れる。現に彼らの旅の目的という目的も今までなかったのに等しい。まずは力をつけ生命の存続を目指し、大きな都市である聖都ユスティーチへと赴いた。
それぞれのクラスギルドでクエストをこなし、新たな力やスキル、報酬や今後の資金稼ぎなどをしようとしたが、慎のクラスであるアサシンギルドは聖都にはなかった。結果として朝孝の道場で短剣と刀の熟練度の向上や、動乱の死闘の中でスキルに目覚める事となった。
出来ることなら慎は、WoFの世界のアサシンギルドを訪れたいと思っていた。現在のアサシンギルドがどうなっているのか、慎がゲームとして遊んでいた頃の幹部達はまだ健在なのだろうか、そして何よりも失われた自身のスキルを再度習得するためにも、一度は寄っておきたい。
その為にも、聖都のように人が大勢集まり、様々なエリアからの情報が集まるような国や街があれば、そこが次の目的地として有力になる。そして人が集まれば異変についての話も聞けそうだ。
すると白獅は、自分のテュルプ・オーブを取り出すと 身体の正面で軽く上に放ると球体はタッチパネルへと形状を変え、彼が慣れた手つきでパネルの上で指を躍らせると、3Dホログラムのような仮想映像で小さく縮小された立体の地図が現れる。
見覚えのある地形などから、それがWoFの地図であることに気づく慎。だがそれは世界地図というにはあまりに陸が多く、国や街など人の営みが垣間見える箇所がやけに少ないことから、ある特定のエリアを抜粋して表しているのが分かる。
慎が何処の地図であるかと尋ねると、気を利かせてくれたのか、彼は慎がログアウトした地点である聖都ユスティーチを中心とした近隣の地図であると答える。そして映し出された地図を横にスライドさせ、ある町が見えてくると慎の要望を聞き入れ、条件の合うであろう町を紹介した。
「”グラン・ヴァーグ“という港町はどうだ?海上の交通や貿易が盛んな商業都市で、海で行われるイベントも多く開催されていて、中でも“フォリーキャナル・レース“は特に有名だ。海域にある島の宝や、モンスターの討伐などでポイントを稼ぎ順位を競うレースで、順位によって珍しい商品なんかも出たりするんだ。それを目的に古今東西、様々な国や大陸から多くの人々が集まる」
白獅の提案は慎の希望を聞き入れた正に適確な目的地であった。様々な人が集まることから、クラスギルドも充実しているだろうし、別の大陸からも人が来るとなれば海外の情報も得ることができ、尚且つ交通の便も整っているため新たな目的地へのアクセスもしやすいという大きなメリットもある。
「港町か・・・なるほど、それは良いな」
彼の話から慎は、次の目的地に【グラン・ヴァーグ】を選んだ。あとはWoFに戻ってミアやツクヨの合意を得られれば、決定という運びになる。ツクヨも人を探す身であるため、情報の多く集まる場所を目指したい筈。そしてミアに関しても、港町の商業都市であれば珍しい物資なども多く流通している可能性が高い。戦闘で特殊弾を用いる彼女にとっても悪い話ではない。
慎は二人にとっても有益な情報を得たことで、手ぶらで帰る羽目にならずに済んだと胸を撫で下ろした。
「俺の用件は以上だ。人が多く集まれば情報も多く入ることになり、向こうの世界に起きている異常についても知ることができるかもしれない。お前にはそれについても調べてもらいたい」
白獅やアサシンギルドの彼らが元の世界へ戻る手掛かりや、颯來のようにプレイヤーに起きる異変を調べる上でも、両方の世界でそれぞれの調査をする必要がある。
「あぁ、勿論だ。俺達にとっても自分の身に起きていることを知れるかも知れないんだ、任せてくれ。それに俺達プレイヤーの成れの果てがどんなものなのかも・・・な」
アサシンギルドと協定を結んだ慎は白獅に別れを告げ、WoFへとログインし二人の元へと戻っていった。
流石はアサシンギルドの者が作ったアイテム。耐久力に難がありながらも、高威力の攻撃を与えるには接近しなければならないアサシンにとって、痒いところに手が届く性能になっている。
「俺の自信作だからな」
自身の才能と器用さを自負している様子の白獅だったが、その後表情は普段通りの無愛想なものに変わり、話に区切りをつけた彼は慎の今後について、彼の考えを提示した。
「さて慎・・・。お前や俺達は、こっちの世界でもモンスターに襲われる。ログインやログアウト時の瞬間とは無防備なものになってしまう。だからお前には特別な理由がないのであれば、このアサシンギルドを拠点にして貰いたい。そうすればお前のログアウト時にモンスターから襲われるリスクを軽減できる。どうだ?」
そう言うと彼は返事を急くように、尋ねてくると慎にとっても好都合であったため、二つ返事でこれを承諾する。
彼の言う通り、バグの影響を受けているのが自分達だけではないというのであれば、慎が自宅に帰らずWoFの世界に入り浸っていても、家族や身の回りの人間の情報も都合の良いように書き替えられる筈だ。数年前から起きているこの現象を慎が今まで知らなかったのは、そういうことなのだろう。それを確かめるついでにもなると踏んでのことだった。
「あぁ、分かった。ログインとログアウトは、アサシンギルドで行うようにするよ。ありがとう、助かる」
彼の返事を聞き、頷く白獅に対し慎は次の目的地についての話題に触れる。現に彼らの旅の目的という目的も今までなかったのに等しい。まずは力をつけ生命の存続を目指し、大きな都市である聖都ユスティーチへと赴いた。
それぞれのクラスギルドでクエストをこなし、新たな力やスキル、報酬や今後の資金稼ぎなどをしようとしたが、慎のクラスであるアサシンギルドは聖都にはなかった。結果として朝孝の道場で短剣と刀の熟練度の向上や、動乱の死闘の中でスキルに目覚める事となった。
出来ることなら慎は、WoFの世界のアサシンギルドを訪れたいと思っていた。現在のアサシンギルドがどうなっているのか、慎がゲームとして遊んでいた頃の幹部達はまだ健在なのだろうか、そして何よりも失われた自身のスキルを再度習得するためにも、一度は寄っておきたい。
その為にも、聖都のように人が大勢集まり、様々なエリアからの情報が集まるような国や街があれば、そこが次の目的地として有力になる。そして人が集まれば異変についての話も聞けそうだ。
すると白獅は、自分のテュルプ・オーブを取り出すと 身体の正面で軽く上に放ると球体はタッチパネルへと形状を変え、彼が慣れた手つきでパネルの上で指を躍らせると、3Dホログラムのような仮想映像で小さく縮小された立体の地図が現れる。
見覚えのある地形などから、それがWoFの地図であることに気づく慎。だがそれは世界地図というにはあまりに陸が多く、国や街など人の営みが垣間見える箇所がやけに少ないことから、ある特定のエリアを抜粋して表しているのが分かる。
慎が何処の地図であるかと尋ねると、気を利かせてくれたのか、彼は慎がログアウトした地点である聖都ユスティーチを中心とした近隣の地図であると答える。そして映し出された地図を横にスライドさせ、ある町が見えてくると慎の要望を聞き入れ、条件の合うであろう町を紹介した。
「”グラン・ヴァーグ“という港町はどうだ?海上の交通や貿易が盛んな商業都市で、海で行われるイベントも多く開催されていて、中でも“フォリーキャナル・レース“は特に有名だ。海域にある島の宝や、モンスターの討伐などでポイントを稼ぎ順位を競うレースで、順位によって珍しい商品なんかも出たりするんだ。それを目的に古今東西、様々な国や大陸から多くの人々が集まる」
白獅の提案は慎の希望を聞き入れた正に適確な目的地であった。様々な人が集まることから、クラスギルドも充実しているだろうし、別の大陸からも人が来るとなれば海外の情報も得ることができ、尚且つ交通の便も整っているため新たな目的地へのアクセスもしやすいという大きなメリットもある。
「港町か・・・なるほど、それは良いな」
彼の話から慎は、次の目的地に【グラン・ヴァーグ】を選んだ。あとはWoFに戻ってミアやツクヨの合意を得られれば、決定という運びになる。ツクヨも人を探す身であるため、情報の多く集まる場所を目指したい筈。そしてミアに関しても、港町の商業都市であれば珍しい物資なども多く流通している可能性が高い。戦闘で特殊弾を用いる彼女にとっても悪い話ではない。
慎は二人にとっても有益な情報を得たことで、手ぶらで帰る羽目にならずに済んだと胸を撫で下ろした。
「俺の用件は以上だ。人が多く集まれば情報も多く入ることになり、向こうの世界に起きている異常についても知ることができるかもしれない。お前にはそれについても調べてもらいたい」
白獅やアサシンギルドの彼らが元の世界へ戻る手掛かりや、颯來のようにプレイヤーに起きる異変を調べる上でも、両方の世界でそれぞれの調査をする必要がある。
「あぁ、勿論だ。俺達にとっても自分の身に起きていることを知れるかも知れないんだ、任せてくれ。それに俺達プレイヤーの成れの果てがどんなものなのかも・・・な」
アサシンギルドと協定を結んだ慎は白獅に別れを告げ、WoFへとログインし二人の元へと戻っていった。
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