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攻守の相性
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少女の意外な反応に、目をぐっと開き少しだけ驚きの表情を浮かべると、それに呼応する様に少年も笑う。この幼さにして、もう既に地獄は経験済みと笑う少女に、人の世の醜さを再確認し、小さな身体を持ち上げる触手に力を込める。
すると突然、フーファンを縛っていた触手が次々に切断され、少女を水の怪物の魔の手から解放させた。部屋の周囲に張り巡らせていた水の触手に、周りの様子を見張らせていたメデューズは、予期せぬ不意打ちに何事かと後退りし、次の攻撃に備え警戒を強める。
「貴方はッ・・・。何故僕の感知にかからなかった・・・?」
少年の視線の先には、少女を抱えた一人の男の姿があった。男の腕に抱かれ、フーファンの表情は眠りにつく赤子のように穏やかになり、その身を委ねる。
「私達だけで・・・抑え込めると、思ったんですけど・・・。へへ・・・失敗しちゃったです・・・」
痛いのも、苦しいのも我慢し、その男に心配をかけまいと必死に強がるフーファン。そんな健気な彼女の姿を見て、男はぐっと少女の身体を引き寄せ、援軍に間に合った事、そして生きている事に安堵した。
「バカッ・・・!無茶しやがって・・・、心配かけさせるんじゃねぇッ!」
普段の丁寧な口調とは大きく違い、荒々しい喋り方をする男。感動の再会に動きが止まる二人目掛けて、メデューズはこれを好機と、新たに作り出した触手で叩き潰そうと振り上げる。
相手の動きに気づいた男は、すぐ様隠し持っていた投擲用の道具をメデューズの触手目掛けて投げる。狙いは触手の根本、だが迫る触手は複数本に対し、男が投げた投擲武器は一つだけ。
仮に命中したとしても、動きを止められるのは一本の触手だけで、とても攻撃から逃れられるとは思えない。無論、男もそんなことは分かっている。無策で飛び込んで来るほど、向こう見ずの強引な戦い方をする男ではなかった。
彼の投げた投擲武器は、日本という国の忍びが用いたという手裏剣のような形状をしており、それが空中で分裂し四散。散らばった手裏剣の一部達は、それぞれが個々の投擲武器として独立し、二人に迫る複数の触手に向けて飛んで行く。
手裏剣が触手に命中する。だが、物理的な攻撃はメデューズには通じず、手裏剣は触手の中へと取り込まれ、その勢いを失なってしまう。少年は笑みを浮かべ、男を挑発するように嘲笑する。
「折角助けに来たというのに・・・。これでは術者の彼らの方が、よっぽど善戦出来たでしょうね」
男のことを何も知らない少年の言葉に、彼は投擲による攻撃の成功を確信する。手裏剣は取り込まれた触手の中で青白い光を放ち、手裏剣を中心に触手は一気に凍り始め、一斉に動きを止める。
「・・・フーファン、後は私に任せて下さい。力任せの敵より、余程戦いやすい相手だ」
呼吸を整え、大きく息を吸い込み深呼吸をすると、男は普段通りの冷静な口調に戻り、ゆっくり少女の身体を床に下ろす。
「申し訳ないです、シュユーさん・・・。少し休んだら、すぐに援護に回るです・・・」
「その前に終わってしまうかもしれませんよ?」
フーファンを安心させるように、余裕を見せる男。シュユーは少女の救援に間に合ったのだ。主人によるシュユーの心中を気遣った命により、彼は心置きなくフーファンを助けに向かうことが出来た。
船内の構造を熟知してる彼は、チン・シー海賊団の要でもある妖術を発動させる為の部屋への近道を知っており、直接部屋に向かうより半分以上も速く到達できる隠し通路を通って来ていた。
そして、仲間の救援をよりスムーズに行えるよう、フーファンは外部から部屋に近づく者の気配を極端に小さくする術を使っていたのだ。これによりメデューズは、シュユーの接近を感知することが出来ず、救出を許す結果となった。
膝を立て立ち上がったシュユーは前に出て、少女を自分の身体の影に隠すように相手の前に立ちはだかる。氷の魔法をエンチャントさせた手裏剣が、触手の中に取り込まれたことにより、内側から凍らせ動きを止める。
シュユーが立ち上がりメデューズの前に立ちはだかると、それを合図に四散した手裏剣が爆発を起こし、凍った触手を破壊する。
「なるほど・・・。貴方も魔法を主軸として戦うのが得意だったのですね。それもこの様子だと・・・複数の属性を操れるようですね」
爆散した氷の塊を液体に戻したメデューズは、再び数本の触手を作り出し、今度は直線的にシュユー目掛けて撃ち放つ。それをシュユーは、氷属性をエンチャントさせた剣で次々に切り落としていく。
「得意分野ではないですが、多少剣術にも覚えがあります。術に特化した彼らとは、また一味違うのですよ」
フーファン達のように、妖術や魔法に特化したクラスは、素早い物理攻撃を得意とする接近戦タイプの押しに弱い面を持っているが、シュユーは鍛治師のクラスにも就いている為、多少の接近戦もこなせる。
その上で、メデューズに対し有効な魔力の篭った属性攻撃も得意としている為、攻防のどちらも非常に相性の良い相手だった。
すると突然、フーファンを縛っていた触手が次々に切断され、少女を水の怪物の魔の手から解放させた。部屋の周囲に張り巡らせていた水の触手に、周りの様子を見張らせていたメデューズは、予期せぬ不意打ちに何事かと後退りし、次の攻撃に備え警戒を強める。
「貴方はッ・・・。何故僕の感知にかからなかった・・・?」
少年の視線の先には、少女を抱えた一人の男の姿があった。男の腕に抱かれ、フーファンの表情は眠りにつく赤子のように穏やかになり、その身を委ねる。
「私達だけで・・・抑え込めると、思ったんですけど・・・。へへ・・・失敗しちゃったです・・・」
痛いのも、苦しいのも我慢し、その男に心配をかけまいと必死に強がるフーファン。そんな健気な彼女の姿を見て、男はぐっと少女の身体を引き寄せ、援軍に間に合った事、そして生きている事に安堵した。
「バカッ・・・!無茶しやがって・・・、心配かけさせるんじゃねぇッ!」
普段の丁寧な口調とは大きく違い、荒々しい喋り方をする男。感動の再会に動きが止まる二人目掛けて、メデューズはこれを好機と、新たに作り出した触手で叩き潰そうと振り上げる。
相手の動きに気づいた男は、すぐ様隠し持っていた投擲用の道具をメデューズの触手目掛けて投げる。狙いは触手の根本、だが迫る触手は複数本に対し、男が投げた投擲武器は一つだけ。
仮に命中したとしても、動きを止められるのは一本の触手だけで、とても攻撃から逃れられるとは思えない。無論、男もそんなことは分かっている。無策で飛び込んで来るほど、向こう見ずの強引な戦い方をする男ではなかった。
彼の投げた投擲武器は、日本という国の忍びが用いたという手裏剣のような形状をしており、それが空中で分裂し四散。散らばった手裏剣の一部達は、それぞれが個々の投擲武器として独立し、二人に迫る複数の触手に向けて飛んで行く。
手裏剣が触手に命中する。だが、物理的な攻撃はメデューズには通じず、手裏剣は触手の中へと取り込まれ、その勢いを失なってしまう。少年は笑みを浮かべ、男を挑発するように嘲笑する。
「折角助けに来たというのに・・・。これでは術者の彼らの方が、よっぽど善戦出来たでしょうね」
男のことを何も知らない少年の言葉に、彼は投擲による攻撃の成功を確信する。手裏剣は取り込まれた触手の中で青白い光を放ち、手裏剣を中心に触手は一気に凍り始め、一斉に動きを止める。
「・・・フーファン、後は私に任せて下さい。力任せの敵より、余程戦いやすい相手だ」
呼吸を整え、大きく息を吸い込み深呼吸をすると、男は普段通りの冷静な口調に戻り、ゆっくり少女の身体を床に下ろす。
「申し訳ないです、シュユーさん・・・。少し休んだら、すぐに援護に回るです・・・」
「その前に終わってしまうかもしれませんよ?」
フーファンを安心させるように、余裕を見せる男。シュユーは少女の救援に間に合ったのだ。主人によるシュユーの心中を気遣った命により、彼は心置きなくフーファンを助けに向かうことが出来た。
船内の構造を熟知してる彼は、チン・シー海賊団の要でもある妖術を発動させる為の部屋への近道を知っており、直接部屋に向かうより半分以上も速く到達できる隠し通路を通って来ていた。
そして、仲間の救援をよりスムーズに行えるよう、フーファンは外部から部屋に近づく者の気配を極端に小さくする術を使っていたのだ。これによりメデューズは、シュユーの接近を感知することが出来ず、救出を許す結果となった。
膝を立て立ち上がったシュユーは前に出て、少女を自分の身体の影に隠すように相手の前に立ちはだかる。氷の魔法をエンチャントさせた手裏剣が、触手の中に取り込まれたことにより、内側から凍らせ動きを止める。
シュユーが立ち上がりメデューズの前に立ちはだかると、それを合図に四散した手裏剣が爆発を起こし、凍った触手を破壊する。
「なるほど・・・。貴方も魔法を主軸として戦うのが得意だったのですね。それもこの様子だと・・・複数の属性を操れるようですね」
爆散した氷の塊を液体に戻したメデューズは、再び数本の触手を作り出し、今度は直線的にシュユー目掛けて撃ち放つ。それをシュユーは、氷属性をエンチャントさせた剣で次々に切り落としていく。
「得意分野ではないですが、多少剣術にも覚えがあります。術に特化した彼らとは、また一味違うのですよ」
フーファン達のように、妖術や魔法に特化したクラスは、素早い物理攻撃を得意とする接近戦タイプの押しに弱い面を持っているが、シュユーは鍛治師のクラスにも就いている為、多少の接近戦もこなせる。
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