World of Fantasia

神代 コウ

文字の大きさ
487 / 1,646

蛇道欠壊

しおりを挟む
 それまでの戦場とは一変し、まるで地獄のように悲鳴や怒号で騒がしくなる。巨大な蟒蛇による海流を乱す間接的な攻撃だけではなく、今度は小型のモンスターも相手にしなくてはならず、砲撃や遠距離スキルによる攻撃がメインだった先程までの戦いとは打って変わり、近距離での戦闘も強いられる。

 加えて、蟒蛇の身体が海流を巻き込むように這いずり回っており、船は徐々にその身体の方へと吸い寄せられていく。そして小型モンスターに気を取られていると、船はベルトコンベアのように流れる蟒蛇の鱗に接触し、粉々に砕かれていくのだ。

 「くッ・・・!この雑魚どもがッ・・・中々しぶといッ!」

 「うわぁぁぁッ!うッ腕がぁぁぁーッ!!」

 キングの船でも慌ただしく船員達が、襲いかかるモンスターと戦闘を繰り広げ始める。それなりに鍛えられているキングの船員達であっても、群がるモンスターと揺れる足場に本来の力を発揮出来ずにいるようだった。

 モンスター達は船に乗る者を見境なく襲っていく。無論、キングも例外ではない。海面から飛び出したモンスターは彼にも飛びかかろうとするが、その牙はキングに届くことはなかった。

 それと言うのも、キングに向かっていくモンスターは軒並み彼に接触する前に甲板に落ち、何かに押さえつけられているかのように身動きが取れなくなっていたのだ。

 「ギャーギャー喚かないの。今助けてやっからぁ・・・」

 すると、彼の周りに広がっていた不思議な空間が範囲を拡大し、更に遠くまでその能力を広げていく。肉眼では確認出来ないが、船が軋み出す音が徐々に船員の元にまで近づいてくると、突如何かを背負っているかのように膝をガクッと折る。

 だが、彼等はそれが何なのか知っており、耐え得るだけの身体能力を持っている。故に見境のないキングの能力に巻き込まれても、モンスター達のように床に押し付けられることはなかった。

 重そうにしながらも、次第に慣れてきた船員達は徐々に普段通りの動きを取り戻し、甲板に貼り付けになるモンスターを排除していく。鱗が硬く、倒すのに手間がかかっても、船の外に捨てる事はできない。

 動けなくなっている今の内に始末しておかねばならない。周りを見る限り、モンスターの数が減っている様子もなく、どうやら親玉である蟒蛇を何とかしなければ沸き続けるようだ。

 「んだよ・・・頭は何処だっつぅーのッ!」

 依然、姿を見せない蟒蛇の頭部。キングは飛んで来る小さな龍のようなモンスターを掴んでは、その腕からは想像も出来ないほどの握力で握り潰し、海へと捨てる。そして彼は、一番近くに見える蟒蛇の身体の元へ船を向かわせる。

 ある程度近づくと、船は勝手に身体の方へと吸い込まれていく。しかし、このままでは他の海賊船が辿った末路をなぞることになってしまう。

 キングは蟒蛇の身体に吸い込まれていく船の上で両腕を前に向けると、ゆっくり上へと持ち上げる。すると、地鳴りのように大きな音を立てながら景色が震え出し、あろうことかその巨大な蟒蛇の身体の一部分を海中から引き摺り出し、空中へ持ち上げたのだ。

 船員達の驚きと賛美の歓声の中、水飛沫を立てて持ち上がる蟒蛇の身体。吸い込むような海流は止まり、降りしきる大量の海水でキングの船は僅かに後方へと押し流されていく。

 すると突然、持ち上がった蟒蛇の身体がブルブルと震え出す。どうやらキングの船とは反対の方から、強い刺激を受けているようだった。僅かに見える反対側の景色に、降りしきる海水に混じった赤黒い液体が垂れている。

 「ぉお~?これはグットタイミングッ!」

 宙へと持ち上がった蟒蛇の身体の向こう側では、数隻の船と一台のボードがこちらに向かって来ていた。ジェットボードのように海面を裂きながら進むボードは、蟒蛇の身体に近づくと大きく上空へ跳ね上がり、その巨大な肉壁に突っ込んでいく。

 「本当に任せていいんだな!?」

 「あ・・・あぁ、このまま突っ込んでくれ!」

 男はボードから飛び出し、腰に携えた刀に手を添える。その刹那、抜刀から繰り出された数回に渡る飛ぶ斬撃と共に、持ち替えた刀を肩口に構え、その目を強く見開くと同時に強烈な突きを放つ。

 彼等とは反対側のキングから見えた光景は、蟒蛇の身体が内側から何かに突かれているかのように膨れ上がる光景だった。そして、まるで風船が破裂するかのように蟒蛇の身体を突き破り、大きな風穴を開け放った。

 滝のように噴き出す蟒蛇の赤黒い血液と、その血飛沫の中から姿を現したのは、反対側から蟒蛇の肉壁を突き破ったシー・ギャングの幹部であるスユーフと、チン・シー海賊団最強の戦力であるハオランだった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

異世界に流されて…!?

藤城満定
ファンタジー
東京発沖縄着の船で修学旅行に出港した都立東品川高等学校2年4組の生徒35人は出港して2時間が過ぎた頃に突然の嵐に巻き込まれてしまい、船が転覆してしまって海に投げ出されてしまった。男子生徒の宮間景太郎が目を覚ますと、そこはどこかの森の中だった。海に投げ出されたのに、何で森の中にいるんだ?不思議に思って呆然としていたら、森の奥から聞き覚えのある女子生徒達の悲鳴が聞こえてきた。考えるより先に体が動いた。足元にあった折れて先端が尖った木の枝と石コロを取って森の奥へと駆け出した。そこには3人の女子生徒が5匹の身長160cmくらいの緑色の肌色のバケモノに襲われていた。そのバケモノは異世界アニメやコミックでお馴染みのゴブリン?だった。距離は10mはある。短剣を持ったのと木製の棍棒を持ったゴブリンの内、棍棒を持ったのがソレを振り下ろすのを防ぐのは無理な距離。ならばと、拾っておいた石コロを全力投球投。全くの無警戒だった場所からかならの威力で投げられた石コロが頭に命中して、そのまま倒れてしまったので他のゴブリン共も動揺した。その隙に女子生徒達とゴブリン共の間に立ち塞がり、拾った木の枝(棒?)を振り回して距離を置き、斃したゴブリンから棍棒を拾ってそこからはタコ殴りに殴りまくった。棍棒や短剣を弾くと、頭、首、肩、腕、足と、それはもうフルボッコのボッコボコにして斃してから暫くして女子生徒達に「大丈夫か?」と声をかけると、3人ともポカーンと口を開けて呆然としていた。まあ、無理もない。何故なら景太郎はクラスでは寡黙で、いつも1人で行動しているそれは、ぶっちゃけて言うと、完全な『ボッチくん』だったからだ。そんな景太郎が自分達の命を助けてくれた。それも今まで誰も見た事のない熱く必死な戦い方でだ。これは謂わゆる『吊り橋効果』ではあるが、こうまで男らしい姿を見せられては惚れるなというほうが無理だろう。その瞬間から女子達による景太郎の取り合い合戦が始まった。 【毎週火曜日に投稿します】

【めっさ】天使拾った【可愛ぃなう】

一樹
ファンタジー
酔っ払いが聖女を拾って送迎する話です。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~

仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。 ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。 ガチャ好きすぎて書いてしまった。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

処理中です...