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一点突破
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おどろおどろしかった体内の景色は、一変して幻想的な光景へと変わる。彼らを消化しようと垂れていた酸は、鍾乳洞の氷柱のように美しく垂れ下がり、人間の臓物を巨大化させたかのように不気味に動いていた肉壁は、氷の結晶となると一気に別物となった。
器用にも、飲み込まれた彼らの身体は誰一人凍らせることなく、自身の周りの肉壁のみ氷の景色へ変えたことを見るに、はなから彼らを氷でコーティングするくらいのことは雑作もなかっただろう。
「すッ・・・凄い。一瞬にして・・・」
「なんて魔力量だ・・・」
シャーロットの能力を初めて見る竜騎士隊の隊員達が、呆然として空いた口が塞がらないといった様子だった。ロイクやマクシムも初見ではなかったが、目の前で彼女の美しい技を魅せられ、思わず息を呑み言葉を失った。
「さて、どうだろうなぁ・・・。これで外皮まで到達出来ただろうか?」
「手応えはどうなんだ?」
「そんなものは知らぬ。だが、広範囲に展開はした。このデカブツの外に及ぶくらいにはな・・・」
足場の出来た蟒蛇の体内で、氷でコーティングされた足元をスパイクのように変え、一歩一歩慎重に歩き進め、凍った壁を撫でるように触るシャーロット。
海上に氷で作った別の景色を、丸ごと再現した彼女であれば外皮の向こう側にまでスキルが反映されていてもおかしくない。だがその場合、身体の一部だけが氷漬けになっている状態で、他の部位が動き出したらどうなってしまうのだろう。
切断されても貫かれても再生し続けてきた蟒蛇の身体は、どんな状況に置かれても元通りになってしまうのかもしれない。それこそ消滅させるくらいの威力がなければ倒しきれないのかもしれない。
命の危機に晒されている彼らに、そこまで先のことを想像する余裕はない。今はただ目の前の難題を解決しなければ、心に休息はやってこない。体内を氷漬けにしたことにより、一先ずは溶かされ消化されると言うことはなくなった。
しかし、このどこまで凍ったか分からない分厚い氷の壁を、今度は打ち砕かなければならない。シャーロットの指先を鳴らす動作で砕けるのではないかとロイクが持ちかけるが、彼女はそれでは外まで打ち砕くことは不可能だろうと言った。
「あとはこれを粉砕するだけの力を加えれば、氷がどこまで到達しているのか分かるのだがな」
「分かった、やってみよう。ただ俺達はこの酸の影響で本来の力が出せない。アンタの力も借りたいんだが・・・」
「この不快な空間から出られるのなら協力しよう。・・・だが、どうするのだ?期待されても困るから先に言っておくが、私の攻撃に貫通力の高いものはないからな」
策を提案したのはマクシムだった。蟒蛇に飲み込まれた彼らの中で最も力を温存しているのはシャーロットだ。彼女の魔法を最後の追い討ちにし、途中まではロイクの竜騎士隊の力や自身のスキルの力を合わせ、一点突破を狙おうとしていた。
周囲が氷漬けになったことで、ドラゴンも自由に身動きが取れるようになり、彼らも足場が安定した。竜騎士隊は一斉に槍を構え、マクシムの指示した箇所に狙いを定める。
ドラゴン達にもブレスの準備をさせ、ロイクとマクシム自身も、持ちうる全ての力を込めてスキルを発動する。そしてマクシムの合図で一斉に竜騎士隊の槍とドラゴンのブレスが放たれる。
魔力を帯びた竜騎士隊の槍は、凍った蟒蛇の肉壁に突き刺さり、穴を掘るように削っていく。ドラゴンのブレスは炎の属性を持ってはいたが、その分衝突の威力は竜騎士隊の槍よりも重たい一撃を打ち込んだ。
畳み掛けるように、人一倍威力の高い槍を放つロイクと、鋼糸を振りまわし次々に衝撃波を放つマクシム。皆の一丸となった攻撃により、蟒蛇の凍った体内に大きな穴が開いていく。
そして極め付けはシャーロットによる一撃だ。氷の氷柱をいくつも形成し宙に浮かべると、彼らの攻撃がひと段落ついたところで一気に打ち込んでいく。奥にまで突き刺さった彼女の氷柱は、まるで壁に咲いた花のように大きな塊を作った。
そしてシャーロットが締めに指を鳴らすと、その巨大な氷の塊は勢いよく弾け飛ぶ。彼らの元へ飛んでくるかけらをマクシムが器用に糸で絡め、穴の方へと投げてダメ押しの追撃をする。
外からみた蟒蛇の身体は、内側から徐々に膨れ上がっていき、遂にその分厚い肉の壁を貫いてみせた。
突然、蟒蛇の身体に起きた変化に驚く、食われなかった竜騎士隊の隊員とヘラルト。もう間も無くレールガンの準備が整うという中、なんと先に内側から突き破り、仲間達が姿を表したのだ。
器用にも、飲み込まれた彼らの身体は誰一人凍らせることなく、自身の周りの肉壁のみ氷の景色へ変えたことを見るに、はなから彼らを氷でコーティングするくらいのことは雑作もなかっただろう。
「すッ・・・凄い。一瞬にして・・・」
「なんて魔力量だ・・・」
シャーロットの能力を初めて見る竜騎士隊の隊員達が、呆然として空いた口が塞がらないといった様子だった。ロイクやマクシムも初見ではなかったが、目の前で彼女の美しい技を魅せられ、思わず息を呑み言葉を失った。
「さて、どうだろうなぁ・・・。これで外皮まで到達出来ただろうか?」
「手応えはどうなんだ?」
「そんなものは知らぬ。だが、広範囲に展開はした。このデカブツの外に及ぶくらいにはな・・・」
足場の出来た蟒蛇の体内で、氷でコーティングされた足元をスパイクのように変え、一歩一歩慎重に歩き進め、凍った壁を撫でるように触るシャーロット。
海上に氷で作った別の景色を、丸ごと再現した彼女であれば外皮の向こう側にまでスキルが反映されていてもおかしくない。だがその場合、身体の一部だけが氷漬けになっている状態で、他の部位が動き出したらどうなってしまうのだろう。
切断されても貫かれても再生し続けてきた蟒蛇の身体は、どんな状況に置かれても元通りになってしまうのかもしれない。それこそ消滅させるくらいの威力がなければ倒しきれないのかもしれない。
命の危機に晒されている彼らに、そこまで先のことを想像する余裕はない。今はただ目の前の難題を解決しなければ、心に休息はやってこない。体内を氷漬けにしたことにより、一先ずは溶かされ消化されると言うことはなくなった。
しかし、このどこまで凍ったか分からない分厚い氷の壁を、今度は打ち砕かなければならない。シャーロットの指先を鳴らす動作で砕けるのではないかとロイクが持ちかけるが、彼女はそれでは外まで打ち砕くことは不可能だろうと言った。
「あとはこれを粉砕するだけの力を加えれば、氷がどこまで到達しているのか分かるのだがな」
「分かった、やってみよう。ただ俺達はこの酸の影響で本来の力が出せない。アンタの力も借りたいんだが・・・」
「この不快な空間から出られるのなら協力しよう。・・・だが、どうするのだ?期待されても困るから先に言っておくが、私の攻撃に貫通力の高いものはないからな」
策を提案したのはマクシムだった。蟒蛇に飲み込まれた彼らの中で最も力を温存しているのはシャーロットだ。彼女の魔法を最後の追い討ちにし、途中まではロイクの竜騎士隊の力や自身のスキルの力を合わせ、一点突破を狙おうとしていた。
周囲が氷漬けになったことで、ドラゴンも自由に身動きが取れるようになり、彼らも足場が安定した。竜騎士隊は一斉に槍を構え、マクシムの指示した箇所に狙いを定める。
ドラゴン達にもブレスの準備をさせ、ロイクとマクシム自身も、持ちうる全ての力を込めてスキルを発動する。そしてマクシムの合図で一斉に竜騎士隊の槍とドラゴンのブレスが放たれる。
魔力を帯びた竜騎士隊の槍は、凍った蟒蛇の肉壁に突き刺さり、穴を掘るように削っていく。ドラゴンのブレスは炎の属性を持ってはいたが、その分衝突の威力は竜騎士隊の槍よりも重たい一撃を打ち込んだ。
畳み掛けるように、人一倍威力の高い槍を放つロイクと、鋼糸を振りまわし次々に衝撃波を放つマクシム。皆の一丸となった攻撃により、蟒蛇の凍った体内に大きな穴が開いていく。
そして極め付けはシャーロットによる一撃だ。氷の氷柱をいくつも形成し宙に浮かべると、彼らの攻撃がひと段落ついたところで一気に打ち込んでいく。奥にまで突き刺さった彼女の氷柱は、まるで壁に咲いた花のように大きな塊を作った。
そしてシャーロットが締めに指を鳴らすと、その巨大な氷の塊は勢いよく弾け飛ぶ。彼らの元へ飛んでくるかけらをマクシムが器用に糸で絡め、穴の方へと投げてダメ押しの追撃をする。
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