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少年の行方
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街を歩く二人の男。レースで壮絶なトップ争いを繰り広げた二人は、まるで戦友のような関係になっていた。レースの時は順位を競って戦う敵ではあったが、前例のない出来事を力を合わせて乗り越えたことによって、エイヴリー海賊団からも決して悪くない評価を得た。
彼と繁華街を歩く中でシンは、もう一つ確認して起きたいことを思い出した。
それは、画家の少年ヘラルト・ドゥの存在だった。しかし、シンは彼の最後を見送った張本人。レイド戦にて、巨大な獣こと神獣リヴァイアサンとの決戦にて、その背中に乗り込んだシンを助けるべく馳せ参じたヘラルトは、彼と共にリヴァイアサンへ飛び乗り、背中の異変を調査。
しかし、黒いコートの男によって残された呪いのような装置は、世界を旅して周り様々な書物を読み漁ったであろうヘラルトでも見たことがなく、その文字の羅列を解読することは出来なかった。
異変に関与していると思われる、黒いコートの男達に関する手掛かりだったが、決死の行動も虚しくそこから何かを得ることは出来なかった。
それどころか、呪いの範囲が拡大し退避しようとしたところ、その速度を超えられず飲み込まれそうになってしまう。
シンとヘラルト、そしてミアの精霊ウンディーネは全滅を覚悟した。だが、ヘラルトの命がけの行動がシンの命を繋げた。
少年は黒々と広がる漆黒の呪いの中に飲み込まれていき、その後少年の姿を見ることはなかった。彼が何故そこまでしてシンのことを助けてくれたのか。だが、彼がまだ死んだとは断定できない。
リヴァイアサンに呪いをかけ、大幅な弱体化を施した黒いコートの男は、リヴァイアサンを始末するのではなく、在るべき場所へ帰すと言っていた。
つまり、リヴァイアサンの背中に広がった漆黒の穴は、神獣を殺す為のものではなく、何処かへ送るためのものだった可能性もある。
そうであれば、ヘラルトがまだ生きていると考えることも出来る。それにもう一つ、シン達がレースへ参加するきっかけとなった物。
このWoFの世界ではない、何処か別の異世界へと通じる転移ポータルを作り出すアイテム。幸か不幸か、そのアイテムもまた、何故かリヴァイアサンの元にあり少年と同じく穴の中へと飲み込まれていった。
黒いコートの男達を探る上で重要な手掛かりになるかも知れなかった代物だが、この世界の悪人であるロッシュやロロネーのような者達の手に渡るよりか、消失の現場を目撃できたことはシン達にとって幸運だったのかも知れない。
ヘラルトは死んだのではない。何処かへ消えただけかも知れない。或いは既にエイヴリー海賊団の元に戻っているかも知れないと思ったシンは、そのことをマクシムに尋ねた。
「なぁ、ヘラルトのことなんだが・・・」
シンが話を切り出すと、マクシムは少し視線を落とした。その反応だけで、何となくシンにはマクシムが口にしようとしていることが分かったような気がした。
あぁ、彼はやっぱり戻っていないのかと。シンの想像を確かなものにするかのように、マクシムは口を開きヘラルトについて語る。
「アイツは・・・戻ってこなかったよ。短い付き合いだったけどよぉ。ガキの癖に物分かりが良く、頭の切れる奴でもあった。きっと旅の途中で、いろんなモンを見て来たんだろうなぁ。それこそ、ガキが知らなくていい世の中の汚ねぇモンとかをさ・・・」
マクシムの言う通り、グラン・ヴァーグの街まで旅路を共にしていた時も、ただの子供のようには思えない落ち着きと、世間を渡り歩いていけるような言葉選びの上手さのようなものがあった。
故郷にいる友のために、世界の景色を見て回っていると言っていたが、その故郷の者達はそこを出られない訳でもあるのだろうか。何故ヘラルトにそのようなことを託したのか。当人である彼がいなくなってしまった以上、確かめる術はもうない。
「そうか、やっぱり・・・」
「アンタ達は確か、アイツがウチの海賊団に来る前に一緒だったんだろ?」
「あぁ、でもグラン・ヴァーグの街に向かうまでの間だけだったけど・・・。確かに、子供っぽくなかったな」
ヘラルトとの出会いのことを思い出しても、子供が一人で世界を見て周るなど、シン達のいた現実世界ではあり得ないことだ。そこからも彼の大人びた様子が窺える。何故こうもしっかりしているのだろうと。
「アイツのことは残念だったが、本人も理解し覚悟していたことだ。この世界に足を踏み入れるってことは、命の保証がなくなるってことをよ。海賊なんてやってりゃぁ、身に覚えのねぇことで命を狙われることなんざ、日常茶飯事だ。しっかり脅しはかけてやったつもりなんだがな・・・」
「ヘラルトは頭の回る奴だった。きっと分かっていたと思う」
「・・・だろうな」
すっかりお通夜のような雰囲気が二人の間を取り囲む。それから暫く無言が続いた。マクシムはエイヴリー海賊団が宴を開いている場所にシンを誘うが、彼はこれ以上遅くなってはミア達に心配を掛けると言い、それを断った。
それならせめて、その会場近くまで送るとマクシムは言い、二人は海賊になった経緯やレースに参加した理由などを話しながら、イベントの余韻に浸る煌びやかな街中を歩いた。
彼と繁華街を歩く中でシンは、もう一つ確認して起きたいことを思い出した。
それは、画家の少年ヘラルト・ドゥの存在だった。しかし、シンは彼の最後を見送った張本人。レイド戦にて、巨大な獣こと神獣リヴァイアサンとの決戦にて、その背中に乗り込んだシンを助けるべく馳せ参じたヘラルトは、彼と共にリヴァイアサンへ飛び乗り、背中の異変を調査。
しかし、黒いコートの男によって残された呪いのような装置は、世界を旅して周り様々な書物を読み漁ったであろうヘラルトでも見たことがなく、その文字の羅列を解読することは出来なかった。
異変に関与していると思われる、黒いコートの男達に関する手掛かりだったが、決死の行動も虚しくそこから何かを得ることは出来なかった。
それどころか、呪いの範囲が拡大し退避しようとしたところ、その速度を超えられず飲み込まれそうになってしまう。
シンとヘラルト、そしてミアの精霊ウンディーネは全滅を覚悟した。だが、ヘラルトの命がけの行動がシンの命を繋げた。
少年は黒々と広がる漆黒の呪いの中に飲み込まれていき、その後少年の姿を見ることはなかった。彼が何故そこまでしてシンのことを助けてくれたのか。だが、彼がまだ死んだとは断定できない。
リヴァイアサンに呪いをかけ、大幅な弱体化を施した黒いコートの男は、リヴァイアサンを始末するのではなく、在るべき場所へ帰すと言っていた。
つまり、リヴァイアサンの背中に広がった漆黒の穴は、神獣を殺す為のものではなく、何処かへ送るためのものだった可能性もある。
そうであれば、ヘラルトがまだ生きていると考えることも出来る。それにもう一つ、シン達がレースへ参加するきっかけとなった物。
このWoFの世界ではない、何処か別の異世界へと通じる転移ポータルを作り出すアイテム。幸か不幸か、そのアイテムもまた、何故かリヴァイアサンの元にあり少年と同じく穴の中へと飲み込まれていった。
黒いコートの男達を探る上で重要な手掛かりになるかも知れなかった代物だが、この世界の悪人であるロッシュやロロネーのような者達の手に渡るよりか、消失の現場を目撃できたことはシン達にとって幸運だったのかも知れない。
ヘラルトは死んだのではない。何処かへ消えただけかも知れない。或いは既にエイヴリー海賊団の元に戻っているかも知れないと思ったシンは、そのことをマクシムに尋ねた。
「なぁ、ヘラルトのことなんだが・・・」
シンが話を切り出すと、マクシムは少し視線を落とした。その反応だけで、何となくシンにはマクシムが口にしようとしていることが分かったような気がした。
あぁ、彼はやっぱり戻っていないのかと。シンの想像を確かなものにするかのように、マクシムは口を開きヘラルトについて語る。
「アイツは・・・戻ってこなかったよ。短い付き合いだったけどよぉ。ガキの癖に物分かりが良く、頭の切れる奴でもあった。きっと旅の途中で、いろんなモンを見て来たんだろうなぁ。それこそ、ガキが知らなくていい世の中の汚ねぇモンとかをさ・・・」
マクシムの言う通り、グラン・ヴァーグの街まで旅路を共にしていた時も、ただの子供のようには思えない落ち着きと、世間を渡り歩いていけるような言葉選びの上手さのようなものがあった。
故郷にいる友のために、世界の景色を見て回っていると言っていたが、その故郷の者達はそこを出られない訳でもあるのだろうか。何故ヘラルトにそのようなことを託したのか。当人である彼がいなくなってしまった以上、確かめる術はもうない。
「そうか、やっぱり・・・」
「アンタ達は確か、アイツがウチの海賊団に来る前に一緒だったんだろ?」
「あぁ、でもグラン・ヴァーグの街に向かうまでの間だけだったけど・・・。確かに、子供っぽくなかったな」
ヘラルトとの出会いのことを思い出しても、子供が一人で世界を見て周るなど、シン達のいた現実世界ではあり得ないことだ。そこからも彼の大人びた様子が窺える。何故こうもしっかりしているのだろうと。
「アイツのことは残念だったが、本人も理解し覚悟していたことだ。この世界に足を踏み入れるってことは、命の保証がなくなるってことをよ。海賊なんてやってりゃぁ、身に覚えのねぇことで命を狙われることなんざ、日常茶飯事だ。しっかり脅しはかけてやったつもりなんだがな・・・」
「ヘラルトは頭の回る奴だった。きっと分かっていたと思う」
「・・・だろうな」
すっかりお通夜のような雰囲気が二人の間を取り囲む。それから暫く無言が続いた。マクシムはエイヴリー海賊団が宴を開いている場所にシンを誘うが、彼はこれ以上遅くなってはミア達に心配を掛けると言い、それを断った。
それならせめて、その会場近くまで送るとマクシムは言い、二人は海賊になった経緯やレースに参加した理由などを話しながら、イベントの余韻に浸る煌びやかな街中を歩いた。
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