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人と機械への信用
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間も無くして、慎の予想を現実のものにするかの如く、機械の獣達による猛攻が始まった。
「来ます!ハンドルを左へ!」
瑜那の合図と共に、再びハンドルを切る慎。そして同じくアシストの為に、ワイヤーを張り車体の向きを調整する少年達。
しかし、相手もわざわざ一体ずつ襲うなどという律儀なことをする筈もなく、畳み掛けるように飛びかかる。
「次は右へ!」
「なっなぁ、どうして彼は次に攻撃してくる位置が分かるんだ?」
慎の疑問も最もな話だった。何故瑜那は機械の獣が飛び掛かってくる位置が正確に読み取れるのか。無論、戦闘経験による実績からくるものもあるのだろうが、それ以上に彼には相手の動きをある程度予測できる、とあるスキルがあった。
それは彼が元いた世界の能力とは別で、こちらの世界へやって来てから身につけた技術なのだそうだ。それを語ったのは瑜那本人ではなく、忙しそうにする彼に代わり、手の空いた朱影だった。
「こいつぁこっちに来てからハッキングを身につけてな。相手が機械であれば尚更のことだ」
「ハッキング!?じゃぁそれで追っていてる奴らを止められるんじゃッ・・・!」
ハッキングと聞けば、当然そこに行き着くだろう。今、現実世界に起きている事件のように、車やドローンをハッキングし操縦権限を奪い、悪さをすることは珍しくない。寧ろ、犯罪の傾向はそちらに変わりつつある。
だが、慎のように素人でも思いつくようなことを、瑜那が試みていない筈がなかった。彼の技術を持ってしても、追手の機械獣を手懐けるには至らなかったのか。或いは、彼の技術や知識が相手のシステムを制御する域に達していなかったのか。
「当然試みました。しかし、肝心の制御システムへはアクセス出来ませんでした。恐らく何かしらの防御システムが組まれているか、アクセスキーが必要なのかもしれません!」
「ちょっと待て。それじゃぁこの世界で起きてるハッキングは何故出来ているんだ?ドローンや車、スマホにICカードなんかも守られていない訳じゃないだろ?」
「単純なことですよ。ハッキングや外部からのアクセスを監視するシステムを、そもそもハッキングして手中に収たり、偽造工作を別の段階で組み込んでいるのではないでしょうか」
要するに、機械の制御が正しく行われているかを確認するシステムそのものを誤魔化しているということだろうか。だが、VRや電子マネー、ドローン技術やホログラムなど、これ程の技術レベルを持ち合わせていながら、そんな単純なことに気づけない訳がないのではなかろうか。
「気づかれないものなのか?」
慎の疑問に、瑜那は少し頭を傾げながら口角を僅かに上げた。
「僕にはそれが疑問でなりませんね。この世界の方々は、機械の提示する情報や数字を信じ過ぎなのでは?」
当たり前になり過ぎて、疑問に思うこともなかった。機械が計算し導き出した数字や情報は、人の扱うものよりも信用度が高いと思っていたのだ。
実際その通りであり、人が扱う情報には嘘や偽りが隠れている場合が多い。それが善意であれ悪意であれ、正確な情報や数値ではなくなってしまうことが増えた為、人は絶対的な信用を得る為に機械に頼るようになった。
結果、それを掌握しようとする技術が発展してしまい、ハッキングやシステム関連の界隈が様々な意味で盛んになった。
全く内部に関係のない慎のような一般人にとっては、PCやスマホ等、日常に密接に関わってくる機械を何の疑いもなく使っている。そこに潜む危険性について考えることなど、それこそ身をもって知らなければ、誰も考えることすらないだろう。
「来ます!ハンドルを左へ!」
瑜那の合図と共に、再びハンドルを切る慎。そして同じくアシストの為に、ワイヤーを張り車体の向きを調整する少年達。
しかし、相手もわざわざ一体ずつ襲うなどという律儀なことをする筈もなく、畳み掛けるように飛びかかる。
「次は右へ!」
「なっなぁ、どうして彼は次に攻撃してくる位置が分かるんだ?」
慎の疑問も最もな話だった。何故瑜那は機械の獣が飛び掛かってくる位置が正確に読み取れるのか。無論、戦闘経験による実績からくるものもあるのだろうが、それ以上に彼には相手の動きをある程度予測できる、とあるスキルがあった。
それは彼が元いた世界の能力とは別で、こちらの世界へやって来てから身につけた技術なのだそうだ。それを語ったのは瑜那本人ではなく、忙しそうにする彼に代わり、手の空いた朱影だった。
「こいつぁこっちに来てからハッキングを身につけてな。相手が機械であれば尚更のことだ」
「ハッキング!?じゃぁそれで追っていてる奴らを止められるんじゃッ・・・!」
ハッキングと聞けば、当然そこに行き着くだろう。今、現実世界に起きている事件のように、車やドローンをハッキングし操縦権限を奪い、悪さをすることは珍しくない。寧ろ、犯罪の傾向はそちらに変わりつつある。
だが、慎のように素人でも思いつくようなことを、瑜那が試みていない筈がなかった。彼の技術を持ってしても、追手の機械獣を手懐けるには至らなかったのか。或いは、彼の技術や知識が相手のシステムを制御する域に達していなかったのか。
「当然試みました。しかし、肝心の制御システムへはアクセス出来ませんでした。恐らく何かしらの防御システムが組まれているか、アクセスキーが必要なのかもしれません!」
「ちょっと待て。それじゃぁこの世界で起きてるハッキングは何故出来ているんだ?ドローンや車、スマホにICカードなんかも守られていない訳じゃないだろ?」
「単純なことですよ。ハッキングや外部からのアクセスを監視するシステムを、そもそもハッキングして手中に収たり、偽造工作を別の段階で組み込んでいるのではないでしょうか」
要するに、機械の制御が正しく行われているかを確認するシステムそのものを誤魔化しているということだろうか。だが、VRや電子マネー、ドローン技術やホログラムなど、これ程の技術レベルを持ち合わせていながら、そんな単純なことに気づけない訳がないのではなかろうか。
「気づかれないものなのか?」
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