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深い深い地の底へ
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実験体となっている植物の容器へ薬品を投与する研究員の姿を観察し、隙を見てシンの影のスキルを用いた誤操作を装うことを提案し、一行は研究員の動きに集中する。
そして研究員が何らかの薬品を投与するつまみを回したところを目にすると、その研究員が離れた直後にシンが影を使い、つまみを回して数値を弄る。
暫くすると、植物の入った容器の中が曇りだし警告音のようなものが鳴り始める。
「よし、今だ!」
容器と繋がる機材が警告音のようなものを鳴らし出したと同時に、シンは警報装置を起動させる。
既に身を隠していたツクヨ達の元へ合流しようとしたシンに、直接耳元で囁かれるような声が届く。それはある危険を察知したエルフ族によるものだった。
「気をつけて!今ので部屋に魔力を探知する結界が張られました!」
「ッ!?」
危うく影の中へ身を隠しツクヨの元へ移動しようとしていたシンは、慌ててスキルを中断する。どうやら彼らが危惧していた防衛システムは、ダマスクが覚えていた施設の時よりもアップグレードされていたようだった。
当初の目論見では、部屋がロックされるくらいのものだと思われていたが、実際は扉のロックに加え、部屋の外と中を行き来する魔力反応を探知する防衛システムが加えられていた。
これにより、警報装置を起動させに行ったシンは、一時的にではあるが部屋の中に閉じ込められてしまう事態に陥る。だが幸い、彼のクラスであるアサシンは隠密に優れたパッシブスキルを保有している為、身を隠す事に関してこれ以上ない程の力を発揮した。
音のない移動や、獣の力によってブーストされた気配を消すというパッシブスキルにより、まるで空気となったシンの存在を確認できる研究員などいなかった。
「おい、何事だ!?」
「実験体に異常が出ている。薬の過剰投与の反応だ。担当していた者は誰だ?」
警報が鳴らされた部屋の中では、シン達の目論見通りちょっとした騒ぎになっていた。最初に対象となった実験体の機材を弄っていた研究員の男が呼び出され、数人の研究員がモニターの前で警報の原因となった薬物の過剰投与について話している。
彼らの目が集中している間に、別のモニターが見える位置へと移動するシン。実験を行う部屋と言うこともあり、照明が制限されていることが相まって薄暗い部屋にモニターの光が溢れる。
人の最も離れたモニターの元へとやって来たシンは、隙を見て大胆にも真正面からモニターに映し出された警報箇所を記した施設内マップを確認する。するとそこには、一見では分からなかった施設の全貌が見えてきた。
「こっ・・・これはッ・・・!」
時を同じくして、別のモニターでシンの見たものと同じものを見ていたツクヨや別働隊のアズール達もまた、その施設の構造に驚きの表情を浮かべる。
「ねぇ、エルフの人達。これって・・・」
「見てみろ、エイリル・・・まただ。どうやら連中はよっぽど薄暗いところが好きらしい」
「道徳心を欠いた事をやっている自覚はあるようだな。だが、これはどこまで続いているんだ・・・?」
各々が目にしているモニター内のマップには、一階の長い通路から続く果てしない“地下“への道を目撃していた。
だがそこに映し出されている地下への道は、他の通路などとは違い真っ逆さまに空いた大穴のように直角に伸びていたのだ。
「階段じゃないね・・・。エレベーター?いや、この世界ではリフトとかになるのかな?それともまた、移動ポータルとかって言う魔法の装置?」
研究員の姿で堂々とモニターを確認するアズールとエイリルもまた、地下へ続く異様な長さの穴を見つめていた。
「随分と長い大穴だな。降りるとしても一筋縄ではいかなそうだが・・・」
「これだけ長いものとなると、ポータルや転移といった魔力を用いたものではなさそうだな・・・。そういえば奴らは、彼の地であるアークシティとも関連しているような話があったな。ならこれは科学の技術力によるものと考えるのが妥当ではないか?アズールよ」
エイリルの言う通り、彼らが施設のある場所へとやって来た、転移ポータルのようなものであれば、わざわざマップに長い奈落への道のりを表示させるのはおかしい。
アークシティはWoFの世界でも最先端の技術力を有していると言われている。そこと繋がりがあるとするならば、その技術力を用いて非人道的な研究を行う為の施設を作ることも想像できると言うもの。
そして彼らの目にしたマップに映る地下には、森で行方不明になった獣人やエルフ族、そして人間やオルレラのような子供達が被検体として扱われる凄惨な研究所があるに違いない。
そして研究員が何らかの薬品を投与するつまみを回したところを目にすると、その研究員が離れた直後にシンが影を使い、つまみを回して数値を弄る。
暫くすると、植物の入った容器の中が曇りだし警告音のようなものが鳴り始める。
「よし、今だ!」
容器と繋がる機材が警告音のようなものを鳴らし出したと同時に、シンは警報装置を起動させる。
既に身を隠していたツクヨ達の元へ合流しようとしたシンに、直接耳元で囁かれるような声が届く。それはある危険を察知したエルフ族によるものだった。
「気をつけて!今ので部屋に魔力を探知する結界が張られました!」
「ッ!?」
危うく影の中へ身を隠しツクヨの元へ移動しようとしていたシンは、慌ててスキルを中断する。どうやら彼らが危惧していた防衛システムは、ダマスクが覚えていた施設の時よりもアップグレードされていたようだった。
当初の目論見では、部屋がロックされるくらいのものだと思われていたが、実際は扉のロックに加え、部屋の外と中を行き来する魔力反応を探知する防衛システムが加えられていた。
これにより、警報装置を起動させに行ったシンは、一時的にではあるが部屋の中に閉じ込められてしまう事態に陥る。だが幸い、彼のクラスであるアサシンは隠密に優れたパッシブスキルを保有している為、身を隠す事に関してこれ以上ない程の力を発揮した。
音のない移動や、獣の力によってブーストされた気配を消すというパッシブスキルにより、まるで空気となったシンの存在を確認できる研究員などいなかった。
「おい、何事だ!?」
「実験体に異常が出ている。薬の過剰投与の反応だ。担当していた者は誰だ?」
警報が鳴らされた部屋の中では、シン達の目論見通りちょっとした騒ぎになっていた。最初に対象となった実験体の機材を弄っていた研究員の男が呼び出され、数人の研究員がモニターの前で警報の原因となった薬物の過剰投与について話している。
彼らの目が集中している間に、別のモニターが見える位置へと移動するシン。実験を行う部屋と言うこともあり、照明が制限されていることが相まって薄暗い部屋にモニターの光が溢れる。
人の最も離れたモニターの元へとやって来たシンは、隙を見て大胆にも真正面からモニターに映し出された警報箇所を記した施設内マップを確認する。するとそこには、一見では分からなかった施設の全貌が見えてきた。
「こっ・・・これはッ・・・!」
時を同じくして、別のモニターでシンの見たものと同じものを見ていたツクヨや別働隊のアズール達もまた、その施設の構造に驚きの表情を浮かべる。
「ねぇ、エルフの人達。これって・・・」
「見てみろ、エイリル・・・まただ。どうやら連中はよっぽど薄暗いところが好きらしい」
「道徳心を欠いた事をやっている自覚はあるようだな。だが、これはどこまで続いているんだ・・・?」
各々が目にしているモニター内のマップには、一階の長い通路から続く果てしない“地下“への道を目撃していた。
だがそこに映し出されている地下への道は、他の通路などとは違い真っ逆さまに空いた大穴のように直角に伸びていたのだ。
「階段じゃないね・・・。エレベーター?いや、この世界ではリフトとかになるのかな?それともまた、移動ポータルとかって言う魔法の装置?」
研究員の姿で堂々とモニターを確認するアズールとエイリルもまた、地下へ続く異様な長さの穴を見つめていた。
「随分と長い大穴だな。降りるとしても一筋縄ではいかなそうだが・・・」
「これだけ長いものとなると、ポータルや転移といった魔力を用いたものではなさそうだな・・・。そういえば奴らは、彼の地であるアークシティとも関連しているような話があったな。ならこれは科学の技術力によるものと考えるのが妥当ではないか?アズールよ」
エイリルの言う通り、彼らが施設のある場所へとやって来た、転移ポータルのようなものであれば、わざわざマップに長い奈落への道のりを表示させるのはおかしい。
アークシティはWoFの世界でも最先端の技術力を有していると言われている。そこと繋がりがあるとするならば、その技術力を用いて非人道的な研究を行う為の施設を作ることも想像できると言うもの。
そして彼らの目にしたマップに映る地下には、森で行方不明になった獣人やエルフ族、そして人間やオルレラのような子供達が被検体として扱われる凄惨な研究所があるに違いない。
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