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花の中にいたもの
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最初のポイントでの採取を終え、次の花がある場所へと向かったシン達一行は、そこで想像もしていなかった驚くべきものを発見する。
元々採取クエストを遂行する部隊は、リナムルの街からそれ程離れた場所へは向かわないことになっている。なので、二箇所目のポイントといえど徒歩で移動できる範囲内であった。
そこに何故“彼“が倒れていたのか。そして何故“彼“だけがあの場から帰って来ることが出来たのか。それは誰にも知ることの出来ない、リナムルで起きた最後の不可解な事件として、彼らの記憶の中に刻まれた。
「街のすぐ側にこんなところがあったんですね!」
一行がエルフに案内されながら、獣人族の鼻で匂いを辿っていくと、そこには草木に隠されるようにして可憐に咲く、色鮮やかな花々が小じんまりと集まっていた。
「まるで誰かが育ててたみたいな咲き方だな」
「えぇ、ここは私達が人目につかぬように密かに育てていた花々です」
幻術の類の一つだろうか。そこへ辿り着くには、妖精族のエルフと共に向かわねば辿り着けない秘密の場所なのだと彼女は語った。
「え・・・。でも俺達は花を摘みに来たんだぞ?良いのか?折角育てていた花を摘んでしまっても・・・」
「構いませんとも。この子達も、誰かの心の支えや癒しになった方が咲いた甲斐があるというものです。それに、私達も大きな理由があって育てていた訳でもありませんし。・・・おや?これは何かしら?」
ふと、妖精のエルフがヒラヒラと飛びながら花の方へ向かうと、どうやら花に隠れるようにして何かが中に紛れていたようだ。
小さな手でそっと花を押し退けると、何とそこから見えたのは人間の腕だったのだ。最初にそれを目にしたエルフはあまりの衝撃に卒倒して、花々の上に落ちてしまった。
「おいおい!どうした、大丈夫か!?」
「一体何があったんです?」
シンと研究員の男が、エルフの様子を見て慌てて歩み寄る。花の上に落ちたエルフを研究員の男がそっと両手で掬い上げて救助すると、シンはそのエルフが花の中で何を見たのか。
息を呑んで花を手で掻き分けると、そこには何処となくシンが見覚えのある人物の腕が見えた。
「人だ!人が倒れてる・・・」
「人だってぇ?そんな匂い、俺ぁ感じなかったぜ!?」
説明はされなかったが、恐らくそれも妖精のエルフ達が仕掛けたカラクリの一つなのだろう。他の種族を信用していなかったのは、エルフ族も同じだったのだ。
急ぎ花を掻き分けて、一体何者がそこに倒れているのかを確認するシン。花をクッションにし、まるで守られるように包まれていたのは、ガレウスやケツァルらと共に惨劇の場に残ったはずのダラーヒムだったのだ。
「ダ・・・ダラーヒム!?無事だったのか!?」
「おい落ち着けや!まだ無事って状態じゃぁねぇだろ!まずはそこから引き摺り出せ!」
後方で一行の様子を見守っていた獣人の男が、動揺する一行に適切な指示を出し、ダラーヒムを花の中から引き摺り出すと手持ちの回復薬を使い、彼の目覚めるのを待った。
「おめぇらは花を摘んでおけ。コイツぁ俺とシンで診ておくからよぉ!」
「わっ分かりました!」
研究員の男に花を摘ませている間、シンと獣人の男は彼がどうやってここまでやって来たのか。他のガレウスやケツァル達が見つからないのに、何故彼だけがこうして現れたのかについて話し合っていた。
「だがこうして、盟友の内の一人が見つかったってことは他の連中も何処かにいるってことか?」
「どうだろうな・・・。あまり期待をもたせるようなことは言えない」
「何だってんだよ!?いいじゃねぇか、可能性が高まったことには変わりねぇだろ?」
獣人が言っていることに間違いはない。同じ境遇にあった者達の中で、こうして肉体が見つかったということは他の者達も見つかる可能性は大いにあるだろう。
しかし、シンが素直にそれを受け入れられないのには、ある理由があった。それは、研究所の地下でシンとツクヨを襲った黒いコートの人物が言っていた言葉を聞いていたからだった。
元々採取クエストを遂行する部隊は、リナムルの街からそれ程離れた場所へは向かわないことになっている。なので、二箇所目のポイントといえど徒歩で移動できる範囲内であった。
そこに何故“彼“が倒れていたのか。そして何故“彼“だけがあの場から帰って来ることが出来たのか。それは誰にも知ることの出来ない、リナムルで起きた最後の不可解な事件として、彼らの記憶の中に刻まれた。
「街のすぐ側にこんなところがあったんですね!」
一行がエルフに案内されながら、獣人族の鼻で匂いを辿っていくと、そこには草木に隠されるようにして可憐に咲く、色鮮やかな花々が小じんまりと集まっていた。
「まるで誰かが育ててたみたいな咲き方だな」
「えぇ、ここは私達が人目につかぬように密かに育てていた花々です」
幻術の類の一つだろうか。そこへ辿り着くには、妖精族のエルフと共に向かわねば辿り着けない秘密の場所なのだと彼女は語った。
「え・・・。でも俺達は花を摘みに来たんだぞ?良いのか?折角育てていた花を摘んでしまっても・・・」
「構いませんとも。この子達も、誰かの心の支えや癒しになった方が咲いた甲斐があるというものです。それに、私達も大きな理由があって育てていた訳でもありませんし。・・・おや?これは何かしら?」
ふと、妖精のエルフがヒラヒラと飛びながら花の方へ向かうと、どうやら花に隠れるようにして何かが中に紛れていたようだ。
小さな手でそっと花を押し退けると、何とそこから見えたのは人間の腕だったのだ。最初にそれを目にしたエルフはあまりの衝撃に卒倒して、花々の上に落ちてしまった。
「おいおい!どうした、大丈夫か!?」
「一体何があったんです?」
シンと研究員の男が、エルフの様子を見て慌てて歩み寄る。花の上に落ちたエルフを研究員の男がそっと両手で掬い上げて救助すると、シンはそのエルフが花の中で何を見たのか。
息を呑んで花を手で掻き分けると、そこには何処となくシンが見覚えのある人物の腕が見えた。
「人だ!人が倒れてる・・・」
「人だってぇ?そんな匂い、俺ぁ感じなかったぜ!?」
説明はされなかったが、恐らくそれも妖精のエルフ達が仕掛けたカラクリの一つなのだろう。他の種族を信用していなかったのは、エルフ族も同じだったのだ。
急ぎ花を掻き分けて、一体何者がそこに倒れているのかを確認するシン。花をクッションにし、まるで守られるように包まれていたのは、ガレウスやケツァルらと共に惨劇の場に残ったはずのダラーヒムだったのだ。
「ダ・・・ダラーヒム!?無事だったのか!?」
「おい落ち着けや!まだ無事って状態じゃぁねぇだろ!まずはそこから引き摺り出せ!」
後方で一行の様子を見守っていた獣人の男が、動揺する一行に適切な指示を出し、ダラーヒムを花の中から引き摺り出すと手持ちの回復薬を使い、彼の目覚めるのを待った。
「おめぇらは花を摘んでおけ。コイツぁ俺とシンで診ておくからよぉ!」
「わっ分かりました!」
研究員の男に花を摘ませている間、シンと獣人の男は彼がどうやってここまでやって来たのか。他のガレウスやケツァル達が見つからないのに、何故彼だけがこうして現れたのかについて話し合っていた。
「だがこうして、盟友の内の一人が見つかったってことは他の連中も何処かにいるってことか?」
「どうだろうな・・・。あまり期待をもたせるようなことは言えない」
「何だってんだよ!?いいじゃねぇか、可能性が高まったことには変わりねぇだろ?」
獣人が言っていることに間違いはない。同じ境遇にあった者達の中で、こうして肉体が見つかったということは他の者達も見つかる可能性は大いにあるだろう。
しかし、シンが素直にそれを受け入れられないのには、ある理由があった。それは、研究所の地下でシンとツクヨを襲った黒いコートの人物が言っていた言葉を聞いていたからだった。
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