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合流と情報収集
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レオンはクリスを見つけると、彼に歩み寄って行きマティアスとフェリクスが何処へ向かったのか、何をしに向かったのかを尋ねる。
「なぁ、クリス」
「レっレオン・・・どうしたんだい?」
「お前、マティアス司祭達が何処に何しに行ったのか知らないか?」
「どうしてそんな事を?」
なかなか質問に答えようとしないクリスに苛立ってきたのか、レオンは一歩クリスの方へ歩み寄ると、高圧的に睨みを利かせて同じ質問を繰り返した。
「いいから答えろよ。何処に、何しに行ったんだ?」
「しっ知らないよ!僕も聞かされてない!ただ・・・あっちに行ったってことはVIPルームに行ったんじゃない・・・かな?それ以外、目ぼしいところはないと思うけど・・・」
「VIPルームって・・・。俺達でも簡単に入れないところじゃないか。フェリクス先生の様子がおかしかった。お前、何か知らないか?」
やはりマティアスとフェリクスが向かったのは、カール医師が予想した通りVIPルームとみて間違いなさそうだ。後はそこで彼らが何を話そうとしているかだが、それについてはクリスもマティアス司祭から何も聞かされていないようだった。
「分からないよ。司祭様はこのところ式典の準備で忙しそうにしていたし、僕も色々と手伝わされて大変だった・・・」
「何を手伝わされた?その中でフェリクス先生に関する事はなかったか?」
「どうかな・・・。直接フェリクス先生のところに何かを届けたり渡しに行くって事はなかったけど・・・」
どうやらこれ以上彼を問い詰めたところで、新しい情報は出てきそうになかった。大した情報は得られなかったが、二人はVIPルームへ向かった事はほぼ確定的と言ってもいいだろう。
「そうか。分かった、もう行っていいぞ」
「うっうん・・・」
急に引き止められ、訳のわからない質問を受けたクリスはやっと解放されたと言わんばかりに、そそくさとその場を離れていった。顎に手を当て、クリスの話を整理しながら一行の元へ戻ってきたレオン。そんな彼に、成果は得られたのかと問うカール。
「どうだったレオン。君の望む情報は得られたかい?」
「いえ全く・・・。どうやらVIPルームへ向かったのは確かなようですが、先生に関する情報は得られませんでした・・・」
「気にし過ぎだったのかもしれないね。なに、その内分かることさ。今は宴を楽しみなさいという神様の思し召しなのでしょう。私も知り合いに会ったら聞いてみましょう」
「ありがとうございます」
「それでは私もそろそろ・・・。まだ他に挨拶に伺っていない方々がいますので」
「引き止めてしまってすみませんでした。色々教えていただき感謝致します」
一行はカールに御礼を伝えると、彼とはそこで別れた。同時にレオンともそこで別れ、ツクヨ達は教団に関する情報を得たことで、ここでの目的を果たす。別行動となっていたシンとミアを探しながら会場を歩いていると、端の方にあるテーブルに二人の影と見知らぬ男の姿を見つける。
「おい、シン達だぜ!」
「でも、どなたかといらっしゃるようですが・・・」
「取り敢えず私達の目的は果たせたとだけ伝えにいこう。あの様子だと、向こうもルーカス司祭の依頼は果たせたのかな?」
三人が近づいていくと、彼らに気づいたミアがこちらに手を振ってきた。仕掛けたカメラからの音声に集中していたシンとケヴィンは、そんな彼女の行動で漸くツクヨ達の接近に気がつく。
「こんな端っこにいたんだね、探したよぉ・・・」
「カールさんとの“用事“は済ませてきたぜ!」
「あの・・・こちらの方は?」
見知らぬ第三者がいるところで、自分達の目的を明かさないようツバキが機転を効かせる。そしてアカリの質問へは、本人であるケヴィンが自己紹介を兼ねて答える。
自身が探偵である事と、ある事件の事に関してシン達と協力関係を結んだこととその経緯を。
「なに?俺達疑われてんのか?」
「あなた達というよりは、主にシンさんですけどね。彼のスキルは隠密に長けているようなので、失踪事件を実行するにはもってこいの能力だというだけです」
しかし、アルバで起きていたという失踪事件は、シン達のアルバ到着からとでは時系列が合わない。その事についてケヴィンに尋ねると、事前に協力者がいた可能性や、街での怪しい行動について突っ込まれてしまい、疑いを完全に晴らすことは出来なかった。
そこで事件の解決に協力してもらうことで、一行の身の潔白をケヴィン自身が証明することが出来ると、取引を持ちかけてきたのだ。シンとミアと協力する中で、情報を持っているであろうVIPルームにいるジークベルトにカメラを仕掛ける事に成功したケヴィン達は、教団の上層部や一部の者しか知らない事を耳にする。
「何だ、結局シン達も教団についての話は聞いてたって事かよ」
「別行動する意味、ありませんでしたね」
「ですが、あまり大人数で固まっていても身動きが取りづらくなってしまいますので、このままこちらの行動を見張れる位置でパーティーを楽しむお客を演じてもらえると助かります」
シンとミアも、ケヴィンのその案には賛成だった。必要とあらば協力し、それ以外では無関係を装うことで護衛や警備に目をつけられないようにするのが最善だろう。
また、盗聴や内部の様子を伺うのに集中しなければならないシン達は、他のことに関する情報を集められない。VIPルームで盗み聞いた重要な単語や言葉を調べる別働隊がいた方が効率もいい。
「分かった。私達は引き続き、会場で情報を集めてくるから、力が必要なら呼んで」
「まぁじっとしてるよりかは良いな」
「なるべく近くで待機しておきますので」
一行は合流を果たしたが、ケヴィンからの新たな依頼を受けたことにより、VIPルームを監視盗聴することで情報を得るチームと、仕入れた情報について会場の関係者に聞き込みを行うチームとに分かれる事となった。
シン達の元から離れたツクヨ達は、別の空いているテーブルに座り、彼らからの指示を待つ事にした。その間、料理や音楽の楽しんでいると、マティアスとフェリクスが消えていった廊下の方から、ツクヨとアカリが知る唯一の音楽家であり歌手である女性が現れた。
「なぁ、クリス」
「レっレオン・・・どうしたんだい?」
「お前、マティアス司祭達が何処に何しに行ったのか知らないか?」
「どうしてそんな事を?」
なかなか質問に答えようとしないクリスに苛立ってきたのか、レオンは一歩クリスの方へ歩み寄ると、高圧的に睨みを利かせて同じ質問を繰り返した。
「いいから答えろよ。何処に、何しに行ったんだ?」
「しっ知らないよ!僕も聞かされてない!ただ・・・あっちに行ったってことはVIPルームに行ったんじゃない・・・かな?それ以外、目ぼしいところはないと思うけど・・・」
「VIPルームって・・・。俺達でも簡単に入れないところじゃないか。フェリクス先生の様子がおかしかった。お前、何か知らないか?」
やはりマティアスとフェリクスが向かったのは、カール医師が予想した通りVIPルームとみて間違いなさそうだ。後はそこで彼らが何を話そうとしているかだが、それについてはクリスもマティアス司祭から何も聞かされていないようだった。
「分からないよ。司祭様はこのところ式典の準備で忙しそうにしていたし、僕も色々と手伝わされて大変だった・・・」
「何を手伝わされた?その中でフェリクス先生に関する事はなかったか?」
「どうかな・・・。直接フェリクス先生のところに何かを届けたり渡しに行くって事はなかったけど・・・」
どうやらこれ以上彼を問い詰めたところで、新しい情報は出てきそうになかった。大した情報は得られなかったが、二人はVIPルームへ向かった事はほぼ確定的と言ってもいいだろう。
「そうか。分かった、もう行っていいぞ」
「うっうん・・・」
急に引き止められ、訳のわからない質問を受けたクリスはやっと解放されたと言わんばかりに、そそくさとその場を離れていった。顎に手を当て、クリスの話を整理しながら一行の元へ戻ってきたレオン。そんな彼に、成果は得られたのかと問うカール。
「どうだったレオン。君の望む情報は得られたかい?」
「いえ全く・・・。どうやらVIPルームへ向かったのは確かなようですが、先生に関する情報は得られませんでした・・・」
「気にし過ぎだったのかもしれないね。なに、その内分かることさ。今は宴を楽しみなさいという神様の思し召しなのでしょう。私も知り合いに会ったら聞いてみましょう」
「ありがとうございます」
「それでは私もそろそろ・・・。まだ他に挨拶に伺っていない方々がいますので」
「引き止めてしまってすみませんでした。色々教えていただき感謝致します」
一行はカールに御礼を伝えると、彼とはそこで別れた。同時にレオンともそこで別れ、ツクヨ達は教団に関する情報を得たことで、ここでの目的を果たす。別行動となっていたシンとミアを探しながら会場を歩いていると、端の方にあるテーブルに二人の影と見知らぬ男の姿を見つける。
「おい、シン達だぜ!」
「でも、どなたかといらっしゃるようですが・・・」
「取り敢えず私達の目的は果たせたとだけ伝えにいこう。あの様子だと、向こうもルーカス司祭の依頼は果たせたのかな?」
三人が近づいていくと、彼らに気づいたミアがこちらに手を振ってきた。仕掛けたカメラからの音声に集中していたシンとケヴィンは、そんな彼女の行動で漸くツクヨ達の接近に気がつく。
「こんな端っこにいたんだね、探したよぉ・・・」
「カールさんとの“用事“は済ませてきたぜ!」
「あの・・・こちらの方は?」
見知らぬ第三者がいるところで、自分達の目的を明かさないようツバキが機転を効かせる。そしてアカリの質問へは、本人であるケヴィンが自己紹介を兼ねて答える。
自身が探偵である事と、ある事件の事に関してシン達と協力関係を結んだこととその経緯を。
「なに?俺達疑われてんのか?」
「あなた達というよりは、主にシンさんですけどね。彼のスキルは隠密に長けているようなので、失踪事件を実行するにはもってこいの能力だというだけです」
しかし、アルバで起きていたという失踪事件は、シン達のアルバ到着からとでは時系列が合わない。その事についてケヴィンに尋ねると、事前に協力者がいた可能性や、街での怪しい行動について突っ込まれてしまい、疑いを完全に晴らすことは出来なかった。
そこで事件の解決に協力してもらうことで、一行の身の潔白をケヴィン自身が証明することが出来ると、取引を持ちかけてきたのだ。シンとミアと協力する中で、情報を持っているであろうVIPルームにいるジークベルトにカメラを仕掛ける事に成功したケヴィン達は、教団の上層部や一部の者しか知らない事を耳にする。
「何だ、結局シン達も教団についての話は聞いてたって事かよ」
「別行動する意味、ありませんでしたね」
「ですが、あまり大人数で固まっていても身動きが取りづらくなってしまいますので、このままこちらの行動を見張れる位置でパーティーを楽しむお客を演じてもらえると助かります」
シンとミアも、ケヴィンのその案には賛成だった。必要とあらば協力し、それ以外では無関係を装うことで護衛や警備に目をつけられないようにするのが最善だろう。
また、盗聴や内部の様子を伺うのに集中しなければならないシン達は、他のことに関する情報を集められない。VIPルームで盗み聞いた重要な単語や言葉を調べる別働隊がいた方が効率もいい。
「分かった。私達は引き続き、会場で情報を集めてくるから、力が必要なら呼んで」
「まぁじっとしてるよりかは良いな」
「なるべく近くで待機しておきますので」
一行は合流を果たしたが、ケヴィンからの新たな依頼を受けたことにより、VIPルームを監視盗聴することで情報を得るチームと、仕入れた情報について会場の関係者に聞き込みを行うチームとに分かれる事となった。
シン達の元から離れたツクヨ達は、別の空いているテーブルに座り、彼らからの指示を待つ事にした。その間、料理や音楽の楽しんでいると、マティアスとフェリクスが消えていった廊下の方から、ツクヨとアカリが知る唯一の音楽家であり歌手である女性が現れた。
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