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探偵の小細工
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ケヴィンの我儘に、オイゲンも調査状況を確認するついでと中の様子を見てもいいかという許可を取りに、先に一人でベルヘルムの部屋の前にいる護衛と話をつけ行く。
現場検証はほぼほぼ完了したようで、あとは随時鑑識の結果を待つだけになったのだそうだ。ベルヘルムの遺体も既に運ばれているようで、そこでも検死が行われているのだと護衛は語った。
「と、の事のようだ。既に色々と持ち出されてしまっているようだが、それでもいいか?」
「えぇ。そちらの方はプロの方々にお任せします。私が見たいのは、あくまで犯行現場なのですから」
許可が取れたことにより、オイゲンと共にベルヘルムの宿泊していた部屋へと入るケヴィン。中にはベルヘルムの護衛であるドミニクと、気の強そうなスーツ姿の女が警備隊と会話をしていた。
二人の姿を視界に捉えるや否や、そのスーツ姿の女はそれまで一緒にいた警備隊との会話を中断して、オイゲンの元へと歩みを進める。
「オイゲンさん!これは貴方の指示よね!?部屋で大人しくしていろと言われたからその通りにしていたのに、これがその結果なの!?お望み通りになったのかしら?」
「何か勘違いされているようだが、これは我々にとっても不測の事態だった。決してこのようなことになる事を予知していたり、ましてや計画していたなどということは断じてない。この命に誓って」
「教団の従者はみんな同じことを言うわ。言葉巧みに人を騙すのは、貴方達信者の得意技ですもんね」
強い言葉を浴びせる女に、流石のオイゲンも聞き捨てならないと顔を顰めて反論する。
「口を慎みたまえよ、“エルネスタ“。主人を手に掛けられ気が立っているのは分かるが、他者への侮辱が許される道理にはならないぞ?」
「減らず口をッ・・・!二日も経っているのに犯人の手掛かりも掴めていない者達がよく言うわ。分かったわ、さっきの失言は取り消します。でもこれで私達が犯人ではないと分かったのではなくて?わざわざこんな所にまで来て、自分の主人をその手に掛けるとでも?」
オイゲンに“エルネスタ“と呼ばれた女。彼女はベルヘルムの護衛の一人だったらしく、ドミニクと共に現場に残り聴取を受けていたようだ。そして彼女の言い分も最もだった。
ベルヘルムの殺害を企てていたのなら、わざわざアルバに来てまで行うのかと言われればかなり疑問に感じる部分はある。それこそ、アルバへ向かう途中で事故を装い殺してしまった方が、より怪しまれることも証拠や面倒ごとに巻き込まれることもない筈だ。
「君達の言い分も分かるが、はっきりとした事が分かるまでは、まだ大人しくしていてもらいたい。出来るだけ君達の無実の証明と解放に努めると約束しよう」
「構わないわ、オイゲンさん。教団の方々には何も期待していないもの。それよりもそちらの方の方が、よっぽど事件解決に努めてくれそうだわ」
そういってエルネスタはケヴィンの方を覗き込んだ。肝心のケヴィンは既に現場の様子を勝手に調べ始めていた。まず最初に確認していたのは、部屋に設けられていた通気口だった。
とても人が通ることなど出来ぬ大きさの通気口。一見して異常はないようだが、それでもケヴィンは中の様子を角度を変えながら何度も確認している。
許可を出す前から既に動き始めていたケヴィンに、大きなため息をついたオイゲンは何故通気口などを調べているのかについて尋ねる。彼はベルヘルムの遺体に外傷がない事と部屋が密室であり、更には護衛までいたことからも犯人は直接手を下したのではなく、事前に仕掛けを準備していた可能性が高いとして、部屋の外と繋がる通気口を調べているのだと最もらしいことを口にしていた。
だが実際に彼が確認していたのは、まだジークベルト大司教が殺害される前、彼とベルヘルムの繋がりを確認する為に忍ばせていたカメラの痕跡が残っていないかを確認する為だった。
「おい、鑑識が現場の調査を終えているからといって、下手に触ったり動かさないように」
身を乗り出して通気口の中を覗こうとするケヴィンに、注意喚起をするオイゲン。やたらと現場を掻き乱すと言う探偵の噂は、どうやら教団の中で噂になっていたようだった。
「分かってますって。それよりもオイゲン氏、少々ご相談なのですが・・・」
ケヴィンはそこで、オイゲンや他の警備隊、そしてベルヘルムの護衛の前でとある提案をする。それを聞いた一行は、何故彼が今更そんな提案をするのか疑問を抱いた。理由を問うと、魔力感知や肉眼では確認できないものによる犯行の可能性を確かめる為だということだが、何故“犯行後“の現場でそれを確かめるのかも謎だった。
「私達を疑っているの?」
「いえ、そういう訳ではありませんが、これはあなた方の無実を証明するためでもあります」
ケヴィンの発言に気を悪くしたのか、エルネスタが彼の真意を問うもケヴィンはどこか本当の理由を隠しているかのように上手く誤魔化そうとしている。だがケヴィンの提案は、些かベルヘルムの護衛達への配慮が欠けているとして、オイゲンはその提案に条件と制限を設けるとした。
それを聞いてケヴィンは、オイゲンの言葉に承諾しベルヘルムの護衛達もそれでケヴィンの提案を飲み込んだ。
現場検証はほぼほぼ完了したようで、あとは随時鑑識の結果を待つだけになったのだそうだ。ベルヘルムの遺体も既に運ばれているようで、そこでも検死が行われているのだと護衛は語った。
「と、の事のようだ。既に色々と持ち出されてしまっているようだが、それでもいいか?」
「えぇ。そちらの方はプロの方々にお任せします。私が見たいのは、あくまで犯行現場なのですから」
許可が取れたことにより、オイゲンと共にベルヘルムの宿泊していた部屋へと入るケヴィン。中にはベルヘルムの護衛であるドミニクと、気の強そうなスーツ姿の女が警備隊と会話をしていた。
二人の姿を視界に捉えるや否や、そのスーツ姿の女はそれまで一緒にいた警備隊との会話を中断して、オイゲンの元へと歩みを進める。
「オイゲンさん!これは貴方の指示よね!?部屋で大人しくしていろと言われたからその通りにしていたのに、これがその結果なの!?お望み通りになったのかしら?」
「何か勘違いされているようだが、これは我々にとっても不測の事態だった。決してこのようなことになる事を予知していたり、ましてや計画していたなどということは断じてない。この命に誓って」
「教団の従者はみんな同じことを言うわ。言葉巧みに人を騙すのは、貴方達信者の得意技ですもんね」
強い言葉を浴びせる女に、流石のオイゲンも聞き捨てならないと顔を顰めて反論する。
「口を慎みたまえよ、“エルネスタ“。主人を手に掛けられ気が立っているのは分かるが、他者への侮辱が許される道理にはならないぞ?」
「減らず口をッ・・・!二日も経っているのに犯人の手掛かりも掴めていない者達がよく言うわ。分かったわ、さっきの失言は取り消します。でもこれで私達が犯人ではないと分かったのではなくて?わざわざこんな所にまで来て、自分の主人をその手に掛けるとでも?」
オイゲンに“エルネスタ“と呼ばれた女。彼女はベルヘルムの護衛の一人だったらしく、ドミニクと共に現場に残り聴取を受けていたようだ。そして彼女の言い分も最もだった。
ベルヘルムの殺害を企てていたのなら、わざわざアルバに来てまで行うのかと言われればかなり疑問に感じる部分はある。それこそ、アルバへ向かう途中で事故を装い殺してしまった方が、より怪しまれることも証拠や面倒ごとに巻き込まれることもない筈だ。
「君達の言い分も分かるが、はっきりとした事が分かるまでは、まだ大人しくしていてもらいたい。出来るだけ君達の無実の証明と解放に努めると約束しよう」
「構わないわ、オイゲンさん。教団の方々には何も期待していないもの。それよりもそちらの方の方が、よっぽど事件解決に努めてくれそうだわ」
そういってエルネスタはケヴィンの方を覗き込んだ。肝心のケヴィンは既に現場の様子を勝手に調べ始めていた。まず最初に確認していたのは、部屋に設けられていた通気口だった。
とても人が通ることなど出来ぬ大きさの通気口。一見して異常はないようだが、それでもケヴィンは中の様子を角度を変えながら何度も確認している。
許可を出す前から既に動き始めていたケヴィンに、大きなため息をついたオイゲンは何故通気口などを調べているのかについて尋ねる。彼はベルヘルムの遺体に外傷がない事と部屋が密室であり、更には護衛までいたことからも犯人は直接手を下したのではなく、事前に仕掛けを準備していた可能性が高いとして、部屋の外と繋がる通気口を調べているのだと最もらしいことを口にしていた。
だが実際に彼が確認していたのは、まだジークベルト大司教が殺害される前、彼とベルヘルムの繋がりを確認する為に忍ばせていたカメラの痕跡が残っていないかを確認する為だった。
「おい、鑑識が現場の調査を終えているからといって、下手に触ったり動かさないように」
身を乗り出して通気口の中を覗こうとするケヴィンに、注意喚起をするオイゲン。やたらと現場を掻き乱すと言う探偵の噂は、どうやら教団の中で噂になっていたようだった。
「分かってますって。それよりもオイゲン氏、少々ご相談なのですが・・・」
ケヴィンはそこで、オイゲンや他の警備隊、そしてベルヘルムの護衛の前でとある提案をする。それを聞いた一行は、何故彼が今更そんな提案をするのか疑問を抱いた。理由を問うと、魔力感知や肉眼では確認できないものによる犯行の可能性を確かめる為だということだが、何故“犯行後“の現場でそれを確かめるのかも謎だった。
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