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秘密を隠したまま
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満足いくまでベルヘルムの部屋を調べ終えたケヴィン。彼を連れてオイゲンはベルヘルムの護衛達に別れを告げ、その場を後にした。本当ならばケヴィンにマティアスの遺体を見せ、死因について彼の考えを聞くだけの筈だったのだが、思わぬ時間を食ってしまったことで、既に昼食の時間を過ぎてしまっていた。
持っていた時計を確認したオイゲンは大きな溜め息を吐いて、直接その遅れの原因を作った本人に対し小言を漏らした。
「はぁ~・・・すっかりお昼を過ぎてしまった。予定では一時間も掛からないはずだったのだがな」
「そうですね・・・。私も驚きました」
物思いに耽りながらオイゲンの後を追うケヴィンは、話を聞いていたのかいないのかわからないような返答をする。オイゲンが彼の様子を確認しようと、ちらりと後ろを振り返る。すると彼は、手元にそれほど大きくないタブレットを取り出し、何かの写真や映像を仕切りに確認していた。
「それは?」
「え?あぁこれは・・・。そうですね、今となってはもう話しておいてもいいかもしれませんね」
「?」
そこでケヴィンは、式典が行われる以前からジークベルト大司教の事について調べていたことを明かした。主に動きていたのは式典の後、宮殿で開かれたパーティーからだった。
建物のあちこちのカメラにアクセスしたり、持参したカメラでパーティーの様子を撮影したり。時には会話を盗み聞く為に盗聴などもしていたことをオイゲンに明かした。
「お前ッ・・・そのようなことまで!?だがそれを明かしたということは、その映像や音声データを開示する意思があるということだな?」
「えぇ、それは勿論。ですが今確認しているのですが、事件の手掛かりになりそうなことは何も・・・」
そういってケヴィンはオイゲンに、自身の手にしていたタブレットを手渡した。
「他にはないんだろうな?」
「はい?」
「隠していることだ。これ以上隠し事があるのなら、今の内に全て明かしておけよ?後から出てきても、その時私が容認できるとは限らないんだからな」
「大丈夫ですよ。私自身の事に関して、貴方にお話しできることはこれで全てお話ししました。勿論、そちらのタブレットは全て調べていただいて構いませんよ」
隠し事をされていたこともあり、オイゲンはデータを抜き出して持っているのではないかと疑ったが、どうやら本当に持ち歩いている情報は、そのタブレットの内部にあるデータで全てであるようだった。
オイゲンは冗談で言っているのだと思ったが、部屋に戻り次第ケヴィンの荷物を改めると言い出した。余程彼の信用を損なってしまったらしい。それでオイゲンの気が晴れるのならと、ケヴィンは好きに調べてくれと言って彼の調査を承認した。
二人がシン達の宿泊している部屋へ戻ると、扉を開けた途端に美味しそうな香りが腹を空かせた二人の胃袋を刺激した。どうやら彼らは既に昼食をルームサービスで注文していたようだった。
「あらオイゲンさん。随分と遅かったのね」
「少し事情が変わってしまってな・・・」
この時オイゲンは、ケヴィンがマティアスに仮死状態になる薬を渡していたということをニノンには伏せていた。同じくケヴィンも、この件に関してはシン達にも話していない。
「お昼は?」
「摂っていない」
「じゃぁ済ませてきたら?私も食後でゆっくりしたいから、もう少し彼らと居るわ」
オイゲンはニノンの提案に乗っかり、罰の場所で昼食を済ませる事にした。その際、ケヴィンの持っていたタブレットを預かり、事件の解決に役立てるためデータをコピーさせてもらうと告げる。
ケヴィンもそれに対して渋る事なく承諾し、彼にタブレットを預けた。その様子を見ていたシンは、ケヴィンが宮殿に忍び込んだこともしゃべったのではないかと内心焦りを見せたが、それを悟ったケヴィンはシンに後で事情を説明するとだけ言い、余裕のある表情で答えた。
本来であればケヴィンのその様子だけで、上手くやっていることは分かるのだが、どうしても自身の身に迫る事となると、人は確証が取れるまで安心できる生き物ではないという事を、シンは身をもって体験した。
昼食を摂ると同時にケヴィンの持つデータをコピーしに部屋を後にしたオイゲンを、不気味な笑顔で送り出したケヴィンは、自分とは違う形で報告を受けたであろうベルヘルムの件についてシン達に尋ねる。
「さて、ベルヘルム氏の件はどのように?」
てっきりオイゲンから詳しく話を聞いているものだと思っていたシンは、疑問の表情と共に大した情報が入ってきていないことと、オイゲンと何を話していたのかについて質問をした。
「こっちは他の件と同じで、大した情報は入ってきていなかった。アンタこそオイゲンから詳しく聞いたんじゃなかったのか?」
「いえいえ、オイゲン氏とは別件での話でして・・・」
別件と聞き、先程の反応を思い出したシンは宮殿へ忍び込んだ事に関して、何かオイゲンに話したのではないかと尋ねるも、彼は自分自身のことだけしか話していないとし、シンには危害が及ぶことはないから安心してくれとだけ伝えた。
加えて、帰りにベルヘルムの部屋を訪れて少しだけ事件現場の様子を見てきたことをシンに話した。だがここでもケヴィンは、マティアス司祭の件を彼に話すつもりはなかったようだ。
持っていた時計を確認したオイゲンは大きな溜め息を吐いて、直接その遅れの原因を作った本人に対し小言を漏らした。
「はぁ~・・・すっかりお昼を過ぎてしまった。予定では一時間も掛からないはずだったのだがな」
「そうですね・・・。私も驚きました」
物思いに耽りながらオイゲンの後を追うケヴィンは、話を聞いていたのかいないのかわからないような返答をする。オイゲンが彼の様子を確認しようと、ちらりと後ろを振り返る。すると彼は、手元にそれほど大きくないタブレットを取り出し、何かの写真や映像を仕切りに確認していた。
「それは?」
「え?あぁこれは・・・。そうですね、今となってはもう話しておいてもいいかもしれませんね」
「?」
そこでケヴィンは、式典が行われる以前からジークベルト大司教の事について調べていたことを明かした。主に動きていたのは式典の後、宮殿で開かれたパーティーからだった。
建物のあちこちのカメラにアクセスしたり、持参したカメラでパーティーの様子を撮影したり。時には会話を盗み聞く為に盗聴などもしていたことをオイゲンに明かした。
「お前ッ・・・そのようなことまで!?だがそれを明かしたということは、その映像や音声データを開示する意思があるということだな?」
「えぇ、それは勿論。ですが今確認しているのですが、事件の手掛かりになりそうなことは何も・・・」
そういってケヴィンはオイゲンに、自身の手にしていたタブレットを手渡した。
「他にはないんだろうな?」
「はい?」
「隠していることだ。これ以上隠し事があるのなら、今の内に全て明かしておけよ?後から出てきても、その時私が容認できるとは限らないんだからな」
「大丈夫ですよ。私自身の事に関して、貴方にお話しできることはこれで全てお話ししました。勿論、そちらのタブレットは全て調べていただいて構いませんよ」
隠し事をされていたこともあり、オイゲンはデータを抜き出して持っているのではないかと疑ったが、どうやら本当に持ち歩いている情報は、そのタブレットの内部にあるデータで全てであるようだった。
オイゲンは冗談で言っているのだと思ったが、部屋に戻り次第ケヴィンの荷物を改めると言い出した。余程彼の信用を損なってしまったらしい。それでオイゲンの気が晴れるのならと、ケヴィンは好きに調べてくれと言って彼の調査を承認した。
二人がシン達の宿泊している部屋へ戻ると、扉を開けた途端に美味しそうな香りが腹を空かせた二人の胃袋を刺激した。どうやら彼らは既に昼食をルームサービスで注文していたようだった。
「あらオイゲンさん。随分と遅かったのね」
「少し事情が変わってしまってな・・・」
この時オイゲンは、ケヴィンがマティアスに仮死状態になる薬を渡していたということをニノンには伏せていた。同じくケヴィンも、この件に関してはシン達にも話していない。
「お昼は?」
「摂っていない」
「じゃぁ済ませてきたら?私も食後でゆっくりしたいから、もう少し彼らと居るわ」
オイゲンはニノンの提案に乗っかり、罰の場所で昼食を済ませる事にした。その際、ケヴィンの持っていたタブレットを預かり、事件の解決に役立てるためデータをコピーさせてもらうと告げる。
ケヴィンもそれに対して渋る事なく承諾し、彼にタブレットを預けた。その様子を見ていたシンは、ケヴィンが宮殿に忍び込んだこともしゃべったのではないかと内心焦りを見せたが、それを悟ったケヴィンはシンに後で事情を説明するとだけ言い、余裕のある表情で答えた。
本来であればケヴィンのその様子だけで、上手くやっていることは分かるのだが、どうしても自身の身に迫る事となると、人は確証が取れるまで安心できる生き物ではないという事を、シンは身をもって体験した。
昼食を摂ると同時にケヴィンの持つデータをコピーしに部屋を後にしたオイゲンを、不気味な笑顔で送り出したケヴィンは、自分とは違う形で報告を受けたであろうベルヘルムの件についてシン達に尋ねる。
「さて、ベルヘルム氏の件はどのように?」
てっきりオイゲンから詳しく話を聞いているものだと思っていたシンは、疑問の表情と共に大した情報が入ってきていないことと、オイゲンと何を話していたのかについて質問をした。
「こっちは他の件と同じで、大した情報は入ってきていなかった。アンタこそオイゲンから詳しく聞いたんじゃなかったのか?」
「いえいえ、オイゲン氏とは別件での話でして・・・」
別件と聞き、先程の反応を思い出したシンは宮殿へ忍び込んだ事に関して、何かオイゲンに話したのではないかと尋ねるも、彼は自分自身のことだけしか話していないとし、シンには危害が及ぶことはないから安心してくれとだけ伝えた。
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