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神代 コウ

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犯人像

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 前もって宮殿の外へカメラを向かわせていたケヴィンだったが、カメラは街に到着するよりも前に不具合を起こし、これ以上街に近づけると故障し証拠が残ってしまうと判断した彼は、カメラを宮殿へ引き返させたのだと言う。

 「不具合?ただのカメラの故障ではないのか?」

 「まさか。アークシティ産の機械は最新鋭の技術が組み込まれているんですよ?こんなことで故障するようなことはありません。それは私が今まで使ってきたからこそ証明できます」

 「原因は分からないのか?」

 引き返させたカメラを回収したケヴィンは、シンが質問したように原因の解明に努めたがようだが、故障といった様子はなく、詳しく調べる為に機械に詳しいツバキにカメラを提供し内部構造の確認をさせていたのだという。

 何食わぬ顔で子供のツバキの興味を引き、その知識と技術を誰にも悟られることなく利用していたのかと、シンは内心ケヴィンの思惑と行動にゾッとしていた。

 自分も彼によって上手いこと利用されていたのだろうかと過去を思い返すが、それは本人にしか分からないことで、どの行動がケヴィンにいとって有益だったのかをシンが知ることはない。

 「ですが、ツバキくんが故障を訴えることもなかったので、その線は無くなります。と、なると・・・」

 「なんだ?心当たりがあるのなら初めから話せ!時間がないんだ」

 「えぇ、すみません。突拍子もないことで証拠も何もないのですが、何者かが宮殿の周りに特定の機器の機能を妨害する電磁波のようなものを発生させているのではないかと・・・」

 これまで様々な者達が犯人に繋がる考察を挙げてきたが、その中でも全く挙がらなかった電磁波という単語に、シンもニノンもあまりピンと来ていない様子だった。

 「電磁波?なんでそう思うんだ?」

 「だって、そうとしか考えられないじゃないですか。宮殿とその周辺には魔力を検知する結界やら生き物の気配を検知するスキルやらで、生物の動きや魔力を帯びたものの侵入を常時チェックしていた筈です。ですよね?ニノンさん」

 ケヴィンの問いにニノンは黙って頷いた。教団の護衛によって侵入者や外部か荒野攻撃に対しての防衛はなされていた。言わばそれは、宮殿内の者達を守る結界のようなものでもあった。

 故に宮殿の中からも外からも干渉は出来ず、ケヴィンの持ち込んだカメラのような、肉眼で確認できる非生物でしか、誰にも気づかれずに宮殿の外の様子に触れることは出来ないのだ。

 「我々が宮殿の“中“に気を取られている内に、犯人は外で機械に対する対策までもしていたと言うことだと思います。要するに・・・」

 ケヴィンの話をまとめると、犯人の人物像が大分絞られてくる。犯人は宮殿の中の様子も外の様子も把握していた。そしてケヴィンの持つカメラのように、生物や魔力以外の対策についても事前に考慮していた。

 「犯人は宮殿を出入りする事ができた。或いは出入りできる人物と通じていた。そして宮殿の中ならまだしも、何故宮殿の外にまで機器に対する対策をしていたのか・・・」

 導くように項目を並べ連ねていくケヴィンに、新たに発覚した情報について気がついたニノンが口を開く。

 「犯人はこのカメラの存在を知っていた?」

 明言こそしなかったものの、ケヴィンはその線で考察を進めているようだ。宮殿内で犯行に及んでいたにも関わらず、何故宮殿の外でカメラによる撮影を危惧しているような行動を取ったのか。

 そもそも何故危惧できたのか。それはアークシティ産のカメラがアルバにあるということを知っていなければ、そしてカメラについての知識がなければそこまでの考えに行きつかないのではないかとケヴィンは語った。

 「カメラの話から随分と犯人像が絞れてきたものだな。是非それをオイゲンにも教えてやってくれ」

 「えぇ、勿論です。ただ私としても機器に対する対策についてもっと知りたいと思っています。それさえなんとかできれば、私も遠隔で皆さんのサポートができると思いますので。そこでニノン氏の同行者として推薦したい人物がいるのですが・・・」

 大司教の護衛に選ばれた者達であるが故に、それなりに戦闘能力を持っているであろう人物達が、宮殿の外で何人も姿を消している。全員が殺されたとは断定できないが、不意を突かれたにしろ単純に戦闘力で打ち負かしたにしろ、、それほど危険な最前線にケヴィンが推薦する人物。

 それは如何なる状況下においても身を隠せる能力。万が一死の危機に陥った場合、そこまでに得た情報を宮殿に持ち帰ることの出来る可能性を多く秘めている人物。

 まさに適任と言うべき能力を持っている人物を、ケヴィンはその目で見てきたからこそ、命懸けの任務へ向かうニノンを最も支えられる人物としてシンの名前を口にした。
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