1,357 / 1,646
犯人像
しおりを挟む
前もって宮殿の外へカメラを向かわせていたケヴィンだったが、カメラは街に到着するよりも前に不具合を起こし、これ以上街に近づけると故障し証拠が残ってしまうと判断した彼は、カメラを宮殿へ引き返させたのだと言う。
「不具合?ただのカメラの故障ではないのか?」
「まさか。アークシティ産の機械は最新鋭の技術が組み込まれているんですよ?こんなことで故障するようなことはありません。それは私が今まで使ってきたからこそ証明できます」
「原因は分からないのか?」
引き返させたカメラを回収したケヴィンは、シンが質問したように原因の解明に努めたがようだが、故障といった様子はなく、詳しく調べる為に機械に詳しいツバキにカメラを提供し内部構造の確認をさせていたのだという。
何食わぬ顔で子供のツバキの興味を引き、その知識と技術を誰にも悟られることなく利用していたのかと、シンは内心ケヴィンの思惑と行動にゾッとしていた。
自分も彼によって上手いこと利用されていたのだろうかと過去を思い返すが、それは本人にしか分からないことで、どの行動がケヴィンにいとって有益だったのかをシンが知ることはない。
「ですが、ツバキくんが故障を訴えることもなかったので、その線は無くなります。と、なると・・・」
「なんだ?心当たりがあるのなら初めから話せ!時間がないんだ」
「えぇ、すみません。突拍子もないことで証拠も何もないのですが、何者かが宮殿の周りに特定の機器の機能を妨害する電磁波のようなものを発生させているのではないかと・・・」
これまで様々な者達が犯人に繋がる考察を挙げてきたが、その中でも全く挙がらなかった電磁波という単語に、シンもニノンもあまりピンと来ていない様子だった。
「電磁波?なんでそう思うんだ?」
「だって、そうとしか考えられないじゃないですか。宮殿とその周辺には魔力を検知する結界やら生き物の気配を検知するスキルやらで、生物の動きや魔力を帯びたものの侵入を常時チェックしていた筈です。ですよね?ニノンさん」
ケヴィンの問いにニノンは黙って頷いた。教団の護衛によって侵入者や外部か荒野攻撃に対しての防衛はなされていた。言わばそれは、宮殿内の者達を守る結界のようなものでもあった。
故に宮殿の中からも外からも干渉は出来ず、ケヴィンの持ち込んだカメラのような、肉眼で確認できる非生物でしか、誰にも気づかれずに宮殿の外の様子に触れることは出来ないのだ。
「我々が宮殿の“中“に気を取られている内に、犯人は外で機械に対する対策までもしていたと言うことだと思います。要するに・・・」
ケヴィンの話をまとめると、犯人の人物像が大分絞られてくる。犯人は宮殿の中の様子も外の様子も把握していた。そしてケヴィンの持つカメラのように、生物や魔力以外の対策についても事前に考慮していた。
「犯人は宮殿を出入りする事ができた。或いは出入りできる人物と通じていた。そして宮殿の中ならまだしも、何故宮殿の外にまで機器に対する対策をしていたのか・・・」
導くように項目を並べ連ねていくケヴィンに、新たに発覚した情報について気がついたニノンが口を開く。
「犯人はこのカメラの存在を知っていた?」
明言こそしなかったものの、ケヴィンはその線で考察を進めているようだ。宮殿内で犯行に及んでいたにも関わらず、何故宮殿の外でカメラによる撮影を危惧しているような行動を取ったのか。
そもそも何故危惧できたのか。それはアークシティ産のカメラがアルバにあるということを知っていなければ、そしてカメラについての知識がなければそこまでの考えに行きつかないのではないかとケヴィンは語った。
「カメラの話から随分と犯人像が絞れてきたものだな。是非それをオイゲンにも教えてやってくれ」
「えぇ、勿論です。ただ私としても機器に対する対策についてもっと知りたいと思っています。それさえなんとかできれば、私も遠隔で皆さんのサポートができると思いますので。そこでニノン氏の同行者として推薦したい人物がいるのですが・・・」
大司教の護衛に選ばれた者達であるが故に、それなりに戦闘能力を持っているであろう人物達が、宮殿の外で何人も姿を消している。全員が殺されたとは断定できないが、不意を突かれたにしろ単純に戦闘力で打ち負かしたにしろ、、それほど危険な最前線にケヴィンが推薦する人物。
それは如何なる状況下においても身を隠せる能力。万が一死の危機に陥った場合、そこまでに得た情報を宮殿に持ち帰ることの出来る可能性を多く秘めている人物。
まさに適任と言うべき能力を持っている人物を、ケヴィンはその目で見てきたからこそ、命懸けの任務へ向かうニノンを最も支えられる人物としてシンの名前を口にした。
「不具合?ただのカメラの故障ではないのか?」
「まさか。アークシティ産の機械は最新鋭の技術が組み込まれているんですよ?こんなことで故障するようなことはありません。それは私が今まで使ってきたからこそ証明できます」
「原因は分からないのか?」
引き返させたカメラを回収したケヴィンは、シンが質問したように原因の解明に努めたがようだが、故障といった様子はなく、詳しく調べる為に機械に詳しいツバキにカメラを提供し内部構造の確認をさせていたのだという。
何食わぬ顔で子供のツバキの興味を引き、その知識と技術を誰にも悟られることなく利用していたのかと、シンは内心ケヴィンの思惑と行動にゾッとしていた。
自分も彼によって上手いこと利用されていたのだろうかと過去を思い返すが、それは本人にしか分からないことで、どの行動がケヴィンにいとって有益だったのかをシンが知ることはない。
「ですが、ツバキくんが故障を訴えることもなかったので、その線は無くなります。と、なると・・・」
「なんだ?心当たりがあるのなら初めから話せ!時間がないんだ」
「えぇ、すみません。突拍子もないことで証拠も何もないのですが、何者かが宮殿の周りに特定の機器の機能を妨害する電磁波のようなものを発生させているのではないかと・・・」
これまで様々な者達が犯人に繋がる考察を挙げてきたが、その中でも全く挙がらなかった電磁波という単語に、シンもニノンもあまりピンと来ていない様子だった。
「電磁波?なんでそう思うんだ?」
「だって、そうとしか考えられないじゃないですか。宮殿とその周辺には魔力を検知する結界やら生き物の気配を検知するスキルやらで、生物の動きや魔力を帯びたものの侵入を常時チェックしていた筈です。ですよね?ニノンさん」
ケヴィンの問いにニノンは黙って頷いた。教団の護衛によって侵入者や外部か荒野攻撃に対しての防衛はなされていた。言わばそれは、宮殿内の者達を守る結界のようなものでもあった。
故に宮殿の中からも外からも干渉は出来ず、ケヴィンの持ち込んだカメラのような、肉眼で確認できる非生物でしか、誰にも気づかれずに宮殿の外の様子に触れることは出来ないのだ。
「我々が宮殿の“中“に気を取られている内に、犯人は外で機械に対する対策までもしていたと言うことだと思います。要するに・・・」
ケヴィンの話をまとめると、犯人の人物像が大分絞られてくる。犯人は宮殿の中の様子も外の様子も把握していた。そしてケヴィンの持つカメラのように、生物や魔力以外の対策についても事前に考慮していた。
「犯人は宮殿を出入りする事ができた。或いは出入りできる人物と通じていた。そして宮殿の中ならまだしも、何故宮殿の外にまで機器に対する対策をしていたのか・・・」
導くように項目を並べ連ねていくケヴィンに、新たに発覚した情報について気がついたニノンが口を開く。
「犯人はこのカメラの存在を知っていた?」
明言こそしなかったものの、ケヴィンはその線で考察を進めているようだ。宮殿内で犯行に及んでいたにも関わらず、何故宮殿の外でカメラによる撮影を危惧しているような行動を取ったのか。
そもそも何故危惧できたのか。それはアークシティ産のカメラがアルバにあるということを知っていなければ、そしてカメラについての知識がなければそこまでの考えに行きつかないのではないかとケヴィンは語った。
「カメラの話から随分と犯人像が絞れてきたものだな。是非それをオイゲンにも教えてやってくれ」
「えぇ、勿論です。ただ私としても機器に対する対策についてもっと知りたいと思っています。それさえなんとかできれば、私も遠隔で皆さんのサポートができると思いますので。そこでニノン氏の同行者として推薦したい人物がいるのですが・・・」
大司教の護衛に選ばれた者達であるが故に、それなりに戦闘能力を持っているであろう人物達が、宮殿の外で何人も姿を消している。全員が殺されたとは断定できないが、不意を突かれたにしろ単純に戦闘力で打ち負かしたにしろ、、それほど危険な最前線にケヴィンが推薦する人物。
それは如何なる状況下においても身を隠せる能力。万が一死の危機に陥った場合、そこまでに得た情報を宮殿に持ち帰ることの出来る可能性を多く秘めている人物。
まさに適任と言うべき能力を持っている人物を、ケヴィンはその目で見てきたからこそ、命懸けの任務へ向かうニノンを最も支えられる人物としてシンの名前を口にした。
0
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
グミ食べたい
ファンタジー
現実に疲れた俺が辿り着いたのは、自由度抜群のVRMMORPG『アナザーワールド・オンライン』。
選んだ職業は“料理人”。
だがそれは、戦闘とは無縁の完全な負け組職業だった。
地味な日々の中、レベル上げ中にネームドモンスター「猛き猪」が出現。
勝てないと判断したアタッカーはログアウトし、残されたのは三人だけ。
熊型獣人のタンク、ヒーラー、そして非戦闘職の俺。
絶体絶命の状況で包丁を構えた瞬間――料理スキルが覚醒し、常識外のダメージを叩き出す!
そこから始まる、料理人の大逆転。
ギルド設立、仲間との出会い、意外な秘密、そしてVチューバーとしての活動。
リアルでは無職、ゲームでは負け組。
そんな男が奇跡を起こしていくVRMMO物語。
ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした
夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。
しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。
彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。
一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!
【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。
────────
自筆です。
虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。
Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。
最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!?
ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。
はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切)
1話約1000文字です
01章――バトル無し・下準備回
02章――冒険の始まり・死に続ける
03章――『超越者』・騎士の国へ
04章――森の守護獣・イベント参加
05章――ダンジョン・未知との遭遇
06章──仙人の街・帝国の進撃
07章──強さを求めて・錬金の王
08章──魔族の侵略・魔王との邂逅
09章──匠天の証明・眠る機械龍
10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女
11章──アンヤク・封じられし人形
12章──獣人の都・蔓延る闘争
13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者
14章──天の集い・北の果て
15章──刀の王様・眠れる妖精
16章──腕輪祭り・悪鬼騒動
17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕
18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王
19章──剋服の試練・ギルド問題
20章──五州騒動・迷宮イベント
21章──VS戦乙女・就職活動
22章──休日開放・家族冒険
23章──千■万■・■■の主(予定)
タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました
鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。
だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。
チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。
2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。
そこから怒涛の快進撃で最強になりました。
鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。
※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。
その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。
───────
自筆です。
アルファポリス、第18回ファンタジー小説大賞、奨励賞受賞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる