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それぞれの思惑を胸に
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彼は先程起こした爆風により、ブルースと自身の身体を後方へと吹き飛ばし距離をとっていたのだ。バルトロメオの腕を衝撃により、内部から破裂させたのは本人の意思ではない為、爆風によって吹き飛ばされる運動にベルンハルトの演奏の効果は乗らなかったらしい。
風により吹き飛ばされる勢いは然程強くはなかった為、ブルースを庇うように抱き抱えるバルトロメオは、床を滑り今の位置にまでやって来たようだ。どうやらこれは、初めから主人を引き離すために仕組んだ、バルトロメオの作戦だったらしい。
騒動の最中、バルトロメオは意識のないブルースからとある現象を感じ取っていた。それは彼の護衛を務めているバルトロメオだからこそ気付けた事で、恐らくまだ司令室に残された生存者達の中で、ブルースの身に起きている事態に気付いている者はいないだろう。
「魂が・・・ねぇ!?そうか!攻撃を受ける前に人形から脱出してたんだな?よっしゃ!んじゃぁ俺も“一芝居“打つとすっか!」
ブルースは糸から伝わる衝撃を受ける前に、ゾルターンの作り出した肉体から脱出し、誰にも告げずに司令室内の何処かへと飛び去っていた。故に派手に攻撃を受けたように見えたブルースだったが、衝撃を受けたのはただの入れ物でしかない作り物の肉体だけだったのだ。
そしてバルトロメオは、空っぽのブルースの肉体に何やら細工を施していた。その様子は他者からは把握できないほど自然な動きで、何が起きているのかその様子を観察していたオイゲンやアンドレイですら気が付かなかった。
「よし・・・大将、行けるか?」
「あぁ・・・」
バルトロメオにより何かされたブルースの肉体は、あたかも本人が意識を取り戻したかのように自立して動き出し、返事までしていた。
「ブルース・・・無事だったか」
「あれだけの衝撃を受けてまだ立ち上がれるとは・・・。流石はブルース氏ですね」
「“流石“?」
「あぁ・・・いや、ははは・・・。あれだけ動ける音楽家だなんて知らなかったものですから。かなり鍛えられているのかなと・・・」
ケヴィンの反応に疑問を抱くオイゲン。事件が過激化する前から、宮殿に拘束され続けることに不満を漏らしていたバルトロメオを説得したケヴィン。ある程度の作戦は彼から聞かされていたオイゲンだったが、どうやら彼はまだオイゲンに話していない秘密があるようだ。
バルトロメオの治療行為らしきものにより、復活を果たしたブルースはバルトロメオと共に、再びベルンハルトに挑もうとしている様子を見せる。
それと同時に、ツバキのガジェットの件を聞いたシンは、機械による身体能力の向上効果ならば、ベルンハルトの演奏による効果の影響を受けないのではという目論見に一役買おうと考えていた。
流石にツバキやあかり、そしてアンドレイにガジェットを使わせて危険に晒す訳にはいかない。シンはツバキからガジェットの使用方法について、簡単なレクチャーを受けると、自分がそれを試してくると自ら実験体になることを決意する。
もしツバキの考えるとおり、ガジェットによる身体能力の向上効果が、ベルンハルトの演奏の効果を受けなければ、戦況を有利に進めることができるかもしれない。
シンは両腕と両足にガジェットを装着する。ツバキの作り出したガジェットは、リナムルの時から更に改良が加えられており、動力として使っている魔力を溜め込んだ鉱石である魔石の低燃費化により、交換の頻度が大幅に軽減されたようだ。
「凄いな・・・君は一体何者なんだい?ツバキ君」
「俺は元造船技師のエンジニアだ!これくらいのカラクリなら、材料さえあれば楽勝よ!」
「でも気をつけて下さいね、シンさん・・・」
「あぁ・・・。でもツバキの発明品がこの演奏の中で影響を受けないのなら、一気に戦況は有利になる」
握りしめる拳に反応して光を帯びるガジェット。そして攻め時は復活を果たしたブルースと、一緒にやる気になっているバルトロメオに合わせて動くのがいいだろうと、反撃の機会を伺うシン。
彼らの敵対心を感じ取ったのか、演奏しながらも不気味に身体を揺らすベルンハルトは、そんなシンやブルースらを睨むように視線を向ける。すると彼の周りには、彼の演奏を邪魔する者を排除せんと謎の人物達が床をすり抜け現れた。
「チッ・・・あくまで自分じゃ戦わねぇってのか?行くぜ大将ッ!」
「あぁ」
ベルトロメオの声で動き出す二人。同時にベルンハルトの側に現れた謎の人物の内二人が、迎え撃つように彼らの前に立ちはだかる。
「動き出したぜ!シン!」
「ツバキ!みんなを頼む!」
「任せておけってんだ!」
ツバキはシンに渡したガジェットの他にも自分用に持っていたガジェットを準備し、もしもの時の為に戦闘の準備をする。そのような事態にならないのが理想だが、ガジェットの説明の中でツバキがそれを使った実戦の経験があることを知ったシンは、あるいは自分よりも肉弾戦では強いかもしれないと希望を託し、バルトロメオらに続きベルンハルトの元へと向かう。
風により吹き飛ばされる勢いは然程強くはなかった為、ブルースを庇うように抱き抱えるバルトロメオは、床を滑り今の位置にまでやって来たようだ。どうやらこれは、初めから主人を引き離すために仕組んだ、バルトロメオの作戦だったらしい。
騒動の最中、バルトロメオは意識のないブルースからとある現象を感じ取っていた。それは彼の護衛を務めているバルトロメオだからこそ気付けた事で、恐らくまだ司令室に残された生存者達の中で、ブルースの身に起きている事態に気付いている者はいないだろう。
「魂が・・・ねぇ!?そうか!攻撃を受ける前に人形から脱出してたんだな?よっしゃ!んじゃぁ俺も“一芝居“打つとすっか!」
ブルースは糸から伝わる衝撃を受ける前に、ゾルターンの作り出した肉体から脱出し、誰にも告げずに司令室内の何処かへと飛び去っていた。故に派手に攻撃を受けたように見えたブルースだったが、衝撃を受けたのはただの入れ物でしかない作り物の肉体だけだったのだ。
そしてバルトロメオは、空っぽのブルースの肉体に何やら細工を施していた。その様子は他者からは把握できないほど自然な動きで、何が起きているのかその様子を観察していたオイゲンやアンドレイですら気が付かなかった。
「よし・・・大将、行けるか?」
「あぁ・・・」
バルトロメオにより何かされたブルースの肉体は、あたかも本人が意識を取り戻したかのように自立して動き出し、返事までしていた。
「ブルース・・・無事だったか」
「あれだけの衝撃を受けてまだ立ち上がれるとは・・・。流石はブルース氏ですね」
「“流石“?」
「あぁ・・・いや、ははは・・・。あれだけ動ける音楽家だなんて知らなかったものですから。かなり鍛えられているのかなと・・・」
ケヴィンの反応に疑問を抱くオイゲン。事件が過激化する前から、宮殿に拘束され続けることに不満を漏らしていたバルトロメオを説得したケヴィン。ある程度の作戦は彼から聞かされていたオイゲンだったが、どうやら彼はまだオイゲンに話していない秘密があるようだ。
バルトロメオの治療行為らしきものにより、復活を果たしたブルースはバルトロメオと共に、再びベルンハルトに挑もうとしている様子を見せる。
それと同時に、ツバキのガジェットの件を聞いたシンは、機械による身体能力の向上効果ならば、ベルンハルトの演奏による効果の影響を受けないのではという目論見に一役買おうと考えていた。
流石にツバキやあかり、そしてアンドレイにガジェットを使わせて危険に晒す訳にはいかない。シンはツバキからガジェットの使用方法について、簡単なレクチャーを受けると、自分がそれを試してくると自ら実験体になることを決意する。
もしツバキの考えるとおり、ガジェットによる身体能力の向上効果が、ベルンハルトの演奏の効果を受けなければ、戦況を有利に進めることができるかもしれない。
シンは両腕と両足にガジェットを装着する。ツバキの作り出したガジェットは、リナムルの時から更に改良が加えられており、動力として使っている魔力を溜め込んだ鉱石である魔石の低燃費化により、交換の頻度が大幅に軽減されたようだ。
「凄いな・・・君は一体何者なんだい?ツバキ君」
「俺は元造船技師のエンジニアだ!これくらいのカラクリなら、材料さえあれば楽勝よ!」
「でも気をつけて下さいね、シンさん・・・」
「あぁ・・・。でもツバキの発明品がこの演奏の中で影響を受けないのなら、一気に戦況は有利になる」
握りしめる拳に反応して光を帯びるガジェット。そして攻め時は復活を果たしたブルースと、一緒にやる気になっているバルトロメオに合わせて動くのがいいだろうと、反撃の機会を伺うシン。
彼らの敵対心を感じ取ったのか、演奏しながらも不気味に身体を揺らすベルンハルトは、そんなシンやブルースらを睨むように視線を向ける。すると彼の周りには、彼の演奏を邪魔する者を排除せんと謎の人物達が床をすり抜け現れた。
「チッ・・・あくまで自分じゃ戦わねぇってのか?行くぜ大将ッ!」
「あぁ」
ベルトロメオの声で動き出す二人。同時にベルンハルトの側に現れた謎の人物の内二人が、迎え撃つように彼らの前に立ちはだかる。
「動き出したぜ!シン!」
「ツバキ!みんなを頼む!」
「任せておけってんだ!」
ツバキはシンに渡したガジェットの他にも自分用に持っていたガジェットを準備し、もしもの時の為に戦闘の準備をする。そのような事態にならないのが理想だが、ガジェットの説明の中でツバキがそれを使った実戦の経験があることを知ったシンは、あるいは自分よりも肉弾戦では強いかもしれないと希望を託し、バルトロメオらに続きベルンハルトの元へと向かう。
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