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生物以外の物
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「クソがッ・・・!まだ終わってねぇぞッ!!」
ベルンハルトの側でブルースを引き寄せていたバルトロメオが、まだ諦めずに動き始める。だが彼もまた生身である以上、ベルンハルトの演奏の影響を受けてしまい、必要以上の力を振るってしまう。
ブルースには力を制御しろと言われたが、主人を自分の能力で瀕死に追いやってしまった彼に、もはやそれを抑える箍などはなかった。想像以上に自身の力を絞り出してしまうのなら、一掃の事全力で相手を吹き飛ばさんとする勢いで、バルトロメオは自身の背後から二本の腕を召喚し、手のひらで挟むようにしてベルンハルトを左右から襲う。
しかしその時だった。バルトロメオの腕がベルンハルトを挟まんとしたところで、まるで風船が破裂したかのように彼の召喚した二本の腕が、突如として弾け飛び魔力が周囲へと飛散していったのだ。
「ッ!?」
自身の制御していた力よりも遥かに強い密度の魔力でその腕は作り出されており、司令室の中に彼らを中心とした突風が巻き起こる。
「またあの護衛はッ・・・!」
「恐らく彼の今の攻撃も、本人の想定以上に力が入っていた筈です。しかしあの演奏者に届く前に破裂したように見えました・・・。何故でしょう?」
「これまでの傾向から見て、破裂の原因は“振動“だろうな。だがそんな大きな音や振動に繋がるものなんか、どこにもなかったように感じたが・・・?」
ケヴィンとオイゲンが、先程のバルトロメオの攻撃が無効化された事に関して、何やら相談をしている時に戦闘を行えないマティアス達が二人と合流する。
「すっすまない、匿ってくれないか?」
「この状況で匿えるかは分からないが・・・善処はしよう」
「君達は確か、音楽学校の生徒さん達だよね?あの演奏している人は有名な人なのかい?」
ケヴィンとオイゲンには、ベルンハルトが何者であるのか分からなかった。そこで音楽に通じている現役の学生に尋ねてみたのだ。そしてケヴィンの期待通り、やはり彼らはベルンハルトの事を知っていた。
「勿論ですよ!彼は“ヨハン・ベルンハルト・バッハ“と言って、かの有名な音楽の父であるバッハの・・・」
「あぁ・・・始まっちゃいましたよ?司祭様」
「聞いたのは彼だ、彼には責任を持ってクリスの相手をしてもらおう」
熱弁するクリスを尻目に呆れた表情をするマティアスとレオン。一連の会話に耳を傾けていたオイゲンは一人、演奏者が音楽の父として知られるバッハと同じ一族であるベルンハルトであると聞き、何やら思い当たるところでもあるのか、ただ会話を聞くばかりで入っては来なかった。
彼らが合流するのと同時に、シン達の方でもバルトロメオの起こした爆風により吹き飛ばされそうになるツバキとアカリを、シンとアンドレイで庇っていた。
「んだよッ!アイツまたやられてんじゃねぇか!」
「すっ凄い風ぇ・・・紅葉!?紅葉は大丈夫ですか!?」
「安心して下さいレディ、彼も無事ですよ。それとも彼女でしたか?」
アカリを支えてくれていたのはアンドレイだった。合流したからにはシン達の一味に協力するという事らしい。その代わりマティアス達と同じく戦う術を持たないアンドレイは、シン達に匿ってもらおうという腹積りらしい。
風に弱い紅葉はアンドレイの服に、まるで急流で網に囚われる魚のように張り付いていた。
「ピ・・・ピィ・・・」
「どうすんだぁ!?シン!このまま何もしねぇでやられっぱなしか?」
「そんな事言ったって、俺達には身体の制御は・・・」
シンもまた過剰な魔力の消費による弊害を受けていて、二人を守ることを考えるとこれ以上無駄な体力と魔力の消費は極力抑えたい。そんな中でのバルトロメオの暴走は、身動きが取れずにいる一行にとって貴重な情報を開示させるのに一役買ってくれている。
できればこのままベルンハルトの戦闘方法や能力、糸や振動に関する情報がもっと分かれば対処する方法も考えつくかもしれないというのが本当のところなのだろう。
しかしシンの言葉を聞いて、あることを思いついたツバキが自分の荷物から何かを取り出そうとしている。シンが何か良からぬことをするのではないのかと、心配して声を掛ける。
ツバキが取り出したのは、ツバキ自身の強みであり何度もシンやミア達、そして自分自身を救ってきたウィリアムの教えてくれたエンジニアとしての知識と、生まれ持った器用さから成る彼の作品だった。
「生身じゃ戦えねぇってんならよぉ、生物でもねぇガジェットならどうだよ?」
「ッ!!」
この司令室の中で誰も試せない事。生物でない物ならベルンハルトの演奏の影響は受けない。それはブルースの人形の身体が証明してくれている。人の力と機械の力が合わさったものならどんな活躍ができるのか。
ツバキの提案に希望を抱きつつ、現在のブルースの様子を伺おうとバルトロメオの方に視線を移すと、そこには演奏するベルンハルトの姿しかなく、彼の周りには先程まで倒れていたブルースとバルトロメオがいなくなっていた。
ベルンハルトの側でブルースを引き寄せていたバルトロメオが、まだ諦めずに動き始める。だが彼もまた生身である以上、ベルンハルトの演奏の影響を受けてしまい、必要以上の力を振るってしまう。
ブルースには力を制御しろと言われたが、主人を自分の能力で瀕死に追いやってしまった彼に、もはやそれを抑える箍などはなかった。想像以上に自身の力を絞り出してしまうのなら、一掃の事全力で相手を吹き飛ばさんとする勢いで、バルトロメオは自身の背後から二本の腕を召喚し、手のひらで挟むようにしてベルンハルトを左右から襲う。
しかしその時だった。バルトロメオの腕がベルンハルトを挟まんとしたところで、まるで風船が破裂したかのように彼の召喚した二本の腕が、突如として弾け飛び魔力が周囲へと飛散していったのだ。
「ッ!?」
自身の制御していた力よりも遥かに強い密度の魔力でその腕は作り出されており、司令室の中に彼らを中心とした突風が巻き起こる。
「またあの護衛はッ・・・!」
「恐らく彼の今の攻撃も、本人の想定以上に力が入っていた筈です。しかしあの演奏者に届く前に破裂したように見えました・・・。何故でしょう?」
「これまでの傾向から見て、破裂の原因は“振動“だろうな。だがそんな大きな音や振動に繋がるものなんか、どこにもなかったように感じたが・・・?」
ケヴィンとオイゲンが、先程のバルトロメオの攻撃が無効化された事に関して、何やら相談をしている時に戦闘を行えないマティアス達が二人と合流する。
「すっすまない、匿ってくれないか?」
「この状況で匿えるかは分からないが・・・善処はしよう」
「君達は確か、音楽学校の生徒さん達だよね?あの演奏している人は有名な人なのかい?」
ケヴィンとオイゲンには、ベルンハルトが何者であるのか分からなかった。そこで音楽に通じている現役の学生に尋ねてみたのだ。そしてケヴィンの期待通り、やはり彼らはベルンハルトの事を知っていた。
「勿論ですよ!彼は“ヨハン・ベルンハルト・バッハ“と言って、かの有名な音楽の父であるバッハの・・・」
「あぁ・・・始まっちゃいましたよ?司祭様」
「聞いたのは彼だ、彼には責任を持ってクリスの相手をしてもらおう」
熱弁するクリスを尻目に呆れた表情をするマティアスとレオン。一連の会話に耳を傾けていたオイゲンは一人、演奏者が音楽の父として知られるバッハと同じ一族であるベルンハルトであると聞き、何やら思い当たるところでもあるのか、ただ会話を聞くばかりで入っては来なかった。
彼らが合流するのと同時に、シン達の方でもバルトロメオの起こした爆風により吹き飛ばされそうになるツバキとアカリを、シンとアンドレイで庇っていた。
「んだよッ!アイツまたやられてんじゃねぇか!」
「すっ凄い風ぇ・・・紅葉!?紅葉は大丈夫ですか!?」
「安心して下さいレディ、彼も無事ですよ。それとも彼女でしたか?」
アカリを支えてくれていたのはアンドレイだった。合流したからにはシン達の一味に協力するという事らしい。その代わりマティアス達と同じく戦う術を持たないアンドレイは、シン達に匿ってもらおうという腹積りらしい。
風に弱い紅葉はアンドレイの服に、まるで急流で網に囚われる魚のように張り付いていた。
「ピ・・・ピィ・・・」
「どうすんだぁ!?シン!このまま何もしねぇでやられっぱなしか?」
「そんな事言ったって、俺達には身体の制御は・・・」
シンもまた過剰な魔力の消費による弊害を受けていて、二人を守ることを考えるとこれ以上無駄な体力と魔力の消費は極力抑えたい。そんな中でのバルトロメオの暴走は、身動きが取れずにいる一行にとって貴重な情報を開示させるのに一役買ってくれている。
できればこのままベルンハルトの戦闘方法や能力、糸や振動に関する情報がもっと分かれば対処する方法も考えつくかもしれないというのが本当のところなのだろう。
しかしシンの言葉を聞いて、あることを思いついたツバキが自分の荷物から何かを取り出そうとしている。シンが何か良からぬことをするのではないのかと、心配して声を掛ける。
ツバキが取り出したのは、ツバキ自身の強みであり何度もシンやミア達、そして自分自身を救ってきたウィリアムの教えてくれたエンジニアとしての知識と、生まれ持った器用さから成る彼の作品だった。
「生身じゃ戦えねぇってんならよぉ、生物でもねぇガジェットならどうだよ?」
「ッ!!」
この司令室の中で誰も試せない事。生物でない物ならベルンハルトの演奏の影響は受けない。それはブルースの人形の身体が証明してくれている。人の力と機械の力が合わさったものならどんな活躍ができるのか。
ツバキの提案に希望を抱きつつ、現在のブルースの様子を伺おうとバルトロメオの方に視線を移すと、そこには演奏するベルンハルトの姿しかなく、彼の周りには先程まで倒れていたブルースとバルトロメオがいなくなっていた。
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