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神代 コウ

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プラチド・セドリック

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 プラチド・セドリック。

 神園還教の護衛隊の一人で、階級はニノン・ラセターと同じであり団長のオイゲンの信頼も厚い。常に部隊の空気を気にしており、全体の士気を作戦の内容によって操作し、最善の状態でオイゲンに引き渡す優秀な隊員。

 仲間達のメンタルケアも任されており、戦闘だけでなく普段から隊員の面倒を見ているヒーラーをこなしている。

 元々平民出身であった彼は、従士として教団へ入団し初めは目立った活躍もない隊員の内の一人だった。彼が頭角を表し始めたのは、それこそ今の地位につく少し前からだった。

 元々いた国での戦争に徴兵として参加させられた事が発端だった。元から争いの多かった国ということもあり、いずれこういった事になるのは彼自身も予想していた。

 仕方がなく参加した戦争だったが、その戦力差は圧倒的であり瞬く間にプラチドのいた部隊は窮地に陥る。対して仲の良くなかった隊員がそこら中で重傷を負い、他の隊員達に治療を受けている。

 プラチドは軽傷だった為、まともな治療を受ける事はなく、自分で患部に布を当て止血を行いながら、周りの惨状を見て歩いている。

 他の者達に比べて軽傷だっただけで、身体中は痛みに覆われて苦しい事に違いなどなかった。何とか誰かに診てもらえないかと声を掛けて回るが、その度に彼は怒鳴られた。見て分からないか、お前より酷い者は大勢いる、まだ歩けるのなら少しでも多く敵を殺してこい。

 国の為の礎となれ。その時彼が感じたものとは、戦いに勝とうが負けようがその戦いに駆り出された兵士は所詮駒の一つに過ぎない。生きていようがそこで死のうが、彼らに命には何の価値もない。

 自分が無意味な存在として、ただ逆らえない上の人間に利用され消費されるだけの命だと考えた時、彼の姿は既に戦場を離れていた。生きて何がしたかった訳ではない。ただそこでは死にたくなかった。苦しんで死にたくなかった。

 死の場所くらい、自分で選びたかったのだ。通り過ぎていく仲間とも呼べない者達に止められながらも、彼はその手を振り解き戦場から逃れる為に、当てもなくとにかく遠くを目指して歩く。

 その途中、自軍のものと思われる乗り物に辿り着き、朦朧とする意識の中必死に動くかも分からない操縦桿を握り、ただ動け動けと念じながら持てる力を振り絞るも、乗り物が動き出す前に意識を失ってしまう。

 次に彼が目を覚ました時、そこは見知らぬ森の中だった。何処で意識を失ったのかも、それ以前に自分が何をしていたのかさえ思い出せない。ただ一つ分かった事といえば、思い出す価値もない程、自分にとってどうでもいい記憶なのだという事だった。

 傷口には新しい布が巻かれており、適切な治療が施されていた。痛みもだいぶ良くなっており、次第に意識もはっきりとして来た彼は、身体を起こして周囲を見渡す。

 周りの森には何もなく、彼が意識を失う寸前に乗り込んだ乗り物もなくなっていた。だが全てを投げ出し、自分の命を消耗品としてしか扱わない母国に、今更帰りたいとも思わなかった。

 今にして思えば、彼の両親も徴兵には肯定的だった。国の為に頑張りなさい、立派に働きなさい。結局は彼にとって親も他人と同じだった。そう思った時、彼の目から涙が溢れた。

 信じて来たもの、頼って来たもの。自分を構成しきたものの全てが、まるで道具になるまでの過程の世話をして来たに過ぎず、道具として使われて壊れた時、そこには何の感情もなく切り捨てられるだけの命だったと知る。

 ただ当てもなく森の中にある道を歩み続けた彼は、森を抜けた先で小さな農村に辿り着く。ボロボロの彼を見て心配した、その村の住人達が駆け寄り、親身になって治療をしてくれた。

 初めてそこで彼は、見返りを求めない人の優しさに触れたような気がした。過去を全て忘れ、そこで恩人達に対して恩を返す事を生き甲斐に、プラチドは生きていく事を誓うのだが、その農村もまだ戦争地帯に含まれている場所だったのだ。

 暫く農業を手伝いながら平穏な暮らしをしていると、何処かの国の兵士達が村の者達を追い出すように襲い、食料や住居を奪い取った。戦争で勝つ事が何よりも大事、我々が負ければお前達も殺されるのだと言い、横暴の限りを尽くした。

 まるで山賊かのように、それまで彼らが培って来たものや大切にして来たものが、瞬く間に蹂躙されていく。再び過去の事を思い出してしまい、また自分は奪われる側になるのかと思った時、彼は過去のトラウマから、酷い目に遭う恩人達を置いて逃げ出そうとしていた。

 その時、横行が行われる農村に現れたのが教団の騎士隊だったのだ。
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