1,586 / 1,646
世界の光脈
しおりを挟む
宿に戻った二人はミアに迎えられ部屋に入ると、そのまま寝ているアカリ達を起こさぬ様、その日は大人しく眠りにつくことにした。
翌日の早朝、一番最初に目を覚ましたツクヨはシンとミアにメッセージを残して、一足先に街へと繰り出して行った。目的はギルドの様子とアクセルらの動向だった。
昨晩は色々なことがあり、明確な出発の時刻と失踪者達の捜索への同行の申請の結果など、確かめたいことが沢山あった。水平線の向こうから陽が完全にその姿を表した頃、ギルドの内部では騒々しく多くの隊員が準備を整えている。
「おや?貴方は確か協力を志願して下さった有志の方では?」
「はい、ツクヨと申します。今は何をされているのですか?」
「昨日失踪した隊員の捜索隊を編成し、その準備をしています。ご迷惑でなければ、出発の際にお声がけしても宜しいですか?」
「それは助かります。宿の場所は・・・」
ツクヨはギルドの隊員に泊まっている宿屋の名前を伝える。これで少なくとも置いていかれる事はなくなった。呼び掛けの約束を取り付けたツクヨは、会話を交わしたついでにアクセル達の事について隊員に尋ねた。
どうやら彼らも協力者として志願しており、既に顔馴染みになっていた彼らは、一足先に山の麓の拠点設置に協力しに向かったとの事だった。彼らはギルドの隊員曰く、ギルドの者達以上に北の山に入る機会が多く、経験や知識で言えばギルド側としても是非とも協力したいと思っていたらしい。
設営の準備をしながら、現場に向かった隊員と山での注意事項と決め事について相談をしている筈だと隊員は語った。これ以上足を止めさせるのも悪いと思ったツクヨは、再度呼び掛けの件を任せてその場を去って行った。
ツクヨが宿に戻ると、既にシン達も目を覚ましており出発の準備を整えて待っていた。
「おかえり、どうだった?ギルドの様子は」
シンの問いにギルドであったやり取りをそっくりそのまま伝えるツクヨ。彼が帰って来たら直ぐに出発だと思っていた一行は、ギルドの隊員が呼びに来るまで猶予があると知ると、いつでも向かえる準備だけ済ませ、各々の時間を過ごし始める。
その際に、昨晩シンが山で気を失っている間に体験した出来事についても、ミア達と情報を共有して何か思い当たる事はないかの確認をする。
しかし当然ながら誰もその経験を聞いて心当たりなどはなかった。だが、ミネとカガリに面会し話をしたミアとアカリは、そのシンの見たという黄金の光を放つ川こそが、回帰の山の地下に眠る膨大なエネルギーの正体なのではないかという、アクセルらと同じ感想を抱いていた。
「そんな経験をして、身体は何ともないのか?シン」
「あぁ、特になにも・・・。別に力がついた訳でもなければ、出来なくなった事も今のところは何もないみたいだ」
「海でもそういった、生命エネルギーが溢れてるポイントってのはあるらしいが、それに巻き込まれたらひとたまりも無いって聞くぜ?どんだけ豪運だったんだよ、すげぇな」
大地に生命エネルギーの溢れる箇所があるのなら、生命の母とも呼ばれる海にもその様な場所があってもおかしくはない。ツバキは嘗てウィリアムからその様な話をされた時の事を思い出していた。
陸地と違い海は常にその姿を変える為、生身の人間であれば近づくだけでも命に関わる危険な場所として、多くの船乗り達は近づかない様に言い伝えていたらしい。そしてその近辺は、大型の魔物が度々目撃されたらしい。
「だからここの山の光脈の事を聞いた時、でっかい魔物や生物が潜んでるんじゃねぇかって思ったんだが、そういう訳でもなさそうなんだよなぁ」
「確かに生命エネルギーなんて聞けば、単純に考えるとそうなっても不思議じゃねぇよな。じゃぁここの光脈ってのは、一体何にどんな影響を与えてんだろうな?」
「それはそこにある植物や作物、所謂自然になんじゃないの?」
「それにしては妙に影響が抑えられてるって話だ。何かそれらを制御するシステムが成り立ってるんだろうな」
ミアはそれが山の“ヌシ”と呼ばれるものなのではないかと考えている様だ。だがシンやツクヨは、ヌシと言えどたった一つの生命体にそこまでのことが出来るとは到底思えなかった。
そんな山に秘められた謎について話し合っていると、宿屋の店員が一行の部屋の扉をノックする。どうやらギルドの隊員が知らせに来たようだ。
宿はまだ継続して借りると店員に話し、シン達はギルドの隊員と合流して山の麓に設けられているという、捜索隊の拠点へと向かう。
翌日の早朝、一番最初に目を覚ましたツクヨはシンとミアにメッセージを残して、一足先に街へと繰り出して行った。目的はギルドの様子とアクセルらの動向だった。
昨晩は色々なことがあり、明確な出発の時刻と失踪者達の捜索への同行の申請の結果など、確かめたいことが沢山あった。水平線の向こうから陽が完全にその姿を表した頃、ギルドの内部では騒々しく多くの隊員が準備を整えている。
「おや?貴方は確か協力を志願して下さった有志の方では?」
「はい、ツクヨと申します。今は何をされているのですか?」
「昨日失踪した隊員の捜索隊を編成し、その準備をしています。ご迷惑でなければ、出発の際にお声がけしても宜しいですか?」
「それは助かります。宿の場所は・・・」
ツクヨはギルドの隊員に泊まっている宿屋の名前を伝える。これで少なくとも置いていかれる事はなくなった。呼び掛けの約束を取り付けたツクヨは、会話を交わしたついでにアクセル達の事について隊員に尋ねた。
どうやら彼らも協力者として志願しており、既に顔馴染みになっていた彼らは、一足先に山の麓の拠点設置に協力しに向かったとの事だった。彼らはギルドの隊員曰く、ギルドの者達以上に北の山に入る機会が多く、経験や知識で言えばギルド側としても是非とも協力したいと思っていたらしい。
設営の準備をしながら、現場に向かった隊員と山での注意事項と決め事について相談をしている筈だと隊員は語った。これ以上足を止めさせるのも悪いと思ったツクヨは、再度呼び掛けの件を任せてその場を去って行った。
ツクヨが宿に戻ると、既にシン達も目を覚ましており出発の準備を整えて待っていた。
「おかえり、どうだった?ギルドの様子は」
シンの問いにギルドであったやり取りをそっくりそのまま伝えるツクヨ。彼が帰って来たら直ぐに出発だと思っていた一行は、ギルドの隊員が呼びに来るまで猶予があると知ると、いつでも向かえる準備だけ済ませ、各々の時間を過ごし始める。
その際に、昨晩シンが山で気を失っている間に体験した出来事についても、ミア達と情報を共有して何か思い当たる事はないかの確認をする。
しかし当然ながら誰もその経験を聞いて心当たりなどはなかった。だが、ミネとカガリに面会し話をしたミアとアカリは、そのシンの見たという黄金の光を放つ川こそが、回帰の山の地下に眠る膨大なエネルギーの正体なのではないかという、アクセルらと同じ感想を抱いていた。
「そんな経験をして、身体は何ともないのか?シン」
「あぁ、特になにも・・・。別に力がついた訳でもなければ、出来なくなった事も今のところは何もないみたいだ」
「海でもそういった、生命エネルギーが溢れてるポイントってのはあるらしいが、それに巻き込まれたらひとたまりも無いって聞くぜ?どんだけ豪運だったんだよ、すげぇな」
大地に生命エネルギーの溢れる箇所があるのなら、生命の母とも呼ばれる海にもその様な場所があってもおかしくはない。ツバキは嘗てウィリアムからその様な話をされた時の事を思い出していた。
陸地と違い海は常にその姿を変える為、生身の人間であれば近づくだけでも命に関わる危険な場所として、多くの船乗り達は近づかない様に言い伝えていたらしい。そしてその近辺は、大型の魔物が度々目撃されたらしい。
「だからここの山の光脈の事を聞いた時、でっかい魔物や生物が潜んでるんじゃねぇかって思ったんだが、そういう訳でもなさそうなんだよなぁ」
「確かに生命エネルギーなんて聞けば、単純に考えるとそうなっても不思議じゃねぇよな。じゃぁここの光脈ってのは、一体何にどんな影響を与えてんだろうな?」
「それはそこにある植物や作物、所謂自然になんじゃないの?」
「それにしては妙に影響が抑えられてるって話だ。何かそれらを制御するシステムが成り立ってるんだろうな」
ミアはそれが山の“ヌシ”と呼ばれるものなのではないかと考えている様だ。だがシンやツクヨは、ヌシと言えどたった一つの生命体にそこまでのことが出来るとは到底思えなかった。
そんな山に秘められた謎について話し合っていると、宿屋の店員が一行の部屋の扉をノックする。どうやらギルドの隊員が知らせに来たようだ。
宿はまだ継続して借りると店員に話し、シン達はギルドの隊員と合流して山の麓に設けられているという、捜索隊の拠点へと向かう。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に流されて…!?
藤城満定
ファンタジー
東京発沖縄着の船で修学旅行に出港した都立東品川高等学校2年4組の生徒35人は出港して2時間が過ぎた頃に突然の嵐に巻き込まれてしまい、船が転覆してしまって海に投げ出されてしまった。男子生徒の宮間景太郎が目を覚ますと、そこはどこかの森の中だった。海に投げ出されたのに、何で森の中にいるんだ?不思議に思って呆然としていたら、森の奥から聞き覚えのある女子生徒達の悲鳴が聞こえてきた。考えるより先に体が動いた。足元にあった折れて先端が尖った木の枝と石コロを取って森の奥へと駆け出した。そこには3人の女子生徒が5匹の身長160cmくらいの緑色の肌色のバケモノに襲われていた。そのバケモノは異世界アニメやコミックでお馴染みのゴブリン?だった。距離は10mはある。短剣を持ったのと木製の棍棒を持ったゴブリンの内、棍棒を持ったのがソレを振り下ろすのを防ぐのは無理な距離。ならばと、拾っておいた石コロを全力投球投。全くの無警戒だった場所からかならの威力で投げられた石コロが頭に命中して、そのまま倒れてしまったので他のゴブリン共も動揺した。その隙に女子生徒達とゴブリン共の間に立ち塞がり、拾った木の枝(棒?)を振り回して距離を置き、斃したゴブリンから棍棒を拾ってそこからはタコ殴りに殴りまくった。棍棒や短剣を弾くと、頭、首、肩、腕、足と、それはもうフルボッコのボッコボコにして斃してから暫くして女子生徒達に「大丈夫か?」と声をかけると、3人ともポカーンと口を開けて呆然としていた。まあ、無理もない。何故なら景太郎はクラスでは寡黙で、いつも1人で行動しているそれは、ぶっちゃけて言うと、完全な『ボッチくん』だったからだ。そんな景太郎が自分達の命を助けてくれた。それも今まで誰も見た事のない熱く必死な戦い方でだ。これは謂わゆる『吊り橋効果』ではあるが、こうまで男らしい姿を見せられては惚れるなというほうが無理だろう。その瞬間から女子達による景太郎の取り合い合戦が始まった。
【毎週火曜日に投稿します】
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~
仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。
ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。
ガチャ好きすぎて書いてしまった。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収
ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。
彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。
だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。
自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。
「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」
契約解除。返還されたレベルは9999。
一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。
対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。
静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。
「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」
これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。
(本作品はAIを活用して構成・執筆しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる