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連載
処刑を終えて
「皇王陛下。五人の処刑、終わりました」
エドワード王がいる席に向かって跪き、僕は静かに告げる。
ルイとフィリップは、首から上だけを残し、残りは全てこの世界に何一つ残らないように、全て細切れにしてやった。それらは全て海に捨て、魚の餌にしてやることにしよう。
「う……うっぷ……」
処刑の一部始終を見ていた貴族や民衆達の多くがその場で嘔吐し、失禁し、卒倒した。
処刑前と比べて、半分がこの場にいなくなったんじゃないだろうか。
そんな中。
「…………………………」
「…………………………」
アビゲイル皇女とブリジットは、一度も目を逸らすことなくこちらを見ていた。
その胆力、やはり皇女だと言わざるを得ない。
「うむ……だが、これだったら温情を受けるより、素直に処刑されたほうが幸せであったかもしれんな」
「皇王陛下、それは結果論です。僕を倒す可能性も、ゼロというわけではありませんので」
「……そうだな」
エドワード王も、ひょっとしたら僕のしたことがやり過ぎだと感じたのかもしれない。
その証拠に、彼はずっと眉根を寄せている。
だけど、僕はあえてここまでする必要があった。
既に証明されてはいるけど、僕が王国に対して刃を向けることに躊躇いがないことを示すこと。
ギュスターヴ=オブ=ストラスクライドという男を敵に回せば、凄惨な最期を迎えることを知らしめること。
そんな壊れた男を、アビゲイル皇女が飼っていること。
これらが全て、ルイ達の処刑によって皇国の者達に認識させることができたのだ。
エドワード王や、ブリジットを含めて。
「ギュスターヴよ、大義であった」
「はっ! ありがたき幸せ」
その一言を残し、エドワード王は席を立つと、皇宮へと帰っていった。
「アビゲイル殿下。僕達も帰りましょう」
「……はい」
彼女の席まで来た僕は、その小さな手を取って馬車までエスコートする。
一緒に乗っていきたいけど、血まみれの身体では彼女を汚してしまいかねない……って!?
「ア、アビゲイル殿下!?」
「あなた様は、本当に馬鹿です……っ!」
返り血で汚れた僕を抱きしめ、アビゲイル皇女が叫んだ。
こんなに大きな声を出した彼女を見たことがなかった僕は、思わず戸惑ってしまう。
「私が気づかないと思っていたのですか! あの者達をあえて執拗に殺すことで、ご自身を冷酷な人間に仕立て上げ、わざとここにいる者達に恐怖を与えたことを!」
「…………………………」
「処刑方法だってそうです! ギュスターヴ殿下が直接手を下されたのは、私が……私が、『ギロチン皇女』と呼ばれないようにと……だから……だから……っ」
……彼女には、全部お見通しだったか。
そう……皇国における処刑方法は、断頭台により行うことが通例となっている。
今回のルイ達の処刑においても、誰も疑うことなくその準備を進めていた。
だけど、それじゃ駄目なんだ。
もし断頭台で処刑を行ったら、みんなが『ギロチン皇女』の名を連想するだろう。
そうなれば、また彼女は世間の悪評に晒され、つらい思いをしてしまう。
だから……。
「私だって……私だって、あなた様が周囲からそのように思われるのは嫌です! 本当のあなた様は、誰よりも優しくて、誰よりも温かくて……!」
「それは、あなただって同じです。何より僕は、あなたが『ギロチン皇女』などと呼ばれることが許せないんです。本当のあなたは、誰よりも……それこそ女神よりも、慈愛に溢れた女性なのですから」
「馬鹿……馬鹿あ……っ」
アビゲイル皇女は、その小さな手で拳を握り、僕の胸を叩く。
優しい彼女にこんな思いをさせてしまい、どうしようもなく胸が苦しくなる。
でも……それと同じくらい、僕は誇らしかった。
こんなにも……世界一愛している女性を、この程度で守れるのだから。
その証拠に。
「…………………………」
なあ、もう彼女に手出ししようなんて、考えたりしないだろう?
エドワード王は甘いから許されてきただろうが、僕はそうはいかない。
もし、彼女にほんの僅かでも危害が及ぶようなことがあれば、ルイやフィリップと同じ末路を辿るのは、オマエなんだ。
だから、いつまでもこっちを見ていないで、早く帰ったらどうなんだ?
なあ。
――ブリジット=オブ=ストラスクライド。
エドワード王がいる席に向かって跪き、僕は静かに告げる。
ルイとフィリップは、首から上だけを残し、残りは全てこの世界に何一つ残らないように、全て細切れにしてやった。それらは全て海に捨て、魚の餌にしてやることにしよう。
「う……うっぷ……」
処刑の一部始終を見ていた貴族や民衆達の多くがその場で嘔吐し、失禁し、卒倒した。
処刑前と比べて、半分がこの場にいなくなったんじゃないだろうか。
そんな中。
「…………………………」
「…………………………」
アビゲイル皇女とブリジットは、一度も目を逸らすことなくこちらを見ていた。
その胆力、やはり皇女だと言わざるを得ない。
「うむ……だが、これだったら温情を受けるより、素直に処刑されたほうが幸せであったかもしれんな」
「皇王陛下、それは結果論です。僕を倒す可能性も、ゼロというわけではありませんので」
「……そうだな」
エドワード王も、ひょっとしたら僕のしたことがやり過ぎだと感じたのかもしれない。
その証拠に、彼はずっと眉根を寄せている。
だけど、僕はあえてここまでする必要があった。
既に証明されてはいるけど、僕が王国に対して刃を向けることに躊躇いがないことを示すこと。
ギュスターヴ=オブ=ストラスクライドという男を敵に回せば、凄惨な最期を迎えることを知らしめること。
そんな壊れた男を、アビゲイル皇女が飼っていること。
これらが全て、ルイ達の処刑によって皇国の者達に認識させることができたのだ。
エドワード王や、ブリジットを含めて。
「ギュスターヴよ、大義であった」
「はっ! ありがたき幸せ」
その一言を残し、エドワード王は席を立つと、皇宮へと帰っていった。
「アビゲイル殿下。僕達も帰りましょう」
「……はい」
彼女の席まで来た僕は、その小さな手を取って馬車までエスコートする。
一緒に乗っていきたいけど、血まみれの身体では彼女を汚してしまいかねない……って!?
「ア、アビゲイル殿下!?」
「あなた様は、本当に馬鹿です……っ!」
返り血で汚れた僕を抱きしめ、アビゲイル皇女が叫んだ。
こんなに大きな声を出した彼女を見たことがなかった僕は、思わず戸惑ってしまう。
「私が気づかないと思っていたのですか! あの者達をあえて執拗に殺すことで、ご自身を冷酷な人間に仕立て上げ、わざとここにいる者達に恐怖を与えたことを!」
「…………………………」
「処刑方法だってそうです! ギュスターヴ殿下が直接手を下されたのは、私が……私が、『ギロチン皇女』と呼ばれないようにと……だから……だから……っ」
……彼女には、全部お見通しだったか。
そう……皇国における処刑方法は、断頭台により行うことが通例となっている。
今回のルイ達の処刑においても、誰も疑うことなくその準備を進めていた。
だけど、それじゃ駄目なんだ。
もし断頭台で処刑を行ったら、みんなが『ギロチン皇女』の名を連想するだろう。
そうなれば、また彼女は世間の悪評に晒され、つらい思いをしてしまう。
だから……。
「私だって……私だって、あなた様が周囲からそのように思われるのは嫌です! 本当のあなた様は、誰よりも優しくて、誰よりも温かくて……!」
「それは、あなただって同じです。何より僕は、あなたが『ギロチン皇女』などと呼ばれることが許せないんです。本当のあなたは、誰よりも……それこそ女神よりも、慈愛に溢れた女性なのですから」
「馬鹿……馬鹿あ……っ」
アビゲイル皇女は、その小さな手で拳を握り、僕の胸を叩く。
優しい彼女にこんな思いをさせてしまい、どうしようもなく胸が苦しくなる。
でも……それと同じくらい、僕は誇らしかった。
こんなにも……世界一愛している女性を、この程度で守れるのだから。
その証拠に。
「…………………………」
なあ、もう彼女に手出ししようなんて、考えたりしないだろう?
エドワード王は甘いから許されてきただろうが、僕はそうはいかない。
もし、彼女にほんの僅かでも危害が及ぶようなことがあれば、ルイやフィリップと同じ末路を辿るのは、オマエなんだ。
だから、いつまでもこっちを見ていないで、早く帰ったらどうなんだ?
なあ。
――ブリジット=オブ=ストラスクライド。
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