機械仕掛けの殲滅少女

サンボン

文字の大きさ
8 / 146
第一章 復讐その一 ジェイコブ=カートレット

ギルドと伯爵令嬢

しおりを挟む
「そ、その……わ、私もアデル様とご一緒にギルドに行きます!」
「「ええ!?」」

 僕とハンナさんは驚きの声を上げる。

「い、いけませんお嬢様! あのような場所、お嬢様が行くような場所では……!」
「いいえ! 私はアデル様とご一緒します!」

 ハンナさんはたしなめるが、ライラ様はすっかりその気で、折れる気配が全くない。
 ど、どうしたものか……。

「ど、どうしましょう……?」

 おずおずと僕に尋ねるハンナさん。
 多分、僕に断れって意味だと思うけど……。

「ど、どうしてライラ様は僕と一緒にギルドに行こうと思われたのですか?」

 僕は一応理由について尋ねてみる。
 まあ、ライラ様からしたら、せっかくまた自由に行動できるようになったから、外の世界を見たいってことなのかもしれないけど……。

 すると。

「わ、私は、アデル様と同じように、そ、その……ぼ、冒険者に……(ゴニョゴニョ)」

 ……まさか、冒険者を希望されるだなんて。

「で、ですがライラ様は既に貴族であって、危険がつきまとう冒険者なんかになる必要は……」
「お、お願いします! 私も冒険者になって、ア、アデル様とパーティーを組んでみたいのです!」

 お、おおう……。

 僕は困り果て、チラリ、とハンナさんを見やると……うん、ハンナさんは顔をしかめながらこめかみを押さえていた。

 だけど。

「……仕方ありませんね」
「「っ!?」」

 ハンナさんの意外な言葉に、僕もライラ様も思わず息を飲んだ。

「ただし……私もご一緒して、同じように冒険者登録します。よろしいですね?」
「え、ええ! 一緒に冒険者になりましょう!」

 ライラ様はハンナさんの手を取り、嬉しそうにガシャガシャと飛び跳ねる。

 でも……いいのかなあ……。

 ◇

 次の日、僕達は冒険者ギルドへと向かった。

「ふふ、楽しみです♪」

 無表情だけど、ライラ様がガシャガシャと嬉しそうにスキップする。
 うん……もはや完璧に両腕と両脚を使いこなしているな。

「うふふ、お嬢様ったらはしゃいでしまって」

 ライラ様を見つめ、微笑むハンナさん。
 ところで……。

「ええと……徒歩でギルドに向かって、その……良かったんですか?」
「はい! それに……その、馬車には……」

 そう言うと、ライラ様が俯いてしまった。

「……実は、お嬢様のその腕と脚の重さで、馬車が……」
「ああ……」

 そうか……ライラ様の腕と脚は、高密度の鋼でできているから、重い、のか……。

「む……アデル様、ひょっとして私のこと、『重い』って思ったりしませんでしたか?」

 ライラ様が僕の顔を見上げながらプクー、と頬を膨らませた。
 はは……可愛い、なあ……。

「あ……」
「そんなことないですよ、ライラ様」

 僕は微笑みながら、ライラ様の頭を撫で……って、ああ!?

「す、すいません! また!」
「い、いいんです……アデル様なら、一杯その……撫でて、いただいても……」

 そう言うと、ライラ様が恥ずかしそうに俯いてしまった。

「コホン……さあ、ギルドに着きましたよ」

 咳払いをすると、ハンナさんが街の中でもひときわ大きい建物を指差した。
 それこそ、この街の冒険者ギルドだった。

「……じゃあ、行こうか」

 僕は少し緊張しながら、ギルドの扉を開けた。

 すると、朝ということもあって、中はクエスト受付の手続きのために冒険者でごった返していた。

「では、まずは受付に……「あれー? アデルさんじゃないですかー!」」

 ……早速、嫌な奴が僕に声を掛けてきた。

「えへへー、この一か月姿を見せなかったから、てっきり冒険者なんかやめて田舎でのんびりしてるんだと思ってましたー!」

 サラは全く悪びれもせず、いやらしい笑みを浮かべながら値踏みするように見つめる。

「それともー? あの領主様の依頼を受けて、そのまま消えちゃった・・・・・・のかともー? って、アハハハハ! ここにいるんだから、あのクエストは受けなかったのかー!」

 嫌味ったらしくそう告げるサラ。
 そして、それを聞いていた周りの冒険者も、クスクスと笑うか、舌打ちをするか……。

 すると。

「いえ……あの依頼、アデル様は確かにお受けいただき、見事に果たしていただきました」

 ハンナさんがス、と僕の前に立ってそう告げると、眼鏡をクイ、と持ち上げた。

「えっとー……あなたは?」
「はい。カートレット伯爵家で侍女をしております、“ハンナ”と申します」
「っ!?」

 ハンナさんが優雅にカーテシーを決めると、サラは息を飲む。
 だけど、それも一瞬で表情を戻すと。

「ははーん……私を騙そうと思って、魔石を売った金でこの女の人を雇ったんですねー? ギルドでの不正行為は、永久追放ですよー?」

 ……言うに事欠いて、この受付嬢は……!

 ——バキンッ!

 突然、木の板が割れる音が聞こえた。
 見ると……ライラ様がギルドの床を踏み破いていた。

 その右の瞳に、怒りを湛えて。

「あなたは、この“ライラ=カートレット”の大切なお方を侮辱するというのですか!」
「“ライラ”……って、領主様あ!?」

 サラはわなわなとライラ様を振るえる指で差した。

「私を指差してなんですか……不敬ですよ」
「あ、あわ……す、すいません!」

 ライラ様にたしなめられると、サラは慌てて手を引っ込め、愛想笑いを浮かべた。

「ですが……あなたには感謝しています」
「へ……?」
「だって……あなたのお蔭で、私はアデル様に出逢えたのですから……」

 そう言うと……ライラ様は僕の服をつまんだ。

「あ、あははー……で、ですねー……」
「まあ、それと先程のアデル様への無礼な振る舞いとは話は別ですが……?」
「ヒイイ」

 はは……おおよそ女の子の悲鳴とは思えない声だな……

「うふふ……アデル様をおとしめようとしたんですから、少々の罰は受けていただきませんと、ね?」

 そう言って、僕の肩にそっと手を置くハンナさん。
 ……ですが、あなただってライラ様がこうなってなかったら、僕を消そうとしてたでしょうに……。

「ところで……今日は私達、冒険者登録をしに参ったのですが……」
「ええ!?」

 ライラ様の言葉に、サラがひときわ大きな声を上げた。

「ただ、あなたにその手続きをしていただくのは不快ですので、誰か別の方にお願い……「なんだ、騒がしいな……」」

 すると、ギルドの奥の部屋から顔をしかめながら大きく、髭を生やした中年の男が出てきた。
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...