機械仕掛けの殲滅少女

サンボン

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第二章 復讐その二 ジェームズ=ゴドウィン

護衛の依頼

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「ようこそ冒険者ギルドへ……って、ゲッ!?」
「なんだその『ゲッ!?』ていうのは……」

 ギルドに来た僕達は早速受付に顔を出すと、いたのはサラだった。

「チェンジでお願いします」
「は、はいい……」

 ズイ、と僕の前にでたライラ様がサラにそう言い放すと、サラは恐縮しながらそそくさと事務室に引っ込んでいった。

 そして代わりに出てきたのは。

「これは領主様、今日はどんなご用で?」

 ギルドマスターのゴライアさんだった。

「実はこのたび、お嬢様がゴドウィン卿の屋敷であるパーティーに招かれ、それでその際の護衛を雇おうと思いまして」

 ライラ様に代わり、ハンナさんが答えた。

「護衛ですか……ですが、ゴドウィン侯爵領へ抜けるだけなら、街道も整備されていますから馬車で行けば比較的安全では?」
「それが荷物が重く、通常の馬車での移動が無理でして……」

 ハンナさんがチラリ、ライラ様を見て、少し言い淀む。
 まあ、こんなにライラ様にジッと見られたら言いづらいよね……。

「ということは……ひょっとして徒歩で!?」
「はい、そうなります」

 驚きの声を上げるゴライアさんに、ハンナさんは事務的に頷いた。

「うーん……こんなクエスト受けられるような奴、いるかな……」

 ゴライアさんは腕組みしながら、ウンウンと唸る。

「ええと……別に湿地帯で野営したりする訳ではないですし、通常の護衛程度で構いませんのでそんなに悩まなくてもいいですよ?」
「アデル、領主様の護衛なんだぞ? 下手な冒険者をつけて何かあったら、それこそギルドの責任なんだよ……だから、それなりの奴じゃないと……」
「ああ……」

 ……ギルドマスターとしては、さすがに領主様に粗相をする訳にもいかないもんなあ……大変だ。

 その時。

「クソッ! 今日もクエスト失敗だ!」
「エリアル、落ち着きなさいよ……今回は[運び屋ポーター]がいなかったんだから仕方ないでじゃない」
「そ、そうだよ! ホントだったらボク達なら楽勝だから!」
「う、うむ! そうだぞエリアル!」

 “黄金の旋風”の面々がギルドにやってきて、苛立つエリアスを囲んで口々に慰め合っていた。
 い、一体どういう状況なんだ?

 しかも、何故かカルラがその中にいないし。

「そうだ! おいお前達、ちょっとコッチに来い!」
「「「「……?」」」」

 ゴライアさんに呼ばれ、“黄金の旋風”が不思議そうな顔でやって来た。

「領主様、コイツ等はどうですか? 一応このギルド一の実力ですが……」
「「「「はあ!?」」」」

 突然ゴライアさんに紹介され、“黄金の旋風”の面々は驚きの声を上げた。

 いや、僕だって思わず声を上げそうになったよ。
 ……まさか、“黄金の旋風”を紹介されるとは思わなかったから。

「そうですね……では、お願いします」
「ライラ様!?」

 ライラ様の言葉に、僕は今度こそ驚きの声を上げた。
 いやだって、ライラ様は僕が元“黄金の旋風”のメンバーであることを知っていて、“役立たず”と追放されたことも……。

「ええと、リーダーはあなたでしたよね?」
「は、はあ……」」

 エリアルも突然のことで状況について行けず、曖昧な返事を返す。

「では、ゴドウィン侯爵邸までの護衛を兼ねた荷物運びとして、一日当たり金貨十枚支払うということでお願いしたいのですが、よろしいですか?」
「「「「金貨十枚!?」」」」

 ライラ様の説明を聞き、“黄金の旋風”の面々はさらに驚きの声を上げた。
 それもそうだろう。さすがにただの荷物運びと護衛だけで、一日当たり金貨十枚は高すぎる。

 でも、何故かハンナさんも止めようとはしないし……い、いいんだろうか……。

「や、やります! やらせてください!」

 エリアルは二つ返事でこの依頼を受けると、ライラさんの手を取ろうとして。

「寄るな、汚らわしい」
「っ!?」

 ライラ様に一蹴され、触れようとした手をピタリ、と止めた。

「この私に触れて良いのは、アデル様だけです。あなた達は、私の指示通り動けば良いのです」
「…………………………はい」

 ライラ様の言葉に、エリアルは唇を噛みながら俯くが、その目は僕を睨んでいた。

「……これは一体何の騒ぎ?」

 遅れてギルドに入ってきたカルラが、僕達の状況を見て駆け寄ってきた。

「……アデル」
「…………………………」

 カルラは俺を見て名前を呼んだが、俺は返事もせず顔を背けた。
 もう……俺の中にカルラの居場所はないんだから。

「カルラ、実は……」
「……………………っ!?」

 エリアルはカルラに耳打ちする。
 恐らく、今回のクエストの件について説明しているんだろう。

「……な? いい話だろう?」
「……確かに、私達の現状を考えたら、受けるしか手はないわね」

 カルラは顔をしかめながら、渋々といった様子で頷いた。

「……では、出発は三週間後。夜明けとともに出発します」
「分かりました」

 前金で十日分の金貨百枚を受け取り、エリアル達はホクホク顔で僕達から離れて行った。
 そんな中……カルラがチラリ、とこちらを見る。

「…………………………」
「…………………………(プイ)」

 そしてまた前へと向き直り、エリアル達と一緒にギルドを出て行った。

「……ところでライラ様、どうして“黄金の旋風”の護衛を受けたんですか? ハンナさんも、どうしてライラ様が“黄金の旋風”の護衛を受けたことに反対しなかったんですか?」

 俺はライラ様とハンナさんに尋ねる。
 あれ程嫌っていた“黄金の旋風”を、二人は絶対に受け入れないと思っていた。

 俺の思い上がりだけど……それでも、俺を追放した“黄金の旋風”を……俺を裏切った、あのカルラを……この二人が受け入れるなんて……。

「アデル様、決まっているじゃないですか。あの連中の生命をすり減らす程こき使うため、ですよ」

 そう言うと、ライラ様は俺の右側に寄り添った。

「そうですね。金に釣られ、アデル様にしたことをまるで忘れてしまっている連中です。身の程知らずであることを、キッチリと教えて差し上げますよ」

 今度はハンナさんが俺の左側に寄り添い、ニタリ、と口の端を吊り上げた。

「ええハンナ、期待していますよ?」
「お任せください、お嬢様」

 そうか……むしろライラ様も、ハンナさんも、俺のために……。

「ありがとう……ございます……」

 俺は声にならない程の声で呟くと、二人がそっと俺の手を握ってくれた。

 その手は……温かかった。
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