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第二章 復讐その二 ジェームズ=ゴドウィン
クロウ=システム
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「アデル様……ほ、本当にとんでもない物をお作りになられましたね……」
ライラ様を眺めながら、ハンナさんが呆けた表情でポツリ、と呟く。
「あはは……僕もこれ程とは思いませんでした……」
確かに、僕はこの装置についてイメージしてはいるけど……うん、想像以上だ。
イメージした後は、僕の【設計】が自動でその最適解を導き出して図面化するからなあ……。
「すごい! すごい!」
はしゃぐライラ様がもう一周敷地内を駆け巡ると、僕達の手前で装置を止めて急停止した。
まあ、急停止したと言っても、その義足で無理やり止まったんだけど……。
「アデル様! とても素晴らしいです!」
ライラ様が尻尾の幻影をブンブンと振り回しながら、僕の手を取ってピョンピョンと飛び跳ねる。
うん、気に入ってもらえたようで何よりだ。
「ですが、今回はあまり障害物がない敷地内でのテストでしたけど、これからは障害物の多いところや実際に戦闘訓練をして、もっと慣れないとですね」
「はい! 私、頑張ります!」
僕の言葉に、やる気に満ちた眼差しを向けるライラ様。
「お嬢様、もちろん執務が終わってからですからね?」
「わ、分かっています!」
ハンナさんに釘を刺され、ライラ様が頬を膨らませた。
あはは……二人の仲も、すっかり元通りになって良かった。
「それでアデル様。この地面を滑る装置は、何という名前なんでしょうか?」
「名前、ですか……?」
ライラ様に尋ねられ、僕は思わずポカン、としてしまった。
名前……そんなの考えてなかった。
「あの……よろしいでしょうか?」
すると、ハンナさんがおずおずと手を挙げた。
「はい、なんでしょう?」
「その……もし、まだ名前をお決めでないのでしたら、“クロウ”というのはいかがでしょうか?」
“クロウ”……。
僕はその名を呟き、聳え立つ壁をチラリ、と見やる。
今日もあの壁には、餌を求めて鳥たちが集まって来ている。
その中には、蒼色の羽を身にまとう鴉の姿も。
「ええと…… 鴉は低空で飛ぶことも多いですし、お嬢様の藍色の髪や甲冑の色と重なって見えまして……」
「ハンナ、いいですね!」
「成程……僕も“クロウ”に賛成です!」
低空飛行で獲物を狙う“クロウ”……復讐相手を刈るライラ様に、まさにピッタリの名前だった。
「では、この装置を“クロウ=システム”としましょう」
「「はい!」」
二人が、嬉しそうに頷いた。
◇
その後、ライラ様が執務をこなし、ハンナさんの許可をいただいてギルドへと向かった。
「いらっしゃいませー! 冒険者ギルドへよう……こ……そ……」
僕達がギルド内に入った瞬間、受付嬢のサラが一瞬にして凍りついた。
まあ、サラの生殺与奪はまさに領主であるライラ様が握っていると言っても過言じゃないもんな。
そんなサラを無視し、僕達は依頼紙が掲げられている掲示板を眺めると……お、これなんかちょうど良さそうだ。
「ライラ様、ハンナさん、今日はこのクエストにしましょうか」
そう言って、僕は掲示板から剥がした依頼紙を二人に見せる。
「『キラービーの討伐』、ですか……」
「はい。キラービーの生息は森の中ですし、木や岩などの障害物が多く、訓練にはまさにうってつけです」
「ですね」
僕の言葉に、ハンナさんが同意する。
「では、受付で手続きをしてきますね」
僕は受付に向かい、サラ……ではない受付嬢と話して手続きを済ませる。
「ところで、“黄金の旋風”の姿が見えないけど?」
「“黄金の旋風”ですか……」
何となく気になったので聞いてみると、受付嬢が複雑な表情を浮かべた。
「ええと……何かあったんですか?」
「い、いえ! そういう訳ではないんですが……」
うーん……どうにも歯切れが悪いな……。
「おや? これは領主様……出発は二週間後の筈ですが?」
執務室から出てきたゴライアさんが、僕達を見つけて声を掛けてきた。
「いえ、今日は“白銀の翼”としての活動ですので」
ライラ様は少し嬉しそうな声で“白銀の翼”を強調しながら答えた。
「そうでしたか。どれどれ……うーむ……」
「どうかしましたか?」
「ああいえ……領主様には少し難易度が高いのでは、と思いまして……」
ゴライアさんが言いづらそうにそう告げる。
そして、「そうなの?」と言いたそうにライラ様が僕を見た。
「あはは、まあ、そうかもしれませんね」
「確かに」
僕とハンナさんは笑顔でライラ様とゴライアさんに答える。
「ですが、我々にとって今一番必要な魔物なんです。ライラ様が強くなるために」
「強くなるために、か……」
僕の言葉を受け、ゴライアさんは少し憐れむような視線をライラ様に向けた。
多分、ゴライアさんはジェイコブの襲撃事件のことがあって、それで鍛えていると考えたんだろう。まあ、当たらずも遠からずではあるけど。
「分かりました。領主様、くれぐれもお気をつけて」
「はい!」
深々と頭を下げるゴライアさんに、ライラ様は元気よく返事をした。
そして、僕達は森に向かうためにギルドを出ると……。
「あれは……“黄金の旋風”、か?」
そこには、昼間にもかかわらず機嫌良さそうに通りを練り歩いているカルラを除いた“黄金の旋風”の面々がいた。
ライラ様を眺めながら、ハンナさんが呆けた表情でポツリ、と呟く。
「あはは……僕もこれ程とは思いませんでした……」
確かに、僕はこの装置についてイメージしてはいるけど……うん、想像以上だ。
イメージした後は、僕の【設計】が自動でその最適解を導き出して図面化するからなあ……。
「すごい! すごい!」
はしゃぐライラ様がもう一周敷地内を駆け巡ると、僕達の手前で装置を止めて急停止した。
まあ、急停止したと言っても、その義足で無理やり止まったんだけど……。
「アデル様! とても素晴らしいです!」
ライラ様が尻尾の幻影をブンブンと振り回しながら、僕の手を取ってピョンピョンと飛び跳ねる。
うん、気に入ってもらえたようで何よりだ。
「ですが、今回はあまり障害物がない敷地内でのテストでしたけど、これからは障害物の多いところや実際に戦闘訓練をして、もっと慣れないとですね」
「はい! 私、頑張ります!」
僕の言葉に、やる気に満ちた眼差しを向けるライラ様。
「お嬢様、もちろん執務が終わってからですからね?」
「わ、分かっています!」
ハンナさんに釘を刺され、ライラ様が頬を膨らませた。
あはは……二人の仲も、すっかり元通りになって良かった。
「それでアデル様。この地面を滑る装置は、何という名前なんでしょうか?」
「名前、ですか……?」
ライラ様に尋ねられ、僕は思わずポカン、としてしまった。
名前……そんなの考えてなかった。
「あの……よろしいでしょうか?」
すると、ハンナさんがおずおずと手を挙げた。
「はい、なんでしょう?」
「その……もし、まだ名前をお決めでないのでしたら、“クロウ”というのはいかがでしょうか?」
“クロウ”……。
僕はその名を呟き、聳え立つ壁をチラリ、と見やる。
今日もあの壁には、餌を求めて鳥たちが集まって来ている。
その中には、蒼色の羽を身にまとう鴉の姿も。
「ええと…… 鴉は低空で飛ぶことも多いですし、お嬢様の藍色の髪や甲冑の色と重なって見えまして……」
「ハンナ、いいですね!」
「成程……僕も“クロウ”に賛成です!」
低空飛行で獲物を狙う“クロウ”……復讐相手を刈るライラ様に、まさにピッタリの名前だった。
「では、この装置を“クロウ=システム”としましょう」
「「はい!」」
二人が、嬉しそうに頷いた。
◇
その後、ライラ様が執務をこなし、ハンナさんの許可をいただいてギルドへと向かった。
「いらっしゃいませー! 冒険者ギルドへよう……こ……そ……」
僕達がギルド内に入った瞬間、受付嬢のサラが一瞬にして凍りついた。
まあ、サラの生殺与奪はまさに領主であるライラ様が握っていると言っても過言じゃないもんな。
そんなサラを無視し、僕達は依頼紙が掲げられている掲示板を眺めると……お、これなんかちょうど良さそうだ。
「ライラ様、ハンナさん、今日はこのクエストにしましょうか」
そう言って、僕は掲示板から剥がした依頼紙を二人に見せる。
「『キラービーの討伐』、ですか……」
「はい。キラービーの生息は森の中ですし、木や岩などの障害物が多く、訓練にはまさにうってつけです」
「ですね」
僕の言葉に、ハンナさんが同意する。
「では、受付で手続きをしてきますね」
僕は受付に向かい、サラ……ではない受付嬢と話して手続きを済ませる。
「ところで、“黄金の旋風”の姿が見えないけど?」
「“黄金の旋風”ですか……」
何となく気になったので聞いてみると、受付嬢が複雑な表情を浮かべた。
「ええと……何かあったんですか?」
「い、いえ! そういう訳ではないんですが……」
うーん……どうにも歯切れが悪いな……。
「おや? これは領主様……出発は二週間後の筈ですが?」
執務室から出てきたゴライアさんが、僕達を見つけて声を掛けてきた。
「いえ、今日は“白銀の翼”としての活動ですので」
ライラ様は少し嬉しそうな声で“白銀の翼”を強調しながら答えた。
「そうでしたか。どれどれ……うーむ……」
「どうかしましたか?」
「ああいえ……領主様には少し難易度が高いのでは、と思いまして……」
ゴライアさんが言いづらそうにそう告げる。
そして、「そうなの?」と言いたそうにライラ様が僕を見た。
「あはは、まあ、そうかもしれませんね」
「確かに」
僕とハンナさんは笑顔でライラ様とゴライアさんに答える。
「ですが、我々にとって今一番必要な魔物なんです。ライラ様が強くなるために」
「強くなるために、か……」
僕の言葉を受け、ゴライアさんは少し憐れむような視線をライラ様に向けた。
多分、ゴライアさんはジェイコブの襲撃事件のことがあって、それで鍛えていると考えたんだろう。まあ、当たらずも遠からずではあるけど。
「分かりました。領主様、くれぐれもお気をつけて」
「はい!」
深々と頭を下げるゴライアさんに、ライラ様は元気よく返事をした。
そして、僕達は森に向かうためにギルドを出ると……。
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