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第三章 復讐その三 ハリー=カベンディッシュ
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レストランを出た僕達は、早速材料の調達に取り掛かる。
だがその前に。
「……【設計】」
【設計】を発動すると、無数の図面が頭の中で展開する。
もちろん、それに見合うだけの激痛と共に。
「ぐう……う……っ!」
その痛みに耐え、必要な材料を確認した。
今回は思ったより材料は少ない、な……。
「アデル様!」
【設計】を止め、いつものように崩れ落ちそうになった僕を、ライラ様とハンナさんが同時に支えてくれた。
「……失礼します」
そして、ハンナさんが僕の鼻血を綺麗に拭ってくれた。
「あはは……ありがとうございます」
苦笑しながらお礼を言うと、ハンナさんが悲痛な表情を浮かべる。
反対隣にいるライラ様も、表情は変わらずとも、その右の瞳が涙で滲んでいた。
それから、僕達は様々な店をはしごし、必要な材料をかき集める。
鉄、ミスリル、革、魔石、そして……炎と雷を起こすための魔法陣。
ハンナさんは、僕が能力を使った後の時のために、大量のポーションを調達してくれた。
そして宿屋へと戻ると、僕の部屋の床に材料を並べる。
「……王都への召集命令まではあと十二日ありますから、それまでには僕も目覚めることができそうですね」
「あ……はい……」
「ええ……」
そう告げると、ライラ様もハンナさんも悲しそうに俯いた。
僕が生死を彷徨うという事実を、受け入れたくないかのように。
……こんな僕のために、そんな風に想ってもらえるだなんて、本当に僕は幸せ者だ。
僕はそんな二人の想いに応えるために。
「では……行きます! ——【設計】!【加工】!【製作】!」
能力を同時に、限界を超えて行使した。
「アグ……ア……アアアアア……!」
頭が割れそうな程痛い。
身体中が軋む。
心臓が張り裂けそうな程の速さと強さで鼓動を打つ。
でも、僕は絶対に止めない。
鉄をいつものように圧縮、加工した玉鋼に、糸のように細くしたミスリルを螺旋状に編み込んで二本の筒のようなものを形成する。
同じく玉鋼でその筒を固定する骨格のようなものを製作し、その内部に雷の魔法陣を転写する。
そして骨格と筒を融合させて固定し、雷の魔法陣を起点としてミスリルの線を筒に繋いだ。
次に、ボウガンのようなグリップと引き金を作成し、骨格に取り付ける。
また、その引き金と連動するように、中心の穴を起点として放射状に六つの穴を開けた短い円柱状の玉鋼の塊を組み込んだ。
「アデル様……アデル様……!」
両隣にいるライラ様とハンナさんが、涙を零しながら顔から流れる血を拭ってくれた。
あとは……魔石、だな……。
魔石に手をかざし、金貨と同じサイズに圧縮、形成したものを二枚作成する。
そしてこれを、グリップに内蔵させて……。
「でき、た……」
僕の手には、あのククリナイフよりもさらに高密度に圧縮したナイフを筒に接合した、この世界で誰も見たことがないような武器が二つできあがった。
「僕、は……ちょっと、寝ま、す……ね……」
僕は微笑んだ後、その身体を最も信じる二人に預け、意識を失った。
◇
「んう……」
「「っ!? アデル様!」」
目を開けると、今回は見知らぬ天井ではなくて、ライラ様とハンナさんの顔が僕の視界に飛び込んできた。
そして。
「アデル様……アデル様あ……!」
ハンナさんが僕の胸に顔をうずめ、嗚咽を漏らした。
「あはは……ハンナさんって、泣き虫なんですね……」
少し揶揄い気味にそう呟き、そんなハンナさんの頭を優しく撫でた。
「ふふ……ハンナはアデル様が目を覚ますまで、ずっとここで待っていたんですよ?」
右の瞳から零れる涙を指ですくいながら、ライラ様が微笑む。
だけど。
「……ライラ様も、素直じゃありませんね」
僕はライラ様の頭も同じように優しく撫でた。
だって……ライラ様の目の下にうっすらと隈ができているから。
「「……アデル様が意地悪です」」
二人はそう呟くと、僕の胸に頬を寄せた。
でも、二人の表情についさっきまでの悲壮感はもうない。
「それで、僕はどれくらい寝ていましたか?」
「今回は二日で目を覚まされました」
「二日、かあ……」
僕が問い掛けると、ハンナさんが答えてくれた。
こんな短い日数で目を覚ましたのって、間違いなく耐性がついている証拠ではあるんだろうけど、素直に喜べないなあ……。
「よいしょ、と……」
「あ! アデル様! まだ安静にしないと!」
身体を起こすと、ライラ様が慌てて制止する。
だけど、たった二日だけなら身体もなまっていないから。
「ですが、二人がポーションで身体を治してくださったんですよね?」
「「…………………………」」
そう尋ねると、何故かライラ様とハンナさんの間に若干険悪な空気が流れた。なんで!?
「あ、あはは……とにかく、二日程度なら僕の身体も平気ですから、それよりも早速新しい武器について試し……」
——ぐう。
「そ、その前に食事、ですね……」
僕は苦笑しながら頭を掻くと。
「ふ」
「ふふ」
「「「あははははははははは!」」」
二人が吹き出し、僕達三人は大声で笑った。
また、こうやって同じ世界にいられることに感謝して。
だがその前に。
「……【設計】」
【設計】を発動すると、無数の図面が頭の中で展開する。
もちろん、それに見合うだけの激痛と共に。
「ぐう……う……っ!」
その痛みに耐え、必要な材料を確認した。
今回は思ったより材料は少ない、な……。
「アデル様!」
【設計】を止め、いつものように崩れ落ちそうになった僕を、ライラ様とハンナさんが同時に支えてくれた。
「……失礼します」
そして、ハンナさんが僕の鼻血を綺麗に拭ってくれた。
「あはは……ありがとうございます」
苦笑しながらお礼を言うと、ハンナさんが悲痛な表情を浮かべる。
反対隣にいるライラ様も、表情は変わらずとも、その右の瞳が涙で滲んでいた。
それから、僕達は様々な店をはしごし、必要な材料をかき集める。
鉄、ミスリル、革、魔石、そして……炎と雷を起こすための魔法陣。
ハンナさんは、僕が能力を使った後の時のために、大量のポーションを調達してくれた。
そして宿屋へと戻ると、僕の部屋の床に材料を並べる。
「……王都への召集命令まではあと十二日ありますから、それまでには僕も目覚めることができそうですね」
「あ……はい……」
「ええ……」
そう告げると、ライラ様もハンナさんも悲しそうに俯いた。
僕が生死を彷徨うという事実を、受け入れたくないかのように。
……こんな僕のために、そんな風に想ってもらえるだなんて、本当に僕は幸せ者だ。
僕はそんな二人の想いに応えるために。
「では……行きます! ——【設計】!【加工】!【製作】!」
能力を同時に、限界を超えて行使した。
「アグ……ア……アアアアア……!」
頭が割れそうな程痛い。
身体中が軋む。
心臓が張り裂けそうな程の速さと強さで鼓動を打つ。
でも、僕は絶対に止めない。
鉄をいつものように圧縮、加工した玉鋼に、糸のように細くしたミスリルを螺旋状に編み込んで二本の筒のようなものを形成する。
同じく玉鋼でその筒を固定する骨格のようなものを製作し、その内部に雷の魔法陣を転写する。
そして骨格と筒を融合させて固定し、雷の魔法陣を起点としてミスリルの線を筒に繋いだ。
次に、ボウガンのようなグリップと引き金を作成し、骨格に取り付ける。
また、その引き金と連動するように、中心の穴を起点として放射状に六つの穴を開けた短い円柱状の玉鋼の塊を組み込んだ。
「アデル様……アデル様……!」
両隣にいるライラ様とハンナさんが、涙を零しながら顔から流れる血を拭ってくれた。
あとは……魔石、だな……。
魔石に手をかざし、金貨と同じサイズに圧縮、形成したものを二枚作成する。
そしてこれを、グリップに内蔵させて……。
「でき、た……」
僕の手には、あのククリナイフよりもさらに高密度に圧縮したナイフを筒に接合した、この世界で誰も見たことがないような武器が二つできあがった。
「僕、は……ちょっと、寝ま、す……ね……」
僕は微笑んだ後、その身体を最も信じる二人に預け、意識を失った。
◇
「んう……」
「「っ!? アデル様!」」
目を開けると、今回は見知らぬ天井ではなくて、ライラ様とハンナさんの顔が僕の視界に飛び込んできた。
そして。
「アデル様……アデル様あ……!」
ハンナさんが僕の胸に顔をうずめ、嗚咽を漏らした。
「あはは……ハンナさんって、泣き虫なんですね……」
少し揶揄い気味にそう呟き、そんなハンナさんの頭を優しく撫でた。
「ふふ……ハンナはアデル様が目を覚ますまで、ずっとここで待っていたんですよ?」
右の瞳から零れる涙を指ですくいながら、ライラ様が微笑む。
だけど。
「……ライラ様も、素直じゃありませんね」
僕はライラ様の頭も同じように優しく撫でた。
だって……ライラ様の目の下にうっすらと隈ができているから。
「「……アデル様が意地悪です」」
二人はそう呟くと、僕の胸に頬を寄せた。
でも、二人の表情についさっきまでの悲壮感はもうない。
「それで、僕はどれくらい寝ていましたか?」
「今回は二日で目を覚まされました」
「二日、かあ……」
僕が問い掛けると、ハンナさんが答えてくれた。
こんな短い日数で目を覚ましたのって、間違いなく耐性がついている証拠ではあるんだろうけど、素直に喜べないなあ……。
「よいしょ、と……」
「あ! アデル様! まだ安静にしないと!」
身体を起こすと、ライラ様が慌てて制止する。
だけど、たった二日だけなら身体もなまっていないから。
「ですが、二人がポーションで身体を治してくださったんですよね?」
「「…………………………」」
そう尋ねると、何故かライラ様とハンナさんの間に若干険悪な空気が流れた。なんで!?
「あ、あはは……とにかく、二日程度なら僕の身体も平気ですから、それよりも早速新しい武器について試し……」
——ぐう。
「そ、その前に食事、ですね……」
僕は苦笑しながら頭を掻くと。
「ふ」
「ふふ」
「「「あははははははははは!」」」
二人が吹き出し、僕達三人は大声で笑った。
また、こうやって同じ世界にいられることに感謝して。
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