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第三章 復讐その三 ハリー=カベンディッシュ
“対話”のための力
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「ふふ、美味しいですね」
二日前と同じレストランに来た僕達は、その料理の数々に舌鼓を打つ。
ライラ様も表情は変わらないものの、メインの肉料理にご満悦の様子だ。
「あはは。ええ、美味しいですね」
そんなライラ様に、僕も笑顔で同意した。
「ですがアデル様……もう少しお腹や舌に優しいもののほうがよろしかったのではないでしょうか……」
「大丈夫ですよ。何日も寝ていた訳ではないですし、お腹が空くということは体調に問題はないということです」
ハンナさんが心配そうにしているので、僕は努めて元気にそう答えた。
実際、お腹の調子も悪くはないし、味だって……今の僕には関係ない。
「それならよろしいのですが……」
まあ、ハンナさんも渋々ではあるが納得してくれたようだ。
「それより、食事が終わったら街はずれで早速その武器を試しましょう」
「はい」
僕がそう告げると、ハンナさんが腰に掛けてある新たな武器にそっと手を添えた。
まるで、宝物を慈しむかのように。
「はあ……あの男も最低のクズではありましたが、またあのお菓子だけは食べたいですね……」
食後のデザートを食べながら、ライラ様が残念そうに呟く。
確かに、悔しいけどあのお菓子は美味しかったからなあ……。
……もう、味わえることはないけど。
「お嬢様、では今度一緒に作ってみましょうか?」
「本当ですか!」
ハンナさんの提案に、ライラ様が右の瞳をキラキラさせる。
「ええ。材料自体はどこでも手に入るものですし、調理自体も簡単なものですので」
「うわあああ……!」
ライラ様が感動のあまり、感嘆の声を漏らした。
あはは、よっぽど食べたかったんだな。
「ふあ……」
そんなライラ様が可愛くてたまらなくなり、気づけば僕はライラ様の頭を優しく撫でていた。
ライラ様も気持ちいいのか、そっと瞳を閉じた。
「うふふ! さあて、お嬢様もアデル様も、もう食事は終わりましたよね!」
す、少し口元をヒクヒクさせながら、ハンナさんは強い口調で僕達に尋ねる……というより、ほぼ強制ですよね!?
「……ハンナ、少し無粋ではないですか?」
「いいえ! そんなことはありません!」
責めるようにジッと見るライラ様に、ハンナさんはプイ、と顔を背ける。
あはは、本当に二人は姉妹みたいに仲がいいなあ……。
「「あ……ふふ……」
結局僕は、そんな二人が可愛くて、その頭を撫でてしまった。
◇
食事を終えて街の郊外に来ると、僕は早速試し撃ちのための石壁をいくつも用意する。
もちろん、石壁には的も描いて。
「ええと……それでこの武器はどのように使用するのでしょうか……?」
武器を持ちながら、ハンナさんがおずおずと尋ねる。
「はい。今回僕が作った武器は、ハンナさんが師匠である“ジャック”と戦うこと……対話することをコンセプトに【製作】しました」
「……(コクリ)」
「そもそも、“ジャック”の職業である[切り裂き魔]は、会敵した限り近接戦闘や罠に特化した能力に見受けられます。なら……」
「……一定距離を保ちつつ迎撃したほうが良い、ということですか」
「はい」
そう……僕が考えたのは、ボウガンのような遠距離戦闘に特化しつつ、二射、三射が連続して可能で、かつ、敵が防ぐことができないような武器だった。
その構想を基に【設計】したのがこの武器だ。
「ではハンナさん、まずはあらかじめお教えした通り、その太めの鋼の筒を横にずらし、穴の中にお渡ししてある金属の弾丸を装填してもらえますか?」
「は、はい」
僕がそう指示すると、まだ慣れないせいかハンナさんはたどたどしい動きで弾丸を一つずつ装填する。
「お、終わりました」
「では筒を元の位置にセットし、ボウガンと同じような要領で壁の的に向かって撃っていただけますか?」
「は、はい」
ハンナさんは右手に持つ武器を構え、ゆっくりと引き金を引く。
——ドン!
「キャアッ!?」
すると、轟音とほぼ同時に、的からは外れているものの壁に穴が開いた。
ハンナさんは……っ!?
「ハンナさん! 大丈夫ですか!?」
僕は後ろに倒れてしまったハンナさんに駆け寄った。
「は、はい……ですが、思いのほか反動が強かったので驚いてしまいました……」
とりあえず無事な様子に、僕はホッと胸を撫で下ろした。
「それで……扱えそうですか?」
「はい、片手で制御できない程の反動でもないですし、あとは感触さえつかめれば」
僕の問い掛けに、ハンナさんはしっかりと頷く。
どうやら、扱い自体にも問題はなさそうだ。
それで、この武器の効果は、と……。
僕はハンナさんが狙った的に近寄って確認すると……うん、前方に穴が開いて向こうまで貫通している。
さて、裏側は……っ!?
「? アデル様、どうなさいました?」
僕が思わず息を飲んだのを不思議に思ったライラ様が、僕の傍に寄って同じように壁の裏側を覗き込むと。
「な、何ですかこれは!?」
「……ハンナさんの武器の、威力です」
驚くライラ様に僕は静かにそう告げるけど、僕だっていまだに信じられない。
だって……貫通した穴を中心として、壁の後ろ側が放射状に抉り取られていたんだから。
二日前と同じレストランに来た僕達は、その料理の数々に舌鼓を打つ。
ライラ様も表情は変わらないものの、メインの肉料理にご満悦の様子だ。
「あはは。ええ、美味しいですね」
そんなライラ様に、僕も笑顔で同意した。
「ですがアデル様……もう少しお腹や舌に優しいもののほうがよろしかったのではないでしょうか……」
「大丈夫ですよ。何日も寝ていた訳ではないですし、お腹が空くということは体調に問題はないということです」
ハンナさんが心配そうにしているので、僕は努めて元気にそう答えた。
実際、お腹の調子も悪くはないし、味だって……今の僕には関係ない。
「それならよろしいのですが……」
まあ、ハンナさんも渋々ではあるが納得してくれたようだ。
「それより、食事が終わったら街はずれで早速その武器を試しましょう」
「はい」
僕がそう告げると、ハンナさんが腰に掛けてある新たな武器にそっと手を添えた。
まるで、宝物を慈しむかのように。
「はあ……あの男も最低のクズではありましたが、またあのお菓子だけは食べたいですね……」
食後のデザートを食べながら、ライラ様が残念そうに呟く。
確かに、悔しいけどあのお菓子は美味しかったからなあ……。
……もう、味わえることはないけど。
「お嬢様、では今度一緒に作ってみましょうか?」
「本当ですか!」
ハンナさんの提案に、ライラ様が右の瞳をキラキラさせる。
「ええ。材料自体はどこでも手に入るものですし、調理自体も簡単なものですので」
「うわあああ……!」
ライラ様が感動のあまり、感嘆の声を漏らした。
あはは、よっぽど食べたかったんだな。
「ふあ……」
そんなライラ様が可愛くてたまらなくなり、気づけば僕はライラ様の頭を優しく撫でていた。
ライラ様も気持ちいいのか、そっと瞳を閉じた。
「うふふ! さあて、お嬢様もアデル様も、もう食事は終わりましたよね!」
す、少し口元をヒクヒクさせながら、ハンナさんは強い口調で僕達に尋ねる……というより、ほぼ強制ですよね!?
「……ハンナ、少し無粋ではないですか?」
「いいえ! そんなことはありません!」
責めるようにジッと見るライラ様に、ハンナさんはプイ、と顔を背ける。
あはは、本当に二人は姉妹みたいに仲がいいなあ……。
「「あ……ふふ……」
結局僕は、そんな二人が可愛くて、その頭を撫でてしまった。
◇
食事を終えて街の郊外に来ると、僕は早速試し撃ちのための石壁をいくつも用意する。
もちろん、石壁には的も描いて。
「ええと……それでこの武器はどのように使用するのでしょうか……?」
武器を持ちながら、ハンナさんがおずおずと尋ねる。
「はい。今回僕が作った武器は、ハンナさんが師匠である“ジャック”と戦うこと……対話することをコンセプトに【製作】しました」
「……(コクリ)」
「そもそも、“ジャック”の職業である[切り裂き魔]は、会敵した限り近接戦闘や罠に特化した能力に見受けられます。なら……」
「……一定距離を保ちつつ迎撃したほうが良い、ということですか」
「はい」
そう……僕が考えたのは、ボウガンのような遠距離戦闘に特化しつつ、二射、三射が連続して可能で、かつ、敵が防ぐことができないような武器だった。
その構想を基に【設計】したのがこの武器だ。
「ではハンナさん、まずはあらかじめお教えした通り、その太めの鋼の筒を横にずらし、穴の中にお渡ししてある金属の弾丸を装填してもらえますか?」
「は、はい」
僕がそう指示すると、まだ慣れないせいかハンナさんはたどたどしい動きで弾丸を一つずつ装填する。
「お、終わりました」
「では筒を元の位置にセットし、ボウガンと同じような要領で壁の的に向かって撃っていただけますか?」
「は、はい」
ハンナさんは右手に持つ武器を構え、ゆっくりと引き金を引く。
——ドン!
「キャアッ!?」
すると、轟音とほぼ同時に、的からは外れているものの壁に穴が開いた。
ハンナさんは……っ!?
「ハンナさん! 大丈夫ですか!?」
僕は後ろに倒れてしまったハンナさんに駆け寄った。
「は、はい……ですが、思いのほか反動が強かったので驚いてしまいました……」
とりあえず無事な様子に、僕はホッと胸を撫で下ろした。
「それで……扱えそうですか?」
「はい、片手で制御できない程の反動でもないですし、あとは感触さえつかめれば」
僕の問い掛けに、ハンナさんはしっかりと頷く。
どうやら、扱い自体にも問題はなさそうだ。
それで、この武器の効果は、と……。
僕はハンナさんが狙った的に近寄って確認すると……うん、前方に穴が開いて向こうまで貫通している。
さて、裏側は……っ!?
「? アデル様、どうなさいました?」
僕が思わず息を飲んだのを不思議に思ったライラ様が、僕の傍に寄って同じように壁の裏側を覗き込むと。
「な、何ですかこれは!?」
「……ハンナさんの武器の、威力です」
驚くライラ様に僕は静かにそう告げるけど、僕だっていまだに信じられない。
だって……貫通した穴を中心として、壁の後ろ側が放射状に抉り取られていたんだから。
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