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第三章 復讐その三 ハリー=カベンディッシュ
フギンとムニン
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貫通した穴を中心として放射状に抉り取られている壁の裏側を、僕とライラ様は茫然と眺める。
「お二人共、いかがなさいました?」
「ハンナ……これを見なさい」
僕達の様子を見てハンナさんも近寄って来ると、ライラ様が白銀の手で壁の裏側を指差した。
「っ!? こ、これは……!」
やっぱりハンナさんも驚きの声を上げる。
それはそうだ。こんなの……どんな攻撃魔法だって再現不可能だ。
「ア、アデル様は、またとんでもないものをお作りになられましたね……」
「ぼ、僕自身もびっくりです……」
クロウ=システムの時も驚きはしたものの、ハッキリとその効果がイメージできたからここまでではなかった。
でも……この武器に関しては想定外だ……。
「そ、その……この武器の原理はどうなっているのですか……?」
ライラ様が武器を指差しながらおずおずと尋ねる。
「は、はい、引き金を合図に魔石の魔力で炎の魔法陣を発動させ、弾丸をその筒を通過して射出するんです。それで、弾丸の速度と貫通力を高めるため、筒に沿って螺旋状にミスリルを内蔵し、雷の魔法陣から流れる電撃を流し込んで磁力を発生させているんです……」
「あ、あうあうあう……」
僕は武器の構造について一気に説明すると、ライラ様が混乱してしまった。
というか、僕も【設計】で見た図面の内容をかいつまんで話しているだけで、その詳細な原理を理解している訳じゃないけど……。
「と、とにかく! この武器がとんでもない代物で、その扱いには修練が必要だということは分かりました!」
確かにハンナさんがこの武器を十全に扱えるようにするためには、今ハンナさんが言ったようにこの武器について理解し、正確に射撃できるようにならないといけない。
そうじゃないと、一緒に戦うライラ様や僕も被害を受ける可能性がある。
「と、ということで、せっかく僕の意識を失っていた日数が短かったんです。王都への召集期限ぎりぎりまで、ハンナさんの特訓をしましょう!」
「わ、分かりました! 必ずや、アデル様からいただいたこの武器を使いこなしてみせます!」
ハンナさんはフンス、と意気込むと、武器を構えて壁の的を狙い撃ち続けた。
◇
ハンナさんが武器の訓練を始めてから七日。
今日も僕達は街の郊外で訓練に勤しむハンナさんを眺めている。
……いや、ライラ様は僕達とは別に、クロウ=システムを使ってチャレンジしていたりする。
だけど、まさかあんなことができるなんて、思いもよらなかったけど。
——ドン! ドン! ドン!
おお……ハンナさん、全弾とも的のど真ん中に命中してるなあ。
僕は穴の開いた壁をのんびりと眺めながら、心の中で感嘆の声を漏らした。
その後も、ハンナさんは武器を二つとも両手に持ち、綺麗な姿勢で狙った的へと見事に命中させていく。
うん……ここまで見事に使いこなせれば、もう訓練の必要ないんじゃないかな。
「ふう……」
「お疲れ様です、ハンナさん」
「あ、アデル様!」
額の汗を拭うハンナさんに声を掛けると、ハンナさんは嬉しそうに僕の傍へと駆け寄って来た。
「もう、その武器の扱いも完璧ですね」
「はい、お陰様で」
ハンナさんがニコリ、と微笑む。
最初は戸惑っていた武器の扱いも、三日目にはかなり命中率も上がり、今では百発百中だもんなあ。
「アデル様の作ってくださったこの武器……まるで自分の手の一部であるかのように馴染みます」
「あはは、何よりです」
僕の【設計】は、使用者や用途に応じて最適解となるように図面を描くから、当然ではあるものの、それでも大切な人にそう言ってもらえると、心から嬉しい。
「あ、そうだ! この武器の名前……は、まだないんですよね?」
「ああー……何も決めてませんでした……」
ハンナさんに指摘され、僕は思わず頭を掻く。
クロウ=システムの時といい、僕はどうもそういうことに無頓着だなあ……。
「どうしたんですか?」
「あ、ライラ様。実はハンナさんの武器の名前をどうしようかという話をしておりまして」
「ハンナの武器ですか……」
訓練を切り上げて僕達の元に来たライラ様は、僕の話を聞いてハンナさんの武器をしげしげと眺めている。
そして。
「そうですね……武器は二つありますので、“フギン”と“ムニン”はいかがでしょう?」
「それは、おとぎ話に出てくる二羽の渡り鳥ですね……」
確かその鳥は、鴉だったような……。
「私のクロウ=システムも鴉をモチーフに名前をつけておりますので、ハンナも同じようにしてはどうかと……」
「うん! いいですね! ハンナさんはどうですか?」
「はい! お嬢様、素敵な名前をありがとうございます!」
僕達は満場一致でライラ様の提案通り、武器の名前を“フギン”と“ムニン”に決定した。
「あはは、だけどライラ様とハンナさんが同じ鴉をモチーフにするだなんて、本当に仲が良いですね」
「ふふ、もちろんです。だって、私とハンナは姉妹ですから……ね、ハンナ?」
「お嬢様……はい……」
ライラ様がウインクしながら同意を求めると、ハンナさんが左胸を押さえながら嬉しそうに頷いた。
僕はそんな二人を見つめながら、知らず知らずのうちに頬を緩めていた。
「お二人共、いかがなさいました?」
「ハンナ……これを見なさい」
僕達の様子を見てハンナさんも近寄って来ると、ライラ様が白銀の手で壁の裏側を指差した。
「っ!? こ、これは……!」
やっぱりハンナさんも驚きの声を上げる。
それはそうだ。こんなの……どんな攻撃魔法だって再現不可能だ。
「ア、アデル様は、またとんでもないものをお作りになられましたね……」
「ぼ、僕自身もびっくりです……」
クロウ=システムの時も驚きはしたものの、ハッキリとその効果がイメージできたからここまでではなかった。
でも……この武器に関しては想定外だ……。
「そ、その……この武器の原理はどうなっているのですか……?」
ライラ様が武器を指差しながらおずおずと尋ねる。
「は、はい、引き金を合図に魔石の魔力で炎の魔法陣を発動させ、弾丸をその筒を通過して射出するんです。それで、弾丸の速度と貫通力を高めるため、筒に沿って螺旋状にミスリルを内蔵し、雷の魔法陣から流れる電撃を流し込んで磁力を発生させているんです……」
「あ、あうあうあう……」
僕は武器の構造について一気に説明すると、ライラ様が混乱してしまった。
というか、僕も【設計】で見た図面の内容をかいつまんで話しているだけで、その詳細な原理を理解している訳じゃないけど……。
「と、とにかく! この武器がとんでもない代物で、その扱いには修練が必要だということは分かりました!」
確かにハンナさんがこの武器を十全に扱えるようにするためには、今ハンナさんが言ったようにこの武器について理解し、正確に射撃できるようにならないといけない。
そうじゃないと、一緒に戦うライラ様や僕も被害を受ける可能性がある。
「と、ということで、せっかく僕の意識を失っていた日数が短かったんです。王都への召集期限ぎりぎりまで、ハンナさんの特訓をしましょう!」
「わ、分かりました! 必ずや、アデル様からいただいたこの武器を使いこなしてみせます!」
ハンナさんはフンス、と意気込むと、武器を構えて壁の的を狙い撃ち続けた。
◇
ハンナさんが武器の訓練を始めてから七日。
今日も僕達は街の郊外で訓練に勤しむハンナさんを眺めている。
……いや、ライラ様は僕達とは別に、クロウ=システムを使ってチャレンジしていたりする。
だけど、まさかあんなことができるなんて、思いもよらなかったけど。
——ドン! ドン! ドン!
おお……ハンナさん、全弾とも的のど真ん中に命中してるなあ。
僕は穴の開いた壁をのんびりと眺めながら、心の中で感嘆の声を漏らした。
その後も、ハンナさんは武器を二つとも両手に持ち、綺麗な姿勢で狙った的へと見事に命中させていく。
うん……ここまで見事に使いこなせれば、もう訓練の必要ないんじゃないかな。
「ふう……」
「お疲れ様です、ハンナさん」
「あ、アデル様!」
額の汗を拭うハンナさんに声を掛けると、ハンナさんは嬉しそうに僕の傍へと駆け寄って来た。
「もう、その武器の扱いも完璧ですね」
「はい、お陰様で」
ハンナさんがニコリ、と微笑む。
最初は戸惑っていた武器の扱いも、三日目にはかなり命中率も上がり、今では百発百中だもんなあ。
「アデル様の作ってくださったこの武器……まるで自分の手の一部であるかのように馴染みます」
「あはは、何よりです」
僕の【設計】は、使用者や用途に応じて最適解となるように図面を描くから、当然ではあるものの、それでも大切な人にそう言ってもらえると、心から嬉しい。
「あ、そうだ! この武器の名前……は、まだないんですよね?」
「ああー……何も決めてませんでした……」
ハンナさんに指摘され、僕は思わず頭を掻く。
クロウ=システムの時といい、僕はどうもそういうことに無頓着だなあ……。
「どうしたんですか?」
「あ、ライラ様。実はハンナさんの武器の名前をどうしようかという話をしておりまして」
「ハンナの武器ですか……」
訓練を切り上げて僕達の元に来たライラ様は、僕の話を聞いてハンナさんの武器をしげしげと眺めている。
そして。
「そうですね……武器は二つありますので、“フギン”と“ムニン”はいかがでしょう?」
「それは、おとぎ話に出てくる二羽の渡り鳥ですね……」
確かその鳥は、鴉だったような……。
「私のクロウ=システムも鴉をモチーフに名前をつけておりますので、ハンナも同じようにしてはどうかと……」
「うん! いいですね! ハンナさんはどうですか?」
「はい! お嬢様、素敵な名前をありがとうございます!」
僕達は満場一致でライラ様の提案通り、武器の名前を“フギン”と“ムニン”に決定した。
「あはは、だけどライラ様とハンナさんが同じ鴉をモチーフにするだなんて、本当に仲が良いですね」
「ふふ、もちろんです。だって、私とハンナは姉妹ですから……ね、ハンナ?」
「お嬢様……はい……」
ライラ様がウインクしながら同意を求めると、ハンナさんが左胸を押さえながら嬉しそうに頷いた。
僕はそんな二人を見つめながら、知らず知らずのうちに頬を緩めていた。
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