機械仕掛けの殲滅少女

サンボン

文字の大きさ
87 / 146
第四章 復讐その四 アルグレア王国と神の眷属 前編

招かれざる者達

しおりを挟む
「アデル様!」

 王都の噴水の傍で出会った、神官服を着たあの・・女の子……ソフィアさんが馬車の扉から飛び出し、そして……僕の胸に飛び込んできた。

「え? ええ!?」

 突然の状況に、困惑のあまり僕は周りをキョロキョロと見る。

「あ、あなた! すぐにアデル様から離れなさい!」

 ライラ様が強い口調でそう叫ぶと、僕と彼女の間にグイ、と割って入った。

「ああ……アデル様、お逢いしとうございました……」

 だけど彼女は、何故か僕を見つめながら恍惚とした表情を浮かべる。
 い、一体どういうこと!?

「「アデル様……?」」

 そして、何故かライラ様とハンナさんがジト目で僕を見るけど……僕は一切知りませんからね!?

 そんな中、馬車から二人の男女が後に続いて降りてきた。
 もちろん……エリアルとカルラが。

「…………………………!」

 僕はその二人を睨み続ける。

「「「ア、アデル様……!?」」」

 そんな僕の様子に、ソフィアさんはおろか、ライラ様とハンナさんまでもが驚いている様子だった。

「っ! アデルのくせにその生意気な視線は何よ!」

 すると、続いて降りてきたレジーナが僕を見るなりケンカ腰に叫んだ。

「「なっ! 貴様!」」

 そんな彼女にライラ様とハンナさんが素早く反応を示すけど……僕は二人を制止した。

 僕はゆっくりしゃがみ、地面に両手をつけると。

「……【加工キャスト】」
「え……!? キャアッ!?」

 レジーナの足元に大きく穴を開けると、彼女はそこに見事に落ち、顔だけを覗かせる。

 そして。

「【加工キャスト】、【製作クラフト】」

 僕は穴の中を石の壁のようなもので形成し、それでレジーナを挟むようにして閉じ込めた。

「な!? 何なのよこれ!?」

 いきなりのことで訳が分からないレジーナがわめく。
 だけど、これで終わりだと思っているのか?

 ——ギチ、ギチチ……。

「え……? ちょ、ちょっと!?」

 穴の隙間がどんどん狭くなり、レジーナが徐々に押し潰されていく。
 そして、レジーナは顔を青くさせながら僕を見た。

 ……ようやく、気づいたいみたいだな。

「……この僕が、ライラ様を売ったオマエ達を許すと思っているのか?」
「「「「「っ!?」」」」」

 自分でも驚くほど低い僕の言葉に、“黄金の旋風”の連中の顔色が一斉に変わった。
 その間も、レジーナを閉じ込めている穴は彼女を押し潰していく。

「ヒ……イ、イヤア……!」

 レジーナの顔が恐怖に歪む。

「っ! や、やめなさい!」

 カルラが剣を抜き、僕に能力を止めさせようと詰め寄る。

 だが。

「来るな! 無礼者!」
「私達のアデル様に近づけさせない!」

 そうはさせまいと、ライラ様が死神の鎌を、ハンナさんがフギンとムニンを構え、カルラの前に立ちはだかる。

「オマエ達、自分がやったことを分かっているのか? 僕達の前に姿を現した時点でただでは済まさないことくらい理解しろよ」

 僕は吐き捨てるようにそう言うと、なおもジワリ、ジワリ、と穴を縮めていく。
 できる限り、レジーナに恐怖を与えるために。

「ヒ……ヒヒ……イヤアアアアアアアアアア!?」

 恐怖のあまり、とうとうレジーナが泣き叫んだ。

「わ、分かった! 私達が悪かったわ! お、お願いだからもうヤメテ!」
「た、頼む! この通りだ!」

 “黄金の旋風”の連中がようやく事態を理解したのか、頭を下げて懇願する。

「お、お願い! ソフィア様からも何とか言ってよ! [聖女セイント]のあなたから言ってくれれば……!」
「はい? どうしてこの私が、あなた方のためにアデル様にもの申さなければいけないのですか? むしろ、こんなにアデル様を怒らせたのですから、報いを受けるのは当然では?」

 ロロが、どういう訳かソフィアさん……いや、ソフィアに僕を止めるよう懇願するが、逆にソフィア様からは冷たい視線で吐き捨てるようにそう言われてしまう。

 だけど。

「……とはいえ、これはあなた方を雇ってしまった私の責任でもありますね……」

 そう言うと、ソフィア様は僕の前に来てひざまずき、祈るような姿勢を取った。

「アデル様、この方達には[聖女セイント]であるこの“ソフィア=アルベルティーニ”が責任をもってアデル様を煩わせるようなことはさせませんので、ここはどうか、矛を収めてはいただけませんでしょうか……」

 そう話すソフィア様の姿には、どこか威厳があり、僕を惹きつけるような何かがあった。

「……【加工キャスト】」

 僕は渋々、レジーナを挟んでいる石の壁を砂に変えた。

「……私の屋敷には、ソフィア様だけをお連れします。“黄金の旋風”は、私の屋敷及びその周辺に立ち入ることを一切禁じます」

 ライラ様もここが収め時と判断したのか、“黄金の旋風”にそう告げた。

「では、よろしくお願いします」

 ソフィア様は一礼すると、ライラ様自ら鋼鉄の馬車へとお連れし、一緒に車内へと入って行った。

「……アデル様、行きましょう」
「……はい」

 僕の背中に手を当てるハンナさんに僕は頷くと、“黄金の旋風”に一瞥もくれずに御者台に乗り込む。

 そして、呆然と立ち尽くすカルラ達と埋まったまま嗚咽を漏らすレジーナを置き去りにしたまま、屋敷へと向かった。
しおりを挟む
感想 64

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞 ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。 そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。

処理中です...