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第四章 復讐その四 アルグレア王国と神の眷属 前編
アイザックの街探索③
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「あ……お疲れ様です」
階段を下りると、ライラ様とハンナさんが出迎えてくれた。
といっても、そらはあくまで僕とソフィア様だけではあるけど。
「それで、どうなりましたでしょうか?」
「はい。“黄金の旋風”の皆さんにも探索に協力していただくことになりました」
ハンナさんの問い掛けに、ソフィア様が微笑みながら答えた。
「ということで……では、まずはどうします?」
「はい。ソフィア様、連中に羊皮紙を見せて確認してもらえませんか? この見取り図と同じような場所がこの街で見た、又は行ったことがあるかどうか」
僕はあえて“黄金の旋風”を無視し、ソフィア様にそうお願いした。
「そ、そうですか……」
すると、ソフィア様はエリアルを一瞥した後、肩を落として深い溜息を吐いた。
「? どうしたんですか?」
ライラ様が不思議そうに尋ねる。
だけど……ま、まあ、さっきのこともあるし、ソフィア様の気持ちも理解できる。
でも……僕も、あの連中と話したくないから無理。
「……では、行って参ります」
「「「行ってらっしゃい」」」
ソフィア様は羊皮紙を持って、すごすごと重い足取りで“黄金の旋風”達のところへと向かう。
僕達は、そんな彼女を憐憫の色を湛えた瞳で見つめながら、ソフィア様達の会話に聞き耳を立てていた。
「これをご覧ください」
ソフィア様が丸めた羊皮紙を開く。
「これは?」
「探しております『天使への階段』……または、そこへと至るための見取り図であるかと思われます」
“黄金の旋風”の連中が、見取り図をしげしげと眺める。
「ふうん……誰か、この見取り図に見覚えあるか?」
「うむ……こんなところは見たことも行ったこともないな……」
振り返って尋ねるエリアルに、セシルが眉根を寄せながら答えた。
そんな中。
「……フン」
ただ一人、レジーナは見取り図に一瞥もくれずに、鼻を鳴らしてそっぽを向いている。
まあ……この街にやって来た時のことを考えれば、ソフィア様に良い感情を抱いていないことは分かるけど、それでも雇い主に対してその態度はどうかと思う。
まあ、知ったことじゃないけど。
「あれ? これって……」
「カルラ、知っているのか?」
「ええ……私の見間違いじゃなかったら、この街の水路に似てるかも」
「「「「水路?」」」」
カルラの言葉に、レジーナを除く“黄金の旋風”の面々とソフィア様が思わず聞き返す。
だけど、水路……水路……って。
「それはおかしいだろ。この街の水路はそんなに古い設備じゃない。少なくとも『天国への階段』は王国の建国前からの代物なんだから、あり得ないよ」
気がつけば僕は会話に加わり、カルラの言葉を否定していた。
「……いいえ、そんなことはないわ。思い出してアデル、まだ私達二人が駆け出しの冒険者だった頃、一緒に水路に発生したブラウンラットの駆除をした時のことを」
「え? あの時は確か……」
僕は顎に手を当て、その時のことを思い浮かべる。
あれは……クエストの内容以上にブラウンラットが大量にいて、埒が明かないから行き止まりに追い詰めて油で一気に焼き殺したんだっけ……。
「ほらここ。あの時ブラウンラットを追い詰めた場所に似てない?」
そう言ってカルラが見取り図を指示した場所は……左に折れ曲がり、行き止まりになっている。
「……確かに、あの水路の場所と似ている……」
「でしょう? まだ合っているかどうかは分からないけど、調べてみる価値はあるんじゃない?」
「そうか……そうだね」
僕はカルラを見て頷く……って。
「……ソフィア様、まずは街の水路を調べてみましょう」
「はい」
カルラと普通に話してしまっていた事実に思い至り、僕はカルラを無視するように顔を背け、ソフィア様にそう提案すると、ソフィア様も賛同してくれた。
だけど。
「「…………………………」」
……ライラ様とハンナさんが、そんな僕を悲しみを湛えた瞳で僕を見ていた。
全く……僕は、何をやっているんだ。
「では時間も惜しいですので、今すぐ水路へと向かいましょう」
「「あ……」」
そう言うと、僕はライラ様とハンナさんの手を取り、キュ、と握った。
僕には、この二人だけなんだと見せつけるように。
僕には、二人しかいないんだと知ってもらうために。
「アデル様……」
でも、ライラ様とハンナさんの瞳は、まだどこか悲しそうな色を浮かべている。
だから。
「……僕達は、まだこれからなんです。これまで生きてきた年数よりも、これからもっと僕達は一緒に歩いて行くんです……」
「はい……そうですね……」
「これから、一緒にたくさんの過去を刻んでいきましょう……」
僕が二人にそうささやくと、言葉の意味を理解してくれた二人の、その瞳から悲しみが消える。
ただ。
「…………………………」
今度は、つらそうに唇を噛むカルラの表情が僕の目に映っていた。
そしてそれが、僕の心をざわつかせる。
その想いは、捨てられたあの時に断ち切った筈なのに。
だからこそ、僕は気づかなかったのかもしれない。
忌々し気に僕を睨むエリアルと、口の端を三日月のように吊り上げるソフィア様を。
階段を下りると、ライラ様とハンナさんが出迎えてくれた。
といっても、そらはあくまで僕とソフィア様だけではあるけど。
「それで、どうなりましたでしょうか?」
「はい。“黄金の旋風”の皆さんにも探索に協力していただくことになりました」
ハンナさんの問い掛けに、ソフィア様が微笑みながら答えた。
「ということで……では、まずはどうします?」
「はい。ソフィア様、連中に羊皮紙を見せて確認してもらえませんか? この見取り図と同じような場所がこの街で見た、又は行ったことがあるかどうか」
僕はあえて“黄金の旋風”を無視し、ソフィア様にそうお願いした。
「そ、そうですか……」
すると、ソフィア様はエリアルを一瞥した後、肩を落として深い溜息を吐いた。
「? どうしたんですか?」
ライラ様が不思議そうに尋ねる。
だけど……ま、まあ、さっきのこともあるし、ソフィア様の気持ちも理解できる。
でも……僕も、あの連中と話したくないから無理。
「……では、行って参ります」
「「「行ってらっしゃい」」」
ソフィア様は羊皮紙を持って、すごすごと重い足取りで“黄金の旋風”達のところへと向かう。
僕達は、そんな彼女を憐憫の色を湛えた瞳で見つめながら、ソフィア様達の会話に聞き耳を立てていた。
「これをご覧ください」
ソフィア様が丸めた羊皮紙を開く。
「これは?」
「探しております『天使への階段』……または、そこへと至るための見取り図であるかと思われます」
“黄金の旋風”の連中が、見取り図をしげしげと眺める。
「ふうん……誰か、この見取り図に見覚えあるか?」
「うむ……こんなところは見たことも行ったこともないな……」
振り返って尋ねるエリアルに、セシルが眉根を寄せながら答えた。
そんな中。
「……フン」
ただ一人、レジーナは見取り図に一瞥もくれずに、鼻を鳴らしてそっぽを向いている。
まあ……この街にやって来た時のことを考えれば、ソフィア様に良い感情を抱いていないことは分かるけど、それでも雇い主に対してその態度はどうかと思う。
まあ、知ったことじゃないけど。
「あれ? これって……」
「カルラ、知っているのか?」
「ええ……私の見間違いじゃなかったら、この街の水路に似てるかも」
「「「「水路?」」」」
カルラの言葉に、レジーナを除く“黄金の旋風”の面々とソフィア様が思わず聞き返す。
だけど、水路……水路……って。
「それはおかしいだろ。この街の水路はそんなに古い設備じゃない。少なくとも『天国への階段』は王国の建国前からの代物なんだから、あり得ないよ」
気がつけば僕は会話に加わり、カルラの言葉を否定していた。
「……いいえ、そんなことはないわ。思い出してアデル、まだ私達二人が駆け出しの冒険者だった頃、一緒に水路に発生したブラウンラットの駆除をした時のことを」
「え? あの時は確か……」
僕は顎に手を当て、その時のことを思い浮かべる。
あれは……クエストの内容以上にブラウンラットが大量にいて、埒が明かないから行き止まりに追い詰めて油で一気に焼き殺したんだっけ……。
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そう言ってカルラが見取り図を指示した場所は……左に折れ曲がり、行き止まりになっている。
「……確かに、あの水路の場所と似ている……」
「でしょう? まだ合っているかどうかは分からないけど、調べてみる価値はあるんじゃない?」
「そうか……そうだね」
僕はカルラを見て頷く……って。
「……ソフィア様、まずは街の水路を調べてみましょう」
「はい」
カルラと普通に話してしまっていた事実に思い至り、僕はカルラを無視するように顔を背け、ソフィア様にそう提案すると、ソフィア様も賛同してくれた。
だけど。
「「…………………………」」
……ライラ様とハンナさんが、そんな僕を悲しみを湛えた瞳で僕を見ていた。
全く……僕は、何をやっているんだ。
「では時間も惜しいですので、今すぐ水路へと向かいましょう」
「「あ……」」
そう言うと、僕はライラ様とハンナさんの手を取り、キュ、と握った。
僕には、この二人だけなんだと見せつけるように。
僕には、二人しかいないんだと知ってもらうために。
「アデル様……」
でも、ライラ様とハンナさんの瞳は、まだどこか悲しそうな色を浮かべている。
だから。
「……僕達は、まだこれからなんです。これまで生きてきた年数よりも、これからもっと僕達は一緒に歩いて行くんです……」
「はい……そうですね……」
「これから、一緒にたくさんの過去を刻んでいきましょう……」
僕が二人にそうささやくと、言葉の意味を理解してくれた二人の、その瞳から悲しみが消える。
ただ。
「…………………………」
今度は、つらそうに唇を噛むカルラの表情が僕の目に映っていた。
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