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第四章 復讐その四 アルグレア王国と神の眷属 前編
地下水路探索②
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「……この水路、何かある」
「……何かって?」
僕の呟きを耳聡く聞いていたカルラが聞き返した。
無視してもいいが、ここから先は何があるか分からないんだ。そんなことにいちいちこだわっている場合じゃない、な……。
「考えてもみなよ。僕達が四年前にここに来てから、この地下水路は老朽化もしていないしヘドロのような汚れだってほとんど見当たらない。そんなこと、あり得ると思うかい?」
「確かに……」
僕の言葉の意味を理解したカルラはゆっくり頷く。
「それで、どうしますか?」
ライラ様も今は変に仲違いしている時ではないことを理解しているんだろう。
少し不機嫌さをにじませながらも、ライラ様は冷静に僕に尋ねた。
「まずは四年前に僕とカルラがブラウンラットを駆除した場所へ向かいましょう。そこを起点として、見取り図がこの地下水路を示しているのか、確認するんです」
「「「分かりました」」」
「分かったわ」
僕の言葉に、ライラ様、ハンナさん、ソフィア様、そしてカルラが頷く。
「オイオイ、チョット待てよ。なんでアデルなんかがリーダー気取りなんだ?」
……ここに来て、エリアルが不満を言い出した。
「そうよ! アデルのくせに調子に乗ってるんじゃないわよ!」
「確かにアデルなんかに指図されるのは癪だよねー」
「うむ……やはり自分達より実力の劣る者の意見には従えない、な……」
エリアルに同調するように、レジーナ達も口々に反対した。
「ちょ、ちょっと! 今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょう!」
すると、カルラが見かねてエリアル達を窘める。
だけど。
「カルラ、お前こそ何を言っているんだ! お前は俺達“黄金の旋風”のメンバーなんだぞ? だったら、リーダーであるこの俺に従うのが筋だろ!」
「はあ!? それを言うなら、今回の依頼主であるソフィア様に従うべきでしょう! そのソフィア様がアデルの指示通りに動くって言ってるのよ! だったら……!」
はあ……今はこんなところで押し問答をしている場合じゃないんだけどな。
「……分かったよ。だったらここからは僕達と別行動にしよう。僕達はさっきも言った通りブラウンラットを駆除した場所から調査するから、オマエ等はオマエ等で勝手に探せよ」
「貴様!」
僕は面倒くさそうにそう言い放つと、そんな態度が気に入らなかったのか、エリアルが食って掛かろうとする。
「あは♪ いい度胸ですね♬」
「うふふ♪ いっそのことブラウンラットの餌にしてしまいますか?」
ライラ様とハンナさんが割って入り、ライラ様は死神の鎌を構え、ハンナさんはフギンとムニンを抜いた。
「……エリアルさん。これ以上揉め事を起こすのであれば、依頼不履行ということで、ここまでとさせていただきますがよろしいですか?」
「う……」
とうとうソフィア様にもすごまれ、エリアルがたじろぐ。
「チッ……分かりました。俺達は別行動で『天使への階段』の調査をしますよ」
エリアルは舌打ちをしながら顔を背け、渋々ながら受け入れた。
カルラを除く“黄金の旋風”の三人も、苦虫を噛み潰した表情を浮かべながら、僕達を睨んでいる。
「では、この見取り図を書き写してください」
「ロロ」
「うん!」
エリアルに促され、ロロはポーチから羊皮紙とペン、インクを取り出し、丁寧に書き写していく。
「エリアル、できたよー!」
書き写した羊皮紙を自慢げに見せると、ロロは鼻を指でこすりながらはにかんだ。
「よし。ではソフィア様、これで」
エリアルは歯を見せながらソフィア様に微笑むと、“黄金の旋風”の他の連中を連れて立ち去……って?
「……カルラ、何をしている。早く行くぞ」
「私はあなた達とは一緒に行かない」
「何っ!」
カルラの思わぬ返事に、エリアルが激高する。
「どういうことだ! お前は俺達“黄金の旋風”のメンバーだろう! さっさと俺に従え!」
「……なら、私はたった今“黄金の旋風”を抜ける」
「「「「はあ!?」」」」
エリアル達がカルラの口から出た突然の爆弾発言に、思わず声を上げた。
……というか、カルラとエリアルは恋人同士の筈なのに何で……?
「オイ! そんな勝手な真似が許されると……「思っているわよ」……っ!? 何だと!?」
怒り狂うエリアルに、カルラはフン、と鼻を鳴らす。
「……最近の冒険者活動だって、あなた達は堕落した生活を毎日続けて、いつも私一人でソロでクエストをこなしていたじゃない。しかも、報酬はパーティーのものだって言って、勝手に巻き上げて」
「あ、あれは……」
どうやらカルラに痛いところを突かれたらしいエリアルは、何も言い返せずに口ごもる。
というか、僕がいなくなったら今度はカルラにそんなことをしていたのか……。
「な、何よ! エリアルの心は傷ついていたんだからしょうがないじゃない!」
「そ、そうだよー! エリアルは悪くないよー!」
「ああ……むしろ大切であれば支えてこそ仲間だろう?」
そこへ、レジーナ、ロロ、セシルがエリアルを擁護する、
「はあ……仲間? あなた達にとっては、エリアルは仲間なんかじゃなくて恋人、でしょ? 私は別にエリアルの恋人でも何でもないんだけど」
「「「…………………………」」」
ところがカルラにそう返されてしまい、三人が押し黙った。
だけど、ちょっと待て!?
カルラの奴、なんて言った!?
「な、なあカルラ……オマエ、エリアルと付き合ってたんじゃ、なかった……のか?」
カルラの言葉に、僕は思わず口を挟む。
だって……カルラはあの日、僕をそっちのけでエリアルと見つめ合っていて……僕のことはいらないって……。
「…………………………」
だけど、カルラは唇を噛むばかりで、何も答えてくれなくて……。
「「ア、アデル様……!」」
すると、ライラ様とハンナさんが僕を抱き締めた。
まるで、どこにも逃すまいと……離れたくないと訴えかけるように。
……そうだったな。
僕はもう……間違えない。
「……約束、したじゃないですか。僕達三人は、これからもずっと……死んでも、一緒だって……」
「「アデル様……」」
見ると、二人はその瞳からぽろぽろと涙を零していた。
多分、僕が本当に離れてしまうんじゃないかと、不安だったんだろう……。
だから。
「「っ!」」
僕は……二人を強く抱き締め返した。
悲しそうな瞳で見つめる、カルラの目の前で。
僕の大切な人が誰なのかを、知らしめるために。
「……何かって?」
僕の呟きを耳聡く聞いていたカルラが聞き返した。
無視してもいいが、ここから先は何があるか分からないんだ。そんなことにいちいちこだわっている場合じゃない、な……。
「考えてもみなよ。僕達が四年前にここに来てから、この地下水路は老朽化もしていないしヘドロのような汚れだってほとんど見当たらない。そんなこと、あり得ると思うかい?」
「確かに……」
僕の言葉の意味を理解したカルラはゆっくり頷く。
「それで、どうしますか?」
ライラ様も今は変に仲違いしている時ではないことを理解しているんだろう。
少し不機嫌さをにじませながらも、ライラ様は冷静に僕に尋ねた。
「まずは四年前に僕とカルラがブラウンラットを駆除した場所へ向かいましょう。そこを起点として、見取り図がこの地下水路を示しているのか、確認するんです」
「「「分かりました」」」
「分かったわ」
僕の言葉に、ライラ様、ハンナさん、ソフィア様、そしてカルラが頷く。
「オイオイ、チョット待てよ。なんでアデルなんかがリーダー気取りなんだ?」
……ここに来て、エリアルが不満を言い出した。
「そうよ! アデルのくせに調子に乗ってるんじゃないわよ!」
「確かにアデルなんかに指図されるのは癪だよねー」
「うむ……やはり自分達より実力の劣る者の意見には従えない、な……」
エリアルに同調するように、レジーナ達も口々に反対した。
「ちょ、ちょっと! 今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょう!」
すると、カルラが見かねてエリアル達を窘める。
だけど。
「カルラ、お前こそ何を言っているんだ! お前は俺達“黄金の旋風”のメンバーなんだぞ? だったら、リーダーであるこの俺に従うのが筋だろ!」
「はあ!? それを言うなら、今回の依頼主であるソフィア様に従うべきでしょう! そのソフィア様がアデルの指示通りに動くって言ってるのよ! だったら……!」
はあ……今はこんなところで押し問答をしている場合じゃないんだけどな。
「……分かったよ。だったらここからは僕達と別行動にしよう。僕達はさっきも言った通りブラウンラットを駆除した場所から調査するから、オマエ等はオマエ等で勝手に探せよ」
「貴様!」
僕は面倒くさそうにそう言い放つと、そんな態度が気に入らなかったのか、エリアルが食って掛かろうとする。
「あは♪ いい度胸ですね♬」
「うふふ♪ いっそのことブラウンラットの餌にしてしまいますか?」
ライラ様とハンナさんが割って入り、ライラ様は死神の鎌を構え、ハンナさんはフギンとムニンを抜いた。
「……エリアルさん。これ以上揉め事を起こすのであれば、依頼不履行ということで、ここまでとさせていただきますがよろしいですか?」
「う……」
とうとうソフィア様にもすごまれ、エリアルがたじろぐ。
「チッ……分かりました。俺達は別行動で『天使への階段』の調査をしますよ」
エリアルは舌打ちをしながら顔を背け、渋々ながら受け入れた。
カルラを除く“黄金の旋風”の三人も、苦虫を噛み潰した表情を浮かべながら、僕達を睨んでいる。
「では、この見取り図を書き写してください」
「ロロ」
「うん!」
エリアルに促され、ロロはポーチから羊皮紙とペン、インクを取り出し、丁寧に書き写していく。
「エリアル、できたよー!」
書き写した羊皮紙を自慢げに見せると、ロロは鼻を指でこすりながらはにかんだ。
「よし。ではソフィア様、これで」
エリアルは歯を見せながらソフィア様に微笑むと、“黄金の旋風”の他の連中を連れて立ち去……って?
「……カルラ、何をしている。早く行くぞ」
「私はあなた達とは一緒に行かない」
「何っ!」
カルラの思わぬ返事に、エリアルが激高する。
「どういうことだ! お前は俺達“黄金の旋風”のメンバーだろう! さっさと俺に従え!」
「……なら、私はたった今“黄金の旋風”を抜ける」
「「「「はあ!?」」」」
エリアル達がカルラの口から出た突然の爆弾発言に、思わず声を上げた。
……というか、カルラとエリアルは恋人同士の筈なのに何で……?
「オイ! そんな勝手な真似が許されると……「思っているわよ」……っ!? 何だと!?」
怒り狂うエリアルに、カルラはフン、と鼻を鳴らす。
「……最近の冒険者活動だって、あなた達は堕落した生活を毎日続けて、いつも私一人でソロでクエストをこなしていたじゃない。しかも、報酬はパーティーのものだって言って、勝手に巻き上げて」
「あ、あれは……」
どうやらカルラに痛いところを突かれたらしいエリアルは、何も言い返せずに口ごもる。
というか、僕がいなくなったら今度はカルラにそんなことをしていたのか……。
「な、何よ! エリアルの心は傷ついていたんだからしょうがないじゃない!」
「そ、そうだよー! エリアルは悪くないよー!」
「ああ……むしろ大切であれば支えてこそ仲間だろう?」
そこへ、レジーナ、ロロ、セシルがエリアルを擁護する、
「はあ……仲間? あなた達にとっては、エリアルは仲間なんかじゃなくて恋人、でしょ? 私は別にエリアルの恋人でも何でもないんだけど」
「「「…………………………」」」
ところがカルラにそう返されてしまい、三人が押し黙った。
だけど、ちょっと待て!?
カルラの奴、なんて言った!?
「な、なあカルラ……オマエ、エリアルと付き合ってたんじゃ、なかった……のか?」
カルラの言葉に、僕は思わず口を挟む。
だって……カルラはあの日、僕をそっちのけでエリアルと見つめ合っていて……僕のことはいらないって……。
「…………………………」
だけど、カルラは唇を噛むばかりで、何も答えてくれなくて……。
「「ア、アデル様……!」」
すると、ライラ様とハンナさんが僕を抱き締めた。
まるで、どこにも逃すまいと……離れたくないと訴えかけるように。
……そうだったな。
僕はもう……間違えない。
「……約束、したじゃないですか。僕達三人は、これからもずっと……死んでも、一緒だって……」
「「アデル様……」」
見ると、二人はその瞳からぽろぽろと涙を零していた。
多分、僕が本当に離れてしまうんじゃないかと、不安だったんだろう……。
だから。
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