ループ執愛症候群~初対面のはずなのに、執着MAXで迫られてます~

たぴおか定食

文字の大きさ
3 / 8

第2話 優雅で退屈じゃない朝

しおりを挟む
「おはようございます、坊っちゃま。」

今日もいい天気ですよ、なんて言いながらカーテンを開ける、黒髪お下げの彼女はサナ。

俺付きのメイドだ。

さて、ここで俺の身にこれまであったことを説明しよう。

トラックに轢かれたと思った次の瞬間には貴族の息子、ルルス・エルノワール。つまり、今の俺として生を受けていた。

まさかの0歳スタート。

びっくりだよな。わかる、俺も。

あと、おそらくだがここは姉が熱弁していた乙女ゲーム「薔薇園の貴公子」の世界だと思う。

重ね重ねびっくり。

それに加えて、この世界で約5年生きてきてわかったことは魔法があることと、日本と違って貴族とかがいること、あとは案外悪い世界じゃないってことくらい。

この世界で5年弱くらい生きてきて計4個か……姉ちゃんの話もっと真面目に聞いときゃ良かった。

まあ、まだまだこれからだよね。

このたったの4個しかないわかったことも最初はうまく飲み込みきれずに泣いたりして、母様を困らせまくってたけど最近はやっと気持ちが落ち着いてどうにか生きていくことに切り替えた。

うーん、俺って大人。

まあ、新しい両親がいい人っていうのも大きいんだけどね。

なんて横になったまま思っていると、かけ布団の上から叩かれる感覚で目を開ける。

「坊っちゃま、起きて下さい。朝食に遅れてしまいますよ。」

「はーい、今起きるよ。」

もう一度声をかけられ、流石に起きなきゃと思い体を起こし、サナが椅子を引いて待ってくれているドレッサーの方へ足を進める。

貴族の坊っちゃまらしく、メイドに引かれた椅子に座ると、栗色の髪の毛、緑色の瞳を持つ穏やかそうな少年が鏡に写った。

これが今の俺。

何度見ても美形で、テンションが上がる。

顔が良くなったことだけが転生して良かった点だ。

「本日もご家族3人揃っての食事だそうですよ。良かったですね、坊っちゃま。」

「うん!」

はじめは元高二の男子高校生を坊っちゃま呼びかよって思ってたけど、やめてとも言えずにズルズルと呼ばれ続け……

気がつけば特に何も感じなくなっていた。時の流れって怖いね。

「髪、梳かしますね。」

最初は引っかかりがあったブラシだが、どんどん通りが良くなっていくのを感じる。

転生した俺は、髪がサラサラ。自己肯定感上がるね~。

そんな中、俺はあることを思い出した。

「あのさ、サナ。これからここで一緒に暮らす子が今日、来るんだよね?」

「ええ、左様でございます。」

「どんな子かな?楽しみ!」

王都から離れた辺境の地だとしても、貴族は貴族。

セキュリティなどの観点からか、今まで友達と呼べるような存在はいなかった。

「友達になれるかな?」

「坊っちゃまはお優しい方ですからね。なれますよ。」

「サナがそう言ってくれるなら大丈夫か!」

肯定の言葉を聞きご満悦な俺は身支度を全て彼女に委ねた。


──────────────────


毎日の楽しみである朝食を食べるため、食堂へ向かう。

サナに扉を開けてもらい、俺は部屋の中へ足を踏み入れニッコニコで挨拶をする。

「おはよう!父様、母様!!」

「おはよう、ルルス。」

「おはよう。今日はおめかしして、一段と可愛いわねルル。」

褒められて嬉しくなりながら席に着く。

目の前には綺麗に盛り付けされた目玉焼きやトースト、サラダといったThe朝ごはんという感じの料理たち。

「今日も父様が作ってくれたのよ。」

「ありがとう!父様!やっぱり父様が作るご飯が1番美味しいんだ~。」

そう!なにを隠そう、俺の父様は全ての料理人の憧れ。宮廷料理長なのだ!

今は、2週間ほどの休暇で家に帰っていているがもう少ししたら戻らないと行けないらしい。悲しい…

だから俺は今のうちに父様の料理を食い溜めしておこうと朝ごはんに手を伸ばす。

やっぱり美味しいな~。

「そうだ、ルルス。聞いているかもしれないが、今日はノアゼルくんが来る日だぞ。」

「うん!セシルから聞いたよ!」

セシルとはうちに仕えている執事の名前。

見た目は綺麗な銀髪をひとつに結んだ青年、僕が生まれるちょっと前からこの家にいるらしい。

昔、やんちゃして困ってたところをうちに拾われたから恩義があるとか、ないとか…色々言っていたが忘れた。

「あなたにとっては初めてのお友達だものね。お昼すぎに到着すると昨晩、セシルから連絡が来たわ。」

「楽しみだな~。どんな子かな?」

「宮廷魔導師長殿のご子息だ。粗相のないようにな。」

「はーい!」

元気よく右手を挙げたが、父様からは不安が籠もりまくった眼差しで見られた。

失敬な!こっちの世界での初めての友達予備軍なんだから、それはそれは優しくするさ。

俺はこれから起こる出来事に期待を膨らませながら、トーストに齧り付いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

王子に彼女を奪われましたが、俺は異世界で竜人に愛されるみたいです?

キノア9g
BL
高校生カップル、突然の異世界召喚――…でも待っていたのは、まさかの「おまけ」扱い!? 平凡な高校生・日当悠真は、人生初の彼女・美咲とともに、ある日いきなり異世界へと召喚される。 しかし「聖女」として歓迎されたのは美咲だけで、悠真はただの「付属品」扱い。あっさりと王宮を追い出されてしまう。 「君、私のコレクションにならないかい?」 そんな声をかけてきたのは、妙にキザで掴みどころのない男――竜人・セレスティンだった。 勢いに巻き込まれるまま、悠真は彼に連れられ、竜人の国へと旅立つことになる。 「コレクション」。その奇妙な言葉の裏にあったのは、セレスティンの不器用で、けれどまっすぐな想い。 触れるたび、悠真の中で何かが静かに、確かに変わり始めていく。 裏切られ、置き去りにされた少年が、異世界で見つける――本当の居場所と、愛のかたち。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

魔王様の執着から逃れたいっ!

クズねこ
BL
「孤独をわかってくれるのは君だけなんだ、死ぬまで一緒にいようね」 魔王様に執着されて俺の普通の生活は終わりを迎えた。いつからこの魔王城にいるかわからない。ずっと外に出させてもらってないんだよね 俺がいれば魔王様は安心して楽しく生活が送れる。俺さえ我慢すれば大丈夫なんだ‥‥‥でも、自由になりたい 魔王様に縛られず、また自由な生活がしたい。 他の人と話すだけでその人は罰を与えられ、生活も制限される。そんな生活は苦しい。心が壊れそう だから、心が壊れてしまう前に逃げ出さなくてはいけないの でも、最近思うんだよね。魔王様のことあんまり考えてなかったって。 あの頃は、魔王様から逃げ出すことしか考えてなかった。 ずっと、執着されて辛かったのは本当だけど、もう少し魔王様のこと考えられたんじゃないかな? はじめは、魔王様の愛を受け入れられず苦しんでいたユキ。自由を求めてある人の家にお世話になります。 魔王様と離れて自由を手に入れたユキは魔王様のことを思い返し、もう少し魔王様の気持ちをわかってあげればよかったかな? と言う気持ちが湧いてきます。 次に魔王様に会った時、ユキは魔王様の愛を受け入れるのでしょうか?  それとも受け入れずに他の人のところへ行ってしまうのでしょうか? 三角関係が繰り広げる執着BLストーリーをぜひ、お楽しみください。 誰と一緒になって欲しい など思ってくださりましたら、感想で待ってますっ 『面白い』『好きっ』と、思われましたら、♡やお気に入り登録をしていただけると嬉しいですっ 第一章 魔王様の執着から逃れたいっ 連載中❗️ 第二章 自由を求めてお世話になりますっ 第三章 魔王様に見つかりますっ 第四章 ハッピーエンドを目指しますっ 週一更新! 日曜日に更新しますっ!

バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる

衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。 男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。 すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。 選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。 二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。 元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。

処理中です...