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第六話 迎撃戦
しおりを挟む翼を授ける、レッドエナジー、これはもう、幾度となく効いてきた宣伝文句だ。それは次第に認知を広げ、ネタとして扱われるほどにまで至った。
でも、これは笑えない。
俺は今、大きな翼を広げて空を飛んでいる。本来ならば、こんな奇異な体験ができていることに対して喜びなり驚きなりするべきなのだろうが、今は本当にそれどころじゃない。
追手との距離は縮まってはないが、広がってもない。いわば平行線の状態だ。走っていた時はみるみるうちに追い付かれていたから一安心ともいえるが、これだと振り切ることもできず体力勝負ということになる。
もしそうなってしまうと、飛ぶことに慣れていない俺が不利だ。
急に翼が生えたにも関わらず、飛べていること自体褒めて欲しいくらいなのに、鳥の群れから追われてるんだぞ? 初めてのことだからどれくらい体力が持つかも分からない、考えれば考えるほど不安なことしか思い浮かばないのだ。
くそっ、こうなったら、一か八か賭けにでるしかないようだな。
今から、鳥達の迎撃に当たる。俺は背中に翼が生えているのだから、両手両足はフリーなのだ。だからその手を使って一匹ずつでも倒していく。それに活路を見出すしかない!
俺は徐々にスピードを下げていった。そして、
『ランダム武器:缶ジュースを生成しました』
缶ジュースを手にした。そう、こいつをただの投擲武器として扱い、鳥達に当てるのだ。
俺は缶ジュース片手に鳥の群れにギリギリまで近づくように速度を落とした。
すると、俺を捕らえようと、一羽の鳥が先行した。
「かかった!」
これでもくらえ、ファンタアタック! あ、外した。ならコーラアタック!
ガコンッ!
赤色の缶が鳥の脳天に直撃し、その鳥はそのまま墜落していった。
よし、これでまずは一体目だ。これほどまでに上手くいくとは思っていなかった。多分、俺も鳥たちも飛んでいて、風景も変わらないからわかりにくいが、お互いかなりのスピードが出ているのだろう。だからこそ、当たるだけでクリーンヒットになるというわけか。
なら、このまま殲滅しちゃいますか!
俺は、ひたすらに缶を後方に投げ続けた。後ろを見ると少なからず制御が乱れて飛行が荒れてしまうが、俺は乗客もいなければ目的地もないのだ。距離が開かなければいい、ただそれだけなのだ。俺がどうなっているかは気にせず投げ続ける。
しかし、相手も馬鹿ではなかった。仲間が数羽落とされている事実をしっかり認識し始めて、缶ジュースを避け始めるようになったのだ。
「ふふふっ」
だが、甘い。俺には無限に生成できるのだぞ! 食らえ、弾幕缶ジュース! 俺が両手にいっぱい持った缶を投げたところ、流石に避けきれなかったようで、そのまま全ての鳥を撃墜することに成功した。
「か、勝った、俺は勝ったぞーー!!」
喜びの舞を踊ろうと、重耳づいて空中でサマーソルトでもしようかと調子に乗っていた時だった、
突如、俺の背中から翼が消え、俺も久しぶりの地面に向かって墜落を始めた。
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