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第二十七話 絶対説明
しおりを挟む「この惨状については何か知らないの? あなたが弟に会ったのはこの辺なんでしょ?」
うぅ、不味い。これは正直に言って良いものなのか? もし万が一エルフの危険因子認定されたら笑えないぞ? それに、もし俺にそれだけの力があるのならまだしも、同じことをやれって言われても100%無理だからな。
ん、ってことはもうそれは俺ではないよな? だって俺はそれできないもん、うん。だから、シラを切って良いよな?
「いや、これは僕じゃーー」
「あ! お姉ちゃん!」
なんたるタイミング。これは、助かっ……てない!? だってコイツは俺が狼たちを斬殺してるとこ見てたんだろ? ってことはバラされるじゃねーか! 俺ですらその惨状を見てないっていうのに……
「あ、アンタほんとにココこにいたのね。全く呆れた弟だわ、人間の力を借りてようやく見つけられるなんて、エルフでも前代未聞よ? もう当分一人で里の外に出るのは禁止ね」
「えー! そ、そんなぁー」
「っと、そんなことよりこの惨劇について聞かなくちゃ。この狼たちどういうこと? アンタは何か知らないの?」
「ん、あぁそれーー」
俺の方をチラリと見て、弟エルフは言葉を発しようとした。不味い、非常に不味い。だが、まだ諦めない。
その一瞬の隙に俺は鬼のような形相をした。確か、俺と会って別れる前も俺にビビってたはずだ。だから、多分俺の意図を汲み取ってくれるはずだ。
「ひっ、い、いや、僕は何も知らないよ? ナニコレ?」
おいおいおい、誤魔化すの下手すぎるだろう。俺の顔にビビったのも声に出てるし、動揺が隠し切れてないじゃないか。いやーあの顔のチョイスは失敗だったか?
「ん、アンタ何か隠してない? 明らかに反応がおかしかったよね、しかも何かに怯えてるみたいだし。それに、人間のアンタもさっき何か言おうとしてなかった? 弟が来る前になんて言ってたの?」
絶、対、絶、命! まさにこの状況にピッタリの言葉だな。ここはどうする、まだしらを切り続けるべきかそれとももう素直に謝るべきか。まだ、逃れられそうだが、もし弟経由でバレた時は隠そうとしてたのがバレて大変なことになる。
しかし、そもそもバレた時点で大変なことになるのが確定してるから、どうにかバレないように立ち回るべきなのか……?
「ご、ごめんなさい」
一瞬、我を疑った。弟エルフの声かとも思った。だが、なんとこの謝罪の声明が自分の口から発せられていたのだ。
「「え?」」
二人ともキョトンとした顔だ。そりゃそうだろうな、だって姉に関しては俺にちゃんと聞いたのにも関わらずまともな答えを聞けてなかったのだし、弟に関しては半分脅してたもんな。
俺はそのあと自分のスキルについて正直に打ち明けた。ここで信用を失うと本当に帰れなくなりそうだから、逆に無害を証明して信頼を勝ち取るんだ。俺が蹴るにはもうそれしかないんだ。
なんと言っても、宿に泊まりたいんだ。本当に、もう帰らせてください……
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