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人情居酒屋おやじ

4.おっさんクッキング

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「おはよう」
「あっ、おはようございます、先生」
「はい、よろしくお願いします」

ちゃんとしてそうだが皆冗談の挨拶だ。

「まずは買い出しやな」

ここのスーパーでは普段店の材料を買ったりもするから何がどこにあるかは詳しい。

「まず野菜は、キャベツとピーマンと玉ねぎとニラとニンニクかな?キャベツは大きいものね」
「はい、先生」
「お肉は豚バラと豚ミンチ、それにソーセージかな?」
「焼きそばには、豚バラと玉ねぎとキャベツとピーマンとソーセージ入れる予定やけどそれでいいか?竹輪とかも美味いかな?」
「竹輪いいな、贅沢に行こけ」
「調味料は家にあると思うから、あとは餃子の皮やな」

一通り買うと店に戻った。

「とりあえず買ったものは書いといてや」
「うん、書いた」
「そか、ほな材料から切ろか」

まず焼きそばから教えることにした。
キャベツは一口大に、玉ねぎは半分に切り、芯をとって、半円に。
ピーマンは種をとって、5ミリ程度の短冊に切るのを教えた。

ソーセージは縦に半分にし、それを更に半分に。
竹輪は横に半分にきり、それを縦に4当分に切った。

ぎこちなく時間もかかるが出来なくはないものである。

「ほな作るぞ、とりあえず一人前な」
「野菜は普通全部さっと油通しするんやけど、家やから軽く油で炒めよう。豚肉も一緒でいいよ。」

豚バラに火が通って野菜が透き通ってきたら皿に取っておいて次に麺を炒める、麺は軽く熱湯でほぐしておく。

「油をひいたら少し香ばしくなるまで炒めて、少々焦げ目がつくくらいが美味しいかな?」

これは簡単なようだ。

「そこにソーセージ、ちくわ、野菜を入れて軽く炒める。具とめんが軽く混ざったら粉のソースをいれて満遍なくまぜる。好みでどろソースなどでコクと辛味をたしても美味いかな?」
「おーできた」

二人はとりあえず味見をしてみた。

「おー美味い。家やとべちゃっとするけど、これ香ばしくべちょっとしないわ」
「先に麺を解すんと、よく炒めるのが秘訣やな。あとは野菜にひを通しすぎないことな」
「了解しました」

いよいよ問題の餃子。
キャベツ、ニラは荒みじんに切る。
豚ミンチは塩コショウして粘りが出て白くなるまで良く捏ねます。
そこにキャベツ、ニラと、にんにく、しょうが、醤油、オイスターソース、中華スープの素、砂糖少々、ごま油を加えまぜあわせます。

「調味料の分量はだいたいこんな感じかな?
ひき肉が300gなら、キャベツあ150gとニラ80g。
砂糖小さじ1、にんにく、しょうが適量、醤油中さじ1杯、オイスターソース中さじ2杯、ごま油中さじ2杯、中華スープ粉末適量」
「これでいいかな?最後にコネコネと」
「よし、ほな包むか?」

今日は50個程度つくる。
具を皮の中央に適量のせる。
あまり沢山に入れるよりは適量がよい。
そのほうが意外に形も味も良くなる。
具を包むように半分に折ると、手水をつけ、両手で持ち、親指側にギャザーをつけるように閉じていく。

「なかなか上手いやんけ」
「ほんまけ、初めてやけど楽しいな」
「そやろ?やればできるもんや、ほな焼いてみよか」

焼くのはホットプレートが家庭では無難だ。
ごま油をひいて餃子を並べたら、スイッチを強にして焼き始める。
パチパチと音がして、少し香ばしい香りがしてきたら水を適量加えフタをする。
水が沸騰してきたら中火にして水気が飛ぶまで焼く。
フタを開けて好みの焼き色がついたら完成である。

「うーん、美味そうや」
「今日は酢と醤油とラー油やけど、ポン酢でも、餃子のタレでも、酢と胡椒だけでも美味いよ」
「わーめちゃ美味いし、形も綺麗、最高や」
「どうや?できそうか?」
「全部ひかえたしな、大丈夫やと思うわ」
「そうか、ほなビール奢りや、頑張れよ」
「かんばーい」

美味かった。
何故かひたすら美味い餃子と焼きそばだった。
まあビールもね。
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